鬼火島殺人事件(金田一少年の事件簿)

登録日:2011/05/22(日) 21:43:15
更新日:2020/09/16 Wed 20:34:12
所要時間:約 15 分で読めます




鍵穴の奥から幻のように消えた殺戮の光景
身悶えしながら近づく竜巻
そして真夏の雪――
惨劇の舞台は呪われた孤島
人呼んで『鬼火島』



『鬼火島殺人事件』は、『金田一少年の事件簿』での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した事件の一つ。ノベルズシリーズ第4弾。
テレビドラマでは第4シーズン(neo)第3話・第4話として2014年8月2日と9日に、テレビアニメでは第64話~第67話として1998年10月12日~11月2日にかけて放送された。
登場する怪人は「午前零時の悪霊」。

アニメ版での容疑者リストは上の段が左から海老沢、新谷、塚原、大野、花村、川崎で下の段が森村、白石、加藤、太田、椎名、川島となっておりバックは青緑。
アニメ版の容疑者リストに表示される人数としては最も多い12名である。


以下、ネタバレにご注意下さい。




【事件の始まり】

南房総沖にある小島・不知火島で、医大を目指す学生のために開かれる不動ヒポクラテスセミナー(FHS)に、アルバイトに来た一と美雪。
元サナトリウムだった「栄光寮」があるその島は「鬼火島」と呼ばれ、鬼火が見えるという怪談があるという。
翌日に一たちが迎えた受講生たちは、皆クセのある人間ばかりだった。

そんな中、「栄光寮」恒例となった肝試しに参加することになった一たち。
午前零時になると共に「百日紅の間」の鍵穴から部屋を覗いた一が見た者は、受講生の一人・森村圭一が首を吊るされる現場だった。
しかし、鍵を開けて中に入ってみると、犯人はおろか死体すらも忽然と消えてしまっていたのだ。
それはまさに、「栄光寮」に伝わる怪談「午前零時の悪霊」の仕業に見立てた、連続殺人事件の幕開けだった…。



【事件関係者達】


  • 新谷百合(しんたに ゆり)
CV:矢島晶子 演:森口瑤子
「栄光寮」のコック。既婚。
ボーイッシュなお姉さん。独特な笑い方をする。

ちなみに、アニメにおいて彼女がキャベツを切るシーンは、後のOPテーマである「JUSTICE〜Future Mystery〜」の映像内にも使用されているが、
曲調と相まってキャベツが切られるこのシーンは(特に百合が深刻そうな様子で切っているシーンという事もあり)なかなかにシュールなものとなっている。

  • 塚原伝造(つかはら でんぞう)
CV:西川幾雄 演:品川徹
「栄光寮」の寮長。
豪快な性格で、バカ正直なスケベオヤジ。

アニメでは頑固オヤジになった。
ドラマでは陰気でひねくれている上に、一同の不安を煽ることばかり口にする不気味な老人になっている。

  • 大野公平(おおの こうへい)
CV:堀川亮(現:堀川りょう)
「栄光寮」のアルバイトスタッフ。元FHS受講生の医大生。
気さくな性格。
城南医科大学の学長の孫で跡取りだが、建築家を志している。
アニメ版の中の人は"ベジータ"で、息子の"トランクス"の声優が"川島豊"の声を担当している。

  • 花村麻美(はなむら まみ)
CV:長沢直美(現:永澤菜教)
FHSの英語講師。
普段は高校教師をしている。
見た目はおっとりしたメガネ美女だが、性格は意外とクール。

  • 川崎洋三(かわさき ようぞう)
CV:堀内賢雄 演:布施博
FHSの数学講師。不動総合病院の医師でありながら、その傍らで講師も務めるエリート。
胃ガンではないかと診察に来た一に「ただの胃炎」と診察を下した。
真面目で穏やかな性格。
なお、中の人が同じという事もあってか、外見はとある県警のツンデレ警部と似ている。

