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  • セブンスカラー 外伝 End of Destination 中編

創作女児小学生ズ@wiki

セブンスカラー 外伝 End of Destination 中編

最終更新:2022年10月07日 22:50

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更新日:2022/10/07 Fri 22:50:27

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セブンスカラー


「そんな……!」
目の前で魔龍少女に変身した天願を見て、龍香から唖然とした声が出る。
「なんだってコイツが変身出来てんのよ!」
予想外の展開に雪花舌打ちする中、天願はニコニコと笑いながら龍香へ手を差し出す。
「ほら、龍香さん。こっちに来て。私が守ってあげるから。」
「へ?」
手を差し伸べて微笑む彼女に龍香は呆気に取られる。しかし、一方の雪花は彼女をジッと見つめたまま警戒する姿勢を解かない。
「大丈夫だよ龍香さん。私こう見えても強いんだから。さっきだって、ほら。」
彼女はそう言ってスマホを取り出すと画面をスクロールしてある写真を見せる。
そこに映っていた傷だらけで怯えた表情の三人の少女……黒衣達を見て二人は思わず絶句する。
だが、彼女はウットリとした様子で続ける。
「最高だわ。この力。今まで私をいじめてきた人達全てが私に泣いて謝るんだから。」
《いいぞ。良い心の闇だ……。もっと、もっと力を求め、心の闇を増幅させろ…。》
彼女の頭についたヘアアクセ……カノープスが彼女を増長させるかのように促す様を見て、龍香が叫ぶ。
「カノープス!何で彼女に取り付いてるの!?私を忘れちゃったの!?」
龍香が語りかけるが、カノープスはチラとも反応しない。彼女の事など眼中にない様子だ。
そんな龍香に天願が近寄ろうとした瞬間。
「動かないでっ!!それ以上こっちに近づいたら撃つわっ!」
雪花が龍香の前に立ち、天願に銃を向ける。銃を向けられた天願はその歩みを止め、笑みが消えて真顔になる。
「雪花ちゃん…!」
「……なんの真似かしら?」
「狙いはなんだか知らないけど、人を傷つけた事を誇らしげに語る奴とは仲良くする趣味はないのよ…!龍香!離れなさい!」
雪花の言葉に龍香が下がろうとしたのを見て、天願が呟く。
「そう……貴方もあの人達のようになりたいのね?」
次の瞬間大きく地面を蹴った天願が雷鳴の如き踏み込みで雪花へと迫る。
「なっ」
雪花もすぐさま反応して銃を撃つが、彼女の素早い動きを捉えることが出来ず、放たれた弾丸は明後日の方向へと着弾する。
天願はいつの間にか手斧状の武器“タイラントアックス”を握っており、雪花に向けてそれを振るう。
「貴方もズタボロにしてあげる!」
「ちぃぃっ!」
狂気の笑顔と共に繰り出された一撃を雪花は舌打ちしながらも腰のナイフを引き抜いて受け止める。
だが完全に受け止めることは叶わず、その一撃によってナイフは雪花の手元を離れて地面を転がる。
「ぐっ!」
「あはっ!」
さらに武器を振り上げる彼女を見て藍はライフルを構えると振るわれた一撃をライフルで受け止める。
その一撃はいとも簡単にライフルをひしゃげさせるが、斧を捌いた雪花はすぐさまライフルを捨てて拳を振りかぶると思い切りそれを彼女目がけてフルスイングでお見舞いする。
「うあっ!」
藍が振るう拳を受けて、天願は数歩下がる。
「力だけで、戦い方がてんで素人なのよ!」
さらに雪花の蹴りが決まり、またさらに天願は後退させられる。その隙に雪花は転がっているナイフを拾い上げて構える。
手痛い仕返しに天願は悔しそうに雪花を睨む。
「ぐっ……」
《恐るな…冷静になれ。我等に貴奴の攻撃は効かない。》
カノープスの言葉に天願はハッとなり、雪花が顔を顰める。
「確かに……びっくりしたけど、痛くない……。」
《ドンと構えろ。我等の防御力はあの程度の攻撃など造作もなく受け止められる。》
「チッ。聞いてないの…!!」
雪花の悔しがる素振りを見て、ふふっと天願が笑う。
「……さっきはよくもやってくれたわね。」
“タイラントアックス”を再び構える天願。さらにカノープスが続ける。
《貴様らの相手は我等だけではない。そろそろ劇的な舞台の一幕を開けるとしよう。》
次の瞬間、カノープスの目が一際大きく輝いた。そして彼女の後ろに立つ六人の影に二人は驚きのあまり目を見開き、声が漏れる。
「そんな……っ」
そう。そこにいたのは、前の世界の武装を構え、変身したかつての戦友達──黒鳥、赤羽、龍賢、月乃助、龍斗、龍姫の姿だった。





