東奥義塾対深浦

登録日:2014/08/28 (木) 16:23:30
更新日:2024/09/14 Sat 01:42:03
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全国49地区に分かれた4000校前後の高校が、甲子園の切符をかけて戦う全国高校野球の地区予選。
その中には全国制覇を視野に入れる名門、久々の復活を期する古豪、旋風を巻き起こそうと意気込む新鋭、一発逆転を虎視眈々と狙っているダークホース、他の部活からの助っ人を加えてなんとか出場にこぎつけた小規模校などさまざまなチームがある。
そんなさまざまなチームが入り乱れて激しい戦いを繰り広げる地区予選では、時に野球とは思えないような大差がつくことがある。
これから紹介するのは、そんな大差がついた試合の中でも、今もなお高校野球ファンのあいだで語り草になっている試合である。

概要


時は1998年7月18日、青森県の青森県営野球場で行われた東奥義塾対深浦高校の試合で、それは起こった。
先攻の東奥義塾は甲子園出場経験もある古豪、一方後攻の深浦は部員わずか10人、しかもそのうち半数が高校から野球を始めた選手だった。
そんなわけで当然ながら動きはぎこちなく、試合前の守備練習を見た対戦相手の東奥義塾の選手が「これでアウトがとれるのか」と心配していたほどだった。
そして午後2時33分、プレイボールがかかった。東奥義塾は初回から早速猛打を浴びせかけ、なんと1回だけで39点を奪って深浦の先発投手は39失点で大炎上し、その後も容赦なく攻め続けた。
これに対して投手陣が完全に俺達状態になってしまった深浦側は、監督が選手たちに「ここで試合を放棄することもできるが、どうするか」と問いかけたが、選手たちは「ここでやめるのは応援団に失礼」として、最後まで戦うことを選んだ。また東奥義塾側も「手を抜くのは失礼に当たる」として、2回以降も攻撃の手を緩めなかった。
そしてプレイボールから3時間47分後、ようやく当時の青森大会の規定の7回が終わり、コールドゲームが成立した。スコアボードには「122」という、通常の野球の試合では到底考えられない数字が刻まれていた。
結局この試合で東奥義塾は86本ものヒットを記録、うち二塁打が31本、三塁打が21本、本塁打が7本と凄まじい猛攻を見せ、青森大会の大会記録を軒並み更新した。一方の深浦は16三振を喫するなど無安打に封じられ、得点を挙げることができなかった。

この試合の反響


この常識外れの試合は、青森県のみならず全国で報道されて大きな話題となった。当時の記事を見て目を疑ったのは筆者だけではないだろう。
また、この試合を教訓としてそれまで各都道府県ごとにバラバラだったコールドゲームの基準が2000年度に統一され、5回以降では10点、7回以降では7点差以上でコールドゲームが成立するルールとなった。(現在の規定ではこの試合のスコアは93-0となる)
この試合のあと、深浦に対して「諦めずによく最後まで戦った」、「これだけ一方的な試合をよく投げ出さなかった」という賛辞が送られた一方で「これだけ弱いのならそもそも大会に出るべきではなかった」という批判も寄せられた。また東奥義塾にも「最後まで手を緩めずに攻めたのは立派」という賛辞と「いくらなんでもやり過ぎ」という批判が送られた。

その後


この試合の翌年以降も深浦は夏の大会に出場を続け、6年後の2004年に念願の夏の大会初勝利を挙げた。しかし、2007年度からは分校の「木造高校深浦校舎」となり、2023年3月をもって県立高校再編に伴い閉校した。

余談


  • なんとこの試合はメイン球場でもある県営球場での試合だったのでテレビ中継も行われていたが、途中で打ち切りになっている。
  • 東奥義塾の3塁コーチャーが肩を回し過ぎてケガとなり、救急車で運ばれている。
  • 東奥義塾は優勝候補の一角と目されていたが、今回の試合で消耗してしまい、次の試合でこちらの投手陣も俺達と化してコールド負けを喫している。
  • 深浦高校が夏の県大会初勝利を挙げた相手も同じような境遇の学校だった。






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最終更新:2024年09月14日 01:42