アニメでは塚原と共に性格が頑固化。

  • 森村圭一(もりむら けいいち)
CV:鈴木琢磨 演:前野朋哉
FHSの受講生。高校三年生。
嫌味な性格で、常に他人を見下している。
不動総合病院の理事長の息子で、親の七光りを利用したボンボン。
初日の午前零時、「栄光寮」に伝わる怪談に見立てて「百日紅の間」で首吊りにされた後、行方不明になる。
アニメ版では椎名の死体が発見される直前、森村の死体が道端に放置された状態で発見されている。

なお、森村に関しては、登場シーンが冒頭で船から降りて来るシーン以外全く無く、これは『魔術列車殺人事件』のジェントル山神に匹敵する少なさである。
それでも森村の印象が強く感じられるのは、恐らく周りの登場人物が彼に関して色々と話すセリフが多いからだと思われる。

アニメ・ドラマ版では外で死体が発見されるシーンが追加。
原作・アニメでは色黒のチャラ男だが、ドラマ版では演じている前野氏が地味顔なので印象が違う。
(「こんなとこ売り払って、ハワイに研修所作ろうぜ!」とほざくなど中身は大体一緒だが)

  • 椎名真木男(しいな まきお)
CV:柏倉つとむ 演:増田貴久
FHSの受講生。高校三年生。
不動総合病院の内科の勤務医の息子。
いかにも気弱ないじめられっ子の風貌をしており、森村と加藤のパシリをしている。
船が島に到着した直後には森村たちの分まで荷物を持っていたせいで船のタラップから転げ落ちているが、
その際手を貸そうとした一に悪態をつくなど、刺々しい態度が目立つ。
加藤の話では自殺した海老沢とは特に仲が良かった*1

2日目の夕方、礼拝堂の天井で首を吊った姿で発見される。

ドラマ版ではタラップから転げ落ちる際、一に悪態をつくことがなく気弱だが人当たりの良い性格になっている。また、父親の勤務科が外科に変更になっている。
そして、ドラマ版で彼を演じているのはNEWSの増田貴久。NEWSは後にアニメ版「R」第2期にてOP曲「四銃士」を担当しており、メンバーの一人加藤シゲアキは2018年に金田一耕助を演じることになる。

  • 加藤賢太郎(かとう けんたろう)
CV:浪川大輔 演:千葉雄大
FHSの受講生。高校三年生。
不動総合病院の内科部長の息子。
体格はジャイアンだが性格はスネオで、森村にいつもくっついている金魚の糞。
森村と椎名の死後、自分の身を守ってもらうために一と共に夜を過ごす。
(その際、腰を怪我している一を気遣わずに床で寝かせ、自分はベッドで寝るという、いかにもプライドが高く人を見下すタイプの人間の図々しい一面を見せている)
だが、部屋の鍵穴から噴射された麻酔ガスを嗅がされた挙句一の横で絞殺された。

ドラマ版でもウザさは大概だが、演じている千葉氏が細身のイケメン系であるため印象が違う。
また、父親の立場が外科部長に変更になっている。
ちなみに千葉氏は『天装戦隊ゴセイジャー』でアラタを演じており、更にアニメ版Rの2期では、『明智警部の事件簿』で登場する小林竜太郎刑事役を演じることとなった。
『金田一少年の事件簿』においてアニメ版・ドラマ版両方に出演するのは夏八木氏・モロ師岡氏に続き3人目である。

  • 太田綾(おおた あや)
CV:川崎恵理子
FHSの受講生。高校三年生。
終始ツンケンした態度で一や周囲に接しており、
一に「あんたみたいな医者には診てもらいたくない」と言われたほどだったが、海老沢の一件には本人なりに心を痛めているようであった*2

  • 白石美穂(しらいし みほ)
CV:永野愛 演:大野いと
FHSの受講生。高校三年生。
V6の長野の奥さんではない。
大人しそうな外見をしたショートヘア美少女。
だが一方でオカルト好きであり、鬼火や生霊の話になると目を爛々と輝かせる。

ドラマ版では、海老沢と同じく母が看護師であるため研修医内での立場が弱いという設定になっている。

  • 富永純矢(とみなが じゅんや)
FHSの受講生。高校三年生。
無口で大人しいコミュ障。
ミステリー好きで、探偵の真似ごとをして一にツッコミを入れる。

  • 川島豊(かわしま ゆたか)
CV:草尾毅 演:桐山漣
FHSの受講生。高校三年生。
かなり馴れ馴れしく、初対面の一にギャグをかますなど気さくな性格。
一方で、歯に衣着せぬ物言いで敵を作ることも多い。
ちなみに中の人はゲーム版(SS)の一ちゃんで、美雪の中の人とは3次元で声優ヒーロー仲間だった過去を持つ。

