&font(#6495ED){登録日}:2018/09/24 Mon 19:01:36 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){問い続けよう。}} #center(){&bold(){&italic(){Are We Cool Yet?}}} AiHeの提言とは、シェアード・ワールド「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]]の1つで&bold(){あった}。[[SCP-001-JP]]に関する提言枠であり、日本支部職員であるAiliceHershey氏によって執筆されていたが、作者のサイト退会により削除となってしまった。 メタタイトルは、「惟鯨」でありオブジェクトクラスは&bold(){暫定}Thaumiel。 *概要 このオブジェクトを説明する前に、カー・オンについて少し知ってもらう必要がある。 カー・オンのカーというのはベトナム語で魚を意味し、オンは修飾語で、漢字の翁に由来しまんまお爺さんとかそういう意味になっている。これらを合わせてクジラを意味する言葉となり、ベトナムでは古くから信仰対象として人々に親しまれて来た。ストレートに訳すと「おやっさん魚」とか「魚卿」とかちょっとコミカルになるが、どちらも敬意を込められた名前である。 さて、本題に戻ろう。[[SCP-001-JP]]は、宇宙を内包するクジラである。ちなみに基底世界は食道と胃の中間くらい。 提言枠に相応しいスケールであり、捕食行動以外では移動もせず、ただ眠っている。 当然のように収容は不可能だが、とある理由により暫定だがThaumiel指定となっている。 このクジラが生息しているのは、当然ながら基底世界の外である。これを「超外宇宙」と言う。ここでは常に[[ミーム]]因子の凝縮による概念の形成と拡散による消滅が繰り返されており、このクジラはこの「概念」を食べている。 どういうこっちゃか説明すると、クジラの周りは概念が生まれたり死んだりしてるよってことである。で、クジラはその概念を食べてるということ。この概念がこのオブジェクトのキモとなる。 なお、宇宙内に存在する音を真似るようにして時々いびきを書いており、これを財団の外宇宙支部がキャッチしたことで発見につながった経緯がある。 さらっと書いてるけど外宇宙支部って…… *カー・オンとAWCY このオブジェクトを探知したのと同じ頃、要注意団体「[[Are We Cool Yet?>Are We Cool Yet?(SCP Foundation)]]」のメンバーの一人、アメフラシと名乗る男を捕まえていた。AWCYではこのクジラについて知っており、カー・オンと呼んでいた。このメンバーによりオブジェクトの詳細を知る手掛かりを掴めた為、インタビュー記録が残っている。以下がその記録である。 >&bold(){2002年12月5日} >&italic(){&bold(){[省略]}} >---- > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >では、本当に私たちの宇宙の外側には、そんなにも大きいクジラが存在するというのかね? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >俺はそれを50年前から言ってるよ。 > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >信じることができない。何か肯定的な証拠は? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >あんたらなら俺らの施設にあった観測所と同程度の施設を作る技術があるよ。最も、俺の研究職のポスト、あといくつか異常なもんを借りる事にはなるけどな? > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >それはすぐさま肯定する事はできない。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >それならそれで構わない。どうせ放置した所で、俺たちにとってクールじゃない事は起きないからな。あんたらにとっては許容しがたい事が起きるかもしれないけど。 > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >許容しがたい事? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >気まぐれな世界の滅亡さ。 > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >説明を求める。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >まず初めに、恐らくだが、俺達は「カー・オン」だなんて親しみを込めて呼んじゃいるが、あれはクジラなんてちゃちなもんじゃない。高次生命体? 神的存在? それよりも遥か原初の存在だ。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >俺達はアイディアを求めた。だから、宇宙の外側へ行こうとした。この宇宙ではそれに限界があると感じたからだ。そして宇宙の外を観測した。そこには、俺らの想像通り、無数のアイディアと、想定外なクールが鎮座してた。カー・オンだ。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >暫くして、カー・オンがアイディアを食い始めた。流石の食事量だ。俺達が求めていたアイディアを貪り食うようなその姿には体が震えたね。ただ、その過程でうねから零れ落ちていく無数のアイディアを見て感じた。それは、クールじゃない。 > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >クールではない? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >カー・オンが零したアイディアは、実に興味深くなかった。ただ首を折るだけの彫像、死なないだけの爬虫類、思わせぶりなことを騙る全能者。全くつまらない。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >だが、カー・オンが捕食したアイディアの中には素晴らしいものがあった。