フリースペル(TCG)

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フリースペル(TCG) - (2023/03/01 (水) 11:39:48) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2020/01/25 Sat 23:11:53
更新日:2024/04/05 Fri 18:11:47
所要時間:約 15 分で読めます





◆概要


フリースペルとは、トレーディングカードゲームにおいて、「コストが事実上0になる」カードのこと。
主にMtGとDMで使われる俗語表現だが、MtGでは開発も同様の言葉を使用するため事実上公式用語と化している。
DMでは対象となるカードが非呪文(Spellではない)だが、MtGではクリーチャーも「そのクリーチャーを呼び出すという効果のスペル」であるため、フリースペルと呼ばれ、
それがDMでも定着した形である。

定義

MtGにおける狭義のフリースペル、およびDMのフリースペルは「土地あるいはマナゾーンのカードを、唱えた時に自身のコスト以上(同値でも良い)の枚数分アンタップする」カードである*1
広義のフリースペルは「唱えた時に自身の点数で見たマナ・コスト分だけのマナを発生させる」カードであるが、
DMではそもそもマナを発生させて使う場面がメイン・ステップしか存在せず、
またマナを浮かせてという処理が子供にとって難しすぎるために広義のフリースペルは存在しない。
念の為に言うが、マナフィルターもそれ単体ではフリースペルとしては見なされず、
「自分を再度唱えるだけのマナを生み出すことが可能で、かつそれ以外にも能力がある*2カード」でないとフリースペルではない。

着想

もともと、「逆キャントリップ」がMark Rosewater(以下マロー)の考えであった。
キャントリップ/Cantripとは、その呪文を唱えたときに、呪文効果とは別に1枚だけドロー出来る効果のことである。

Gitaxian Probe / ギタクシア派の調査 (青/Φ)
ソーサリー
((青/Φ)は(青)でも2点のライフでも支払うことができる。)
プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーの手札を見る。
カードを1枚引く。

アクア・ハルカス C 水文明 (3)
クリーチャー:リキッド・ピープル 2000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、カードを1枚引いてもよい。

ギタ調は相手の手札を見るだけでなく、1枚ドローすることが出来るので、見かけ上は「マナだけでピーピング呪文を撃った」ことになるし、
ハルカスは手札を減らさずに「マナのみで場にクリーチャーを出した」ことになる。
普通のピーピング呪文やバニラのクリーチャーに比べて手札消費がないため、アドバンテージを得やすいわけである。
このため、そこそこ強くてなおかつ使ったプレイヤーのお得感も大きい良カードとしてプレイヤーに評価される傾向がある。
例に挙げたハルカスなんかはとばっちりとはいえ一度は制限カードにまでなっている。*3

マローはこの成功をもとに、この「手札消費が事実上なく、マナだけ消費する」カードの逆をやりたかった。
そこで生まれたのが、「マナ消費が事実上なく、手札だけ消費する」フリースペルである。

以下の2枚を比べるとわかりやすいだろう。

アクア・ハルカス C 水文明 (3)
クリーチャー:リキッド・ピープル 2000
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、カードを1枚引いてもよい。

原始 サンナップ C 自然文明 (3)
クリーチャー:ビーストフォーク號/侵略者 3000
マナ武装3-このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンに自然のカードが3枚以上あれば、自分のマナゾーンのカードを3枚アンタップする。

どちらも他に効果を持たないコスト3のクリーチャーであり、ハルカスは手札を減らさずに、サンナップは(条件付きだが)使用できるマナを減らさずに、それぞれ効果を持たないクリーチャーを場に出したと言える。
その代わりに、キャントリップを持つハルカスは同コストのバニラと比べてパワーが低く、サンナップは手札消費が激しくなるため切り返しに弱いというデメリットを持つ。
そう、このサイズまで落とせばフリースペルの効果も一長一短なものとして成立するのだ。
ちなみにサンナップが登場したのは2016年と、デュエル・マスターズの1弾発売開始から14年も先。もちろん、その間に他のフリースペルが全く出なかったなんてことはない。
じゃあその間に出たフリースペルはどうだったのかって? この項目を読めば自ずとわかるだろう……

