セブルス・スネイプ

登録日:2009/07/01 Wed 22:04:56
更新日:2025/02/05 Wed 18:56:48
所要時間:約 13 分で読めます


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―凡庸、父親と同じく傲慢、規則破りの常習犯、

有名であることを鼻にかけ、目立ちたがり屋で、生意気で―


ハリー・ポッターシリーズの登場人物。
演:アラン・リックマン
吹き替え:土師孝也

概要

ホグワーツ魔法魔術学校で魔法薬学教授、及びスリザリンの寮監を務める魔法使い。
実は「闇の魔術に対する防衛術」の講師になることを毎年志望しているが、受理されていない。
以前に死喰い人として活動していたが、ヴォルデモート卿失脚前に魔法界側に寝返った為、アズカバン送りは免れている。

魔法使いとしての実力は申し分なく、作中でも上位クラス。ハリー・ポッターが放った数種の魔法を余裕で相殺したことも。
特に魔法薬については学生時代から卓越しており、
教科書の間違いや効率の悪さを見抜いて、教科書の余白に大量のメモとして訂正やより効果の出る方法を書き残していた。


ホグワーツにおけるハリーや彼の味方であるロン・ウィーズリーハーマイオニー・グレンジャーたち、グリフィンドール生の天敵的な存在であり、
担当寮のスリザリン(特にドラコ・マルフォイ)を優遇する一方でハリー、ハーマイオニー、ネビル・ロングボトムといったグリフィンドール生には理不尽な対応をすることも多々。
そんな態度が災いしてか、ハリー達(特にロン)から校内の騒動の容疑者として疑われることも。
同僚のミネルバ・マクゴナガルにも寮対抗杯の件で嫌味を言うなど教員としても問題もある。
もっとも「教科書に書いてあること」を言うだけのハーマイオニーの回答は、その教科書のミスを見抜いている彼からすれば「不正解」なのは間違いない。
それを自分だけの秘密にしているあたり教員として問題があるのだが。
また魔法薬学に関しては上述のとおり天才だが、危険な魔法生物に関しては教科書以下の知識を信じ込んでいる様子。水棲生物の河童が水資源に乏しいモンゴルに多いというのは日本人なら噴き出すであろう。


幼少期

母は純血魔法族で父はマグル。
両親は不仲で、おそらく両親からネグレクトを受けていた。幼少期から鬱屈した家庭の中で過ごした反動か、混血であることがコンプレックスになり、魔法の力にのめり込む。ハリーのであるリリーとは幼馴染みの関係でそれなりに仲が良かった。
そして、より強大な魔法である「闇の魔術」や、魔法族を尊ぶ純血主義に入れ込むようになる(ペチュニアとはそれが理由で対立)が、
所詮コンプレックスの発露であるためか、幼馴染のリリーは例外にしているなど徹底したものではなかった。


学生時代

ホグワーツ出身で学生時代はスリザリン寮だった。

リリーがグリフィンドールに組分けされたことで彼女と距離ができ、ある一件を境に口も利かなくなってしまった。

また、ハリーの父であるジェームズ・ポッターとはホグワーツへ向かう汽車の中で一目見た時から壊滅的に仲が悪く、ジェームズの友人グループ、
特にジェームズとシリウス・ブラックとは互いに呪いを掛け合うほど仲が悪かった。

もっとも当時のスネイプでは学園主席と次席の天才であるジェームズとシリウスには全く太刀打ち出来ず、
ジェームズがリリーを口説いてる最中にスネイプが背後から攻撃してもかすり傷しか付けられないなど、傍から見れば一方的な虐めに見えるほど実力差があり、
スネイプは必死かつ真剣に彼らを憎んでいたが、ジェームズたちからは面白半分で呪いを掛けられており、
スネイプが対ジェームズに開発した釣り上げ呪文をパクられて逆に自分が釣り上げられたりもしている(スネイプもその場で洒落にならない切り裂き呪文をかけようとしてはいるが……)。

