SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE

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SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE - (2021/12/29 (水) 03:17:05) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2019/04/19(金) 14:49:00
更新日:2024/02/25 Sun 12:39:47
所要時間:約 8 分で読めます







Death



SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE(以下、隻狼)とはフロムソフトウェアが開発したPS4・Xbox One・PC用ゲームである。2019年3月22日発売。
Demon's Souls、Dark Soulsシリーズ、Bloodborneを経てソウルボーンと呼ばれる系譜が生み出されたが、ソウルボーンとはまた一味違う構成が特徴。
従来のアクションRPGではなくアクションアドベンチャーであるため、主人公は固有のキャラクターであり、プレイヤーのアバターではない。
ストーリーもアイテム説明だけでなくキャラクターの口から語られるため、本筋だけならフロム作品の中では分かり易い方と言えるだろう。


【ストーリー】
時は戦国。
北国の雄、葦名一心の国盗りから二十余年、一心が病に伏せるとともに、葦名の国は存亡の危機に瀕していた。
一心の孫である弦一郎は、葦名を生かすために不死の力である「竜胤」を手にすべく、竜胤の御子である九郎を囚える。
九郎の忍び「狼」は主を奪われ、刃を失い、井戸底で朽ち果てたように、しかし生きていた。そんな狼の元へ、文が落とされる。
命を賭して守り、奪われたら必ず取り戻せーー
忍びの掟を思い出した狼は、主を再び取り戻すべく月見櫓へと向かう……


【特徴】
  • スタミナの撤廃
本作にはスタミナが存在しない。何故なら主人公・狼は手練れの忍者であり、ただの不死人旅人一般狩人とは訳が違うからだ。
どれだけダッシュや攻撃をし続けてもデメリットが一切存在しないゲームデザインのため、非常にスピーディーな攻防が展開される。

  • 落下ダメージの緩和
落下ダメージが大きく緩和された。何故なら主人公・狼は熟達の忍びであり、放浪騎士野良狩人とは鍛え方が違うからだ。
ただし何事にも限度はあり、あまりにも高所からの落下だとダメージは受け、最悪死亡するのでご注意。
落下死では一応後述の「回生」の回数は消費しないが、ライフを消耗した状態でリスタートする為、回復アイテムの残量に注意する必要が有る。

  • ステータスの簡略化
本作にはレベルや細かなステータス強化システムがない。
攻め力(攻撃力)を少しずつ上げたり、体力と体幹の最大値を増やすことは出来るが、強化に必要なアイテムは基本的には道中のボスを倒して入手するものである。
その代わりにスキルツリーシステムが導入され、スキルポイントを消費して常在効果や流派技などを習得できるようになっている。
これによりある程度戦闘を有利に進められるが、劇的に難易度が下がるわけではない。
ソウルボーンのように「レベルを上げてのゴリ押し」という戦法が通用しないため、プレイヤー自身の成長がより重要となる。

  • 難易度
手練れの忍びである狼だが、しかし時は戦国。ソウルボーン以上に簡単に死ぬ。その為、発売直後は大きな話題となった。
理由として、盾を持っていないキャラクターを見てBloodborneと同じようなガン攻め戦法(チュートリアルでも「攻め続けろ」と示唆される)を取るプレイヤーや、
ダークソウルの両手剣使いのように引き気味で回避を多用するヒット&アウェイで戦うプレイヤーが多かったことが挙げられるだろう。
本作はタイミングよくガードして敵の攻撃を弾き、体幹(後述)を削る「弾きゲー」であり、ボスによっては攻撃を1回しか当てなくても倒すことが出来るバランスに仕上がっている。
それでもやはり難易度は高く、とくにボス撃破までの試行回数は歴代のフロム作品の中でもとくに多くなるだろう。
ただしそれを見越してか、トライ・アンド・エラーの負担が大幅に軽減されているのも今作の特徴。
ソウルボーンの篝火や灯りに相当する「鬼仏」がボス付近に配置されており、主人公の機動力の高さもあってボスや難所まであっという間に辿りつける。
ただし本作は第二、第三形態を持つボスが数多く、特に「類稀な強者」に至ってはいわゆる「前座」がいることも。
もちろん死ねば前座からやり直しである。