MtGにおけるフリースペル

狭義のフリースペルの該当カード

  • 《フェアリーの大群/Cloud of Faeries》
  • 《大あわての捜索/Frantic Search》
  • 《巨大鯨/Great Whale》
  • 《パリンクロン/Palinchron》
  • 《流浪のドレイク/Peregrine Drake》
  • 《巻き直し/Rewind》
  • 《断絶/Snap》
  • 《時のらせん/Time Spiral》
  • 《不実/Treachery》
  • 《巻き戻し/Unwind》
  • 《原初の災厄、ザカマ/Zacama, Primal Calamity》(召喚した場合のみ、土地全て)

広義のフリースペルの該当カード

  • 《ギックスの僧侶/Priest of Gix》
  • 《解体/Deconstruct》
  • 《魔力変/Manamorphose》
  • 《ウラブラスクの僧侶/Priest of Urabrask》
  • 《炎樹族の使者/Burning-Tree Emissary》
  • 《隠れた薬草医/Hidden Herbalists》(唱えたターンにコントロールしていたパーマネントが戦場を離れていれば)
  • 《力の頂点/Apex of Power》(手札から唱えた場合のみ)
  • 《薔薇棘の見習い/Rosethorn Acolyte》(当事者カード。出来事として唱えた場合、フリースペルとして機能することも出来る)

代表的なカード


Time Spiral / 時のらせん (4)(青)(青)
ソーサリー
時のらせんを追放する。各プレイヤーは、自分の手札と墓地を自分のライブラリーに加えて切り直し、その後カードを7枚引く。あなたは土地を最大6つまでアンタップする。

マナが戻ってくるため無限に唱えればマナ加速になってしまうというフリースペルにおいて、
このカードは自身を追放するため、割とまだ良心的と言える。……最初だけは。

《Timetwister》の調整版であり、単純なマナ・コストはシンボル含め2倍となっている。
露骨なぐらい使うのは大変、だけど使えさえすればリターンのあるハイリスク・ハイリターンのバランスが取れたカードに見える。
が、
しかし、唱えればマナが戻ってくるため、あちらにあった「最初に増えた手札を万全に使いうるのは相手」という弱点が消失。
そのため、あちらこそパワー9ではあるが、実際の運用上はこちらが上回っているという評価すら受けている。
しかも当時は「コントロールするアーティファクトの数だけ青マナを得る」つまり「マナを過剰に用意できる」《トレイリアのアカデミー》、
すべてのカードをマナ・コストなしで使える《ぐるぐる》に変える《精神力》、
同じ色のカードを捨てることでそのカードを唱えられる代替コストを与える《ドリーム・ホール》、
X点マナで選んだプレイヤーにカードを引かせる《天才のひらめき》、
他に《通電式キー》《魔力の櫃》《修繕》があったので、なにもかもが噛み合いすぎていた。

問題点

狭義のフリースペルは《フェアリーの大群》~《不実》まではウルザ・ブロックですべて登場しており、
そしてそのすべてが何らかの形でトーナメント環境で活躍している。安定と信頼のウルザ・ブロックの壊れっぷり

《フェアリーの大群》はエターナル環境でも活躍できるフライヤーで、パウパーでは暴れすぎて禁止になった。
《大あわての捜索》は手札の入れ替えカードで、旧エクテン、レガシー、パウパーで禁止を食らっており、
また今でこそ制限解除されているがかつては魔境ヴィンテージでも制限を食らっていた。
《巨大鯨》は禁止経験こそないが、《繰り返す悪夢/Recurring Nightmare》と組み合わせることで2枚で無限マナコンボを実現。
その後登場した《パリンクロン》は自分で手札に戻れるために12マナさえあれば1枚で無限ループ可能。
《流浪のドレイク》はフェアリーの大群に比べると見劣りするが、
どういうわけかMOでコモンとして収録されたため暴れてパウパーを出禁に。
《巻き直し》は適正なマナ・コストとして評価されているが、使い回しが出来る打ち消しというだけで十分脅威である。
《断絶》も当時のリス対立などで活躍。《不実》も強力であった。
そして最大の問題児が《時のらせん》。あの【MoMa】のキーカードというだけで十分わかってもらえるだろうか。

あまりの大暴れっぷりから、一時期は「手札から唱えた場合のみ」というパワーレベル・エラッタが実施されていたが、
「なるべく印刷されている文章に挙動を合わせよう」という方針に変更されたことで往年の力を取り戻してしまっている。

