登録日:2012/01/07 Sat 15:42:14
更新日:2025/10/18 Sat 12:39:49
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『Loveless』は1991年に発売されたMy Bloody Valentineのセカンドアルバム。邦題は『愛無き世界』
バンドを代表するアルバムであり、深く歪ませた轟音のフィードバックノイズなどに甘いメロディをのせるというシューゲイザーというジャンルの金字塔とさえ言われる。
【概要】
前作の『Isn’t Anything』の発売から3年という月日をかけて作られた。
メインソングライターのケヴィン・シールズの異常とも言えるこだわりから、
レコーディング費用は発売元のクリエイション・レコーズの経営を傾かせるほど膨大になり、
レコード会社側との人間関係は悪化。
またレコーディング中にドラマーのコルムが肉体的にも精神的にもボロボロになり、ドラムを叩ける状態ではなかったためにケヴィンはドラムの演奏をサンプラーで切り貼りしてドラムトラックを作るなどしている。
そんな状況で出来たアルバムであるが、出来は素晴らしく、シューゲイザーというジャンルを超えて90年代を語る上で欠かせないアルバムとなっている。
① Only Shallow
ツタタ・・・というドラムから入る、抑揚の効いた轟音ギターが痺れる一曲。
この曲から5曲目のWhen You Sleepまでは曲間がなく一種の組曲のようになっている。
② Loomer
アンビエントな雰囲気の曲。ボーカルも曖昧であり独特の閉塞感がある。
③ Touched
クジラの鳴き声のような音が入っている小品インスト。次の曲への布石
④ To Here Knows When
アルバムのジャケットに最も合っている曲。何本ものギターを重ねてエフェクトをかけまくった中にビリンダの甘く囁くようなボーカルが入る。アルバムから2枚目のシングルカットとなった。
⑤ When you sleep
to here knows whenまでの曖昧な雰囲気からこの曲に入る時の開放感は異常。
⑥ I Only Said
アームをわうわう~。メロも怠惰で奇麗。
⑦ Come In Alone
不思議なコード感。でもこのアルバムの中だと若干中だるみな印象。
⑧ Sometimes
非常に人気の高い曲。映画『ロスト・イン・トランスレーション』にも使われ東京の映像とのマッチングに多くの人がとろけた。
⑨ Blown A Wish
ビリンダの焦点の定まらない声が浮遊感を演出している曲
⑩ What You Want
このアルバムで一番スピード感がある曲。次のSoonの長いイントロとされることも。
⑪ Soon
What You Wantからのつなぎが素晴らしいラストナンバー。U2やコールドプレイをプロデュースしているブライアン・イーノも大絶賛している。
アンドリュー・ウェザーオールによるリミックスが12インチ・シングルとしてリリースされており、こちらもクラブヒットしている。
【発売後】
非常に高い評価を得た本作であるが、このアルバムのツアーを終えた後は、大赤字を出し関係の悪化したクリエイション・レコードとの契約を解除され(この赤字は後の
オアシスの大成功でようやく清算されたそう)、ケヴィンも寡作となってしまい、1997年にMy Bloody Valentineは活動を休止。2008年に活動を再開し、同年のフジロック・フェスティバルにも出演し、苗場に轟音を響き渡らせた。
【余談】
次作『mbv』がリリースされたのは22年後(!)の20213年だった。その後もケヴィンは「次のアルバムも製作中だ」と語るものの2025年現在、リリースの気配は無い。
追記、修正お願いします。
最終更新:2025年10月18日 12:39