【システム】
  • 忍殺
一度で死なぬならば、幾度でも殺せば良いだろう
敵の隙を衝き、致命の一撃を与える。
ソウルボーンでの「致命の一撃」と違い、忍殺は即ち一撃必殺であり、どれほど体力が残っていようと死に至らしめることが出来る。
なお、ボスは概ね複数回殺さなければならない。
ステルス中は背後・上空から、戦闘中は後述の体幹ゲージを削ることで狙う事ができる。

  • 体幹
忍びの攻撃は、「体幹」を削り取るためにある
本作の特徴を表す存在、他のゲームにはないシステムである。
本作にはスタミナゲージが存在しないが、戦闘におけるスタミナのようなものが体幹である。敵味方双方に存在する。
攻撃を受ける、弾かれる、ガードされることで溜まり、全て溜まると体勢を大きく崩し、隙を晒す事となる。
狼であれば膝をついて一定時間動けなくなったうえでその間被ダメージが増大し、敵であれば忍殺を決めるタイミングとなる。
弾きや見切りが最も大きく体幹を削ることが出来、更に即死を狙えるため、事実上第二の体力ゲージであるといえる。 MGS3、4のスタミナが感覚的に近いだろうか。
体幹ゲージは何もしないことで自然回復するが、これは敵も同じ。そしてHPが減るにつれ体幹の回復速度が落ちるので、敵のHPを削ることも非常に重要である。
一応、HPを削り切っての撃破も不可能ではないが、ボスは殆どの場合で体幹の方が先に削りきれる。
ソウルシリーズではガード中はスタミナ回復が遅れていたが、狼はガードモーション中は体幹ゲージの回復が早くなるというのも本作の特徴。

そして、この体幹ゲージの存在のおかげで ボスに一切攻撃を当てずひたすら弾くだけで倒す という玄人プレイもできる。

  • 弾きと「」攻撃
打ち込むばかりでは、崩せない相手もいる
敵の攻撃をタイミングよくガードすることで、敵の攻撃を弾き、敵の体幹を削ることが出来る。成功したときは、カァン!という小気味良い音と共に火花が散る。ダークソウルのパリィに比べると、受付タイミングはかなり長い。
しかし、ガードすることが出来ない、弾くことが出来ない等、特殊な攻撃もあり、そういった攻撃の場合、頭上に「」マークが出る。
だが「」攻撃も決して返せないわけではない。以下に代表的な3つの「」攻撃を挙げる。
①突き攻撃
 狼も攻撃ボタン長押しで繰り出すことが出来る突き攻撃。敵は槍、刀、等で放ってくる。
 ガード不能だが、弾きは可能。序盤で習得可能なスキル「見切り」を習得している場合、敵に向かってステップすることで得物を足で踏みつけ、体幹を大きく削ることが出来る。
 横ステップでも避けられるがリーチが長いので怖気づいて後ろステップしたりジャンプすると狩られる。恐れず前に出ることが肝心である。
②下段攻撃
 ガード不能かつ弾き不能。狼に繰り出す手段は無い。敵は刀や槍での足払いで放ってくる。
 ジャンプで避けられる他、そのままもう一度ジャンプボタンを押して敵の頭を踏みつけることで、体幹を大きく削ることが出来る。
 薙ぎ払うような攻撃が多く、後ろステップだと避けられるが横ステップだと斬られやすい。
ちなみに、ある必殺技では下段攻撃回避と体幹削りを両立させるものもある
③掴み攻撃
 ガード不能かつ弾き不能。狼に繰り出す手段は無い。
 当たり判定が正面にしかない攻撃が多いため、側面に回り込むようにステップすることで避けられることが多い。背中を見せた敵に一撃をお見舞いしよう。

