アットウィキロゴ

神裂10:13:33  >  第二学区-条件2

終了条件2:『五和』を倒す

神裂「う、う」

 神裂は。

神裂「う、あああああアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!」

 神裂は、目を逸らさない。
 赤い涙を流す五和を、真正面から見据えた。
 どうしようもないくらいに変わってしまった少女から、目を離さなかった。


 ――――いずれ、元に戻せるかもしれない。

 ――――安易な考えで命を奪うことはできない。


 欺瞞だ。

 分かっていた筈だった。
 この呪いが、如何程に強力なモノか。
 例え、この異界から元の世界へと還る事が出来たとして、果たして解呪出来たものかどうか。

 不死の呪い。黄泉還りの呪い。超越者へと変貌する呪い。
 それらの要素を並べるだけでも、半ばは理解出来そうなものだ。

 この呪いの主がいるとすれば、それは恐らく――――『神』と呼ばれる存在なのだ、ということ。

 人の呪い、ではなく――――神の祟り。

 ならばそれは、人の手で解けるモノなのか。

 神裂は、薄々分かっていながら、理解を放棄した。放棄していた。

 だって、それでは――――助けられない人が、救われない人が、多過ぎるではないか。

 目の前に立ち塞がる、数多の屍人達。
 大人も子供も、男性も女性も、遍く全ての元人間達は、既に手遅れだというのか。
 知らぬ間に死んで、知らぬ間に黄泉返り、もう二度と、人間に戻れない。
 そんな――残酷で――惨めで――救われない――そんな話が、あってたまるものか。


五和「うふフ。
    うふふふ。ふふふフフ。ウふフフふフ」

 その結果が、このザマだった。

 救われない人達を救おうとして、救われていた人を取り零した。

 なんて――――無様。

神裂「…………五、和」

 神裂は、目を逸らさない。
 己の責を、罪を、咎を、その双眸で凝視する。

五和「ヌぅけがケハぁー? だァーメですよオー?」

 意味を為さない言葉。
 かつてなら意味を為していたのかもしれない言葉。

 五和は、傍に落としていたフリウリスピアを拾い上げる。
 赤い雨に濡れた翼槍の刃が、神裂に向けられる。

 神裂は、目を逸らさない。

 そして、七天七刀を構える。
 五和の槍に向き合わせ、しっかりと。

神裂「――――五和」

 許して欲しい、などとは言えない。
 許される訳もないし、何よりそれを許す事の出来る人間など、もう此処にはいない。

 ならばせめて。
 彼女の好きだった世界を、彼女の好きだった人達を、護る為に。

 遅過ぎた決意だとしても。周回遅れの覚悟だとしても。

神裂「私は」

 貴女を、殺そう。

 貴女だけでなく、絶望に抗う人々を襲う異形、その全てを、私一人で斬って除けよう。

 例えこの手で、誰を斬る事になろうとも。
 目の前で救える人を、もう二度と取り零さないように。

神裂「貴女を、殺す」

 そして、貴女以外の誰かを、救う。


 勝敗は、一瞬で決した。

 五和の一直線の突貫を、右斜め上段からの袈裟切りで払い落す。
 間断無く、刀を返し下段からの逆袈裟で、五和の首を切断。
 続けて片手を刀から離し、鋼糸による『七閃』で、首の無い胴体を二十余の部位に断裂する。

 一秒にも満たない戦闘。
 五和と呼ばれた少女の屍体は、大量の血液を撒き散らしてバラバラと地面に転がった。
 真紅の血液は、赤い雨に混じって、道端の排水溝へと流れていく。

 元より、天草式の一戦闘員でしかない五和が、十字教の聖人、神裂火織に敵うべくもない。
 当然の結果、予定調和の勝敗だった。


神裂「――――」

 猛烈な吐気と、身体の奥から湧き上がる嫌悪感。体内のあらゆる液体が、口から逆流しそうになる感覚。
 それでも、神裂は刀を構える。
 自分を責めるのも、胃液を吐くのも、全てが終わってからで構わない。

 まだ周囲には、無数の屍人が残っていた。
 五和と神裂の高速の攻防に手を出せず、立ち尽くしていた屍人達。

神裂「――――全て、殺さなければ」

 神裂は、刀を振るった。
 刀は赤い雨を弾いて、屍人達の身体を次々と断ち斬っていく。


 例えその手が赤い血で塗れても、誰かを救えるのならば。

 神裂は、刀を振り続けた。



        終了条件2達成(ミッションコンプリート)

最終更新:2010年11月07日 05:51
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。