「はぁぁっ!!」
一方、影の兵士達に足止めを食らっていた彼らにも動きがあった。
「真っ黒クロスケのパチモンが調子乗っとんちゃうぞコラァッ!!」
むらサメが繰り出した巨大な拳の一撃が、影の一撃を弾きながら痛烈な一撃を与える。
あまりに巨大なダメージを受けた影はスゥと透明になって霧散する。
「どんなもんじゃいっ!!」
「やったねむらサメちゃん!」
ガッツポーズをするむらサメとそれを喜ぶきゅーばん。
一方のデヴァも次々と蹴りを、拳を、変幻自在に繰り出す半仮面とマントの影の攻撃を剣で捌いていた。
そして中々決着がつかないことに焦れた影の攻撃がほんの僅か、大振りになったのを彼は見逃さなかった。
「──勝機ッ!!ここだっ!」
一瞬の隙を突いたデヴァの振る剣の一閃が影を袈裟斬りに斬り裂く。霧散する影を見ながら、彼はふぅと一息つく。
「危なかった……そうだ、彼女達は…。」
デヴァが辺りを見回していると、ドォンという轟音と共に土煙が舞い上がり、その中から二人の影が飛び出す。
シェーンとシャドウマンだ。
「チッ、影共がやられたか!」
「フッ!」
シェーンが一瞬よそ見をした彼女に正拳突きを繰り出す。その拳は正確にその身体を貫いた……ハズだった。
「!」
「どうした?俺には何のダメージもないぞ。」
ニヤリと笑うシャドウマン。確かに当たっているのに当たったという手応えがない。まるで影でも触れているかのような無感触にシェーンが違和感を覚えると同時に彼女の右腕が鋭い刃物のように変形し、シェーンに振るわれる。
「ッ!」
それをシェーンは皮一枚でかわすと同時に反撃の後ろ回し蹴りを放つが、またしてもその一撃は彼女の身体をすり抜ける。
「ふふっ。無駄だ無駄だ。俺にはそんな攻撃は効かん。」
シャドウマンが再び剣を振るう。シェーンは後ろへと大きく跳躍し、攻撃をかわしながら一旦距離を取る。
(……何故、奴の体はすり抜ける?)
そしてじっくりと揺らめくシャドウマンを見据える。こっちの攻撃は当たらないが、あっちの攻撃は当たる。
「……転移?いや、幻?」
シェーンはシャドウマンが繰り出す攻撃をかわしながら彼女を見極めようと見据えたその時。
「ソイツの影を狙うのじゃ!」
何処からか声が聞こえたと同時に刃のように鋭い氷が飛んでくる。
「チイッ」
それに気づいたシャドウマンは刃を振るってその攻撃を弾いて“防御する”。
「何奴ッ!」
シャドウマンが声をかけると同時にシェーンの前に二人の人影が降り立つ。
二人の人影──不敵に笑うのじゃロリ猫と、シャドウマンを睨むエフィが構える。
「お主、まだ生きておったとはな。死んだと思ってたんじゃが。」
「あぁ。あのままだったら死んでいただろう。だが今の俺には“スポンサー”がついていてな。貴様のおかげで消し炭になりかけた身体も今やこの通りだ。」
のじゃロリ猫の言葉にシャドウマンは笑って返す。
「……その“少女”の姿も“スポンサー”の趣味?」
エフィが随分と様変わりしたシャドウマンの姿に疑問を投げ掛けると、彼女は肩を竦める。
「さぁな。不定形な俺には姿などどうでもいいことだ。それよりも重要なのは。」
シャドウマンが笑った瞬間彼女の額がパックリと割れてギョロギョロと×状の瞳を持つ目玉が蠢きながら姿を表す。
「今の俺は貴様らを容易く打ち倒せる力を手にしたことだ!」
シャドウマンがそう叫んだと同時にその目玉が強烈な光を放つ。
「きゃっ!?」
「うおっ」
あまりの眩さに全員が眼を閉じる中、光に当てられた全員の影が伸びる。そしてその影が一人でに動き出したかと思うと、無数の鞭へとその形を変形させ、彼女達に絡みつく。
「何ッ!?」
「きゃぁっ!」
あっという間に拘束され、驚く彼女達にシャドウマンは刃を煌めかせる。
「どうだ?自らの影に縛られるというのは?中々乙なものだろう?」
「ぐっ……動けへん…!!」
「うっ、ぐっ…!」
「無駄だ無駄……ソイツはお前らの“影”。決してお前ら自身で振り解く事は不可能……。」
ニヤリと笑うと彼女は刃を振り上げる。
「そして、俺は動けない貴様らを雑草でも抜くように簡単に始末すればいいだけだ。」
「…!まずいっ!」
何とかして皆を逃そうとデヴァやシェーン達が身を捩り、振り解こうとするが彼への拘束は緩まない。
「まずはお前だっ!」
ニヤリと笑うシャドウマンの視線の先には、きゅーばんの姿が。
「やばいっ!避けろ!」
悲鳴のような忠告虚しく、動けない彼女に向けて刃が飛んだ。