今までの作品と違い、「」さえ出なければどんな巨大な怪物の攻撃でも、 散弾銃の弾丸 ビーム でも弾くことが可能である。
その分敵の攻撃は激しくなっており、「弾き・ステップ(前後左右)・ジャンプ」の使い分けが重要となっている。
相手のモーションをしっかり覚えて、予備動作からどの攻撃が来るか瞬時に判断しなければこのゲームをクリアすることはできない。
一方で敵によっては「ひたすら攻撃する」ことによって動きを封じることが有効な場合もある。攻撃は最大の防御なのである。

  • 回生
狼よ、我が血と共に生きてくれ…
竜胤の御子の血を受けた狼は、一度死んでも、その場で蘇る事ができる。何度も連続で蘇ることは出来ず基本的に回生は1度きり、条件付きで複数回可能となる。蘇る時は最大HPの半分回復し、ステータス異常が回復する。
チェックポイントである鬼仏で休息すれば基本の回生が1つ回復し、回生制限も回復する。他にはアイテムの使用や、敵を忍殺することで回生の力を少量得、連続回生制限を解除することが出来る。
戦闘中に死亡した場合、ボスクラスの強敵でなければ、警戒態勢を解いて持ち場に戻ろうとするため、忍殺を狙うことが出来、また、強敵であっても納刀するなどの隙を見せるため、一撃を食らわせることが出来る。

仕込んだ忍具が増えるだけ、敵を殺す術も増えるじゃろう
左腕を失った狼が仏師から譲り受けた義手。
鉤縄で木から木へ、屋根から屋根へ飛び移るといった立体的な動きができる他、各所に存在する素材を入手し、「形代」を消費することで手裏剣や斧など多彩なアクションが可能になる。
詳細は当該項目へ


【キャラクター】
本作の主人公。戦災孤児だったところを「梟」に拾われ、忍となり、九郎に仕えることとなる。
非常に無口・無表情な堅物だが、はちきれんばかりの銭袋を見て微かに笑みをこぼしたり、とんでもないところに店を構えている者に呆れたような応えをしたりと、意外と感情表現は豊か。眉間の皺が緩んでホッとした人も多いはず。
実は本編開始直後は、若干の記憶喪失状態である。

葦名に古くから伝わる異端の力、「竜胤」をその身に宿す「竜胤の御子」であり、狼の主。
親族がおらず、唯一の臣として狼を強く信頼している。
年若いが聡明でしっかりとしており、人の上に立つ風格があるものの、菓子作りが得意と自慢するなど、年相応なところもある。
こんな可愛い御子様が女の子のわけないだろ!

若くして葦名の将軍となった、刀と弓の名手。葦名一心の孫だが、血は繋がっていない庶子である。
九郎を連れ出して逃げようとした狼の左腕を切り落とした張本人。
異端の力を使ってでも葦名を生かすことに執着しており、竜胤の御子の力を手に入れようとしている。
再戦時も、中盤の最難関として狼の前に立ちはだかり、多彩な技と異端の力で圧倒してくる。
フロムゲーにしては珍しい正統派のライバルキャラと言える。

主の命により、狼を助けるべく荒れ寺に現れた謎の女性。主の命とは言うものの、名も理由も明かそうとはしない。とても物静かでミステリアスな存在だが……。
薬水が湧き出る瓢箪を作ったすごい薬師で、酒豪。酒を振る舞えば仕草の割に豪快な飲みっぷりを見せてくれる。中の人が影響してるわけじゃないだろうな。

一代で葦名の国を興した剣豪、或いは剣聖。今は高齢も有るが病に伏せっており、生きているのが不思議なほど。
一心が病に伏せると共に、内府が勢力を伸ばし始め、城内に内府の忍びがちょくちょく出ている始末。
噂では、一心に代わり、そんな鼠共を狩る天狗がどこかに現れているとか。