また、自分たちにつきまとうスネイプを鬱陶しいと考えたシリウスによって、狼人間と化したリーマス・ルーピンに鉢合わせさせられそうになったこともある。
その時にはシリウスからそのことを聞いたジェームズがスネイプを助けたことで事なきを得たが、
スネイプはジェームズは自分たちの保身のためにやったこととして感謝の念を持っていない。*1
ただ、この一件でルーピンが狼人間であることを知りながらも在学期間中はそのことを暴露して彼を退学に追い込んだりはしていないことから、一応の筋は通した模様。

またスネイプはルーピンへの鉢合わせ計画を「ジェームズとシリウスとルーピン三人全員が共謀して計画したが、寸前でジェームズが日和って止めた」と間違って認識しており*2、ハリーに対して「ジェームズの人物像をまるで理解していない」という発言もしているが、彼も決して100%理解しているわけではない。


一方、スネイプも在学中に「セクタムセンプラ」なる「命中した相手をズタズタに切り刻み、普通の手段では治せない傷を負わせる呪文」という殺意むき出しの闇の魔術独自開発しており、決して「真面目な学生が一方的に卒業までイジメられた」という話ではない
ルーピンはこの技を「スネイプの十八番」と言っており、それぐらい使ったということでもある。

とはいえ、この魔法が開発され記されていたのは上級魔法薬学というN.E.W.T.レベルの魔法薬のクラスで上級生が使う教科書であり、またこの教科書内でもセクタムセンプラまでは非殺傷魔法が開発され記されていたため、治療法も用意しているとは言え嫌がらせの領分を超えた殺傷目的の魔法をどの時期に開発して多用するようになったかの経緯などは不明瞭である。

スネイプが独自に開発したと思われる魔法

以下は、上級魔法薬学の教科書に記されていた魔法である。

  • 足の爪が驚くほど速く伸びる呪詛
呪文名は不明。ハリーはクラッブに試して使って面白がった。父親とそっくりだなポッター!

  • 舌を口蓋に張り付けてしまう呪い
同じく呪文名は不明。ハリーはフィルチに試して使って喝采を浴びた。父親とそっくりだなポッター!

  • マフリアート
耳塞ぎ魔法。近くにいるものに正体不明の雑音を聞かせて盗み聞きを防ぐ魔法。
ハリーは授業中に私語をする目的で使ったためハーマイオニーから顰蹙を買った。

  • レビコーパス
吊り上げ魔法。釣り鈎で踝を引っ掛けられたように相手を空中に持ち上げる魔法。「リベラコーパス」で解除できる。
無言呪文として開発されており、何度も書き直されているなど開発は難航した模様。
さほど無言呪文が得意ではないハリーがなんとなくロンに向けて行って見たところ成功してしまい、同室のシェマースやディーンには大ウケだったがハリーは流石に反省した。
スネイプ開発だがルーピンによると五年生の時に、数ヶ月の間大流行したらしい。ハリーはこの呪文の開発者である「プリンス」の正体を探れるか尋ねたが流行していたとしか分からず、ルーピン視点では誰が使い始めたどころかどの寮から流行したかも特定不可能なほど流行っていた模様。
スネイプ本人すらジェームズに釣り上げられて嬲られており、「我輩の発明したものを、汚わしいおまえの父親と同じに、この我輩に向けようというのか?」と語っている。