ドラマ版では内科部長の息子であり、研修医の中では加藤と同じ程度に強い立場にあるという設定になっている。
そしてドラマ版の中の人は、言わずと知れたあのハーフボイルド探偵であり、図らずも探偵同士の夢の共演が実現した。


【その他】
  • 海老沢邦明(えびさわ くにあき)
演:間宮祥太朗
元FHSの受講生。
森村、椎名、加藤の3人のいじめにより自殺未遂を起こし、植物状態になって入院している。


【レギュラー陣】
毎度おなじみ主人公。
冒頭で胃炎と診断されてしまうが死ぬ心配はなかった。
美雪と軽い気持ちでアルバイトに行った先で事件に巻き込まれる。
森村と椎名の死に怯えた加藤に助けを求められ、放っておけずに見張りとして彼の部屋に泊まるが、
麻酔ガスで眠らされ加藤殺害を許してしまう。


毎度おなじみヒロイン。


毎度おなじみオッサン。
腸炎の検査に来たつもりが、痔の手術をするハメに…



【以下、事件の真相… 更なるネタバレに注意。】




















その言葉を見た瞬間に俺は決めた!
「一番最低なのは俺だけど、海老沢のために復讐しよう」
「森村や加藤を殺して、それから自分のことも殺そう」って!!


  • 椎名真木男
この事件の犯人「午前零時の悪霊」
自殺未遂を起こした海老沢邦明は、彼の中学からの唯一の親友。
共に推理小説の構想を考えるほどの仲だったが、高校に入り海老沢が森村たちのイジメのターゲットになると、
自分自身もいじめられることを恐れて森村たちに協力してしまった。
自殺を図った海老沢が発見された際に現場に居合わせ、自分の罪を告発されるのではという恐れから彼の遺書を盗んでしまうが、
そこにはいじめのことは何も書かれておらず、逆に「小説の続きは椎名に書いてもらってください」とまで書かれていたのを見て、
改めて自分が取り返しのつかないことをしてしまったと痛感した。
そして森村、加藤の2人を殺し、最後に自分自身を殺すことで彼の思いに報いるつもりでいた。
しかし、自分が殺人犯になることで家族に迷惑がかかると考えた彼は、自分が途中で殺されたように見せかけることで、
「事件の被害者」として自分の存在を消すつもりでいた。
首吊り死体を装うため、「上半身に巻いたロープ(後で服を着て見えないように隠す)を使って自分1人で自分の身体を吊るし上げる」
という体力的にかなり大変な作業をこなし、見事に一たちの目を欺き自分が死んだと見せかけることに成功する
(自分自身を吊るす作業自体も重労働だが、準備を完了してから“死体”の発見後に礼拝堂から人目が消えるまで、下手をすれば数時間もの間、
上半身に巻き付けたロープだけで全体重を支える必要があり、実行にはかなりの苦痛を伴ったであろう)。

鍵穴に内視鏡を通し、隣の部屋の様子をその部屋で起こっているように見せるという森村殺害の際に使われた死体消失のトリックは、
海老沢が推理小説内で考えたものだった。
このトリックを使うことで海老沢が目を覚ました後、復讐を行ったのが自分自身であると彼に伝えるためのメッセージにしようとした。
また、犯人が自分を殺されたことにして容疑者から外れるケースは発表時点で2人目である
(犯人に命を狙われたフリをしたり、本当に死にそうになった真犯人は何人かいるものの、作中の流れで完全に死人として扱われた真犯人は、
悲恋湖伝説殺人事件』の「ジェイソン」と『高遠少年の事件簿』の「死神マジシャン」の3人のみ)。
加藤を殺害後、最後の標的である自分自身を殺すために礼拝堂に灯油をまいて焼身自殺を図るが、
一の「『真相解明』という名の時間稼ぎ」によって自殺の決心を鈍らされて死に対する恐怖を抑え込むことができなくなり、
海老沢の姉(ドラマ版では叔母)である新谷百合に自分の行いを懺悔し、自首する。