「な……んで。」
かつての戦友達の姿に龍香の口から困惑の声が漏れる。雪花も驚きを隠せない。
そんな二人を前にカノープスが告げる。
《どうだ?劇的な再会と言う奴だ。》
「…って言うか、何で、あんたら変身を……」
天願の後ろに立つ六人は虚で赤い瞳をしており、前の世界のようにシードゥスを纏った姿に変身している。
作り直された世界において雪花と龍香以外は記憶を失い、シードゥスが消滅したことで力もないハズなのに。
藍の言葉にカノープスが言う。
《簡単な話よ。我が事象を書き換えたのだ。》
「書き換えた…?」
《そう。我の能力は事象の書き換え。人体を銃弾を弾くほど硬くしたり、雲をクッションのように柔らかくする…そして…他人を私に忠誠を誓う僕だと認識を書き換える事もできる。彼女達はたまたま観測した“前の世界”では戦士だったようだな?》
「まさか……!」
何か勘づいた雪花にカノープスがニヤリと笑う。
《その通り。彼女達を前の世界の姿に書き換えたのだ。そして彼女達には君達を……シードゥスと認識させている。》
「……ッ!ヤバいッ、龍香下がって!!」
「え。」
そうカノープスが言ったと同時に雪花は素早くナイフを構えて龍香を後ろへと下がらせる。
それとほぼ同時に天願の後ろの六人が動く。
先陣を切った龍賢の剣が雪花に迫る。彼女はそれを受け止めるのではなく、身を屈めて回避すると同時にナイフを突き出すが、龍賢もそれを読んでいたのか薄皮一枚で攻撃を避ける。
龍賢はそのまま反撃するでもなく、地面を蹴って横へと逃げる。龍賢を影にしていたのか、目の前に赤羽が躍り出て来る。
「くっ!!」
雪花は迫るかつての仲間に一瞬躊躇うが、ナイフを突き出す。突き出されたその刃は赤羽を貫く。──その直後、雪花は違和感を感じる。そう、確実に刺したハズなのにまるで幻かのように手応えがない。
「これっ、赤羽の幻──」
雪花が気づいた瞬間には腕を突き出し、隙だらけの彼女の目の前に魚のような怪物と化した龍斗ががんざきよような武器を構えていた。
次の瞬間振るわれた一撃が雪花に炸裂し、吹き飛ばされて、近くの樹に叩きつけられる。
「雪花ちゃん!!?」
「ごっ、あぁ……!?くそっ……!」
呻きながらも雪花が立ちあがりナイフを構えた瞬間、月乃助の振るう蛇腹剣がうねり、ナイフを弾き飛ばす。そしてそれと同時に雪花の身体に蜘蛛の糸が絡みつき、拘束する。
「ッ!?これはっ、まさか……!?」
雪花が気が付いた瞬間、彼女の頭上から降りた黒い影──黒鳥が膝を彼女の背にめり込ませる。
「ぁ、がっ……!?」
倒れた雪花を馬乗りになるようにして黒鳥が押さえる。
「……ふふっ、よくやったわ。」
天願が笑みを浮かべながら、雪花へと向かっていく。雪花は黒鳥に押さえられて動けないが、せめてもの抵抗で彼女を睨む。
「……っの、野郎!皆を……!」
「そんな怖い顔しないで?貴方もお友達になりましょう?」
そう言うと天願は赤く丸い石を取り出す。
《本来俺にはここまで世界を、認識を書き換える事は不可能だ。だが、この作り直したばかりの不安定な世界、そして前の世界の住人であるお前達にはそれが可能となる。》
「……はっ、訳わかんないこと言ってんじゃないわよこのパチモン野郎……!」
「やめてっ、雪花ちゃんに何を……」
次の瞬間、天願の持つ赤い球が禍々しい光を放つ。それを見た瞬間雪花の意識が闇に包まれる。
「──ッ!?これ……はっ…!ごめ……龍……香、逃げ……」
雪花が言い終わらない内に意識を失った彼女はガクンっと項垂れる。
「雪花ちゃんっ!?どうしたのっ!?」
龍香が声をかけるが、雪花は反応しない。しかし天願が目配せをし、黒鳥がどくと、彼女はゆらりと立ち上がる。
その目は他の六人と同じように、赤く虚になっていた。
「雪花ちゃ……」
茫然と立つ彼女の肩に天願は手を置く。
「これで、貴方も私のお友達ね。」
「雪花ちゃん!どうしちゃったの!?」
龍香が雪花に近づこうとすると、他の六人の虚な視線が龍香に向けられる。
《無駄だ。最早此奴は我の操り人形よ。》
「そんなっ……!」
カノープスの言葉に龍香の顔から血の気が引く。
「雪花ちゃん!黒鳥さんっ!赤羽さんっ!お兄ちゃんっ!龍斗お兄ちゃん!お姉ちゃんっ!皆っ!返事をしてよっ!」
龍香が呼びかけるが、誰も反応を返さない。彼女の足から力抜け、彼女は座り込んで俯いてしまう。
「どうしてっ…なんでっ、こんなっ……」
《……どうやら、あっちも片付くようだな。》
龍香がふと、目をやるとそこには黒い縄のようなもので縛り上げられた彼女達に、今にも刃を振るおうとするシャドウマンがいた。
「みんなっ…!」
《無駄だ無駄無駄……今の何の力もない貴様に何が出来る……?》
「……ッ、それは……」
「ね、龍香さん。もう分かったでしょう?刃向かったっていい事ないよ。大人しく私に守られよう?」
「わ、たし…は……。」
どうしようなく絶望的な状況に龍香はただ天願と、かつての戦友を見ることしか出来ない。
目に涙を溜め、絶望に染まる彼女の表情を見て、カノープスが嗤う。
《ははっ、良いぞ。良いぞその表情!まさに負け犬にと言う言葉が相応しい。お前の作り直した世界は全て我の礎となる。光栄に思え。お前のしてきたことは、全て我の為の供物だったのだ。》
「そ、んな……わ、たし達の……戦いは……。」
項垂れる龍香の前に天願は立つと、その手を伸ばす。
「さぁ、龍香さんもこっちにおいで。今の龍香さんには誰かを守る力は、ないんだから。」
差し伸ばされた手。それを見た龍香は逡巡する。
(もう、いいかな?)
今の自分にこの状況をひっくり返す力はない。
前の世界だって死力を尽くした。自分はやれることをやったのだ。もう、諦めたって誰が私を責めるだろうか。
すっかり変わってしまった相棒。かつての友も今や敵だ。
誰がどう考えたって詰み。諦めていいよ、と自分の中に声が響く。
──だがそれと同じ、いや、それ以上に諦めたくないと叫ぶ自分もいた。
「私、はっ……!」
龍香が苦しみ、嗚咽を漏らしながら、天願を、いや、頭に付いている“カノープス”を睨む。
天願が憐れむような瞳で龍香へ視線を投げ掛ける。
「そんなに、怖がらなくてもいいよ。私と一緒に──」
「いいや?ソイツの眼はまだ死んでないよ。」
声が響く。そして次の瞬間、何者かが光の速度で天願に横から突っ込む。
「っ!」
素早く反応した天願が防御の姿勢を取るが、乱入者の勢いは凄まじく、彼女を大きく吹き飛ばす。
さらに今にもきゅーばんに向けて振るわれんとした刃が彼女の身を切り裂かんと迫るが、彼女とその刃の間に“十字の光の形をした剣”が挟まり、その一撃を弾く。
「なんだとっ!?」
「えっ」
その“十字の光の剣”は三つあり、クルクルとしたかと思えば光を放つ。すると光によって影の縄は消滅し、全員が解放される。
《貴様……何故!?》
カノープスが驚きの声をあげる。それは龍香も同じで、目の前に立つ一人の“女性”に龍香は驚きのあまり目を見開く。
そこにいたのは全身の十字の瞳を持つ祈祷師のような装飾を纏い、十字の光の刃を放つ杖を持った紫色の髪の女性…操られていたハズの紫水龍姫だった。
「お姉……ちゃん…?」
「よしよし。まだ目は死んでないわね。そうこなくちゃ、前の世界でアンタに殺された私が可哀想だもの。」
龍姫は龍香の顔を覗きながら嗤う。そんな彼女にカノープスが問い掛ける。
《貴様ッ!?何故?動ける?我の書き換えを解いたとでも言うのか!?》
カノープスの問いにクックックッと笑いながら龍姫は立ち上がる。
「あー?バカね。認識の書き換えなんてこっちも同じような事が出来んのよ。ご丁寧にわざわざ私の能力まで再現してくれちゃって……。お生憎様だけど私にアンタの技は効かないのよ。」
《チッ……厄介な。》
「まぁ、龍香が苦しむ分には面白いから様子を見てたんだけどね。」
次の瞬間天願に敵意を剥き出しにしながら、龍姫はドスの効いた声で威圧する。
「前の世界の全てがアンタの礎、ってのがどーしても気に食わなくてね。全力で吠え面をかかせてやろうと思ったの。」
龍姫の放つ雰囲気に全員が戦慄する。しかし、天願はふんっと嗤うと。
「貴方一人が寝返ったからって!こっちにはまだ友達が沢山…!」
「へぇ。なら聞くけどさ。」
ニヤリ、と龍姫は獰猛な笑みを浮かべる。
「“その程度の人数”で私をどうにか出来るとでも思った?」
次の瞬間、彼女の影が伸びて彼女自身を拘束する。
「あ?」
気怠げに龍姫は声を出すと、唯一動かせる首をシャドウマンに向ける。
「その女は危険だっ!今すぐやれっ!お前らっ!」
シャドウマンがそう言った瞬間次元に亀裂が走り、それらを割って三方から、アリックスが血の槍を、姦姦蛇羅が呪術を、ザマスロリ大女郎蜘蛛が背中の脚を動けない彼女へと向ける。
「ハッ。この程度で。」
次の瞬間ギョロギョロと全身の装飾の眼が動く。それを見た龍香は顔を青ざめさせると呆然とするきゅーばん達皆に向かって叫ぶ。
「皆──ッ!!今すぐを眼を閉じて──ッ!!」
「“征服王ノ威光”」
次の瞬間全ての瞳から眩い光が放たれる。その光は凄まじく、彼女に纏わりついていた影の鞭を一瞬にして消し飛ばし、アリックス達はその光をもろに視認してしまう。
「なによっ、まぶし……い?」
「こんな光で…?」
「……!!」
光を浴びたアリックス、姦姦蛇羅の二人は失速しドサリ、と地面に力なく倒れる。シャドウマンの方も動けないようで、固まっている。
「身体が……!?」
「動かな……!?」
「出たッ、お姉ちゃんの催眠光線……!」
光を見た者の身体の動きを封じる“征服王ノ威光”の相変わらずの凄まじさに龍香が少し引く中、龍姫は嗤う。
「……これこそが全てを平伏させる私の力……ってカッコつけたかったんだけど…。」
次の瞬間彼女に四本の鋭い爪のついた脚が襲いかかる。龍姫は杖でその脚を弾く。
「アンタらは動けるのね。」
龍姫の視線の先には憎悪の炎を燃やし、笑みを浮かべる大女郎蜘蛛と、武器を構える天願がいた。
「前に一度喰らってるザマスからねぇっ!“別の瞳”を埋め込む事で対策済みザマス!」
「カノープス…!」
《確かに我の書き換えは通じなかったようだが、逆に言えば貴様の技も我には効かんぞ。》
「チッ。厄介な事で。」
襲い来る二人を杖でいなしながら、龍姫は龍香の首根っこをむんずと掴む。
「きゃっ」
「足手纏い抱えて戦う程私は馬鹿じゃないからね……ここは退かせて貰うわ。」
「バカめっ、逃すとでも……!」
大女郎蜘蛛が爪を繰り出した瞬間彼女の姿が光となって消える。
「消えたっ!?」
《上だ!》
カノープスの指示通り上を見上げると、そこには龍香を抱えて大きく跳躍している龍姫の姿が。
「消えなさいカス供。」
次の瞬間三つの光を組み合わせた神々しさする感じる巨大な刃が天願達へと向かって放たれる。
「ちょ、ちょちょっ、冗談じゃないわよっ!!眷属ッ!」
アリックスはこちらへ向かってくる刃を見て顔を青ざめさせながらそう叫ぶとその言葉に反応して龍賢が彼女を抱き抱えてその場を離れる。
「あっ、ずっこ!!ずるいですよ!私も!私も!そこの黒いの!私を運びなさい!」
姦姦蛇羅がそう叫ぶと黒鳥が反応して彼女を抱える。迫り来る刃を見ながら天願が叫ぶ。
「カノープスッ」
《チッ、姦姦蛇羅!奴の焔を出せ!》
「えっ?いいの?チャージ中でしょ?」
《背に腹は変えられん!》
カノープスが指示を出すと姦姦蛇羅は何やら不気味な声音で呪文を唱え始める。
するとズゾゾ、と時空に穴が空いたかと思ったその瞬間。まるで爆発したかのように凄まじい炎が放たれた刃に向かって飛んでいく。
「!」
それは刃とぶつかった瞬間、さらに爆発を起こし刃を粉々に粉砕すると同時に霧散する。
「チッ。」
龍姫が舌打ちする中、龍香はふと次元の穴に目をやる。
「……アルタイルさん?」
またすぐに次元の穴は閉じてしまうが、龍香は確かに次元の穴の奥に拘束されていた彼女を見つける。
「あわよくばと思ったけど、これ以上は面倒くさいわね。」
だが彼女が声を出すより先に龍姫は光となって消える。それを見たきゅーばん達も。
「…なんかよく分からんがワシらも退くぞ!」
「あ、でも雪花が……」
「悔しいが、今はどうしようもない…!」
一瞬立ち尽くす雪花を見て逡巡するが、彼女達もすぐにその場を離れた。
そして誰もいなくなったその場で少しキョロキョロと辺りを見回した後、天願は変身を解く。
「……逃げられちゃった。こんなんじゃ、龍香さんを守れないや。」
《気にするな。初めてはこんなものだ。》
そう言ってカノープスがピカッと光ると、動けなかったアリックス達の身体に自由が戻る。
「お、おぉ……!」
「動ける…」
身体の自由を取り戻した彼女達を一瞥すると、カノープスは再び次元の扉を開き、拘束されているアルタイルを見る。
《……意外と使わされたな。まだ規定量には全然足りないと言うのに。》
「…彼女を、何に使う気なの?」
天願が尋ねると、カノープスはククッと笑って答える。
《そうさな……我を最強にするための燃料…と言ったところかな。》






