スキーロッジ殺人事件(名探偵コナン)

登録日:2015/01/21 (水) 09:37:17
更新日:2020/06/08 Mon 21:35:48
所要時間:約 8 分で読めます





ホラ、行くよコナン君!
みんなの所へ…

襲われた園子や米原先生…

そして殺された
2人の先生の敵討ちにね!!


『スキーロッジ殺人事件』とは、『名探偵コナン』において、かつて毛利蘭が工藤新一の助言を元に解決した事件。
単行本第14巻と第15巻に収録されている。アニメ版では第84話・第85話として、1997年12月8日と15日に放送された。2020年の2月1日と2月8日にはデジタルリマスター版で再放送された。
蘭が初めて探偵役に挑み、同時に彼女にとって最も辛い結末を迎えたであろう事件であり、『コナン』の話の中でも後味の悪い結末を迎えた話の一つでもある。


以下、ネタバレにご注意ください。


【あらすじ】
12月21日、長野*1のスキー場に遊びに来ていたコナン、蘭、園子は、小学校時代の恩師である米原晃子と再会する。
米原は現在の勤務先である杯戸小学校の同僚と共にスキー旅行に来ていたらしい。
そのメンバーの1人・下田耕平の誘いで、彼らが借りている貸別荘に行く事になった3人。
だがそこで待っていたのは、残るメンバーの杉山ではなく新聞記者の森敦士だった。
森は「今夜ここで何かが起こるとタレコミがあった」と言って強引に上がりこむが、その言葉の通りに園子と米原が相次いで襲われる。
一行は未だに現れない杉山の仕業だと考えるが、彼は後に絞殺体となって発見される。


【事件関係者】

  • 米原晃子(よねはら あきこ)
CV:三輝みきこ
杯戸小学校の教師。30歳。
ウェーブがかったロングヘアを持つ美人だが、中村曰くこの髪型は「婚期を逃した30女の必死の抵抗」らしい。
蘭や園子が小学生だった頃の担任で、当時はクラスの女子の憧れの的だった。
だがその話題になった時に「実際は生徒の為に何もしてあげられないただの女」だと謙遜するが……
犯人に最初に襲われ、手の甲に口紅で「」と書かれていた。
声優が鳥人戦隊の長官。

  • 下田耕平(しもだ こうへい)
CV:水野龍司
杯戸小学校の教師で5年1組の担任。30歳。
最初はスキーのインストラクターを装って蘭達に近づきナンパしていた。
その時の声の掛け方もどことなくチャらいが、同僚からはサムいと不評だった。
犯人の残したメッセージが「ミナコ」だと知ると途端に怯えだし、無関係を主張して部屋に篭ってしまう。
その後遺体となって発見されるが、彼を絞殺した縄のような凶器は2階からは発見されなかった。

  • 坂井隆一(さかい りゅういち)
CV:中村雄一
杯戸小学校の体育教師。29歳。
下田と一緒に蘭達をナンパするが、どちらかというと真面目な印象の人物。
その為不謹慎な発言を繰り返す森に幾度となく突っかかっていた。
声優が某俳優と同じ読み。また、同じ読みの声優がいる。

  • 中村実里(なかむら みのり)
CV:山崎美貴
杯戸小学校の養護教師。27歳。
米原とは対照的におとなしめな女性。
襲われた米原や園子の手当ての他に、吹雪で来られない警察の代わりに簡単な検死も行っていた。

  • 森敦士(もり あつし)
CV:大友龍三郎
新聞記者。37歳。
「今夜ここで何かが起こる」というタレコミを理由にロッジに来た。
全体的に暗めな色の服に身を包んだ怪しげな人物で、言動も不気味。
陰険な性格で、事あるごとに「3年前の事は忘れない」と杯戸小の教員に対して言い放つ。また、下田の遺体が発見された際、犯人が逃げないように階段の前で残っていたコナンの「犯人を見ていない」という証言が出鱈目(途中でトイレに行っていてその隙に逃げられたという言い分)だと疑ったりもしている。
そんな感じでとても怪しいキャラだが、殺される事はなかったうえ、下田が殺された時は1階にいたため、容疑者にも含まれなかった。
不気味な話し方、窪んだ瞳にこけた頬、恐らく「名探偵コナンの犯人でも被害者でもないゲストキャラで印象に残っているキャラランキング」なんてものがあったら間違いなく上位にランクインするであろうキャラ。

  • 杉山(すぎやま)
杯戸小学校の音楽教師。
ホラー映画好きだった為、園子や米原を襲ったのは彼だと考えられていた。
だが実は9時間前には既に殺害されており、その遺体は犯人によりインターホンに立てかけられた。
彼の手の甲には「」という文字が残されており、それを知った下田は……