  • 海老沢邦明
椎名の中学時代からの親友であり、ミステリー小説が大好きな少年。
実は不動総合病院に勤める看護師の息子だが、医師ではなく小説家になることを夢見ていた。
そのため、森村たちから生意気であると目を付けられ、執拗にいじめられた末に自殺未遂を起こしてしまう。
遺書にはいじめのことや椎名たちへの恨みがいっさい書かれていなかったことから、穏やかで優しい性格であったことが伺える。
事件の解決後も、本編において植物状態から目が醒めることはなかったが、一はいずれ彼が意識を取り戻して椎名と共に自分に挑んでくることを確信している。

  • 森村圭一
  • 加藤賢太郎
親からのプレッシャーで色々と歪んでしまったのか、二人とも「医者の子だから医者になるのが当然」という異様なまでの思い込みを持っており、
それゆえ看護師の親を持ちながらも「医師にはなりたくない」と小説家を目指していた海老沢に目を付け、
彼の親友である椎名をいじめの実行犯としてけしかけるという最低な手段でいじめを行い、彼を自殺に追い込んだ。(ある意味椎名自身もいじめの被害者だったと言える。)
森村はもともと性格がとんでもないゲスなので、反省もせずに開き直っていた様子。
加藤は森村殺害に対する怯えようから多少の罪悪感はあったようだが*3、一方でべそべそ泣きつつ
「『医者になんかなりたくない』なんて生意気なことを言った海老沢が悪い」
「自分はいじめの手段を考える森村と実行犯だった椎名の間に挟まれただけ」等と
痛々しいまでの責任転嫁発言を繰り返して一を呆れさせており、こちらも相当な屑である。
ただ、森村に逆らいたくないという気持ちは椎名や川島を見る限りみんな同じだったのかもしれない。

ドラマ版の加藤は責任転嫁する様子はだいぶ薄まっており、一に「海老澤に謝りたい」と漏らすだけでなく一に対しても失礼な発言を謝るなど、人間的にはかなりマシな人物となっていた。
その言葉が椎名にも聞こえていれば、加藤の殺害は中止したかもしれない…
仮に聞こえていたとしても、既に加藤殺害の罠を仕掛け終わっていて後戻りできない状況にあった点、加藤の反省の弁が椎名から言わせれば上っ面だけにしか聞こえなかった可能性がある点からその望みは薄かったかもしれないが…。


  • 新谷百合
実は、海老沢の姉。

弟を医師にすることに疑問も持たず、小説家になるという彼の夢を知ろうともしなかった母親に愛想を尽かし家を出ていた。
しかし弟が自殺未遂を起こして以降、息子の気持ちを汲めなかったという自責の念に苦しみ続ける母の姿を見るに堪えず、
せめて自殺未遂の理由が母親の期待に押し潰されたからではないことを証明したいと思い、真相を探るために合宿に参加していた。

アニメ版では弟の自殺未遂の理由を既に突き止めており、森村たちを弟の仇と見なし復讐するために、このセミナーに参加していた。
しかし、標的であるはずの人間が次々と殺されていくのを目の当たりにし、最後の一人であった加藤だけは自分の手で殺そうとする。
結果は未遂に終わり彼女は拘束されるが、その後に加藤が今度は本当に殺されてしまった。
真相解明の場で、椎名が手を下していたことを知った彼女は、死を選ぼうとする彼を説得し、自首させる。

ドラマ版では海老沢との関係が姉弟ではなく叔母甥の関係になっている。


  • 大野公平
森村たちと同じく医師になることだけを求められて育てられた人間であり、彼もまた歪みを抱えた1人だった。
森村たちや椎名の命を粗末にする行動に対して憤る花村とのやり取りの中で、
大学受験の際にこっそり建築科も受験し合格していたのだが、なぜか医学部に進んでしまったことを明かし、
「FHSには辛い思い出しかないはずなのに、*4バイトでFHSの合宿を訪れると落ち着く自分がいる」「きっと、俺にはここしか居場所がない」という複雑な心境を語っている。


  • 花村麻美

どうしようもないわね、あんた達って

医者を目指してるあんた達が、どうしてそんな風に命を粗末にするのよ?

