SCP-1220-JP

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SCP-1220-JP - (2020/07/29 (水) 07:42:29) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2020/07/28 Tue 16:06:20
更新日:2024/04/28 Sun 20:49:30
所要時間:約 9 分で読めます




SCP-1220-JPとは、怪異創作コミュニティサイト「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つである。
項目名は「SAW New Death」。JPのコードが示す通り日本支部の管轄にある。
オブジェクトクラスは「Keter」で収容の見通しの立っていないオブジェクトである。

概要

SCP-1220-JPとは、ある日突然妊婦の股間に登場する 貞操帯 である。解除するには、特定の男性の 精液 が必要になる。
……そう、貞操帯。しかも外すには男を射精させる必要がある。
なんか無駄にエロくてギャグっぽいオブジェクトだが、被害の方はかなりシャレになっていない。

本オブジェクトが出現するのは、出産まで残り1時間を切った妊婦。貞操帯には不明な方法でカウントダウンするタイマーが付けられており、カウントは「3600」から始まる。
これは正常に出産が進行した場合の出産完了時刻と一致していることがわかっている。

見た目はプラスチック製の安っぽい貞操帯なのだが、モノ系オブジェクト定番の異様な破壊耐性はお約束のように備えており、破壊の試みは全て失敗している。
そのため、開錠するためには正規の手段……「特定の男性の精液をかける」を行う必要になる。

が、その「特定の男性」は、SCP-1220-JP出現地点から半径500メートル以内にいる男性からランダムで選ばれ、しかも見分けるヒントは一切ない。
要は、その辺の男に手あたり次第声かけて「今すぐ妊婦の傍で〇〇してください」と頼み込んでOKもらわないといけないわけである。 普通に考えてまず断られるだろう
そのため、開錠はほとんどの場合で失敗している。こんな無理ゲーな条件でもわずかながら成功しているのがすごいが

貞操帯そのものが腹部まで覆うように装着されているため、帝王切開などの外科的手段で胎児を取り出すことも困難であり、大抵の場合は開錠に失敗し、貞操帯を外せなくなってしまっている。
その結果については……報告書には「母子ともに深刻なダメージ」としか書かれていないが、まぁまず助かることはないのだろう。 とことんまで悪意に満ちたオブジェクトである

なお、開錠に成功しても「おめでとう」と書かれた紙片に変じて消滅するだけであり、別にご褒美のようなものは一切ない。

一応千葉県某市周辺で発生率が高いことはわかっているが、それ以外に発生しやすい条件などは不明であり、財団は「とにかく情報を集めてSCP-1220-JPの発生を探れ、もし見つけたらすぐに周辺の男を全部捕まえて〇〇させろ、男は記憶処理して解放しろ」というプロトコルを制定するにとどめている。
また、合わせて飯島智子とSCP-1220-JP-αも捜索するように定めている。

SAW ~New Death~

さて、特別収容プロトコルで突然名前が出てきた謎の女性、飯島智子なる人物だが、SCP-1220-JPの発生に深くかかわっていると財団は考えている。

もちろん財団だって後手の対処に回っているばかりではなく、SCP-1220-JPの起源を探って根本的な解決をしようと試みていたわけである。
そんな財団諜報部の捜査網に偶然引っかかったのが、裏社会で出回っていた謎のAV「SAW ~New Death~」であった。どんなルートで探ってたどり着いたのか気になる
これはタイトルからわかる通り、SAWの露骨なパロディであり、 パロディのくせに3作も出ている らしい。

これは複数人の女優(本職のAV女優ではなく、財団の調査によると多重債務者だったらしい)が、SCP-1220-JPに酷似した貞操帯を取り付けられ、1か月の間いわば「ターゲット」となる複数の男と共に無人島でサバイバルする、というもの(前述のとおり貞操帯を解除できる精液を持つ男はその中の1人のみである)。
この貞操帯は、カウントダウン機能があることや開錠条件など、SCP-1220-JPとほぼ同じ特性を持つが、一方で妊婦に装着されていたわけではなく、カウントダウンの桁数も異なるなど違う点もあるので財団はSCP-1220-JP-αと呼称して区別している。
ちなみにルール説明は、元ネタ同様ビリー人形から行われる。