広義のフリースペルもエミッサリーこと《炎樹族の使者》がやはりスタン、モダン、パウパーで活躍している。

これら「該当カードのほとんどが大暴れし、中には禁止を食らったカードもある」というギミックそのものが強力になりすぎた背景には以下のような理由が挙げられる。

まず単純に「マナをつかわないで撃てる」というだけで、テンポを阻害しない(=テンポ・アドバンテージ)があるのが一因。
もちろんフリースペルの大半は、それがついていないものに比べてマナ・コストは増えているが、
そこまでマナが伸びているのであれば実質タダであり、そのまま別の呪文にそのマナをつぎこむことができる。
つまり、そもそも考え無しで突っ込んでおいてもだいたい活躍できてしまうのである。

そして、狭義のフリースペルでは戻す土地も重要である。
「複数のマナを出せる土地」や土地から複数のマナを出せるようにするパーマネントがあれば、
「むしろ出せば出すほどマナが増える」という実質的なマナ加速になってしまう。
つまり無限ループに持ち込めれば無限マナから好きなカードを叩き込んで勝てるということになってしまう。
【MoMa】【ハイタイド】【デザイア】【リス対立】【フリー・ホエリイ】【ダンシング・ドレイク】といった
ウルザ・ブロック期の爆発的なコンボデッキの誕生の裏には、これらフリースペルの貢献があったのは否定できない。
特に《時のらせん》は「手札を7枚補充できる」《Timetwister》の亜種であり、自身を追放するため自身こそループできないが、
フリースペルと化したことであちらにあった「唱えたターンには有効活用できない」というデメリットが消失しており、
オリジナルを超えたとして話題になり、暴れに暴れた。しかも酷いことに当時は《トレイリアのアカデミー》があったので……。
ループできないようにしていても他のループを支えちゃったわけである。

これらの暴れっぷりから、マローは「ゲームを根本から破壊してしまった」
「マナ・コストに比例して性質が上がる奇妙なカード」と失敗であることを認めている。
ただし《巻き直し》《巻き戻し》《原初の災厄、ザカマ》など、狭義のフリースペルでも適正レベルのものも存在している。
《巻き直し》《巻き戻し》はカウンターという性質上悪用しにくいこと、
《原初の災厄、ザカマ》は召喚時限定でそもそもが9コストクリーチャーと重く、ランプの切札として丁度いい強さであることが要因である。
なお、広義のフリースペルはフェイズ終了時にマナがなくなるため悪用しにくく、
《炎樹族の使者》や《隠れた薬草医》は強力であったがぶっ壊れとまではいっていない。
…ただし、《隠れた薬草医》の登場したカラデシュ・ブロックは(ウルザ・ブロック並に禁止が)すごい!本当にすごいんだ!

DMにおけるフリースペル

該当カード

  • 賢察するエンシェント・ホーン》(自分のシールドが5枚以上あればマナゾーンのカードをすべてアンタップ)
  • 《森の歌い手ケロディナンス》(マナゾーンのフェニックスカードのみすべてアンタップ)
  • 《シンカゲリュウ・柳生・ドラゴン》(マナゾーンのドラゴンカードのみすべてアンタップ)
  • ボルバルザーク・エクス》(マナゾーンのカードをすべてアンタップ)
  • 《牙英雄 オトマ=クット》(自然マナ武装7)
  • 《赤龍喚士・ソニア》(マナゾーンの闇と火のカードのみすべてアンタップ)
  • 《原始 サンナップ》(自然マナ武装3)
  • 《鯛焼の超人》
  • 天地命動 バラギアラ/天上天下輪廻独尊》(召喚した場合のみマナゾーンのカードをすべてアンタップ)
  • 《天地命動 バラギアラ/輪廻暴聖》(召喚した場合のみマナゾーンのカードをすべてアンタップ)
  • 《天地命動 バラギアラ/輪廻暴氷》(召喚した場合のみマナゾーンのカードをすべてアンタップ)
  • 《天地命動 バラギアラ/輪廻暴冥》(召喚した場合のみマナゾーンのカードをすべてアンタップ)
  • 《天地命動 バラギアラ/輪廻暴炎》(召喚した場合のみマナゾーンのカードをすべてアンタップ)