  • セクタムセンプラ
切り裂き呪文。プリンスの教科書の中にはあった呪文の中で唯一「敵に対して」という見出し、なぐり書きで記されているなど異色の気配があったため、ハリーの興味を引いていた。作中で登場した限りでは珍しい相手を直接傷つける魔法。「闇の魔術」であり受けた傷は通常の治療法では治らないこともあるが、スネイプは「歌うような呪文」でセクタムセンプラで作られた傷を直すことができる。
スネイプが作った魔法の代名詞と呼べる呪文だが、作中で効果を発揮した3シーンでダメージ描写が全く異なっていたりもする。
    • ハリーが咄嗟にセクタムセンプラを使用した際*3
命中したマルフォイの全身が切り刻まれ、深手を受けている。スネイプによって治療されて事なきを得たため、傷跡も残らなかったと思われる。
    • 過去の記憶でセクタムセンプラらしき呪文をスネイプがジェームズに不意打ちで使用した際
命中したジェームズの頬に切り傷は付いたがジェームズは気にする様子のない浅い傷であった。ハリーがマルフォイに使った時の威力や後述の後遺症が当時から出るならば高慢ちきなだったと言われるジェームズも暇つぶしにスネイプを攻撃した上に背後を見せて油断するとは考え難いので、当時はこれが最大威力だったと思われる。当時五年生だったスネイプの魔力が弱かったのが、呪文が未完成だったのかは不明。
    • 七人のポッター作戦でスネイプのセクタムセンプラをジョージが受けた際
片耳が切られてかなりの出血になり、治療は受けたものの副次効果により耳は元通りにはならなかった。ハリーがマルフォイに使った時より威力が弱いが、実はスネイプはジョージを狙って撃ったものではなかったため、全力では撃ってなかったと思われる。

その他人間関係

学生時代は魔法族である母方の姓を取って“半純血のプリンス”を自称していた*4
入学時点で大半の上級生より闇の魔術への知識は深かったらしく、この闇の魔術への入れ込みが後にジェームズに執拗に目をつけられる一因となった。
当時はヴォルデモート卿が全盛期(スネイプの入学自体が第一次魔法戦争勃発の翌年。つまり戦争真っ只中)の時代であり、死喰い人が猛威を振るい多数の犠牲者を生み英国魔法界において最も暗黒の時代と語られた時代である。
そんな時代の中で学生とはいえ闇の魔術や魔法使いの思想に没頭しているスネイプは、はっきり言って客観的には危険人物として見られても仕方がなく、いじめの被害者であるものの、スネイプにも悪目立ちしていた原因があるのは否定しようがない。

純血主義と闇の魔術を振りかざして横暴を極める同僚生(同期のマルシベールや先輩のルシウス・マルフォイなど)とも交流があり、更には上述のように対立していたジェームズに対しては在学時代から闇の魔術である自作魔法セクタム・センプラも混じえた衝突が起きていた。
しかし、実際にスネイプがジェームズ達以外に呪いをかけていた場面は、少なくとも学生時代には描かれていない。
マルシベールが起こした、起こしかけた問題行動を庇い立てするなど、同類に見られても仕方がないことはしているが、スネイプ本人がそういったことをしたとは、ジェームズがスネイプを虐める原因を問い詰められた時ですら全く話題に出てこない。
それを踏まえて考えると、本人なりに何らかの理由で一線を守ろうとしていたとも考えられる。
ジェームズたちを攻撃するのではなくこっそり付き纏い、彼らの校則違反を見つけて退学させようという(色んな意味で捻じ曲がってはいるが)正攻法で対抗しようとしていた描写もある。
まあ普通では治らないようなセクタム・センプラという呪いが「十八番」だったというリーマスの談があり、ジェームズの高慢ちきが多少治ってからもスネイプの攻撃への反撃はしていたという話も出ているため、卒業まで頑なにそのスタンスを守っていたというのも考え難いが。

ただ、実際にスネイプが本人なりの一線を守っていたとしても、「シリウスとジェームズの攻撃と、それを横から傍観するリーマスとピーター」を同罪と糾弾するのなら、「マルシベールやルシウスの横暴と、それを横から傍観するスネイプ」も同罪である。
つまり立場としては彼が嫌うリーマスやピーターの立場に相応しており、リリーから見限られるのもある意味では当然であった。

卒業後の動向

ホグワーツ卒業後は、死喰い人に正式に所属。同僚たちから「殺しのできない臆病者」などと言われていないあたりからも、死喰い人に相応しい行動をしていたことは間違いない。
なにせ、あのヴォルデモートから、とある懇願を聞き入れられるほどには評価されていたのだから。

