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地下の奥の奥。
頑丈そうな鉄製の大きな扉が、ひとつだけ。
ここを開ければ、もう後戻りはできない。
……いいや。もう、校門をくぐった時から、
覚悟はできている。
これが、本当に最後。
最後の戦いの時だ。
頑丈そうな鉄製の大きな扉が、ひとつだけ。
ここを開ければ、もう後戻りはできない。
……いいや。もう、校門をくぐった時から、
覚悟はできている。
これが、本当に最後。
最後の戦いの時だ。
ギギギィィ…………。
重たい扉をゆっくりと開けると、
そこには…………!
重たい扉をゆっくりと開けると、
そこには…………!
「やぁやぁ、よく来たねぇ。待ってたよ。
こんなところまで来るのは大変だったろう」
「っ……Dr.、マッド……!」
その外見は、もはやアリアちゃんの面影どころか、わたし達が知っているDr.マッドとも、大きく違っていた。
髪は乱れ、白衣は汚れで真っ黒、目には大きな隈ができている。長い間風呂にも入っていないのか、部屋の中は悪臭が充満していた。
「あぁ、すまないね。来客を迎えるような
格好じゃあないが……身だしなみに気を遣っている余裕がなかったんだ。
なにしろ研究は最終段階。失敗すれば全てが無に帰してしまう。だから寝ている暇もないくらいさ」
部屋の中もよく分からない機械で荒れ放題だったけど、一角だけ綺麗に整理された場所があった。そこに置かれているのは……。
こんなところまで来るのは大変だったろう」
「っ……Dr.、マッド……!」
その外見は、もはやアリアちゃんの面影どころか、わたし達が知っているDr.マッドとも、大きく違っていた。
髪は乱れ、白衣は汚れで真っ黒、目には大きな隈ができている。長い間風呂にも入っていないのか、部屋の中は悪臭が充満していた。
「あぁ、すまないね。来客を迎えるような
格好じゃあないが……身だしなみに気を遣っている余裕がなかったんだ。
なにしろ研究は最終段階。失敗すれば全てが無に帰してしまう。だから寝ている暇もないくらいさ」
部屋の中もよく分からない機械で荒れ放題だったけど、一角だけ綺麗に整理された場所があった。そこに置かれているのは……。
「あれ、って……」
「ん、あぁ、流石お目が高い。
よく気付いたね。あれこそ私が作り上げた
時空転移装置さ。この時代の科学力では到底作れない。本来ならあと200年くらい先にならないと実現不可能なシロモノだけど、この世界ならそれができる。……あぁ、君たちはもう知ってるんだろう?ここが夢の世界だ、ってコト」
「Dr.!!あなたは……自分が何をしようとしているか、分かってるんですか!?
それを起動してしまえば、本来の世界は消滅して……この、地獄みたいな世界が、現実になってしまうんですよね!?」
「ん、あぁ、流石お目が高い。
よく気付いたね。あれこそ私が作り上げた
時空転移装置さ。この時代の科学力では到底作れない。本来ならあと200年くらい先にならないと実現不可能なシロモノだけど、この世界ならそれができる。……あぁ、君たちはもう知ってるんだろう?ここが夢の世界だ、ってコト」
「Dr.!!あなたは……自分が何をしようとしているか、分かってるんですか!?
それを起動してしまえば、本来の世界は消滅して……この、地獄みたいな世界が、現実になってしまうんですよね!?」
「地獄だって?バカ言わないでおくれよ。ここは天国さ。そうだろう?この世界には他人に自分の都合を押し付けるクソみたいな人間はもういない。自分の価値観で相手をコケにしたり貶めたりするゴミのような人間もいない。
この世界にいるのは、君たちのような心が透き通った女児だけさ!!他者への思いやりを忘れず、痛みも悲しみも分け合う事ができる、優しく真っ直ぐに育った美しい女の子だけ!!素晴らしいじゃないか。この夢の世界はカスみたいな現実よりも遥かに価値があるんだ!!