  • 荒れ寺の仏師(CV.浦山迅)
荒れ寺で一人黙々と仏像を彫り続けている隻腕の怪人。彫塑には内面が現れるため、幾度彫っても怒り顔の仏しか彫れないと語る。
弦一郎に敗れた狼を拾い、忍義手を授けた。

  • (CV.土師孝也)
狼の育ての親であり、「大忍び」の名を持つはぐれ者の巨漢。
義父として、また師として、狼の体に技、そして心に掟を叩き込んだ。
曰く、
一つ 親は絶対。逆らうことは許されぬ
二つ 主は絶対。命を賭して守り、奪われたら必ず取り戻せ
三つ 恐怖は絶対。一時の敗北はよい。だが手段を選ばず、必ず復讐せよ

しかし、本編開始時点では既に故人。
狼のことは戯れに拾ったようだが、忍びの粋を継承することは、梟にとっての喜びでもあったようだ。

  • 死なず半兵衛(CV.塾一久)
其処許おじさん。訳あって不死の体となってしまい、死に場所を求めるうちに荒れ寺へと辿り着いた。
その体質を利用して、狼の忍び技の練習台となってくれる。……死にながら。
文字通り体を張って狼と付き合ってくれる上、話す言葉にも人柄がにじみ出ているため、エマを差し置いてヒロイン扱いされている。
そしてスピンオフの漫画版SEKIROではまさかの主役抜擢。葦名一心とも面識があったようだ。


【余談】
その尖ったシステムから当初は『難しすぎる』という反応が多く見られたが、次第にその優れたゲームデザインが評価されるようになり、2019年度には国内外で多数のゲーム賞を受賞した。
中でも、Steamアワードではユーザー投票形式により、同年に発売された名だたるゲームを押しのけGame of the Yearを受賞したほか、ゲーム業界で最も権威ある『The Game Awards』において年間で最も優れたゲームに送られるGame of the Yearを受賞する快挙を成し遂げた。現在ではフロムソフトウェアの最高傑作とも名高い。
これには葦名復興大臣もニッコリ

とりわけ難易度が取り沙汰されがちな本作であるが、決して「無理ゲー」ではない。
確かに死ぬのはすぐだがボスへのリトライもすぐであり、ゲームの本筋において死ぬことはそこまで重いマイナスというわけではない…ということがフロムのソウルボーンよりも顕著。
さらにボスの強さとギミックを理解すれば、よほどアクションが苦手でない限りは根気よく挑戦すればクリアできる…という"攻略の歯ごたえを体感させる"設計になっている。
というのも戦闘自体はR1の攻撃とL1の弾きを中心に、時折ステップや忍び義手やアイテムを織り交ぜるという非常にシンプルなものである。複雑なコンボ、シビアなスティック捌きなどは要求されない。
また弾きの猶予フレームはそれなりに長いため、相手のモーションをしっかり覚えてさえいれば超人的な反射神経などは不要である。
もっとも一部の壁となるボスは1時間や2時間挑み続けることはザラにある。とあるゲーム記者はラスボスの撃破に10時間を要したとか。

そして、弾きはタイミングが重要であるが、覚えると敵の攻撃を一定リズムで弾けるので、音ゲーなどが得意なプレイヤーは覚えやすいかもしれない。
その結果、やりこみプレイヤーの中では タルコンガでクリアする剛の者 Dance Dance Revolutionのマットコントローラーでクリアする類稀な強者 も現れた。
SEKIROは音ゲーだった……?

必要なのはプレイヤースキルよりもむしろ、 何度殺されても挑み続ける折れない心、あるいは精神的な余裕 かもしれない。



葦名存亡の鍔際。追記・修正こそ、この項目を守るのだ

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