  • 望月美奈子(もちづき みなこ)
杯戸小学校6年生。
3年前にバレー部の部室で首吊り自殺をした女の子。米原をとても慕っていた生徒でもある。原因は受験ノイローゼとされている。
自殺当時は担任だった米原に非難が集中したらしいが、その時に他の生徒は「先生のせいじゃない」と庇っていた為、彼女は今でも教師を続けられている。
ちなみに坂井は美奈子が所属していたバレー部の顧問で中村は美奈子が保険委員だった為、教師の中で米原と並んで一番親しかった。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
新一として小学校に通っていた時には米原の教え子ではなかったが、蘭が給食費をなくした時に隣のクラスから乗り込んできて見つけたことから、彼女からは「小生意気な探偵気取りのチビスケ」だと認知されていた(「悪かったな、チビスケで………」byコナン)。

ご存知蘭姉ちゃん。
園子が襲われた時に、空手でドアを破壊して彼女を助け出す。
解決編では、特殊な状況(後述)で初めて探偵役に挑戦。だが……

ちなみに、原作ではスカートだったが、アニメではショートパンツに変更。原作のドアを蹴破るシーンでアレしてたせい…?

ご存知お嬢様。
今回も恒例の男探しの為に雪山を訪れていた。
米原が部屋で倒れているのを見て悲鳴をあげるが、直後に犯人にクロロホルムを嗅がされ、絞殺されかけて気を失う。
彼女の手の甲には口紅で「」と書き残されていた。

ご存知天才発明家。
コナンの頼みで3年前に杯戸小学校で起きた自殺騒動の事を調べる。
その時に蘭に新一の事を口走った為、危うくコナンの正体がばれそうになるが、直後に第2の事件が発生してそれどころでは無くなったのでうやむやになっている。
今回はイヤリング型携帯電話という、どう考えても小学生にはミスマッチなアイテムを開発するが、意外な所で活躍した。


【以下、終盤前のネタバレ】

下田の殺害現場から髪の毛を見つけて事件の真相に辿り着いたコナン。しかし、犯人に襲われ、その後もほとんど寝たままで事件を全貌を把握してない園子を探偵役にするのは不自然に見えてしまう。かといって蘭を眠らせて探偵役にしても、後で誤魔化しが効く訳がない。仕方なく、新一の声を出し電話を通して推理を話そうと考えるが、その手段も新聞記者の森がいる状況では不可能だった。

新一の声で推理を披露すれば、森がそのことを新聞の記事として掲載。その結果、新一の生存がジンウォッカがいる黒ずくめの組織に露見してしまう恐れがあるからだ。

最悪の事態に息詰まるコナンだったが、蘭に掴まれた拍子にイヤリング型携帯電話を階段から落としたのをきっかけに阿笠から聞いた携帯電話の機能を思い出す。蝶ネクタイ型変声機からイヤリング型携帯電話に直接電話をかけることができ、変換した声で相手と会話ができるメリットがある。そこでコナンは最後の手段を思いつき、変声機で蘭が拾ったイヤリング型携帯電話に電話をかける。

新一の声で電話を通し、蘭と会話するコナンは自分の話した推理をその通りに喋ってほしいと指示を出す。相手を新一本人と信じ込んでいる蘭は新一の頼みに最初は渋るも、園子達を襲った犯人に目にものを言わせるために引き受けるのだった。イヤリング型携帯電話を左耳に装着し、園子達の所へ向かう蘭だが、コナンは彼女の背を見ながら浮かない表情をとっていた…。

園子達の前に立った蘭は電話を利用し、廊下にいるコナンが喋った通りのセリフを真似しながら話していく。これに対して森は「推理が間違っていたら、名誉棄損で訴えられて退学させられますよ」と脅迫。怖気づいてしまう蘭だが、新一の励ましにより気を強く持ち直し順調に殺人トリックを説明していった。

ようやく犯人を名指しする時が来るのだが、そこで新一の口から犯人の名を聞き言葉が息詰まるほどのショックを受けてしまう。そして、一瞬の間を経た蘭が大粒の涙を流しながら指差したのは…


【以下、事件の真相】























許せなかったのよ…

自分に憧れている生徒を裏切り、
ましてや殺してしまうなんて…

同じ教師として絶対に!!

