登録日:2018/09/11 Tue 20:05:58
更新日:2023/04/02 Sun 00:07:53
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注射の道具にもなり、
泳ぐための道具にもなり、
逃げるときのいけにえにもなる。

人間は、絵を描くときの道具にもしている。

ほとんどの動物が持っているこれは何!?



()または尻尾(しっぽ)とは、主に脊椎動物に見られる身体の部位の一つ。英語では「tail(テイル、テール)」と呼ぶ。
魚類や鳥類の場合は大抵「尾びれ」「尾羽」と呼称される。

基本的にはどんな生物でも下半身…もっと言えば背面且つお尻の直ぐ上辺りに位置している。
長さや形状は生物によってまちまちだが、筋肉を用いて動かすことで生物によって様々な使い方をする。

なお、必ずしもすべての脊椎生物に尾があるわけではない。
例えばゴリラチンパンジー、そして我々ヒトなどといった「類人猿」には尻尾が見られない。
これはもともとバランスを保つために存在していたのが、
前肢の発達や直立二足歩行への移行などといった進化の過程で喪われたという説が有力視されている。
とはいえ一応、脊椎の一部に「尾骨」と呼ばれる尻尾の名残がある。
お尻の割れ目が始まるあたりを強く触ってみると何か硬いものにあたるはずだが、ソレが尾骨だ。

目次

尻尾の様々な用途

感情表現

ネコイヌは尻尾で気持ちを表すことで知られている。
一般的にはイヌが尻尾を振っている=喜んでいると思われがちだが、詳細は割愛するものの振り方にもいろいろあり必ずしもそうではなかったりする。
ネコ科の場合、雑種でも尻尾の短い個体がおり、短い尾の遺伝子を受け継ぐ個体は短い尻尾を持って生まれてくる。
尾の短い個体は一部地域に集中して分布しているため、地域によってはあまり見かけない。
また、ネコ科よりも多様で幅広い姿を持つイヌ科の場合、尻尾が無いに等しいくらい短い犬種も…。
ちなみに「?(クエスチョンマーク)」の由来の一つとして、猫の尻尾の動きと肛門をもとにしたという説がある。
なおあまり知られていないが、実はブタも尻尾で気持ちを表す。

バランスを取る

チーターが地上最速とまでいわれるスピードで走りながら曲がっても勢い余って転ばずに済むのは、尻尾を大きく振ってバランスを取っているから。
また、小型のネコ科の足場が悪い場所での移動、カンガルーの跳躍時にも尻尾がバランサーの役割を果たすことがわかっている。
ティラノサウルスも、巨大で重い頭部を持ちながらも、同じく巨大で重い尾の存在によって、前後のバランスをとり、巧みに重心を移して走っていたと考えられている。

物をつかむ

樹上生活をする一部のサルの仲間は尾の筋肉が発達しており、枝に巻き付けることで移動や食事に役立てている。
さながら脚が5本あるようなものといえるだろう。

防衛手段

「トカゲの尻尾切り」という言葉があるように、トカゲやカナヘビには敵に襲われると自ら尻尾を切って逃げ出すものがいる。
この切られた尻尾はしばらく動き回り、敵の意識をそこに集中させることで追跡から逃れるという寸法。
本体のほうは筋肉をちぢませることで出血を抑えているほか、時間の経過と共に尻尾もまた生えてくる。
ただし自切で尾をデコイにするのは一度きりの手段であり、再生した尾は自切できないし、切断されても動き回ることはない。
トカゲ以外だと、ガラガラヘビが尾の先端(脱皮の殻が積もったもの)を震わせることで警告音を発して威嚇する。

推進力

魚類や両生類、一部の爬虫類や海棲哺乳類など水中で活動する生物は尻尾で水をかいて泳ぐ。
なおカエルの場合幼体(オタマジャクシ)の時は尻尾を使うが、
成長するにつれ四肢の発達と同時に尻尾が退化していき、成体になると完全になくなり後肢を使うようになる。