女性たちは、ターゲットとなった男(本家に倣って イキソウ という名前で呼ばれている)を捕まえて1か月以内にSCP-1220-JP-αを解除すれば、島から出る船の乗船券と賞金を受け取れるルールとのこと(ちなみに男性側は1か月間捕まらず、射精しなければ乗船券と賞金が貰えるらしい)。
また女性たちには1日3度媚薬が投与されており、時間が経つにつれ暴走していく女性たちの姿が見もの……らしい。 好事家によると

で、飯島智子はこの「SAW ~New Death~」において参加者の中で唯一イキソウを捕まえて脱出に成功した女性である、とのこと。

青田氏へのインタビュー

財団はこの「SAW ~New Death~」を直接販売元から入手したわけではなく、AVコレクター青島祥氏から入手した。
なお、いわゆる「裏物」も多数保持していることから、青島氏は非常に警戒心が強く、財団のエージェントも約2年をかけて同好の士として仲良くなってSAW ~New Death~を譲ってもらった。異常性追求のためとはいえ、AVオタクにならなきゃいけなかったエージェントが哀れである。まぁ元々AV好きだった可能性もあるが。

直接的な表現はないとはいえ、色々と危ない表現が多いので青田氏へのインタビューを直接転載するのは避けるが、要約すると、
  • 『SAW ~New Death~』はシリーズ3作目で、1作目は『SAW ~Sage~』、2作目は『SAW ~Low Game~』だった。
  • 『SAW ~New Death~』でイキソウに指定されたのがこのシリーズの撮影監督であり、飯島智子は上手いこと彼を捕まえ貞操帯を外すことに成功。唯一の賞金獲得者となるが、この際避妊が不十分だったため子供を妊娠したらしい。
  • 撮影監督の子供を身籠ったのでこれ以上無理な借金の取り立てはされないだろう、と飯島智子は考えたようだが、監督もこんなAVを撮る以上まともではない。下手したら飯島智子は殺されているんじゃないだろうか?
  • 裏ビデオとしては人気はあったが、そんな事情があるので多分次回作は出ないだろう。

そして、財団の調査の結果、この撮影監督は暴力団「有村組」所属の「滝山豪」なる人物であることが判明した。
ちなみに飯島智子、滝山豪は共に2017年に失踪宣告を受けている(日本では失踪宣告は行方がわからなくなって7年以上経つと出すことができる。つまり、2010年以降行方がわからなくなっているということ)。

滝山豪の隠れ家の調査

財団は滝山豪の足取りなどを調べることで、彼の隠れ家と思われる物件を千葉県某所に発見した。
この物件は所有者のいない空き家であり、地下には『SAW ~New Death~』冒頭でルール説明が行われた場所と思われる部屋があった。
地下には破壊された拘束用の椅子などの不穏なものの他、小型発電機や腐敗した食料*1などが転がっており、何者かが潜伏していたことは確かだった。

どうやらこの部屋に飯島智子は監禁されており、その際SCP-1220-JP-αを無理矢理装着させられていたようだ。前述の青田氏によると、この写真も裏で販売されていたとのこと。
しかし、部屋からは飯島智子及びSCP-1220-JP-αは発見されていない。

トイレの扉は破壊されており、その排水管からは 滝山豪及び、滝山豪と飯島智子の子供と思われる新生児2体分の遺体 が発見された、

なお、滝山豪の確認できる最後の通信記録が以下である。

音声記録-1220 #1
2010/10/3

≪開始≫

オペレーター: 110番警察です。事件ですか? 事故ですか?

滝山: [激しい音声の乱れ] 事件だ! 助けてくれ! 襲われている!

オペレーター: 場所は何処ですか?

