ダークヒーロー

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ダークヒーロー - (2017/04/01 (土) 15:20:54) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/08/03(水) 12:37:37
更新日:2023/10/28 Sat 13:29:32
所要時間:約 9 分で読めます




ダークヒーローとは、一般的な正義とはまた別の正義を掲げるヒーローである。
とは言いながらも定義はさまざま。


■概要
物語におけるヒーロー像とは、「倫理的に考えて正しい行いをし、心優しく力強い人物」であろう。
スーパーマンなんかを思い浮かべる人も多いと思う。要するに「悪と戦う正義の味方」である。
対してダークヒーローとは、その一般的なヒーロー像とは掛け離れた存在である「アンチヒーロー」のうち、ヒーローでありながら悪であるものをいう。
場合によっては「強姦・凌辱当たり前」な性格の者もいる。だが、芯にはその者の正義がある。

軽い例として、DEATH NOTEの主人公・夜神月を挙げて考えてみよう。
月は「新世界の神になる」という名目のもと、大量殺人を行う。常識から考えれば、これは当然悪行である。
しかし劇中で彼自身が言うように、彼はそれを正義であると信じている。ここが重要なポイントなのだ。

つまり「自身が信じる正義の為なら、たとえ自分が悪になろうともそれを貫き通す」というのがダークヒーローである。
悪の美学にも通じるところがあるかもしれない。

基本的にヒーローである為、なんらかの正義を掲げているが、
演出上単なる犯罪者がヒーロー的に描かれるということもある(レクター博士、ゾルフ・J・キンブリー等)。
このような者たちは「ピカレスク」と呼ばれる。

中には犯罪者が「ダークヒーロー」として持ち上げられることを作者に危惧され、回を追うごとに敢えて小物・クズ化させられたキャラも存在する。
(「金田一少年の事件簿」の高遠遙一等)

あと、中には目的の遂行の為ならばどう見てもラスボスとしか思えないような鬼畜な所業を平然とやらかしたりするキャラもいたりする。
『豚のような悲鳴をあげろ』とか言って敵をフルボッコにして灰にしたりとか、眼鏡ソバカスっ娘をぶん殴って長くて太くて固い物で串刺しにして血を吸ってお持ち帰りしたりとか、両足もぎ取ってから『かかってこい!』とか言っちゃったりとか、敵の頭で壁をゾーリン掛け…もとい雑巾掛けして紅葉下ろしにしたりとか、敵の総帥に向かって至近距離でアハトアハトを撃ち込んだりとか、ロンドンを1000人の吸血鬼で火の海に変えたりとか)、妹の顔をアイアンクローで握りつぶしたり、捕えたニンジャをインタビュー(拷問)して無慈悲に爆発四散させたり等。

やらかしてることは倫理観とかなにそれ美味しいの状態だが、そこに一貫した哲学等があれば、
それはただの鬼畜行為ではなく、徹底した固い意思の現れとして表現されるのである。
上記のどう引っくり返ってもラスボスの所業にしか見えない行為も、全て描かれ方次第で(そのキャラの)正義の所業っぽく見えたりするのである。
要するに「立場で正義なんていくらでも変わる」、ということか。

また、正義の味方であるがゆえに揚げ足を取られやすい正統派ヒーローより、
最初から悪であるダークヒーローの方が活躍が輝かしく目立つ、ということもあるだろう。
(いわゆる「普段から真面目で善行を行う人間より、たまたま善行をしたヤンキーの方が落差によって褒めたたえられる」理論である)

■ダークヒーローキャラの位置付け
勧善懲悪の物語が少なくなってきた現代では、ラスボスがダークヒーローであることも多い。
あるいは主人公がダークヒーローで、敵として戦う相手が一般的なヒーローである、というケースも。
またやっていることは違えど目指している場所が一致することもあるので、敵として出てきても一時共闘する、という展開もある。
敵として出る場合はたいてい強敵(←ここ重要)なので、そんな相手と共闘するとなると見ている方としても胸熱だろう。
「ヒーローでありながら悪」という性質上、大して深く考えず悪いことがカッコイイとか思っちゃう年頃にも人気が高い。
また闇属性だったり黒色だったりすることも多い。

もうひとつの意味として「主人公のモチーフが悪」というダークヒーローもいる。
例としてはデビルマンやスポーンやゴーストライダーなど。
なお、作品によるが、ピンチの時などにヒーローと共闘することもある(例、スパイダーマンのヴェノムなど)。

だが結局は悪行を働くことに違いはないため、自業自得の如く身に付けた力のリスクを支払わされたり、復讐の連鎖に巻き込まれたりといった形で、
物語のラストに死亡・廃人化といった報いを受けるキャラも多い。
日本においては、歌舞伎の石川五右衛門が最終的に当局に逮捕さ釜茹での刑に処されたことが、盗賊の不滅を詠んだ辞世の句と共によく知られている。
(ロベルト・ハイドンが能力の乱用のしすぎで寿命が短くなってしまったが、後に克服し助かっている例もある)
ダークヒーローの多くはそんなことは承知の上であり、基本的に死を覚悟して臨んでいる。
中にはそこから一歩進み、自らの死によって宿願を果たそうとする者も居る。

ダークだろうとダークじゃなかろうと、譲れない目的の為に己の生命を含め全てを捨てられる者こそ「ヒーロー」に相応しいといえるだろう。


■代表的なダークヒーロー

ちなみに、日本最古のダークヒーローが「黄金バット」であるというのをよく聞くが、
黄金バットは見た目がアレなだけで中身は普通のヒーローである。
ただあまりにも強すぎるだけで。


追記・修正は、たとえ悪になろうとも自らの正義の為に…

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