真っ黒な闇を星々が明るく照らす海岸。その空間に一筋の光が灯ったかと思うと、穴が開いて、一人の少年が転がり落ちる。
「うぐっ。」
白髪の少年……アルビレオはボスっと砂浜に倒れ込み、痛む身体に鞭打ってなんとか立ち上がる。
「……何とか、助けなきゃ。」
攫われてしまった姉を追いかけて遥々この次元まで追いかけて来たのだ。
しかし、同時に彼の胸を不安が襲う。
(ホントにボク一人で助けられるかな…?)
あっという間にあしらわれた先程の戦闘を思い出し、挫けそうになるが、彼はブンブンと首を振り、頬を叩くと立ち上がる。
「いや、弱気になっちゃダメだ!やらなきゃ……!」
そう言って気合いを入れたその時だった。
《…い、…ーい、おーい。》
「……?声?」
《おまえ確かアルビレオ…だろ?》
「何でボクの名前を!?」
ふと彼の耳に誰かが呼びかけるような声が聞こえる。さらにその声の主はアルビレオの事を知っているらしい。何だろうかと彼は耳を澄ませ、そして気づく。
その声は彼の足元から聞こえて来る事に。アルビレオが下に眼をやると、彼は目を丸くする。
「えっ、なんでお前がここに……?」
驚く彼に足元の声の主は。
《いやまぁ、色々あってよ。んなことより、ちょっと手を貸してくれや。俺を“相棒”の元まで連れて行ってくれ。》
そう、頼み込むように言った。