機人に狙われない子供達がいるのは、もう知ってるだろ?あの子たちはね、私が選りすぐった、未来に生き残るべき子供達なんだよ!!君たちのような女児符号を持った子供たちは機人が跋扈する世界でも生き残る事が出来るけど、何も持たない子供達はそうは行かない。だから最初から機人のターゲットから外しておいたのさ。何千、何万、何億、何兆という世界を見てきた私には分かる。あの子たち、そして君たちのような女児は……未来に永遠に残すべき存在だとね!!」
この世界にいるのは、君たちのような心が透き通った女児だけさ!!他者への思いやりを忘れず、痛みも悲しみも分け合う事ができる、優しく真っ直ぐに育った美しい女の子だけ!!素晴らしいじゃないか。この夢の世界はカスみたいな現実よりも遥かに価値があるんだ!!
機人に狙われない子供達がいるのは、もう知ってるだろ?あの子たちはね、私が選りすぐった、未来に生き残るべき子供達なんだよ!!君たちのような女児符号を持った子供たちは機人が跋扈する世界でも生き残る事が出来るけど、何も持たない子供達はそうは行かない。だから最初から機人のターゲットから外しておいたのさ。何千、何万、何億、何兆という世界を見てきた私には分かる。あの子たち、そして君たちのような女児は……未来に永遠に残すべき存在だとね!!」
……聞いちゃ、いられない。
ここまでとは思わなかった。
この人は、もう……夢と現実の区別が、ついていないんだ。だから夢と現実をひっくり返すなんて事が平気でできてしまう。
止めるしか、ない。
あの装置さえ破壊すれば、時空の転移を止める事ができるみたいだ。それなら、誰かがDr.を抑えていれば、不可能じゃない!
「……あぁ、その装置を壊して転移を止めようとしても無駄だよ。それはあくまで私の符号をスムーズに作動させるための補助パーツでしかない。
転移そのものを止めるなら……今この場で、私を殺さないとね?」
にっこりと、Dr.は邪悪な笑みを浮かべる。
ここまでとは思わなかった。
この人は、もう……夢と現実の区別が、ついていないんだ。だから夢と現実をひっくり返すなんて事が平気でできてしまう。
止めるしか、ない。
あの装置さえ破壊すれば、時空の転移を止める事ができるみたいだ。それなら、誰かがDr.を抑えていれば、不可能じゃない!
「……あぁ、その装置を壊して転移を止めようとしても無駄だよ。それはあくまで私の符号をスムーズに作動させるための補助パーツでしかない。
転移そのものを止めるなら……今この場で、私を殺さないとね?」
にっこりと、Dr.は邪悪な笑みを浮かべる。
Dr.を、殺す。
そうだ。最初から、分かっていた。
分かっていたのに、
気付かないフリをしていた。
わたし達が、人を殺せるわけがない。
機人を壊すのとは訳が違う。
1人の人生を、終わらせる。
世界を救うためとはいえ。
このままじゃ、現実世界の人たちが消滅してしまうとはいえ。
誰かを、殺すなんて、わたし達には……。
そうだ。最初から、分かっていた。
分かっていたのに、
気付かないフリをしていた。
わたし達が、人を殺せるわけがない。
機人を壊すのとは訳が違う。
1人の人生を、終わらせる。
世界を救うためとはいえ。
このままじゃ、現実世界の人たちが消滅してしまうとはいえ。
誰かを、殺すなんて、わたし達には……。
「……ううん。違う。
もう、止められないんだ。」
もう、止められないんだ。」
一歩、前に出る。
みんなが戸惑っているのが伝わってくる。
みんなが戸惑っているのが伝わってくる。
「…………うん?なんだい?」
「誰かが、やらなきゃいけない。例え、
その罪を永遠に背負う事になるとしても……
やらなきゃいけないんだ!!」
「誰かが、やらなきゃいけない。例え、
その罪を永遠に背負う事になるとしても……
やらなきゃいけないんだ!!」
わたしが、やる。
みんなには、こんなものを背負わせるわけには行かない。
わたしが、やるんだ!!