しかし、当のヴォルデモートがポッター家を襲ってから行方不明になると、一転して死喰人を離れて魔法省につき、ホグワーツの教師として働くこととなった。

スネイプは卒業後もジェームズたちにされてきた事をずっと根に持っている(プライドの高さゆえか自分にも非があったとは考えていない)ようで、
ジェームズの息子であり、瞳以外はほぼ生き写しであるハリーに、教員の立場を利用して些細なことでも言いがかりを付けるなどして嫌がらせレベルの罰則を課しているため、彼からは非常に憎まれている。これに関しては、スネイプ自身「ジェームズの息子なんだから報復して当然だ」と考えている節がある。
なにせ第一巻の初対面時、まだハリーがスネイプに対して何もしていない段階から、いきなり徹底的に罵倒して減点処分までしている。
要するに「ハリーとスネイプの対立」は、ハリーの行動から起こったのではなく、スネイプが先に仕掛けた。ハリーがスネイプを嫌悪するのは、そうした積み重ねがあったためである*5

さらにハリーに限らずネビル・ロングボトムも普段から陰湿に威圧しているが、これに対してはそこに至る理由さえない。
ひどい時には「ネビルが調合した魔法薬をになっているに違いないと確信しながらネビルのペットに呑ませる公開処刑を行い、それが毒にならず所定の効果を発揮すれば、いきなり『グレンジャーが入れ知恵をしたに違いない』と証拠もなく断定*6して減点」、と理屈もなにもない振舞いに及んでいた。

ハリーとドラコの喧嘩に巻き込まれたハーマイオニーが「歯の呪い」を食らって前歯が伸びた際には、彼女がもともと出っ歯気味だったのをコンプレックスにしているのに「いつもと変わらん」と公衆の面前で言い放った。仮にも思春期の女性に対する態度として最悪である。
ハリーは激怒のあまり「磔の呪文をかけてやりたい」とさえ内心で願ったほど。

スネイプの身に起きたこと全てが彼のせいではないが、彼のせいで起きた部分も非常に多くを占めているのである。



各巻での活躍(ネタバレ注意)

作品としては7巻終盤に記憶の形で過去巻部分の行動が明らかになるが、本項目ではその点もある程度各巻の内容に織り込んで記載する。


1巻『賢者の石』

賢者の石」を狙っている、と3人組に最後まで疑われていたが、実は真犯人であるクィリナス・クィレルの行動を妨害していた。
また、クィディッチの試合中にハリーの箒が呪いを掛けられた時は反対呪文を使って守った。


2巻『秘密の部屋』

ドビーの妨害で列車に乗れなくなり、やむを得ず空飛ぶをかっ飛ばして学校にやって来たハリーとロンを「空を飛ぶ車をマグルに目撃されて混乱を引き起こした」という理由で叱責し、退学にしようとするものの、ダンブルドアの説得で二人は事なきを得た。
また、ハーマイオニーは彼の材料棚からくすねた材料を使って“ポリジュース薬”を調合した。
決闘クラブでは後にハリーの十八番となり、様々な場面で活躍する武装解除呪文「エクスペリアームス」を作中初披露。
教授されたというより見て覚えたという感じであるが、後にヴォルデモートさえも破るこの呪文をハリーはスネイプから得た。


3巻『アズカバンの囚人』

学生時代にジェームズ達と連んでいたルーピン教授に、狼男になっても理性を保てる非常に複雑で難しい魔法薬を煎じてあげていた。
終盤、スキャバーズの変身を解くというところで空気を読まず登場。散々に場を引っ掻き回した挙句、3人組の魔法でぶっ飛ばされてしまう。
もっともスネイプの事情から考えると、
ポッター家の「秘密の守人」であったが裏切りヴォルデモートのポッター家殺害成功の大きな要因だった(と表向きなっていた)シリウスは、
学生時代に殺されかかった恨みも合わせて殺しても飽きたらないほど憎い相手であるのは致し方ないと言える*7

