兵法綾瀬刈流

登録日:2012/06/09(土) 16:07:36
更新日:2025/06/19 Thu 00:06:15
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兵法綾瀬刈流(へいほうあやせかるのりゅう)とは、PCゲーム刃鳴散らすに登場する剣術流派である。
作中での使用者は武田赤音、伊烏義阿の二名。


《基本理念》
刈流において、刀を振るのは腕の力ではなく全身の体重の力である。足腰が進むことで体重が移動し、その力を剣に伝達し、斬撃を為すのだ。腕は単に力の伝達経路に過ぎず、独自の力で動けば邪魔になる。腕力よりも、体重移動力の方が圧倒的に強大である。いわば身体の一部位と全身の比較なのだから。故に肩、肘、手首───腕の力は抜くのだ。それと腰の捻り、回転はあまり重視してない。

刈流では修行の初期段階で腕の脱力を徹底して叩き込む。腕の脱力を意識しないと体重移動の力が使えないからだ。腕の力を使うとすれば振った剣を止める時だけだ。この時も指を軽く締める程度にしか力は込めない。心持ち、左手は引き右手は押すようにする。これで十分、勢いの乗った剣を止められる。腕力は刀を支えるだけ、止めるだけに抑え、足腰で刀を振るえれば基礎ができたと見做される。

剣の威力は速度に正比例しており、男性としては軽量でありながら赤音が神速の剣を振るえるのはこの基本理念があればこそである


刈流には多くの技があり、それぞれに想定する状況が異なる。
敵の数、配置、得物、構、行動、勝機
特に勝機は重要で、勝機を想定してない技は勝てる確証もないのに仕掛ける技と言うことになり意味がない。技は勝てる機に勝てる行動をするマニュアルである
刈流は三つの勝機を定めており、

先の先──敵の不意、油断、意表
先──攻撃の直前あるいはゼロ地点
後の先──攻撃行動の最中

この三種を戦士が戦闘中に防御力を失う機とし、技に反映させている


《技》

【指の構え(さしのかまえ)】


左足を前にし、右足を引き、刀は右肩の上へ担ぐようにする構え。赤音が好む構え


【強(きょう)】


指の構えから肘を突きだし、右足を蹴り出し体重移動の力を発生させ、左足を踏み締めて身体を押し出して刀を打ち下ろす。
左足を固定しないと折角の力が逃げてしまうため、前進する身体に対して左足は引き込むように使い、体重を上から下へ落とすように意識する。これにより防御を打ち砕くことを可能にしている
打ち下ろす行為は上体を前屈みにさせるがこれは斬撃の最後にぐいと腰を前へ進めて姿勢修正をする
勝機は先。


【飢虎(きこ)】


基本的に強と同様に行う奇襲技
左足の運用法を技の中盤、刀の切先が天頂を向いたあたりで変化させる。左足は引き込まず、押し出すようにし、膝と足首を伸ばす。これにより体が大きく前に出て、外観から妥当といえる攻撃距離を確実に逸脱するところまで剣は到達させる。しかし難点があり、動きが乱れるため威力と速度は目減りが避けられない
奇襲技であるが故に知られていないことが、強さの肝である
作中、最初に出た技でもある
勝機は先の先


【糸巻(いとまき)】
敵の小手を狙う打ち下ろしに、強固な力を込めずに下方よりすくい上げれば、当然弾かれる。それを支えることなく、弾かれたまま、その力を利用して剣をくるりと回し、敵の小手を斬る。合理性を追求したシンプルな剣。小手返しの小手。

【奔馬(ほんば)】
距離のある敵に対して早足で間合いを詰め、威圧感を与えると共に思考時間を奪い、攻撃を誘い、バックステップで避け、強の運体で斬り下ろす。
この技には構造的欠陥があり、前進、後退、前進と動くので遅滞の発生が不可避となっている。赤音もある程度以上の実力者に使った場合に、仕留めきる自信はないと回想している
勝機は後の先


【小波(さざなみ)】
強を行い避けられた際に、敵に後の先を取られる前に左足で踏み込み、腕を捻って小手を斬り上げる
一の太刀で斬れれば良し、躱されたら二の太刀で仕留める。一度目は偽功という訳でなくどちらも殺傷目的である。
しかし踏み込みを二度も行うため連結点にロスの発生が起き、敵の斬り下ろしの方が有利になる。
また二撃目の斬り上げも構造上、相手の腹や腕を斬るぐらいにしか運剣の角度が付けられないので、敵が死なば諸共の相打ち狙いだとこちらも倒されかねない欠陥がある。
勝機は先。
本編では武田赤音は木刀での勝負において、外国の軍隊式トレーニングを積んでフィジカルにとても優れている設定の瀧川の衛士に使い、
二撃目で相手の腕を砕き折ったのだが、赤音の弁では勝敗は結構危なかったとの事。*1
身体能力に優れているが技はそこまででもない瀧川衛士相手にこれなので、一流同士の戦いで通用する技ではないだろう。

【旋(つむじ)】
喉笛を狙う突き裂き


【田楽(でんがく)】
芋でも刺すような、背中に対する突き入れ


【沓掛(くつかけ)】
敵の攻撃に際し、後ろに引いた左足を軸に、抜刀しながら右回転して、回避と攻撃を一度に行う居合。
回転しながらの居合抜きの為、正面に向き直る時には敵は倒れている
勝機は後の先