先程の場所から山道を戻ってきた龍香達ときゅーばん達は廃工場跡地で落ち合っていた。
合流すると、きゅーばんが龍香に話しかけて来る。
「……龍香ちゃん、無事だったんだね。」
「うん。私は何とか……でも、雪花ちゃんが……」
「…悪いのぉ。せっかく助太刀に来たのに。」
「い、いやいや。のじゃさんが謝る事はありませんよ。それより、どうやって雪花ちゃんを、皆を助け出すか考えなきゃ。」
「……せやな。何とか助け出さんと…」
皆が思案に耽る中、シェーンが手をあげる。
「…ところで、一つ聞きたいんだけど。」
「どうしたのシェーンさん。」
「この、過激な格好をした彼女は?」
シェーンの視線の先には、変身したままの龍姫がいた。龍姫は目をぱちくりさせると。
「あ、変身したままだったわ。」
特に気にした様子もなく言ってのける彼女にそう言えば誰だコイツと皆の視線がいく。
それに気づいた龍香は皆に龍姫を紹介する。
「あ、紹介が遅れました。私のお姉ちゃんです。」
「紫水龍姫よ。まぁ、短い間だろうけどよろしくね。」
ペコリとあいさつする龍姫……の特にその格好に皆の目がいく。
(り、龍香ちゃんのお姉ちゃんって、結構過激な格好をするのね。)
(は、恥ずかしくないんか…?)
(ちょっとでも動いたら……見えちゃいそう。)
皆がヒソヒソと話す中、デヴァが目を逸らしながら彼女に言う。
「そ、その。彼女のお姉さんと言うことは分かったから出来れば着替えてくれないか?その……目のやり場に困る。」
顔を赤くする彼を見て龍姫は一瞬キョトンとした顔をした後、悪戯っぽく笑みを浮かべ。
「何〜?私のこの格好の何処がおかしいって言うの?言ってみなさいよ。うん?」
「う、うあっ、うわ…」
「もう、お姉ちゃん!いじめないの!」
ニヤニヤと笑いながらグイグイと距離を詰めて赤面するデヴァを揶揄う彼女を、龍香が諌める。
龍姫も笑いながら変身を解除し、普通の服装に戻る。
「あー、中々新鮮な反応だったわ。」
「もう、お姉ちゃんったら……!」
一頻り笑った後、打って変わって真剣な声で彼女は切り出す。
「ま、それよりも実際問題……アイツらをどうするか、ね。」
龍姫の言葉に全員が押し黙る。突如現れた侵略者達。目的は謎だが、全員が凄まじい戦闘力を持っていることだけは分かる。
「…何が目的なのかしら、彼女達は?」
「分からない。…けど、碌な事は企んでなさそうって言うのは分かる。」
「…にしても、何故に奴らはわざわざ“不安定なこの世界”にやってきたのじゃろうな?」
「あ、さっきから気になってたんやけどその“不安定な世界”ってなんやそれ?」
むらサメの疑問に龍香がビクッ、とする。龍香がどう説明しようか逡巡していると龍姫が気怠げに口を開く。
「そんなの簡単よ。勝者になった龍香がこの世界を書き直したから。それだけよ。」
「お姉ちゃ……!!」
「何よ。事実でしょ。」
龍香が龍姫に口を挟もうとするが、龍姫は気にせず続ける。
「本来最上位種の私が書き換えるハズだったのに、下位種のカノープスとアンタが私をぶっ殺して不完全な方法で書き直したから、世界に綻びが生じたんでしょ。」
「……!お姉ちゃんだって!赤羽さんや黒鳥さんを…!」
龍姫の物言いに龍香が食ってかかるが、龍姫は手をヒラヒラさせて彼女をあしらう。
「ハハッ、何勘違いしてるか知らないけど別にアンタを恨んでないわよ。今の私は五体満足だから、ね。多分アンタが私に気を効かせたんでしょうけど。」
睨む龍香と嗤う龍姫。何となく二人の関係を垣間見た全員がどう声をかけるか迷っていると。
「姉妹喧嘩もその程度にしておいて。今は重要じゃないわ。」
エフィがコホンと咳払いをして彼女を諌める。諌められた龍香は少し不満げながらも引き下がり、龍姫もフッと笑いつつも引き下がる。
「……それにしても、奴らの動きが読めんのぉ……何をする気なのか…。」
「……ヒントになるか分からないけど彼女の攻撃を防ぐための炎が放たれた時。一瞬だが、すごい気を感じた。まるで溜めていたものを少しだけ吐き出したような…。」
「あっ、そういえば、あの時空の中にアルタイルちゃんが閉じ込められてて……」
シェーンの言葉に龍香が声を上げると、皆の視線が龍香に向かう。
「アルタイル?」
「うん、何回か戦ったけど、前にオウマがトキに飛ばされた時はには共闘もしたんだよ。不死鳥の能力を持っていて、めちゃくちゃ強いの。」
龍香が説明し、アルタイルのことを皆が教える中、龍姫が口を開く。
「……まっ、よく分からんないけど、現状一つ言える事があるわ。」
「何?」
「アンタはこの戦いに参加出来ない、ってとこよ。」
「何やて?」
「………。」
「他の連中は知らないけど、ハッキリ言ってカノープスのいないアンタに何が出来るの、って話でしょ。足手纏い抱えて戦うの、私はゴメンよ。」
「……それは。」
「そんな言い方しなくたって。」
龍姫の言いぶりにきゅーばんが咎めるが、龍香は彼女に言う。
「……いや、いいのきゅーばんちゃん。お姉ちゃんの言っていることは……事実だから。」
龍香はそう言うと、少し顔を伏せて、一目散にその場から走って離れる。
「……感心しないね。」
シェーンが咎めるように言うが、龍姫はどこと吹く風で。
「そう?“何も出来ない”奴に死んでこい、って言うよりかは遥かに優しいと思うけど?」
フフフと嗤う龍姫に皆が刺々しい視線を向ける中、のじゃロリ猫だけが彼女をジッと何かを見定めるように見つめていた。