シリウスが吸魂鬼キスから逃げおおせた翌日、ルーピンの正体をばらして退職においこんだ。ルーピンは勲章が貰えなくなったのが原因だろうとハリーたちに曖昧に語っているが、直接話している描写や本人などの証言は無いため、読者からの考察の的にもなっていた。
この件については後に作者執筆のエッセイ本「勇気と苦難と危険な道楽」で、暴露したのは腹いせなことだが、怒りの原因はルーピンが学校の敷地内で狼男に変身してしまったことだと明らかになった。
スネイプはダンブルドアに任されたこともあってか脱狼薬をすぐ飲むように注意したり、飲み忘れていることに気づいたならばわざわざ夜だろうと本人の部屋に持っていったりと気にかけていたような描写があり、シリウスやペティグリーのことを置いても、ルーピンのミスが招いた防げるはずの重大事故にプッツンきた、といったところか。
ヴォルデモートの呪いによって防衛術の教師は一年保たないという運命改変が行われているため、ルーピンの重大ミスにしろ、スネイプの感情任せの暴露にしろ、「そうなるよう」に因果が捻じ曲げられた可能性もあるが。

なお、映画ではルーピンが変身した際、自分と共に彼と鉢合わせした主人公3人組を守ろうとしてか、彼らを庇うように前に立つという教師らしい一面を見せている。
(原作ではこの時点で気絶したまま。とはいえ目覚めたあとは全員担架と魔法で運ぶなど教師としての義務はきちんと果たした)


4巻『炎のゴブレット』

第2の課題の為に「鰓昆布」を盗まれたり、バーテミウス・クラウチ・ジュニアから情報を吐かせる為に“真実薬”を用意させられる等、便利に使われる。
また、材料棚からまたポリジュース薬の材料が盗まれるという憂き目に遭っている。この時、物語終盤に真犯人が発覚するまでは、2巻での一連の出来事から、犯人をハリーとその仲間たちではないかと疑っていた。
ヴォルデモートの力の増大を示す闇の印が濃くなってきたことをダンブルドアに報告している。
シリウスとは彼の無罪を理解したため一応の和解となったが、互いに学生時代の恨みは全く忘れておらず、憎みあったまま。


5巻『不死鳥の騎士団』

不死鳥の騎士団としての活動開始と共に死喰い人としての二重スパイを開始する。
シリウスとの関係も険悪なままだが、ハリーに居場所を吐かせようとしたガマババァに偽の真実薬を渡したり、
ハリーが一縷の望みで叫んだ「パッドフット」が何を意味するのかに問い詰められた際はシラをきり、
アンブリッジをかわした後にハリーが言わんとした内容を見抜いて騎士団に連絡している。

また、ダンブルドアの依頼でヴォルデモートとの繋がりを強めていたハリーに閉心術の訓練を施すが、
ある時に訓練に備えて憂いの篩に避難させておいた*8「最悪の記憶」を覗かれてしまった。
リリーを「穢れた血」と罵って少しの場面でスネイプがハリーを篩から叩き出し、激怒したスネイプは以降の閉心術の訓練を打ち切った。
(ハリーとしては尊敬していた父ジェームズとシリウスがスネイプの言う通りの嫌な人物であったことに衝撃を受けており、スネイプの怒りには一切反抗しなかった。)


6巻『謎のプリンス』

念願叶って「闇の魔術に対する防衛術」の教授に就任。また、学生時代に使っていた魔法薬の教科書が登場し、ハリーの成績UPに貢献する。
終盤、襲撃してきた死喰い人達に加わってダンブルドアを殺害。
その後、追ってきたハリーの魔法を全て相殺する等格の違いを見せつけ、ホグワーツから姿を消した。

実は死喰い人から魔法界側に寝返っていたのは、ヴォルデモートから「不死鳥の騎士団」をスパイする任務を命じられた為。
4巻でヴォルデモートが復活した後は、これまで以上に裏で重宝されていた。

なおヴォルデモートからは屋敷での助手として付けられたワームテールには「数に入らん虫ケラ」「下僕」扱いするなどかなり塩対応をしている。
しかし、もともと性根が卑しく死喰い人からも軽蔑されていたワームテールなので、誰からも違和感を抱かれなかったようだ。


