チャンプ(未確認生物)

登録日:2015/02/17 (火) 21:50:38
更新日:2024/05/24 Fri 01:50:44
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概要

アメリカ、ニューヨーク州およびバーモント両州からカナダにまたがる細長い形をした湖、シャンプレーン湖。
この湖に生息するとされる未確認生物がチャンプである。
公式に記録された最初の目撃は1609年だが、地元の先住民の間では 角を生やした巨大なヘビ が居ると信じられていた。

形態

目撃証言やイラストを見る限りでは、チャンプの姿かたちはネッシーのような首長竜タイプ。
全長は5m~20mと幅が大きく、体重は数トンと推定されている。
体色は黒、もしくはそれに近い暗褐色。
首長竜タイプの未確認生物だが、頭部に角やタテガミ、ヒゲのようなものがあったと語る目撃者もいる。

実在を裏付けた1枚の写真

チャンプの目撃例は質・量ともに充実しており、実在する可能性は高いとされている。
中でも、1977年に撮影された1枚のカラー写真によって、チャンプの名前は全世界の知られることになった。

この写真は1977年7月5日に、コネチカット州クロトン在住のサンドラ・マンシー氏によって撮影された。
彼女は家族とともにドライブ旅行をしている最中、シャンプレーン湖のほとりで休憩している時のことであった。

ところが、この写真が世に広まったのは撮影から4年後の1981年である。
マンシー家を訪れた知人の間で「奇妙な生き物が写っている」という噂が広がり、遂には夫人がこの写真を公表するに至ったのである。
件の写真は1981年6月30日付の「ニューヨーク・タイムズ」に掲載され、続いて「タイム&マクリーンズ・マガジン」という雑誌でも紹介された。
案の定大反響を呼び、研究者や科学者の間では真贋を巡って議論が紛糾した。

検証

最初にチャンプの写真に本格的な分析を行ったのはアリゾナ州立大学工学センターのロイ・フリーデン博士。
彼は当時(1981年)のハイテク機器を駆使して写真の詳細なデータを調査し、以下の結論を導き出した。
1.被写体の生き物は初めから写真に写り込んでおり、合成ではない。

2.写真の色彩の密度分布分析や、100万個のドット変換による精査でも、モンタージュ、多重露光、切り貼りなどの痕跡は全く見られない。

3.被写体から派生した波の存在が確認された。これは怪物の動きによるものとしか考えられない。
これらの3つの結果から、 「写真はトリックではなく、シャンプレーン湖には何か生き物が存在する」 という結論に達したのだ。

更に翌年の1982年、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の海洋生物学者ポール・レブロンド博士が調査を行った。
彼は写真に写り込んだ波の形、大きさを分析し、チャンプの体長を割り出した。
そのデータは 4.8m以上 17.2m以下 という緻密なもの。
レブロンド博士は波浪現象のエキスパートであり、写っている波形と大きさから導き出したこの結果は非常に信用性が高い。

こうして、専門家の目からも真正のものとの評価を得たこの写真は、チャンプの実在を裏付ける貴重な資料となったのである。

主な目撃・遭遇の歴史

  • 1609年7月
フランスの探検家サミュエル・ド・シャンプランが体長6mのヘビのような怪物を目撃。
怪物の胴回りは酒樽ほどもあり、長い首には馬のような頭が付いていた。
因みに、シャンプレーン湖の名はこの探検家の名前からとられている。

  • 1819年7月
シャンプレーン湖を航行中の船が湖面に大きなウネリを発見、直後に怪物が現れた。
目撃者のクラム船長によると、怪物の頭は黒くて平べったく、中心には2本の角のようなもの、上顎にキバが1本認められたという。
怪物はチョウザメ2匹をでひと叩きした後、南の方角に泳いで行った。