医者だった父親が、患者を救いたいあまりに無理を重ね過労死してしまい、そのことから医師という職業に嫌悪感を抱いていた。
しかし、教師になった後も心のどこかで「医師になればよかった」という思いを捨て切れない自分がいることに気付き、
医師になりたいという学生を応援するためにFHSの仕事を引き受けていた。
そのため、森村たちや椎名が命を粗末にするような行動を取ったことに憤りを露にし上記の言葉を発する。
皮肉なことに、彼女の方が医師を目指した森村たちよりもよほど医師らしい倫理観を持っていたと言えるだろう。


  • 川島豊
森村殺害の際、窓の外に見えていた「鬼火」は、実は椎名を驚かせようとした彼の悪戯だった。
しかし、悪戯のために欠席していた肝試しの最中に森村殺害の騒ぎが起こり、
更には悪戯に使った梯子が紛失した(椎名が自分の“死体”に誰も触れられないようにする目的で隠した)ため、
余計な疑いをかけられる恐れがあると思い口を噤んでいた。
真相解明の際に一にその時の行動を指摘され、悪戯の犯人であることを自白する。

なお、アニメ版ではCVが松野氏以外で一ちゃんを演じた声優であるゲストキャラは真犯人というジンクスが後に成立してしまうが、
彼はそのジンクスから逃れた。(一応、前述の通り鬼火のいたずらの犯人だったが。)

ドラマ版では、肝試しの夜に梯子を持ち出した人間が彼であると判明するタイミングが加藤殺害直後になっている。
研修医内での立場が、森村(親が理事長)→加藤・川島(親が部長)→椎名(親が勤務医)→海老沢・白石(家族が看護師)であり、
白石が「肝試しで2階に上がる直前、梯子を担いでいく人間を見た」という証言を「事情があってこれ以上は話せない」と途中で切り上げたことから、
殺された森村と、その後被害者になった(と思われていた)椎名、肝試しに参加しておりアリバイがある加藤を除き、
唯一白石より立場が上である川島の仕業だと指摘される流れになっている。


  • 金田一一
島に来る前、胃の検査で訪れた不動総合病院で、一はうっかり落としてしまった小銭を追いかけ、海老沢邦明の病室へと迷い込んでいた。
事件解決後、椎名が海老沢のためにこっそり活けていたという薔薇の花を手に再び彼の元を訪れた一は、
ベッドの横に置かれたワープロの中身があの内視鏡のトリックを使った小説であることを確認し、
自分が最初にこの病室を訪れたときから真相がすぐそばにあったことを改めて知るのであった。

なお、椎名が活けていた薔薇・メイデンスブラッシュの花言葉は「我が心、君のみぞ知る」。
事件後に海老沢が目を覚ました場合に備えた、椎名から彼に向けてのメッセージだったのであろう。


ちなみに、椎名がタラップから落ちた際に一に悪態をつき喧嘩を吹っかけたのは、
初対面の一に徹底的に悪印象を与え、自分の“死体”を下ろそうとすることがないよう予防線を張るためだったのが、
そこまでされても一は壁をよじ登ってまで“死体”を下ろそうとする無茶な行動に走り、
天井にぶら下がったまま息を殺す彼を冷や冷やさせることになった。
いつも鋭い推理で犯罪者にとって脅威となる名探偵・一だが、今回は推理の鋭さとは別の意味でも、
犯人である椎名にとって脅威となったに違いない。


窓の外に飛んでいた「鬼火」の謎については、ひとまず川島の悪戯ということで解決した。
しかし、一は自分が目撃した「鬼火」の数が2つであったことから、その結論に釈然としないものを感じるのであった。
足場の悪い梯子の上にいた川島が、「鬼火」を2つ同時に飛ばすことなどできたのだろうか…?