代表的なカード

ボルバルザーク・エクス SR 火/自然文明 (7)
クリーチャー:アーマード・ドラゴン/アース・ドラゴン/ハンター 6000
スピードアタッカー
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンにあるカードをすべてアンタップする。
ビックマナが出現する契機となった一枚で、のちのDMの大型ドラゴン偏重の流れを生み出したエクス。
普通に出すだけでも大型のスピードアタッカー持ちドラゴンがノーコストで飛んでくるわけだから雑に強く、このカードによる消費7マナ分どころか全マナをアンタップできる点から自身を回収できるカードと合わせたループでも活躍した。
エピソード2期には登場1年未満ではあったが流石に強すぎて殿堂入り。
しかしその後も【ラララオプティマス】(《術英雄 チュレンテンホウ》登場前)や【5色ジョリー】といったループデッキに組み込まれたり、
【5色ジャックポット・エントリー】では追加の《龍秘陣 ジャックポット・エントリー》や《龍素記号Sr スペルサイクリカ》につなげてビートダウンしたりするのに使われている。

問題点

MtGでさんざんやらかしたフリースペルだけに、DMでも流石に反省する……とでも思ったのか?
そもそも黎明期に青のドローでさんざんやらかしているのに、
水文明に《ストリーミング・シェイパー》と《サイバー・ブレイン》と《アクアン》と《アストラル・リーフ》を与えてしまったうえ、
農場送りでさんざんやらかしたのに《魂と記憶の盾》を印刷してしまったウィザーズである。

最初に登場した《賢察するエンシェント・ホーン》は、それでも反省はしていた。
なにしろ自身のコストが5コストで、盾を割られていない状態でなければ実質発動できないカードである。
それでも【除去ボルバル】に隠し味として投入されていた実績はあるが。

しかしかつての同僚というか上司である《無双竜機ボルバルザーク》が、
温泉に使ってゆっくりしていたところ、「超名獣よ!もう一度輝け!!」とどこぞのカレーパン馬鹿に連れ出され、
エクストラターンを、「マナをすべてアンタップ」という形での疑似再現したリメイク《ボルバルザーク・エクス》として登場したことが諸悪の根源であった。

ちなみに当時は《サイバー・N・ワールド》という相性のいいカードがいたのも強力であった要因である。

サイバー・N・ワールド SR 水文明 (6)
クリーチャー:サイバー・コマンド 6000
W・ブレイカー
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、各プレイヤーは自身の手札と墓地のカードをすべて山札に加えてシャッフルする。その後、それぞれ5枚カードを引く

見ての通り、《Timetwister》を内蔵したクリーチャーであり殴れる《ファイバーボッド》である、この組み合わせである【Nエクス】は
言ってみれば疑似《時のらせん》。マナブーストカードも合わせれば強力なカードを連打できる。
自身も2打点であり、元祖と違って2体目のエクスにも意味があるため、4積みできるのは危ないと殿堂入り。
この期間を「第二次ボルバルマスターズ」と呼ぶ人も。
しかし唯一「踏み倒しで出てもあまり意味がない*4」という問題も、
《龍秘陣 ジャックポット・エントリー》などでむしろ克服する始末。

その後の《牙英雄 オトマ=クット》《原始 サンナップ》はマナ武装とMtG流の枚数制限で、
《赤龍喚士・ソニア》はアンタップできるカードの文明制限で、
《天地命動 バラギアラ》5種は召喚時限定でそれぞれエクスの反省をしている。


バトルスピリッツにおける同様の動きをするカード


キーワード能力【烈神速】

フラッシュ【烈神速】『お互いのアタックステップ』
自分のトラッシュのコアが5個以上のとき、自分のトラッシュのコアすべてを
自分のフィールド/リザーブに好きなように置くことで、手札にあるこのスピリットカードを、コストを支払わずに召喚する。


フリースペル?否、それ以上に凶悪なナニカ
これをMTGかDMで例えるなら「5枚以上タップされてる土地、マナがあるときそれをすべてアンタップすることで召喚できる」といったところだろうか。
簡単に言えばコストを払うのではなく払ったコストを元の状態に戻すことがコストというもので、概念上はフリースペルに近い。
しかもバトルスピリッツはコア4個が支給された状態でスタートするため、見た目以上にこの効果は使いやすい。
ただし、召喚タイミングが「お互いのアタックステップ」に限定されており、メインステップ中に召喚コアをすべて取り戻しながらそれを再び使うといった、DMのフリースペルのような使い方はできない。
バトスピはメイン2が存在せず、アタックステップ後はターン終了なのでこのコアはもっぱら攻防のためのコンバットトリックやマジックによる除去効果でしか使うことができない。
それでも条件にもなってない条件でゲームの勝敗の流れを変え得るファッティがタダで出せるのは強くて当然であり、
コアをさらなる展開や追い打ちには使えずとも「防御分を計算せずギリギリまで使いきる」ということはできるため、
ゲーム全体で見たテンポ面で稼げるアドバンテージは計り知れない。