  • 米原晃子
今回の事件の犯人。
実は3年前の望月美奈子の自殺の真相を知っていた。
3年前に美奈子から「不正入試を斡旋している先生を2人突き止めた」との相談を受け、そのうちの1人は杉山だと聞くが、もう1人の先生について美奈子は「自分の憧れの先生だから本人に直接確かめたい」という理由でその名を口にすうることはなかった。
その翌日、美奈子はバレー部の部室で首を吊った遺体として発見され、学校側はこの件を自殺だと揉み消したが、前日に美奈子から相談を受けていた米原は「彼女は問題の教師2人に口封じされた」と確信。
その時点で警察に駆け込む事も出来たが、自己保身の為に自分の教え子だった生徒を殺める行為が(前述の台詞通り同じ教師として)どうしても許せなかった為、彼女の仇をとる為に今回の犯行を実行する(仮に警察に駆け込んだとしても明確な証拠がないため二人が罪に問われた可能性は低かったということもあるのだろう)。

死亡する前日に美奈子が言っていた「自分の憧れの先生」という言葉を元に、彼女が憧れていそうな先生を誘って今回のスキー旅行を計画。
その後自らを含めた被害者達の手の甲に「」「」「」と書き残していく事で、もう1人の標的である下田を炙り出す事に成功する。
自分を容疑者から外す為に自分そっくりに仕立てた杉山の遺体を園子に見せたり、地毛だと思われていたロングヘアーのカツラを使って下田を絞殺したりなど大胆なトリックを用いる。だが下田の殺害現場からカツラ用の人毛が発見され、そして今もなお付けていたカツラに下田の血液が付着している事を蘭から指摘された事で全ての罪を認めた。
計画の為とはいえ、かつての教え子だった園子を襲ってしまった事を悔やんでおり、「ゴメンネ……こんな先生で…」と彼女に対して直接謝罪の言葉をかけた。動機も相まって、本当に心優しき教師だったに違いない…

なお、もしコナン、蘭、園子がロッジに来なかったら誰を襲うつもりだったのかは不明(もしかしたら、同じ女性である中村先生を襲うつもりだったのではないか)。
しかし、予定外に彼らがロッジに来て、更に米原に扮した杉山を発見したのが園子であった為、やむなく米原は彼女を襲う事に。
それは米原にとっても苦渋の決断であったと考えられ(現に黒タイツさんの状態ではあるが、彼女は部屋にいた園子を見て驚いている)、米原がトリックの為に園子を襲った事を詫びた点から見ても、皮肉な展開と言える。

ちなみに森を貸別荘に呼び寄せたのも彼女。
すべてが明らかになった後に「この事しっかり書いてくださいね」と言っている辺り、彼に3年前の事件の真実を報道してほしかったのだと思われる。
それは殺害の動機でもあるため、仮にコナン達に犯行を暴かれなかったとしても、いずれは自白する予定だったのかもしれない。
どんな理由があろうと殺人は肯定されるべきではないが、他に方法があったのだろうかとも思えてしまう。
動機も相まって米原には同情するべき点もあり、下田と杉山に非があるのは明白である。
でもだからといって殺人が許されるわけではない。まさに『罪を憎んで人を憎まず』である。
出所後はもう1度改めて教師をやってほしいものである。
原作とアニオリ回全部を含めて、園子の知り合いが犯人だった話はそこそこあるが、蘭の知り合いが犯人だったパターンは少なく、後は幼少時に起きた誘拐未遂事件ぐらいしかないと思われる。

  • 下田耕平
  • 杉山
不正入試を斡旋し、その事を3年前に知った何の罪も無い未来ある生徒を口封じの為にその命を奪った非道な人物達。
特に下田は美奈子から尊敬されていたにも関わらず、それを裏切り彼女を殺害するというド外道。
良心の呵責を少しでも持っていたら米原に殺害される事もなかったかもしれないが、下田の初対面時の態度や事件を蒸し返された際に「俺は関係ないんだ」などと美奈子を殺した張本人のくせにのたまっていたため、そんなものは無かった模様。
(ただし、篭った際に「俺は誰かに(美奈子の仇討ちで)殺される」と怯えていた様子からしてそれ相応の罪を犯した自覚はあった様子)

ただ、下田の「俺は関係ない」という言葉を信じるとすると、美奈子を殺した実行犯が杉山だったという可能性もあり、下田は美奈子殺しに直接関わっていないとも考えられるが。
下田と杉山の不正入試の斡旋、そして美奈子殺害の主従関係は明らかにはなってはおらず、また同情の余地は皆無である。
児童の模範となるべき先生の素顔がこんな非道を犯していた人物だと知ったら、彼らの教え子だった児童達は果たしてどのような感情を抱くのだろうか……?
ただ、杉山に関しては(本性は別として)普段からも変わり者の印象が強いと思われるので、児童達からは「やっぱりね」と呆れられた可能性もある。