皆がいた廃工場が逃げるように龍香は走っていたが、徐々に力尽き、ぜぇぜぇと肩で息をしながら立ち止まる。
気がつけば日は沈み、街灯の灯りだけが彼女を照らしていた。
彼女はふと、真っ黒な夜空を見上げる。街灯のせいもあり、夜空には星一つ見えない、真っ黒な空だ。
「……私、ホントに。カノープスがいないと何も出来ないんだ…。」
ふと思い返せば、龍香が立ち直る切っ掛けになったのは、力を貸してくれていたのはカノープスだった。
いつもそばに寄って、たまには喧嘩もしたけど、それでも彼は龍香を“相棒”と呼んでくれ、共に進むことが出来た。
「ただの、何の力もない子供……。」
龍香は視線を地面に落とす。龍姫と天願の言葉が彼女の中に反芻される。
“カノープスのいないアンタに何が出来るの?”
“今の龍香さんに誰かを守る力はないんだから”
「……カノープス。貴方がいないと、私は……友達を助ける事も出来ない…。」
龍香の胸に穴がぽっかりと空いたかのように虚無感が拡がり、目頭が熱くなり涙が溢れそうになる。
自分の無力さに彼女が打ちのめされようとしたその時だった。
「……龍香?何してるんだこんなとこで。」
「…え?」
突然呼びかけられて、龍香が振り向くとそこには赤茶色の髪を綺麗に整えた長身で人の良さそうな男性…龍香の父である鯉昇が立っていた。