ただ[[首を折るだけではない、目を離したら首を折りにくる彫像>SCP-173]]。[[あまりにも凶暴で手のつけられない不死の爬虫類>SCP-682]]、[[どこまでも安全な全能者>SCP-343]]。それらは零したアイディアと紙一重の存在だけど、ユニークさ、クールさが確かそこにあった。 > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >それはたまたまではないのか? クジラは食料を選ぶ事はない。選ぶにしても、何故だ? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >そんなもん決まってんだろ。誰だってアイディアはより良い方がいい。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >アイディアは確かにどこにでもあって、存在し続けてる。その中からよりクールなもんを選び取りたいのは俺達だって変わりゃしねぇ。最初に俺達が宇宙の外を求めた事と一緒さ。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >そんで? ここで質問だ。俺達はよりクールになれるか? > >&u(){&bold(){キリカワ博士:}} >クールになる事に意味があるのか? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >もちろんさ。言っただろう。アイディアはより良い方がいい。では今ある物より、より良いアイディアが見つかった時はどうする? 簡単だ。今ある物を切り捨てる。 > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >博士、ここは腹ん中だ。忘れるなよ。いつだって俺達はカー・オンのより良いアイディアを捕食するためのエネルギーになるんだぜ? > >&u(){&bold(){アメフラシ:}} >だからいつだってあいつに問い続けろよ。「Are We Cool Yet?」ってな。他のとこも必死だぜ。 > >---- > >&bold(){書き起こし終了} そう。カー・オンは財団世界においてオブジェクトとされているものを好んで食べているのだ。正確には、カー・オンが食べたそれが財団世界に流れ着き、異常存在として収容されている、ということになる。 [[ねこ>SCP-040-JP]]も、[[緋色の鳥>SCP-444-JP]]も、[[広がり狭まる時空間異常>SCP-280-JP]]も、[[醜悪な英雄譚>SCP-268-JP]]も、[[全てを飲み込むウロボロスも>SCP-1690-JP]]、[[死の概念が死ぬ現象>SCP-1682-JP/AiliceHershey]]も、[[異世界の巨人>SCP-2317]]も、[[終わらぬ連鎖殺人>SCP-444-KO]]も。 だからこそ、AWCYはクールさ、面白さを求め異常な作品を作り続ける。世界がカー・オンに飽きられ、消化されてもっとクールなアイデアを捕食するエネルギーにならないよう。 このインタビュー後、アメフラシ氏は財団へ&font(l){寝返り}就職し、アーノルド博士としてSCP-001だけでなく他の外宇宙のSCiPを観測するための機材が整えられた。 その結果カー・オンの観測に加えカー・オンが取り込み変質させた物品の特定も可能になった。 また、後に財団が収容してから異常性が変異しているオブジェクトが存在することがわかった。一例が以下。 -現実改変能力を有した首なし死体。→今は普通のボノボ -女性に対し性行為を誘発する蝉。→これに加えて、相手の男性の海綿体が蝉に変わる -音楽が流れ、救命者がそれに合わせて胸骨圧迫を行うようになるAED。→現在、数百年に及ぶ実験が継続中 -奇形児や知的障碍児を材料としたクッション。→実験と書類からこれらの特性が判明したことになった -周辺の文書をラノベにリライトする情報災害特性を持った小説→完結した物語の中で暴れる怪物と、それを封殺する少女の物語に しかし、変異する前の報告書が存在していることもわかり、なぜどのようにして変異したかは不明である。 #openclose(show=O5-1よりメッセージを受信しました){///改行表示 >&u(){&bold(){Subject}} : (無題) > >&u(){&bold(){Sender}} : O5-1 > >&u(){&bold(){Body}} : Key.dat > >これは私達の意志ではない。 >これは上位ミームの意志でもない。 >これは誰の意志でもない。 > >完全な悪にただ立ち向かうのは陳腐だ。 >便利な物品をただ使うのでは単調だ。 >異常な物品を作り出すだけでは趣がない。 > >だから確保する。 >だから収容する。 >だから保護する。 > >私達の世界は常に変化する。 >私達の財団は常に変化する。 >それはまさしく、あの変質したアイディア達のように。 > >だからこそ、全てを確保・収容・保護とは言わない。 >常に新奇的であれ。 > >私は数多のアイディアの中から、ただ濾されぬように自分の意志でここにいる。 >他の者もそうだ。 > > >これを読んだのなら、あとは君で選んでくれ。 *メタ的補足 あるアイデアに対し、ナンセンスだと切り捨て外に捨てるか、新たなアイデアを作る元として消化するか、クールなアイデアだとして存続を認めるか。 このオブジェクトのストーリー上はそれを行うのはカー・オンであるが、実際取捨選択しているのは我々読者であり、Voteに他ならない。 良くない記事にはDVがつき削除され、良い記事はUVがつきオススメの記事として取り立てられる。過去には何度か[[リサイクルコンテスト>scp-789-JP]]が開催され、一度は消えたアイデアをより洗練させる試みも行われている。 創作サイト「SCP Foundation」の日常を上手く落とし込んだのがカー・オン、つまりSCP-001-JPと言うことができるだろう。 このオブジェクトがThaumielであるのも、クールでなくただただ財団世界を破壊するためだけのナンセンスなオブジェクトを、DVとカー・オンによる廃棄、という二つの面で阻止することから指定されたと思われる。 財団がカー・オンにとってクールであり続ける限り、カー・オンの作品を収容し続ける限りはThaumielであり続けるだろう。 上記を裏付けるのが、「カー・オン」にって性質が変化したオブジェクト達である。 