一が鍵穴越しに目撃した、「2つ目の鬼火」。
もしかしたらそれは、親友の凶行をなんとか止めたいと願った海老沢の魂だったのかもしれない…。


  • 川崎洋三
本編序盤にて診察中に不埒な事を述べた一に「医者にだけはならないでね」と言ったが
吊るされた椎名の遺体を我が身も顧みず下ろそうとした一の姿を見て、事件解決後に前言を撤回した。

本編は、前述の「2つの鬼火」についての疑問を述べた一に対する彼のユーモアの効いた回答で締められている。



ちなみに今回の事件で椎名が使った、自分を首吊り死体に見せかけるトリックは、2015年1月14日に放送された、「水曜日のダウンタウン」にて本当に実行可能なのか、『飛驒からくり屋敷殺人事件』の、どんでん返しのトリック、『金田一少年の殺人』のドア渡りトリックと共に検証された。(結果は成功。)


【アニメ版】
◇原作との違い
  • 「不動総合病院」が「大手門総合病院」に変更。
    これに伴い、セミナー名も「大手門セミナー」に改名。
  • 川崎洋三が大手門総合病院に勤務している。
  • 富永純矢は登場しない。
  • 大野公平の経歴がカット。
  • 花村麻美の過去がカット。
  • 森村圭一の死体が発見される。
  • 加藤殺害の前に、新谷百合による加藤殺害未遂事件が起こる。
  • 椎名の自殺阻止を新谷百合による説得に変更。
  • 新谷百合が椎名を説得する場面で、3期OP「君がいるから…」が挿入歌として流れる。切ない曲調が椎名の動機とマッチしており、この曲を聴くと椎名を思い出すという人は今でも多いらしい。
  • 二三が登場する。
  • 原作では一が見た鬼火が二つという事になっていたが、アニメでは一つだけになっている。

【ドラマ版】
◇原作との違い
  • 怪人名「午前零時の悪霊」が消滅。怪談は悪霊ではなく鬼火の仕業という事になり、真犯人にも怪人名はつかない。
  • 医大受験のセミナーから不動総合病院の研修医対象の合宿に変更。受講生であった人物は研修医に。
  • 佐木が同行する。
  • 大野公平、花村麻美、太田綾、富永純矢は登場しない。
  • 海老沢の母に「恵子」の名が設定された。
  • 椎名が船のタラップから落ちるシーンはそのままだが、その際一に悪態をつくことがない。
  • 森村圭一の死体が発見される。
  • 椎名の“死体”発見後、錯乱した加藤が島から逃げ出したいあまりに海に飛び込んで溺れ、一に救助される。
  • 新谷百合が海老沢の姉から母の妹(叔母)に変更。
  • 川島と白石の家族の職業(川島の父が内科部長、白石の母が看護師)が明言され、一が梯子を持ち出した人間が川島であることに気付くきっかけとなる。
  • 加藤殺害時に一は朝まで眠り込んでおり、真相解明は加藤殺害の翌日の夜に変更
    (原作では夜中に美雪に起こされて死体を発見し、そこから夜明けまでの間に真相を解明している)。
  • 塚原の経歴(サナトリウム時代からの勤務で、唯一の生き残り)を追加。
    また、身寄りがなく栄光寮が閉鎖されてしまうと行き場がないため、怪談話を流して島の売却を阻止していたということになっている。
  • 首吊りトリックの際、椎名が梁にロープをひっかけるための重りとして自分の靴を使っている
    (原作では単に「重り」としか描写されておらず、アニメ版では分銅型の重りを使っていた)。
  • 森村の殺害について、「椎名の部屋に呼び出されて眠らされ、一たちが内視鏡越しに目撃した0時の時点で殺害された」となっている。
    原作では森村は自分の部屋で絞殺されており、一たちが内視鏡トリックで吊るされる姿を目撃した時点では既に死んでいた。
  • “2つ目の鬼火”は登場しない。
  • 海老沢の小説に「暗い穴」というタイトルが設定された。
    また、森村殺害の内視鏡トリックだけではなく、真犯人が最後に焼身自殺するという結末に至るまで、
    椎名が行った犯行の全てが海老沢の小説をなぞっているという設定になっている。
  • 事件後、一が海老沢の病室を再訪するシーンはカット。バラの件もなし。



追記・修正は鬼火を飛ばしてからお願いします。

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最終更新:2020年09月16日 20:34