「……あのな、龍香。外はもう真っ暗なんだから。帰らないと。お前はホンッッットッ可愛いんだから。悪い人に攫われちゃうぞ?」
「お、お父さん。外ではやめてよ。」
鯉昇は龍香を見つけると、ファミレスで軽く飲み物を頼んでそれを飲みながら、如何に真っ暗な外を龍香が歩くのが危ないのか話し出す。
龍香が父の説教を受けながら視線を注文した飲み物に落とす。
すると鯉昇は話すのを一旦ピタリと止めるとズズと珈琲を飲み、龍香に改めて向き直る。
「……で。何かあったのか、龍香?」
「……え?」
「何か悩み事があるんだろ?言ってみなさい。アドバイス出来るかもしれないぞ?」
微笑む彼に龍香は少し逡巡した後、意を決して尋ねる。
「あのね、お父さん。…もし、もしだよ。自分じゃ絶対敵わない相手に友達が攫われたら……勝てないと分かっていても戦える?」
「絶対敵わない相手、かぁ。」
鯉昇は微笑むと、龍香に言う。
「そうだな。正直言ってその時になってみないと分からないけど、一つだけ絶対、って言えるのは龍香やママさんや龍賢がもしそうなっても……パパは絶対に龍香達を見捨てない。必ず助け出すよ。」
「……絶対勝てないんだよ?自分じゃどうしようない。逆立ちしたって勝てない相手なんだよ?」
鯉昇の言葉に龍香は少しネガティブに返す。しかし鯉昇は少し困ったような顔をして。
「うーん、絶対勝てない奴が相手だったとして……色々考えたんだけどさ。どれも、龍香達を助けるのをやめる理由にならなかったんだよ。」
「……理由…。」
「あ、勿論無謀なことをする、って意味じゃないよ?でもさ。どんなに無様で、惨めでも。龍香達がそれで救えるならパパは喜んでするよ。」
「………。」
龍香の目を真っ直ぐ見ながら、鯉昇は言う。
「他にも他人に頼るってのも手だ。人間、自分一人で出来ることなんてたかが知れてる。でも、二人、三人と人が増えていけば色んな事が出来る。助けて、って言うのは全然恥ずかしい事じゃないんだ。」
パパだって色んな人に支えられているしな、と言って鯉昇は笑う。
「………。」
「ま、何か悩んでいるならパパやママ。龍賢、龍斗、龍姫や叔父さんや叔母さんにだって言いなさい。絶対力になってくれる。」
「……お姉ちゃんが?」
意外な名前に龍香が尋ねると、鯉昇はハハと苦笑して。
「龍姫はなぁ、実は優しいんだぞ?ちょっとワガママで口下手なだけだ。不器用なんだよ。」
俄に信じがたい言葉だが、龍香はふと彼女の言葉を思い返す。
“カノープスのいないアンタに何が出来るの?”
「……カノープスのいない、私に出来ること……。」
龍香はそう呟くと、彼女の言葉の真意を考える。そして顔を上げると、目の前の父を見る。
「……ありがと。お父さん。私、分かったかも。」
「そうか?なら、良かった。」
迷いが晴れたような瞳の彼女を見て、鯉昇もふふっと微笑んだ。