攻撃

クジラ類の最大の武器は尻尾であり、文字通り生物界最強の破壊力を持つ。

オナガザメと呼ばれるサメの仲間は尾びれの上半分が自身の体長と同程度に伸びており、
これを勢いよく振ることで獲物のイワシを真っ二つにしてしまう。

また、ワニは噛む力の強さばかりが注目されるが、硬い鱗で覆われた尾も恐るべき武器。その威力は人間が喰らえば骨折、最悪死に至るほど。

サソリやアカエイなど一部のエイなどは尻尾の毒針が有名。

絶滅種では草食性の恐竜や哺乳類に見られ、いざとなれば肉体動物相手に尾を振り回し対抗したと思われる。

尾の先端にスパイクの生えたステゴサウルスや、槌のようなコブを持つアンキロサウルスが有名。竜脚類もシュノサウルスやオメイサウルスが尻尾にトゲやハンマーを持つ。
また、竜脚類の尻尾はのようにしならせると先端が音速を超えてソニックブームを発生させたと思われる。


哺乳類だと、ドエディクルスのモーニングスターが比較的有名。


架空の世界における尻尾

神話・伝承

特異な尾を持つものとしては、神、動物が年を重ねて妖力を増し、複数の尾を持つに至った存在が有名。
「猫又」や「猫ショウ」、「ナマトヌカナシ」や本栖湖の龍神、「九尾の狐」などの妖狐や、尻尾そのものが生きた毒蛇になっているギリシャ神話の合成獣「キマイラ」、そして日本妖怪で最大級の知名度とスケールを誇る「八岐大蛇」などが特に有名。


漫画

ドラゴンボール

孫悟空をはじめとしたサイヤ人たちには猿を思わせる尻尾が生えている。
ブラシを持って背中を洗ったり、子供時代は回転させて空を飛んだりと器用に使える。
そしてその真髄は「大猿化のための器官」。満月の時の月光に含まれる「1700万ゼノを超えるブルーツ波」を目に浴びると、尾が反応して肉体が大猿になるという。
大猿への変身のみならず、大猿状態の維持にも重要な器官であり、これを切除されるとたちまち人間体に戻ってしまい、もちろん変身も出来ない。
また、尾は握られると力が抜ける、切除されると動きのバランスが悪くなるなどの悪影響をも引き起こす「弱点」でもあり、
それを補うべく、サイヤ人社会の中で育った人物は胴体に巻き付けていることが多い。

ただし悟空の場合、原作中で尻尾のある姿が見られるのは少年時代のみで
マジュニア戦直前に神様との修行中に取られて以降は全く生えてきていない。
なお『GT』の4代目ED映像では「尻尾の生えた大人の姿の悟空」が映るカットがある。
『ドラゴンボール大全集 4巻』によれば、尻尾の生えてこなかった子供は高い資質を持っているとされている。

敵キャラではセルが吸収能力のある尾をもっており、これを用いて人々や人造人間に襲いかかった。
特殊な能力こそないが、フリーザも長い尾を持ち攻撃に使っている。
……が、日常生活には割と不便そうで、フリーザやその父のコルド大王、兄のクウラなどは椅子に座る際、尻尾を前の方に垂らしていることが多い。


ゲーム

ポケットモンスター

尻尾を使った技として、初期状態で覚えてることが多い防御を下げる補助技「しっぽをふる」や、
攻撃技だと「アイアンテール」「アクアテール」「ドラゴンテール」「ポイズンテール」がある…のだが
どれもこれもメインにしろサブにしろ攻撃技としてはより汎用性や安定性で勝る候補が他にあるという状態だったりする。
もちろん状況次第では対人戦で使われることもあるので、どちらかと言えば役に立たない技ではなくマイナーな技である。

設定面で印象に残る尻尾を持つポケモンとしては
感情によって勢いの変わる炎が尻尾の先端で燃えている*1ヒトカゲ及びその進化系
尻尾を水中に垂らして釣りを行い、これにシェルダーが噛みついて進化することがあるヤドン
ワンワンみたいな顔と小さな脳があり、意志をもって動ける尾を持つキリンリキなどがいる。