みんなには、こんなものを背負わせるわけには行かない。
わたしが、やるんだ!!
(あぁ、そうだよ。君なら、そう言うと
思っていた。だから…………君は美しいんだ、
はもはもちゃん)
思っていた。だから…………君は美しいんだ、
はもはもちゃん)
小声で、Dr.が何か呟いた気がした。
だけど、もう!!
後戻りはできない!!!!
「うああああああああッ!!!」
ドッ!!!!!
だけど、もう!!
後戻りはできない!!!!
「うああああああああッ!!!」
ドッ!!!!!
「ごほっ………………!!」
Dr.の腹に、渾身の女児力で、
拳を突き入れた。
手に、内臓の感触が伝わる。
腕に、どろりと血が伝う。
Dr.の腹に、渾身の女児力で、
拳を突き入れた。
手に、内臓の感触が伝わる。
腕に、どろりと血が伝う。
こうするしか、なかった。
こうする、しか…………!!
こうする、しか…………!!
「…………あぁ、そうだろうさ。
君は、そういう子だ。はもはもちゃん……」
Dr.の声が、今度ははっきり聞こえた。
「うっ……うぅっ…………っぐ…………!!」
死の感触が、伝わってくる。
手を、Dr.の腹から引き抜いた。
ずるりと、中身がこぼれ落ちる。
「ハハ、ラスボスを倒したのに泣くなんて、
君は本当に優しい子だね。
……だからこそ、私は君を『選んだ』んだ………………」
ドサッ。
君は、そういう子だ。はもはもちゃん……」
Dr.の声が、今度ははっきり聞こえた。
「うっ……うぅっ…………っぐ…………!!」
死の感触が、伝わってくる。
手を、Dr.の腹から引き抜いた。
ずるりと、中身がこぼれ落ちる。
「ハハ、ラスボスを倒したのに泣くなんて、
君は本当に優しい子だね。
……だからこそ、私は君を『選んだ』んだ………………」
ドサッ。
Dr.は、その言葉を最期に、床に倒れた。
赤い血だまりが、汚れた白衣を染めていく。
赤い血だまりが、汚れた白衣を染めていく。
「ううぅっ……あああああぁっ…………!!」
「はもはもちゃんっ……!!
ごめんなさい!!ごめんなさい!!
わたし達、動けなかった……!Dr.を倒さなきゃって……
分かってたはずなのに!!
背負わせて、ごめんなさいっ……!!」
悲痛な顔をしながら、ライジングちゃん達が駆け寄ってくる。
「はもはもちゃんっ……!!
ごめんなさい!!ごめんなさい!!
わたし達、動けなかった……!Dr.を倒さなきゃって……
分かってたはずなのに!!
背負わせて、ごめんなさいっ……!!」
悲痛な顔をしながら、ライジングちゃん達が駆け寄ってくる。
でも、今のわたしは、みんなの顔を見る事ができなかった。
今、わたしはどんな顔をしているんだろう。
今、わたしはどんな顔をしているんだろう。
人を、殺してしまった。
例え、世界を滅ぼそうとする大悪人でも。
本人が、それを望んでいたとしても。
例え、世界を滅ぼそうとする大悪人でも。
本人が、それを望んでいたとしても。
わたしは、人を………………。
それも、アリアちゃんを。
殺してしまった。
それも、アリアちゃんを。
殺してしまった。
「…………………………あぁ。
泣いてくれているのかい、私のために。
君は本当に、優しい子だね」
「え………………?」
泣いてくれているのかい、私のために。
君は本当に、優しい子だね」
「え………………?」