この効果はアタックステップ中に奇襲的に召喚できる能力【神速】の補完能力とされており、神速を陽、烈神速を陰とする太極的な思想がアニメでは解説されている。

問題点

見るだけでヤバそうな能力ではあるのだが、使用タイミングの縛りなどで調整を図っている形跡は見られる。
あえてこのカードの問題点を挙げるなら「色拘束の類が一切ない」という点であろう。
MtGやDMのフリースペルはどれだけ強力でも色マナの支払いが必要=デッキ構築の制限があったが、この能力は条件を満たしたら…否工夫なんざしなくても自然と勝手にノーコストで召喚できてしまう。
そのためあらゆるデッキに入れることが可能となっている。

最終的には発売から1年ほどでこの能力を持った《烈の覇王セイリュービ》は禁止カードになっている。
その時点では「リュービを入れないデッキは甘え」とまで言われるようになり、あらゆるデッキの多様性を否定してしまったことがこのカードの問題点であった。


ちなみにこのカードをデザインしたのはMtGやDMでもデザイナーをしていたマイケル・エリオット氏
何度同じ失敗をすれば学習するんだ…

その後調整版として《アルティメット・セイリュービ》が登場、【烈神速】はそのままだがこの能力のコア5個以外とは別に召喚条件を設定した
その条件は「フィールドに緑のアルティメットが1体以上いる」こと。これにより前のリュービにはなかった色拘束という制約ができた。
そもそもフィールドにいる必要のあるアルティメット自体に召喚条件が付くため2重の条件が課されているも同然で、この条件自体がそこそこ重い。
相手メインステップで条件を満たす盤面を除去されてしまうと出せなくなってしまうといった対処法があるため相手ターンに構えてに使うのが難しくなっている。
よって出すためには専用のデッキ構築が必要となり頻繁に使われるようなカードではなくなった。

結局の所

このようにフリースペルの多くは積極的にアドを稼ぐカードが問題を起こす傾向が強い。
カードの強さは状況によって変わるので正確な説明は難しいのだが、

詰まるところマナやコストの歴史の例に漏れずコストの概念を歪めてしまうことに危険を貼らんでいる

フリースペルの祖先と言えるキャントリップも一見同じことがいえそうだが、
あっちは特定のカードや特定の組み合わせをしない&組み合わさらない限り行動回数が増えることがないことがデザイナー思惑どおりの範囲に収まっている主な要因。手札が増える=選択肢が増えると直接言えるがが、手札が増える=使えるコストの総量が増えるとは万事そうではないからだ。

大してフリースペルは使った分手札は減るがコスト(行動可能回数)は残る、もしくは増える。そして本来コストを代価に1枚で手札の枚数増やせるドローカードやらサーチカードやらがその残ったコストと絡むと、
引いたカードは使いたい放題の壮大な化学反応の大暴発を起こしてしまうのである。

そもそもマナカーブの歴史やスライ(MtG)を見てわかる通り多くのカードゲーマーが如何にして手札のカードを少しでもより有用に生かせるか常に考えつくしている。
そこへ(条件さえそろえば)マナを気にせずカードを使えますよ!なんてのがきたら、
最低限のマナを確保しつつ複数のドローカードを絡めるデッキを作れば、自然と最高効率でカードが場に揃うと考え実践するのはある意味当然の帰結といえる。

ただ勘違いしないでほしいのだが、フリースペルがゲームを歪みやすい存在であっても、根本的にゲームとしてあってはならない存在というわけではない。
実際相手の行動をカウンターするような受動的なフリースペルなら際限なくアドを稼ぐということはしづらく想定内の活躍に収まっていることが多い。
さらに言えば良くも悪くもだがその効果のインパクト故にに多くのカードゲーマーが常に注目し、関心を集めているのも事実だ。

今後も数々のカードデザイナー達の手によってこの手のフリースペルは時折刷られるだろうが、
その時には黒歴史と呼ばれるような適切なカードパワーでありながらもインパクトをも持ち、なにより楽しさを備えた良カードであることを期待したい。


追記修整は労力を倍にして原動力に還元できるフリースペル持ちの人がお願いします。

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