大字

登録日:2010/03/11(木) 06:53:17
更新日:2021/10/09 Sat 17:39:17
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大字(だいじ)

領収書や小切手等の大事な書類にて、数字の改竄を防止するために使われる漢数字である。

改竄の例として、一を三や卅(さんじゅう)、三を五、十を丗(さんじゅう)や千、といった具合に漢数字に線を書き足すことで数の大きさは簡単に変えられてしまうのだ。

法律による具体的な訓示としては

公証人法
第三十七条  公証人証書ヲ作成スルニハ普通平易ノ語ヲ用井字画ヲ明瞭ナラシムヘシ
3.数量、年月日及番号ヲ記載スルニハ壱弐参拾ノ字ヲ用ウヘシ

大正十一年大蔵省令第四十三号(会計法規ニ基ク出納計算ノ数字及記載事項ノ訂正ニ関スル件)
第一条  会計法 規ニ基ク出納計算ニ関スル諸書類帳簿ニ記載スル金額其ノ他ノ数量ニシテ「一」、「二」、「三」、「十」、「廿」、「卅」ノ数字ハ「壱」、「弐」、「参」、「拾」、「弐拾」、「参拾」ノ字体ヲ用ユヘシ但横書ヲ為ストキハ「アラビア」数字ヲ用ユルコトヲ得

戸籍法施行規則
第三十一条
2.年月日を記載するには、壱、弐、参、拾の文字を用いなければならない。

商業登記規則
第四十八条
2.金銭その他の物の数量、年月日及び番号を記載するには、「壱、弐、参、拾」の文字を用いなければならない。ただし、横書きをするときは、アラビヤ数字を用いることができる。

要するに戸籍や領収書、登記簿などで使いましょうということ
まあ現在の戸籍はコンピュータ管理するので使わなくてもよいのだが
ただし法で決められているのは「壱、弐、参、拾」までである。だから残りは別に使わなくてもよいが、重々しい雰囲気を出したり、やっぱり改ざんに対策したりするのはありだろう
なんと701年の大宝律令ではすでに同様の規則は存在したという。

大字は以下の通り
括弧内は読みである。また大字二つ併記の場合は左が新字体、右が旧字体である。

〇・零
一・壱、壹(いち)(※「もっぱら」という意味がある)
二・弐、貳(に)(※「そえる」「加える」という意味がある)
三・参、參(さん)
四・肆(し)(※「つらぬく」「さらす」「店」「ほしいまま」など多義。日常では書肆くらいしか見ない気もする)
五・伍(ご)(※「仲間」という意味がある)
六・陸(りく)
七・漆、柒(しつ)
八・捌(はつ)
九・玖(く)(※「黒色の美しい玉」という意味がある。「瓊玖」で飾り玉のこと)
十・拾(じゅう)
二十、廿・弐拾、念(にじゅう)
三十、卅・参拾(さんじゅう)
百・佰、陌(ひゃく)(※「南北を通る道」という意味がある)
千・仟、阡(せん)(※「東西を通る道」という意味がある)
万・萬(まん)

ちょっと練習してみよう
4,127,635,912,040,036円→四千壱百弐拾七兆六千参百五拾九億壱千弐百四万参拾六円(現行法版)
            →肆阡佰弐拾漆兆陸阡参佰伍拾玖億阡弐佰肆萬参拾陸圓(旧字版)
すげえややこしい・・・

なおお金の表記では大字表記とともに円を旧字体の圓を書くこともある。

ちなみに中国語にも同様に数詞の中に大写という通常の小写よりも小難しく書く文字が存在する。
漢字の国だけあってその歴史は古く、紀元前にまでこうした置き換えが存在したという。

うろ覚えもあります。


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最終更新:2021年10月09日 17:39