7巻『死の秘宝』

ダンブルドアを殺害したことでヴォルデモートから信頼され死食い人のNo.2になる。
もっとも、実際は騎士団員を錯乱させて沢山のポッター作戦を秘密裏に提案させると共に、同時にヴォルデモートにハリーが家を出る日時を教えるなど、
絵画として顕在するダンブルドアの指示の下、死喰い人としてヴォルデモートの信頼を得つつ彼の意図を挫くために秘密裏に活動する。
この際、ルーピンを守るために彼を狙って呪文を放とうとしていた死喰い人の腕に切り裂き呪文を放つが、ジョージの耳に誤爆するというポカをやらかしている*9

その後ヴォルデモートの権力の下、ホグワーツ校長として帰還。
悪政を敷いているように見せ掛けつつ、生徒達の最低限の安全を確保していた。
ハリー達の旅に嫌がらせを混ぜつつ内緒で支援したりもした。
なお、フィニアス・ナイジェラスが報告時にハーマイオニーを穢れた血と読んだ際には、自分がかつてリリーに同じ暴言を吐いたことがあったにもかかわらず、そのことを叱咤した。


終盤、最終決戦の最中ヴォルデモートに呼び戻され、「ニワトコの杖」の所有権を手に入れる為に殺されてしまう。
最期は直後に現れたハリーに自分の記憶を託し、彼の外見で唯一リリーにそっくりな瞳を見つめながら「僕を……見て……くれ……」と囁き息を引き取った。
スネェェェェェイプ!



その後、ハリーは“憂いの篩”を使ってスネイプの記憶を垣間見る。
そこでこれから自分が辿らねばならない運命、そしてスネイプの真意と壮絶な人生を目の当たりにすることになる。


ハリーのの定めに衝撃を受けるスネイプに
「驚くことではない。これまで何人もの死を見てきたであろう。」と諭そうとするダンブルドアに、
「最近は、私が救えなかった者だけです」とスネイプは返しており、人を救う意思が見えるあたりにこの場面からもスネイプが光側に寄っていることがうかがえる。

またこの時、記憶の中でダンブルドアから、
「組み分け帽子は性急過ぎると感じる時がある(スネイプにはグリフィンドールに組み分けされるに足る勇気がある)」と言われて驚いていた。
とはいえスリザリンに入ることを熱望していたのは他ならぬスネイプ自身であり、組み分け帽子は彼の意志を尊重しただけなのだろうが。
スネイプ自身の性格も、スリザリンへの適性が非常に高いのは事実である。

これを契機にハリーはスネイプに対する自身の認識を改め、母を一途に愛してくれた人として尊敬の念を抱くようになった。




後年、ハリーは自分の次男にスネイプとダンブルドアの名をとって『アルバス・セブルス』と名付けている。
兄妹の中で一番ハリーに似ており、唯一リリーの目を受け継いだ。


その息子が「スリザリンに入ったらどうしよう」と不安がっている時、

「お前はホグワーツの2人の校長の名前をもらっている。その1人はスリザリンで、父さんが知っている中でも、おそらく一番勇気のある人だった」

と告げている。


また、スネイプの肖像画を歴代ホグワーツ校長の肖像画の中に加えるよう働きかけているらしい。


『呪いの子』

ハリーの次男・アルバス・セブルスとドラコの子・スコーピウスを主役とした後日談作品。
過去改変を題材とした当作品にも登場。
ハリーが死に、ヴォルデモートが権力を握ってしまった世界にて、ヴォルデモートへの抵抗軍の一員として登場。
ハーマイオニーとロンを10年以上匿い続け、三人しかもう仲間がいない状況が長年続いたからが性格も軟化しておりユーモアのある男になっていた。(本軸で死亡した事を伝えられてハーマイオニーに気の毒がられた際に「我輩は少なくともロンと結婚してない」とジョークを飛ばした)
最初はスコーピウスを警戒していたものの、リリーへの思いやけして知ることない情報を伝えられた事で信頼する。
死に際に、スコーピウスからアルバスの世界でのハリーから死後は敬意を払われていること、最も勇気ある人の一人と評されていることを教えられ、喜びのうちに息を引き取った。
スネイプがある意味最も救われた場面かもしれない。



