大人の千羽鶴

登録日:2011/03/16(水) 10:27:12
更新日:2024/10/22 Tue 20:38:32
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概要


「今、本当に必要な鶴を被災地へ」



大人の千羽鶴とは、グラビアアイドルの多田あさみさんが推進する募金活動である。決してエロい意味では無い

要約すると千円札の裏にプリントされている鶴を「千+鶴」で千羽鶴に例えてそのまま直接募金しようと言う事である。

ただ愚直に募金を推進するのではなく、誰でも簡単に『千羽鶴』を被災地に届けられるという洒落のきいた募金活動であるので、
「いくら募金すればいいんだろう?」という疑問も解消しながら気軽に募金活動に参加できる。
千円札をすっと出せるのは確かに「大人」だけであろう。

震災が起こると「私も何かしなければ!」という傍迷惑な義務感にかられ、
千羽鶴を被災地に送るべく折り鶴を折りまくる人や組織が一定数存在するようだが、
折り紙で鶴を折って荷物として送るよりずっと簡単だとは思いませんか?
いや、別にアグネスさんをディスっているわけではないと思いますよ?(震え声)

鶴が寂しがるといけないので余裕があればつがいで、または奮発して鳳凰様を飛ばしても良いかと。勿論、小鳥さんや桜でも構いません。
全国どこからでもコンビニ等を通して被災地へ飛ばす事が出来ます。

新紙幣しかなく鶴がいないという貴方。
表に描かれている野口英世氏から比喩して医師団を送るともいわれているのでご心配なく。
(野口氏は医者ではなく博士だが福島出身、里帰りの意味もあるとか)。


2016年4月に九州で地震が発生した際には、先の震災の教訓を受け
「衣食住が行き渡ってない今の状態では千羽鶴よりも現金と支援物資」という認識がある程度浸透したが、
学校やボランティア団体などでは折り鶴を作って被災地に送ろうとし、
批判をしようものなら「みんなの想いを金に変えるのか!」などと精神論で握りつぶされるケースが未だに存在するらしい。
そんな中で「そんなに鶴が折りたいなら紙幣で千羽鶴折ればよくね?」という
2016年版「大人の千羽鶴」ともいうべきジョークがネットユーザーの間で広まったとか。

言うまでもないことだがこれは「本当に紙幣を折って送る」というわけではなく、
「『とりあえず鶴を折って自分の気持ちを満足させる』ことと『被災地にとって本当に重要な現金を送る』ことを両立できるよ☆」という皮肉である。

実際どうなのか?

千円札を鶴に折ることは非常に迷惑である。
お札を使う時には、いちいち紙に戻さないといけないし、紙に戻してもしわくちゃの紙は自販機や銀行で使いにくいという、鶴にするメリットなど一切ない。


考察


「鶴を折って被災地送りつけたがる人」の心理について邪推すると、
  • 「千羽鶴を折る」という単純作業に没頭することで心理的動揺を押さえようとする*1
  • 「お金は汚いもの、心を込めて手作りしたものはきれいなもの」という日本人特有の思い込み
  • 千羽鶴の材料は安価な折り紙なので「何かを成し遂げた」という大きな自己陶酔感が得られるわりに懐が痛まない
  • 心を込めて折った千羽鶴にはスピリチュアルな力が宿り、支援物資を押しのけてでも送るべきものだと本気で信じている。スイーツ(笑)
……というわけで本人たちはあくまで善意で折り、善意で送り付けるのだ。だからこそ質が悪いのだが

擁護しておくと「鶴を折り、そこに祈りを込める」こと自体はけして悪いことではない。
折った鶴を被災地に送りつけて物流を圧迫させ、被災地にろくに使い道もない紙きれの塊を送り、一方的に善意を押し付け、
更には「鶴を送った」という行為に満足してしまいその後支援らしい支援をろくに行わなくなることが問題視されてる。

たとえ気持ちがこもっていたとしても、使い道のないものを送られても処分するにも手間と費用がかかり、なまじ気持ちがこもっているだけに捨てる側も心苦しいし、
もらう側から「ありがたいけどいりません」と声を挙げるのも申し訳ないものだ。

元に広島や沖縄などの慰霊祭で、毎年大量の千羽鶴が送られるが、これらの処分や管理に多額の税金が投入されていることも追記されておく。むしろ、ゴミの処理で戦争原因の一つである環境破壊の一因になっているという本末転倒のことが起こっている。



とかく非常時は情報に振り回されがちだが、今何をすべきなのか? 何が必要なのか? よく見極めたいものである。


追記、修正は千羽鶴に願いをこめてからお願いします。

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最終更新:2024年10月22日 20:38

*1 これを応用すれば「無能な働き者に単純労働を与えることで無力化できる」。