[何かを強く叩く音]

滝山: [悲鳴] 場所? わかんねえよ、逆探知とかできねぇのかよ!

オペレーター: 周りに目印になる建物や標識はありますか?

滝山: わかんねぇって! いまトイレに逃げ込んでててヤツが扉の向こうに──

[女性の絶叫と何かを強く叩く音]

滝山: [悲鳴]

オペレーター: 犯人の特徴はわかりますか?

滝山: それもわかんねぇよ! 大声だしたと思ったら急におかしくなりやがって──

[木製の物体が破壊される音]

滝山: [絶叫] 待って! 助けてくれ! やめろ! おい! やめてくれ! 助けて、殺される! 殺される!(音声が徐々に遠ざかる。)

[物音と滝山の悲鳴]

オペレーター: もしもし。大丈夫ですか! もしもし!

女性: [聞き取り不能な音量の音声]

オペレーター: もしもし。貴方は誰ですか? 先程まで出られていた方はどうなさいましたか?

[水音]

[新生児のものと評価される泣き声]

[通話が切断される]

≪終了≫

この電話を受けた警察は事件と判断して捜査を行ったが、結局この物件を発見することはできなかった模様。

何が起きたのか?

執筆者もディスカッションで具体的に何が起きてこうなったのかは詳しく語っていないので、ここからは推察になる。

滝山の子を孕んだ飯島は、彼に責任を取るよう迫ったが、ヤクザである滝山はその程度で動じることはなく、逆に彼女を監禁してさらに食い物にしようとする。
恐らく、新生児を殺害してトイレに流したのも滝山だろう。双子を孕んでいたのでなければ 二度も

そしておそらく3人目の子を産もうとした飯島をまだ食い物にしようとした滝山だったが、ここで何かしら不可思議な力が働いたのか、それとも火事場の馬鹿力か、 飯島が拘束を破壊して脱走
そのままトイレに追い詰め彼を殺害してトイレに流してしまったのだ。これが前述の通信記録になるのだろう。

その後、どうしてSCP-1220-JPの異常性の発現に至ったのかは定かではない。
ただ、無事に生まれたはずの自分の子供を無意味に2人も殺された彼女の恨みは、滝山を殺しただけで晴れるものではなく、何事もなく健康に出産を迎えている「ごく普通の幸せな妊婦」にまで向かっているのかもしれない。

有村組について

ちらっと名前だけ出た暴力団「有村組」だが、これは日本支部の準要注意団体*2
広域指定暴力団東栄會直系の組織であるが、現在は東栄會からは離反している、と設定されていることが多い。

要注意団体なので、ここもオブジェクトを何かしらの形で利用している組織なのだが、その目的は至って単純で「金儲け」。
と言うと、マーシャル・カーター&ダーク株式会社とか、東弊重工とかを思い出す人もいるかもしれないが、曲がりなりにも会社組織なので多少はコンプライアンスというものがあるこれら組織と違い、有村組はヤクザなのでやり口が非常にえげつない。

このオブジェクトの報告書だけでもわかるように、「借金を背負った女性を、オブジェクトの性質を悪用したAVに出演させて食い物にする」など、骨の髄までしゃぶりつくすようなやり方も数多く取っている。

どこかしらファンタジーの産物のような非現実性を伴っている他の組織と違い、「地に足付けた」やり方でオブジェクトを活用しているのが特徴と言えるだろうか。
サーキック・カルトの「世界の天敵」とでも言うべき壮大さとは対をなすような、「現実とファンタジーの境目にいるような」妙なリアルさが怖い組織である。

要注意団体としての登録要件は満たしているので、今後正式に要注意団体に昇格して他の報告書に登場するケースも増えるかもしれない。


余談

ちなみにパロディAV3本のタイトルは 全部エロダジャレ である。
どういう意味かは自分で考えてみよう。
なお、答えは元記事のディスカッションに書いてある。


追記・修正お願いします。



CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1220-JP - SAW New Death
by indonootoko
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1220-jp

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