映画版の余談

実写映画制作が始まった段階で原作小説は3巻まで出ていたものの、敵か味方か判断が難しいキャラクターに演者のアラン氏も悩んだ様子。
しかし1作目制作中の段階でアラン氏は作者のローリング氏からスネイプについていくつかヒントを与えられており、このことが先に助けになったと語っている。*17

アラン氏はスネイプを演じた感想として
「孤独感に満ちた役だ。彼がほかの誰と一緒にいるシーンでも、相手を探ろうとしているかのようだから」
「ほかの役者たちとのコミュニケーションはとらなければならないが、同時にある程度、自分の殻に閉じこもらなければならないところもあるということも常に意識していた」
と語っている。
ダンブルドア以外に真意を隠しながら、様々な人・陣営を渡り歩いて行動する多重スパイの難しさを演じるアラン氏も感じていた様子。

またアラン氏当人はユーモア溢れる上にドジっこ属性持ちで、自分のローブを踏んづけたり、マルフォイ役の役者に踏まれたりしている。
撮影時も「言動はシリアスなのに行動時の仕草が笑いを誘うスネイプ先生」像をアドリブで確立していた。



作者からの評価

作者からも「裏の主人公」と言われるほど重視されてはいるのだが、同時に作者は完全無欠の聖者ではないともしている。
曰く「どこまでもグレーな人物。聖人君子ではないが悪魔でもない」「欠陥だらけの英雄」とのこと。
(これはダンブルドアやハリーを筆頭として同作における他の「英雄」たちにも言える)
闇の魔術に没頭して、危険な呪詛を開発しては濫用した過去もあり、ベクトルこそ違えどジェームズやシリウス以上の危険性も描写されている。
更に、「(凍った)湖の底にグリフィンドールの剣を沈めたのは、スネイプの衝動的な悪意」という衝撃の事実を公開していたり*18、高圧的にスネイプ擁護をしてきたファンに対しマンスプレイニングを捩ってスネイプスプレイニング(Snapesplaining)と言う言葉を使い、苦言を呈していたりする。 
「一方的にイジメられた魔術オタク」というような意味で判官贔屓的に親しむのもやはり違うのだろう。

尚、作者は「セブルスに恋をされたい人間などいない」と辛辣な評価を下したり、けして聖人ではないと言っているが、映画でスネイプを演じたアラン・リックマンの魅力自体については大いに評価して認めており、彼の演技力の素晴らしさについては大絶賛している。






『ヴォルデモートとの関係』
  • マグルの父と純血の母親との間に生まれる
  • 鬱屈した環境(孤児院/ネグレクト家庭)で育つ
  • マグルとの混血であることにコンプレックスを持つ
  • 入学前から魔法に対して深い造詣を持つ(スネイプは闇の魔術の知識の深さに一目置かれており、ヴォルデモートは魔法の知識が一切ない孤児院暮らしの時点で杖無し魔法を意識的に使用できた)
  • 学生時代に、母方の血筋を強調する名前を自分で自分に付ける
  • 様々な魔術を独力で開発する
など、かつての主であるヴォルデモート卿と多くの共通点がある。
スネイプもヴォルデモートに対する忠誠心は(リリーへの愛には及ばないにしろ)確かに持っており、『呪いの子』で自身の最期を聞いた時には「闇の帝王自身の手にかかって死んだのならば光栄だ」と語っていた。
しかし唯一の違いは、他人を顧みることを一切しなかったヴォルデモートと違い、スネイプは『他人を愛すること』を知っていたことである。





