SCP-1321-JP

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SCP-1321-JP - (2020/03/11 (水) 10:25:27) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2020/03/09 Mon 17:31:19
更新日:2024/05/06 Mon 11:42:27
所要時間:約 4 分で読めます






そうか…パパだぞ。誕生日おめでとう。



SCP-1321-JPはシェアード・ワールドSCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。
項目名は『後悔の味』。



概要

SCP-1321-JPは酒瓶に保存された液体で、未知の物質40%、アルコール60%で出来ている。
SCP-1321-JPを摂取した人物の内臓は血液が凝固した膜に覆われ、熱と衝撃に強い耐性を持つ。
いっぽうで24時間以内に大脳皮質の急激な委縮が確認され、思考能力が低下する。
この摂取した人物(SCP-1321-JP-1)について、財団が回収した個体は6-15歳の少年少女が大多数を占めている。

……ここまで読んできな臭いと感じた人は大正解。
要は子供を揚げても臓器をほぼ生の食感でお楽しみいただけるように被膜を作るための薬である。

財団がこのオブジェクトを発見したのは、石榴倶楽部の会員と目される「橋詰」なる人物の邸宅への潜入捜査時である。
石榴倶楽部はカニバリストたちの会員制倶楽部である。
この男が、「弟の食料品」という洋食店に現れた際に、娘の世話役として潜入捜査をしていたエージェント・シタミによって秘密裏に映像記録されている。

橋詰: 例のあれを、今日はお祝いだからな。

ウェイター: そういえば今日は特別な日でしたね。かしこまりました。ただいまお持ちいたします。

[ウェイターがSCP-1321-JP-1と巨大な中華鍋をワゴンに乗せやってくる]

さらっと摂取者と中華鍋を持ってくるあたりがもうヤバい。
しかも橋詰とウェイターの会話から、橋詰は常連であることが伺える。

ウェイター: まずは邪魔な手足を切断します。

[ウェイターは肉切り包丁でSCP-1321-JP-1の四肢を切断する。SCP-1321-JP-1は涙を流しているが、それ以外の生理学的反応は示さない]

橋詰: いやあ、お見事。[拍手]

ウェイター: 恐縮です。血生臭さをとるために止血はいたしません。このまま調理に移ります。

橋詰: 続けてくれたまえ。

ダルマになった子供をまえにお見事と拍手をする橋詰。エージェント・シタミはどうこれを見ていたのだろう。

ウェイター: かしこまりました。まずは不要な内臓を摘出していきます。このとき横隔膜を傷つけないよう細心の注意を払います。摘出した内臓は日本生類創研様から提供いただいた特殊製法により仕上げているため、生でいただくことが可能です。内臓を摘出いたしましたら、米、玉ねぎ、ニンジン、セロリを刻んだものを詰めます。

橋詰: 七面鳥のようだな。

やっぱりこの薬品を作ったのはお前らかよニッソ。
この子供の詰めものを低温で揚げる。
途中上半身を沈めると、「踊り食いしたい」という約束と違うと橋詰が訝るが、
「薬品の影響で沈めて揚げても安心です」アピールをされる。
生きたまま外はパリパリ、中はほぼ生の子供。

橋詰: …ではいただこう。

[橋詰がSCP-1321-JP-1を摂食する]

橋詰: こんなに美味しく育っていたのか。[涙を流す]

SCP-1321-JP-1: …パ…パ。

橋詰: 喋った…のか。意識が残っている?

ウェイター: いえ、思考能力はほぼないはずです。

橋詰: そうか…パパだぞ。誕生日おめでとう。

SCP-1321-JP-1: …あり、がと。

橋詰: 失ってみて初めて気づくものだな。調理しているときにはそれに夢中で思いもしなかったが、いざこうなってみると家族を失うのは辛いものだ。これが、後悔の味か。ウェイター、2度と忘れられない味をありがとう。

ウェイター: お褒めの言葉、大変恐縮でございます。

項目名を回収。もはや価値観の違いを見せつけられすぎて財団職員諸兄は気分が悪いどころではないだろうが、
このあとエージェント・シタミも食べてみろと言われる。
そう、このSCP-1321-JP-1こそ、エージェント・シタミが潜入捜査のために世話していた橋詰の娘である。
いくら任務とはいえ、世話していた少女を食べさせられるエージェント・シタミの心境や如何に。

「弟の食料品」

財団も弟の食料品のある場所を調べたが、複数のSCP-1321-JP及びSCP-1321-JP-1が発見されたものの、
肝心の従業員を発見することが出来なかった。
また、弟の食料品は日本生類創研に作ってくれと発注こそとばしていたが、
名目は事故による内臓損傷を防ぐための薬剤というもので、
スポンサーとして資金だけでなく実験もやろうと提案していた模様。
普段のニッソが人体実験を繰り返しすぎているが、こと本オブジェクトに関して言えばニッソ側の想定した用法ではなかったといえる。

一部Taleにて弟の食料品は登場しているが、
親しい人を材料にした料理をテーマとする洋食店であることが伺える。
それに対する反応こそ様々だが、結局はみな、それを食する。
それが石榴倶楽部のようなもとから嗜好する者、そうでない者に関わらず。
また、ウェイターはスシの暗黒卿でもあるようだ。





失ってみて初めて気づくものだな。追記しているときにはそれに夢中で思いもしなかったが、いざこうなってみると集いを失うのは辛いものだ。これが、修正の味か。ウェイター、2度と忘れられない味をありがとう。


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