次の日の朝。廃工場にのじゃロリ猫、むらサメ、きゅーばん、シェーン、デヴァ、エフィが集まる。
六人の姿を見た龍姫はちょっと不服そうな顔をして彼女達に言う。
「アイツらの大まかな場所は絞り込んだわ。……シードゥスの居場所なんて最上位種の私には筒抜けだからね。」
龍姫の言葉に全員の顔が引き締まる。
「とりあえず今現在判明しているのは操られた馬鹿六人と…蜘蛛と影と蛇と蝙蝠と……カノープス擬き、の11人と言ったところかしらね。」
「……この七人で、アイツらと戦うの?」
少し不安げにきゅーばんが尋ねる。龍姫はどこか不満げにそうよ、と短く返す。
「ま、安心しなさい。馬鹿六人は身内の不始末と言うことで私が抑えるわ。後の五人はアンタ達六人で何とかしなさい。」
龍姫がそう言うと、のじゃロリ猫が皆に言う。
「任せい。蜘蛛と影に関しちゃワシ倒した事あるから。ドーンと泥舟に乗ったつもりで構えておれ。」
「それじゃ沈むんだが…?」
やんわりとシェーンがツッコミを入れる。役割分担を決めた七人が出発しようとしたその時。
「待って!」
七人を誰かが呼び止める。全員が振り向くと、そこには息を切らせながらもこちらを見つめる龍香が立っていた。
「龍香ちゃん!」
皆が喜色を浮かべる中、龍姫は笑いながら彼女に尋ねる。
「…あら。何しに来たのかしら?何の力もない貴方が。」
「確かに……今の私には力はない。飛ぶ事も出来なければ時を止められないし、光線だって撃てない。」
龍香自身に特別な力はない。カノープスがいなければ彼女はただの少女。それは覆しようがない事実だ。
「なら、貴方には何が出来るの?」
龍姫の問いに対し、彼女の目を見て彼女は真っ直ぐ答える。
「雪花ちゃん達を助け出す事が出来る!」
「へぇ。何の力もないアンタが?」
「…そう。私には力がない。だから。」
龍香はガッと頭を下げる。その行動に龍姫どころか全員が面食らう。
「だからお願い!雪花ちゃん達を助けるために皆の力を貸して!!」
龍香の本気の頼みに、皆が一瞬静かになる。しかしすぐにむらサメが龍香の肩を叩く。
「何水臭い事言うんとやお前!!なんぼでも胸貸したるわ!」
「龍香ちゃん!一緒に頑張ろう!」
「うん!いい決意だ!ボクも出来る限り君をサポートするよ!」
「うむ。その意気や良し!」
「……ま、これも縁よね。」
皆が龍香を受け入れ、団結を深める。そんな様子を龍姫は鼻で笑いながら見ていたが、そんな彼女にのじゃロリ猫が話しかける。
「……お主、発破かけとったんじゃろ?わざと辛い言葉を龍香にかけて。」
のじゃロリ猫がそう指摘するが、龍姫は特に焦ったりもせず言う。
「私を殺したあの子がどうなろうと知ったこっちゃないわ。けどね。あのまま腐られてたらあんなのに殺された私が可哀想でしょ?」
そう嗤って言う彼女にのじゃロリ猫はやれやれと肩をすくめ。
「やれやれ。素直じゃないのう。」
そんな中、龍香は皆に改めて言う。
「行こう!皆を、助けに!!」






To be continued…




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(続編や派生作品が有れば、なければ項目ごと削除でもおk)

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