【長蛇(ちょうだ)】
鍔下ではなく柄頭を片手で握って間を伸ばす外法の抜刀を行う居合技
明言はないものの、先の先を取る間合い騙しの奇襲技と見て間違いないだろう


【鍛鉄(たんてつ)】
身体を右後方へ捻って攻撃を躱し様に逆手抜刀で敵を斬る居合技
寸法の短い短刀や脇差しは逆手持ちすることで切っ先に力を込めることができるのに比べ、打刀の逆手持ちというのは用途が極度に限られる握りであり、その用途とは超近接した交差時の撫で斬りである
描写で「身体を右後方へ捻って躱し、逆手抜刀で斬る」とある以上は、相手の打ち下ろしをほぼ密着状態で躱し(横薙ぎをその動きで躱せるはずはないので打ち下ろしに対処する想定だろう)、逆手で撫で斬る所作を成すものと思われる
“鍛鉄”の技名は、相手の打ち下ろしを鉄を打ち鍛える金槌に、打たれた鉄から飛び散る火花を斬撃に見立てたものか
勝機は後の先であろうと思われる


【牛追(うしおい)】
背後から襲ってくる敵の左の脇の下からするりと差し込んだ隠迅の切先で肺を貫く技
抜き打ちの所作ではないものの、「いずれも鞘の内より始まる居合の技」と地の文で描写されているのでこれも居合技であろう
抜き合わせた状態から繰り出すには動作が大きくなるので、腰を切って抜刀した切っ先をそのまま背後へ突き立てる技と思われる
因みに居合は鞘から真っ直ぐに抜き打つ技ばかりでなく、抜刀を予備動作に有利な態勢を作ったり、不自由な姿勢で刀を構えるような技も含まれる
“牛追”の技名は牛の背後に迫って蹴り飛ばされる様になぞらえたものだろう(余談だが牛の視野は背後が見えるほど広く、忍び寄るのは不可能だという)
背後を取って油断した敵を予想外の軌道で貫く技であろうから、勝機は先の先か

瀧川商事本社ビルで衛士三人を相手に長蛇、鍛鉄、牛追の順で連続使用したものだが、これはつまり
1.まず接近前、相手が三人がかりの連携を取る前に奇襲技の長蛇で一人を仕留める
2.動揺して前のめり気味に打ちかかってきた二人目を回避からの逆手抜刀で切り捨てざま、駆け抜ける
  この時、鍛鉄は身体を右後方に捻って回避する(=自分の右側に攻撃を空振りさせる)技であるから当然、自分から見て左側の敵に使ったであろう(右側の敵に使ったら左側の三人目に無防備になる)
3.駆け逃げるかのような素振りで背中を見せて誘い、三人目は慌てて振り向きざまの不用意な攻撃をしようとする そこを意表を突いた牛追で貫く
という流れになる
瀧川衛士が得意とする、フィジカルを活かした鉄棍の打ち合いに付き合わないよう立ち回りを徹底していたことが推察できる


【浮草(うきぐさ)】
敵の抜刀の抜き手を狙う攻撃を前方へ出した左足の膝を後方に向けて押し伸ばし、全身を退避させ躱してから斬る居合技
抜刀は誘いであり、居合と対峙する者はその起こりを制したがる心理を逆手に、抜き手を釣り餌にし攻めを誘い、躱して制する刈流古伝の抜刀技
水面を対峙する漂う浮草を確たる大地と見誤って踏み出した愚者は水底に没するのみである
勝機は後の先


【座の一(ざのいち)】
両膝をつき、腰の沈んだ土下座でもしようかとしてる状態から、右足を踏み込み、体重を前方に飛ばし、同時に抜刀する。両膝をついた姿勢からの居合技


【踊・三段目(おどり・さんだんめ)】
左右から襲いに来た敵Aの攻撃をいなし敵Bへ向かい、切ると見せ掛け攻め気を挫きたたらを踏ませ、その隙に足腰の転回に乗せた切り下ろしで、得物を取り直しかけていた敵Aの頭蓋を唐竹に割り、即座に反転し横薙ぎで敵Bの首を打ち放つ技。


【火車(かしゃ)】


一対三を仮想した対多数戦闘の鉄則(流れを掌握し、主導権を握る)に基づく技法。敵陣に跳び込み、着地するや抜刀し、円陣形に一閃。これは攻撃動作でなく敵をひとまず退けること、配置の把握、敵の流れの破壊を企図したもの。これをなしたのなら敵Aに対し攻撃的な構えを取り、防御を意識させる。そして同時に無防備な背を見せつけて残りの敵の攻撃を誘い、右後方、敵Bへ跳躍、すれ違い様のカウンターで打ち下ろす。即座に転身後、左後方から攻撃してきた敵Cが立て直すより迅く、胴を切り上げる。切り上げの勢いのまま大上段に構え、最初に向き合った敵Aを切り落としの術技で切り捨てる。

余談だが、赤音は敵B(日浦織枝 CV.歌織)を女と嗅ぎとり、切らずに棟打ちしてレイプし、「お前は敗者だ!戦に負けたら、女は戦利品として分捕られるもんだって、昔から決まってんだろ!お前をどうしようがおれの自由なんだよ!犯して犯して孕ませようが、誰からも文句言われる筋合いじゃねえ!!」という名言を残した


【春水(しゅんすい)】
詳細不明

【駄犬(だけん)】
詳細不明

【打ち鐘(うちがね)】
詳細不明



【我流魔剣・昼の月】
【我流魔剣・鍔眼返し】
正確には刈流伝来の技ではなく、その理念・技巧を元にした我流魔剣。


追記・修正は腕を脱力し、足腰で刀を振るえてからしてください


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最終更新:2025年06月19日 00:06

*1 しかも相手は、型稽古のためにわざとゆっくり技を使ってたのを見ていた結果、実際の技のスピードも遅いと思い込み、油断していた状態だった