  • 1936年7月15日
石油タンカーの乗組員が体長18m、体高2.4mのチャンプを目撃。
巨大なヒレと硬そうな鱗に覆われた背中を持っていたという。

  • 1952年7月
ジョセフ・ハーバード一家がウィースキ川付近で、約2mの黒灰色の怪物を目撃。
頭から首にかけて茶色がかった房のような毛が生えていた。

  • 1973年冬
ビル・マブライエンが湖上のフェリーから目撃。
怪獣の皮膚はオリーブ色で、潜水艦の潜望鏡のように、首を30cmほど湖面から出していた。

  • 1976年
シャンプレーン湖北西部のトレッドウェル湾に、体長6mあまりのチャンプが出現。
目撃者のオーヴェル・ウェルスによると、皮膚は茶色、湖面上に長い首と二つのコブが出ていた。

  • 1979年6月3日
シャンプレーン湖の北西部、ニューヨーク州エセックスに面したワロン湾で、
ジム・ケナードとジョセフ・ザジンスキーが曳航式のソナーでチャンプの調査を行っていたところ、
水深53mの地点を泳ぐ巨大な影をキャッチした。
魚の群れとは明らかに異なるという。

  • 1981年
複数の目撃者によって、数個のコブを背中に持ったチャンプが目撃された。
体長は12m~18mで、メアリー・カーティが、望遠レンズ付きのカメラで撮影に成功している。

  • 1982年5月30日
グレダ・キャロルと友人のジェームズ.Aがヨットでフォアブラザーズ島付近を航行中に、湖面から首を出し背中にヒレをもったチャンプを目撃。
湖面上から出た首の部分だけでも4~5mあり、体長は9~15mに及ぶと推定されている。
皮膚は黒褐色、頭から胴にかけて黄色い縞模様があったという。

  • 1983年6月14日
午後7時ごろ、夕食を食べていたディック・ノエルとティム・ノエルが体長7m、湖面から1.2mほど首を出すチャンプを目撃。
3個ないし4個のコブのようなものがあったという。

  • 1983年8月27日
エヴァ・ガービンと友人が体長6~7mほどのチャンプを目撃。
小さな頭と長い首、二つのコブが出ていたという。

  • 1984年7月28日
シャンプレーン湖を遊覧していたフェリー「スピリットオブイーサンアレン」の
船内レストランで食事をしていたミッチェル・シーとベティ・モリスがチャンプを目撃。
全長およそ9m、3個ないし5個のコブがあったという。
このチャンプは10~15分に渡って湖面を泳ぎ続け、その間レストランに訪れていたおよそ60名の人に目撃されたという。

  • 1987年6月23日
セドリック・ハスキンが湖中心部の島に面したキーラ―湾で、湖面から首を出している怪物を目撃。
皮膚は濃い茶色で、角ばった象の鼻のような頭部が特徴的だったという。

  • 2006年2月
釣り人によってチャンプがビデオ撮影され、アメリカのABCニュースで報道された。

  • 2009年5月31日
午前5時30分ごろ、朝日を撮影するために訪れた住民が湖面を移動する奇妙な物体を目撃、ビデオカメラで撮影に成功した。
水上から突き出た部分は一見すると流木にしか見えないが、
水中に隠れた部分から明らかに流木とは別の巨大な波が発生しており、何かしらの巨大生物であることは間違いないとされている。


正体の考察について

目撃証言の多さや信憑性の高さが証明された冒頭の写真からも分かる通り、最も有力なのはプレシオサウルスに代表される首長竜の生き残り説である。
しかし、シャンプレーン湖は冬季になるとかなりの長期間、氷で覆われてしまうため、
肺呼吸の生物がどのように生き延びるのかという謎もあり、そこからチャンプの存在に否定的な見解を出す研究者も多い。

また、湖に生息するチョウザメの巨大化したものを見間違えたという説もある
同湖で釣れるチョウザメは非常に大きく育つことで有名で、場合によっては2mを超える個体が釣り上げられた記録もあるほど。
しかし、これだけで目撃例のすべてを片付けてしまうのはいささか無理があるようだ。

他には新種の海生哺乳類説、未知の大型魚類説などが挙げられている。


追記・修正はチャンプを釣り上げてからお願いします。

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最終更新:2024年05月24日 01:50