実はこのリスト内のオブジェクトはいずれも日本支部に存在する記事であり、その全てが「&bold(){投稿後に低評価削除圏内に入ったが、改稿により評価が大幅に上がったという経歴を持つ}」ものなのである。 ・&italic(){[[SCP-019-JP]]} 「普通のボノボ」 ・&italic(){[[SCP-497-JP]]}「催淫蝉」 ・&italic(){[[SCP-1601-JP]]}「あの曲が助けてくれる」 ・&italic(){[[SCP-1974-JP]]}「ぐねぐねクッション」 ・&italic(){[[SCP-1989-JP]]}「『この愉快な世界を食おうとしたら、登場人物に逆襲された僕の顛末についてと今後の展望』」 どれも今では高評価を受けているオブジェクトであり、中でもSCP-019-JPはご存知の方も多いだろう。 これらの記事のディスカッションには、記事のアイデアをクールな物に洗練していく過程における著者の努力や、それに対する多数の読者のアドバイスが克明に綴られ、今もなお残されている。 一読されたし。 そして、SCP-001-JP/AiHeの提言 のディスカッションには、執筆者本人によるアイデアをより良い物に変化させようとする人たちへのメッセージが残されていた。 #center(){|そしてこれからこの空想の中を歩む全ての人々へ、この作品に願いを込めて。&br()&br()心配しないでください。貴方のアイディアは、ここにあるその時点で十分に新奇的であるのです。&br()そして評価されなくても諦めないでください。&br()その時は誰かの手を借りてもいい。そのアイディアを更に新奇的にする事だって可能なのですから。|} } 追記・修正はカー・オンの口に合うようにお願いします。 ---- #right(){#openclose(show=▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示){ SCP-001-JP AiHeの提言 - 惟鯨 by AiliceHershey http://ja.scp-wiki.net/aihe-s-proposal(元記事削除済み) SCP-019-JP - 普通のボノボ by tokage-otoko http://ja.scp-wiki.net/scp-019-jp SCP-497-JP - 催淫蝉 by count number http://ja.scp-wiki.net/scp-497-jp SCP-1601-JP - あの曲が助けてくれる by Hasuma_S http://ja.scp-wiki.net/scp-1601-jp SCP-1974-JP - ぐねぐねクッション by Hare_the_Midair http://ja.scp-wiki.net/scp-1974-jp SCP-1989-JP - 『この愉快な世界を食おうとしたら、登場人物に逆襲された僕の顛末について』 by kyougoku08 http://ja.scp-wiki.net/scp-1989-jp この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 }} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,41) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 日本支部で、本部の要注意団体に関連した001って珍しいなー -- 名無しさん (2018-09-24 20:22:06) - 財団世界でも、真理はちょっと変わった人の元に微笑むんだね… -- 名無しさん (2018-09-25 08:54:44) - AWCY?はアーティスト集団だから、あんまり壮大な世界観というかダエーバイトなりサイガみたいな世界の存亡に関わるようなオブジェクト・設定はほぼないんだよね。その点これは面白い。 -- 名無しさん (2018-09-25 15:32:43) - 「面白くないから」でいくらでもKeterをやっつけられる世界と考えりゃこういうのは当然書かれるわなあ -- 名無しさん (2018-09-26 03:59:03) - 御先管理員を救ってくれ -- 名無しさん (2019-01-26 23:45:48) - 「死の概念が死ぬ現象」のリンクが2935になってるけど どっちかというと死んだのは死の現象以外の全てだからおかしくない? -- 名無しさん (2019-02-19 19:33:24) - 001にawcy持ってくるあたり最高にセンスない -- 名無しさん (2019-04-27 17:32:23) - 別にAWCYが作ったオブジェクトじゃないですし。メタ世界の著者や読者を001に持ってくるのはいい発想だと思うよ。 -- 名無しさん (2019-05-27 15:24:48) - ↑2 自分の好みに合わない=センスないって断じちゃうの、最高にクールじゃないね -- 名無しさん (2019-07-16 05:30:44) - ↑3 You are not cool -- 名無しさん (2019-09-18 23:19:36) - メタ的補足の最後の一文、元記事の削除によりディスカッションを見ることが出来なくなった現在の状態を考えると改訂した方がいいんじゃないだろうか(記事本文ならともかくディスカッションのコメントをコピペ保存している人がいるとは考えづらいあたり、どう変えればいいか自分にもわからんが) -- 名無しさん (2019-09-28 06:49:42) - 壮大なようで壮大じゃないメタだった -- 名無しさん (2020-01-04 06:18:25) - 記録用にしてほしいな -- 名無しさん (2021-03-05 16:15:55) - なんかルドラサウムに通じるというか、むしろこれルドラサウムのリメイクだろこれ -- 名無しさん (2021-12-20 21:36:31) - AWCYが人気ある理由の根っこに触れてるような提言だ -- 名無しさん (2022-04-06 11:31:25) - インターネットアーカイブからディスカッションのコメントをサルベージしてみました。 -- 名無しさん (2024-06-03 18:01:25) - ディスカッションのサルベージ助かる -- 名無しさん (2024-10-15 16:03:50) #comment #areaedit(end) }