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最終更新:2025年02月05日 18:56

*1 実際もしジェームズがスネイプを助けなければジェームズたちは間違いなく退学処分になり、を殺傷してしまったルーピンも深く傷ついていたはずである。

*2 この計画はシリウス単独の発案で、ジェームズは本当に止めただけ、ルーピンに至ってはむしろシリウスに利用されていた。それをスネイプが「三人の共謀に違いない」と認識していたことは本人が発言している。

*3 この場面のマルフォイはこともあろうにハリーに対して磔の呪文を使おうとしており、過剰とはいえ正当防衛な面もある。

*4 なお「自身に流れるマグルの父親の血を嫌い、純血の母親の血筋を強調するために自分で自分の名を付ける」というのは学生時代のヴォルデモートと共通する行動である。

*5 ハリーがスネイプに対して初めて攻撃的になったのは三巻中盤(父親を徹底的に罵倒し、いかにもその息子だと罵倒された際)で、それまでは敬遠する態度を取っていた。三巻序盤にルーピンに対して「スネイプはルーピンを害するつもりかもしれない」と思っても、発言にはためらい、迂遠的に進言するなど。むしろ当時スネイプを嫌悪していたのはロン。

*6 見かねたハーマイオニーが密かに助言したのは確かだが、スネイプはそれに気づいておらず(なにせ投薬寸前までウキウキしていたし)、当然証拠も全くない。

*7 怒りと歓喜のあまりハリーたちのシリウスが無罪であるという話を聞かなかったのはスネイプの非だが。しかもそこで暴かれようとしていたのは、リリーの真の仇に関する情報である。

*8 盾の呪文で開心呪文が跳ね返りハリーに記憶を覗かれる場面があったため、この行動自体は正解だったと言える。この時は訓練開始直前にスネイプに呼び出しがあり、研究室で待つハリーが好奇心に駆られて篩に飛び込んでしまった。

*9 ルーピンは健在だったため結果的に守ることには成功した可能性はあるが

*10 尚、ペチュニアも「貴方、スピナーズ・エンドの子でしょ!!」とセブルスの育ちをバカにして応戦してた

*11 セブルスはリリーに言った事を反省していたが、リリーはそもそもそういう価値観を持ってる事を批判していた

*12 実際ヴォルデモートはジェームズを即殺したのに対し、リリーに対して「邪魔をしないならば殺さない」と再三にわたって警告していた。唯我独尊を地でいくヴォルデモートが自分に何のメリットもない他人の願いをここまで聞き入れているのはかなり異例である。

*13 シリウスは、ポッター家を裏切った上で、追いかけてきたペティグリューを爆発呪文で殺した罪の他にも、爆発呪文を使用した際、近くにいた12人のマグルがその巻き添えで命を落としたことへの罪にも問われていた。詳細はシリウスとペティグリューの項目に譲るが、実際は全て濡れ衣である

*14 原作では、この際に瀕死のダンブルドアに「金色の液体」を飲ませつつ、何らかの呪文を唱え続けながら杖でダンブルドアの片手に呪いを集約させることで、寿命を残り一年まで延命させている。作中でダンブルドアの片手が萎びているのはこの為。また、「金色の液体」はおそらく、幸運を呼び込む効果をもたらす魔法薬『フェリックス・フェリシス』だと思われる。「一口で十分」とされるこの薬を「ゴブレットに並々と入った量を」飲ませなければならなかった辺り、ダンブルドアの延命治療は相当な難易度だったと思われ、「調合が難しい」とされるフェリックス・フェリシスを用意出来ていたことも相まって、スネイプの闇の魔術や魔法薬に対する知識や技量の高さが改めて強調されているといえる。

*15 結果としてこの計画自体は失敗した。ただ別の要因から「ニワトコの杖がヴォルデモートを所有者と認識する」事態は避けられた。

*16 守護霊の形には使い手の心情が反映される例がある。例えば、ルーピンに恋をしたトンクスは守護霊の形がに変化した。

*17 なお、そのヒントについてはローリング氏との内緒という約束であったため後になっても語られず、アラン氏が逝去されたため完全に内緒なままとなってしまった。

*18 2015年8月10日公開のPotter moreより