男性教師達の不正入試斡旋が発覚し、彼らを同僚の女性教師が殺害するという2つの大きな事件が起きた杯戸小学校だったが、この事件のかなり後に同じ杯戸小学校の別の教師が重傷を負うという新たな事件も発生している。
呪われてんじゃないかこの学校…

  • 望月美奈子
不正入試の斡旋を知ってしまい、それを尊敬していた下田に確かめたことで口封じに殺されてしまった可哀想な被害者。
素直に下田のことも米原に話していれば殺されることもなかったかもしれないが、下田を尊敬していたからこそ米原には言えなかったのだろう(仮にもしも米原に真相を話して後を彼女に任せていたら米原のほうが口封じをされていたかもしれないが)。
コナンの世界では某探偵漫画と違い未成年が殺害される事はものすごく少なく、コナン(新一)が原作回で絡んだ事件で未成年の被害者となったのは探偵甲子園の事件だけでかつ最年少である。
だが、絡んでいない過去の事件を含めると最年少の被害者は美奈子となる。
何にしても美奈子は口封じというくだらない理由で殺されてもいいような子ではなかったのは確かである。ひどい話だ。

  • 森敦士
見るからに怪しいので犯人だったとしてもおかしくはなく、あるいは犯人から恨みを買って殺されそうなキャラではあるが最初の時点で容疑者から外れ、結局今回の事件の犯人でも共犯者でもない為、少なくとも今回の事件に限って言えば完全にシロの人物。
この手の人物は犯罪者だったり真っ先に殺される被害者であるコナンの中では非常に珍しいケースと言える。
事件解決後は今回の事件を記事にした。
現在の『名探偵コナン』では主要人物が増えてきたものの、当時は灰原哀などほとんどの主要人物が登場していなかった為、黒の組織を除いた歴代のゲストキャラクターの中ではコナンにとっては最もやっかいな人物だったと思われる。

  • 毛利蘭
事件解決後、森に「今の推理、記事にさせてもらう」と言われ、蘭は「勝手にすれば…」と気丈に振舞いながら部屋を出る。
だが蘭の中では「真犯人が恩師である米原であった事」や「その米原を自分が追い詰めてしまった事」などの思いが入り乱れ、涙をこらえるので精一杯だった。
そこにコナンが現れると、蘭は彼に新一の面影を見る。
今にも泣き出しそうになっている蘭に何か言葉をかけようとしたコナン。だがその前に蘭はコナンにしがみつき、声をあげて泣き崩れてしまった。
事件解決の為とはいえ蘭に辛い思いをさせてしまったと負い目を感じていたコナンは、彼女にかけてあげる言葉もなく、今はただ彼女の悲しみを受け止める事だけしか出来なかった……
そしてこの事件で彼女に深い悲しみを背負わせてしまった負い目からか、殺人事件において蘭が探偵役となった事件は、この話が描かれてから20年以上経った今でもこれっきりとなっている。
(ただ、蘭はその後の事件でコナン(新一)の助言を頼りに解決した話もある)

なお、園子は前述の通り事件の全貌を把握していないものの、眠らせて事件の内容をコナンから聞いたことにすれば蘭に辛い思いをさせることもなかったと思われる。
どちらにせよ、犯人が米原先生とわかった時点で辛い思いをしていたかもしれないが。

今回はやむなく蘭を探偵役にしたが、後の修学旅行等の事件をみる限り、服部平次に電話をかけることはできなかったのだろうか?という意見もある(この時は既に平次に正体はバレている)。
仮に森に記事にされたとしても新聞の見出しは『大阪の高校生探偵スキーロッジで起きた事件を解決!』とかになると思うので問題はない。

コナン
「新一兄ちゃんにかけても繋がらなかったから、平次兄ちゃんに事件のことを話したんだ!」

平次
「くど…、い…いや、コナン君から事件の概要は聞かせてもろたで!」

こんな感じで(笑)。

おそらく平次の電話番号をこの時はまだ知らなかったか、切羽詰まった状況だったため思いつかなかったかのどちらかであろう。


【余談】
『名探偵コナン 特別編』14巻収録「音楽堂殺人事件」でも蘭が探偵役になる展開が描かれている。
蘭は園子と一緒に杯戸音楽大学で行われる音楽会に来たが、園子が用事で帰ってしまった為、コナンと一緒に鑑賞する事になった。音楽会で殺人事件が起こり、小五郎と園子が不在だった為、コナンは新一の声で蘭に探偵役を頼んだ。スキーロッジでの事件と同じく、コナンが新一の声でイヤリング型携帯電話を左耳につけた蘭に推理を教える形になっている。



追記・修正は悲しみを受け止められる方がお願いします。

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