このほか「なみのりピカチュウ」から進化させたライチュウに
ポケモンスタジアム(2以降)』『バトルレボリューション』などで「なみのり」を使わせると
自分の尻尾をサーフボード代わりにするというモーションが用意されている。
最近発見されたアローラ産ライチュウも尻尾に乗って浮遊しており、一部ではこのなみのりライチュウを思わせるという声も。
また、アニメではサトシの相棒・ピカチュウのサブウェポンとして、「アイアンテール」が多用される。
でんきタイプのサブウェポンとしてはゲーム的に正直イマイチ*2なのだが、その見栄えのカッコよさと汎用性からAG編以降現在に至るまで活躍している。
その影響から、ゲームのレッドのピカチュウや「ポケットモンスターSPECIAL」のレッドのピカでも、アイアンテールを使うようになった。
余談だがポケットモンスターSPECIALでは、ピカチュウやライチュウの尻尾が尖っていることから「尻尾を人間の首元に突きつけて動きを封じる」という、
ダイレクトアタック上等な同作らしいシチュエーションが複数あったりする。


テイルス(ソニックシリーズ)

ソニックにあこがれるキツネの少年で、彼のよきパートナー。
2本の尻尾をもち、これを回転させて飛行する「ヘリテイル」が得意技。

モンスターハンター

多くのモンスターが回転などによって振り回して攻撃に用いる。範囲が広く厄介な攻撃の一つ。
また、尻尾を必殺の武器として用いるモンスターも多く存在している。
普段は刃状の翼による攻撃を軸にするが、棘の生えた尻尾を逆立たせて叩きつける技を必殺技とするナルガクルガ。先の膨れた尻尾を叩きつけたり振り回したりしてハンマーのように用いるドボルベルク
巨大な剣のようになった尾を叩きつけたり噛んで研ぎつつ居合切りのように抜き放つ技を用いるディノバルドなどが存在している。

またハンター側からは斬属性の武器で切断できる代表的な部位であり、切断することでリーチが短くなり戦いやすくなる上に切断した尻尾が剥ぎ取りできることから狙う人の多い部位でもある。


尾獣 (NARUTOシリーズ)

定義が「尾を持つ魔獣」とされている。ただし、尾には蛸足や羽根、腕状触手も含まれる。
神樹の化身・十尾六道仙人こと大筒木ハゴロモが分配して生まれた9体の巨大生物とされ、圧倒的な戦闘力とチャクラを持つ。

もちろん、尻尾は強大な破壊力を有し、全員で息の合った攻撃を行う際には全員の尻尾を重ねて叩きつけることも

しっぽマリオ(スーパーマリオブラザーズ3)

スーパーこのはを取ると変身でき、尻尾で攻撃や飛行が可能。

ゾイド

尻尾を打撃武器として使用する種類は多く、代表的な種類だと例えばゴジュラスギガがいる。ただし、ガンブラスターやゴルヘックスは、尻尾を本能で振り回すため、尻尾に設置された機器類が壊れやすいとか。

ガイサック、デススティンガー、ライガー系、タイガー系、シャドーフォックス、ガンスナイパー系など尻尾に射撃装備を装備したり、荷電粒子砲を装備する種類には、尻尾を荷電粒子の吸引などに使う場合もある。
なお、射撃装備と一緒に専用の銃座がついていることもある。相当に不安定で危険な位置に見えるのだが、装甲どころか風防すら無い席でパイロットがむき出しになっていたりする。懲罰席の一種。流石に問題があったのか、近年のシリーズでは改められる傾向にある。

HMM版のバーサークフューラーやマザーバイオは、尻尾の先端に小型マグネーザーとエネルギー兵器を装備している。

ゾイドブロックスのレオブレイズ、レオストライカー、インフィニティレオ、ジーニアスウルフなどは尻尾そのものがブレードになっている。


特撮

怪獣たち

怪獣王ゴジラや近年は正義側に就くことも多いゴモラを筆頭に、尻尾を用いた強力な打撃は恐竜型怪獣の十八番。また、パシフィック・リムシリーズに登場する怪獣ではムタヴォア *3、オオタチ *4、スラターン *5、シュライクソーン *6、ハクジャ *7、メガ・カイジュウ*8なども尻尾を武器にしていた。

ゴジラが一度だけ見せた、ゴロザウルスのカンガルーキックを突き詰めたようなキックも尻尾を使う。

また、平成ガメラシリーズギャオスは、尾を超振動させて飛行の推進力にしている。


ウルトラマンはかつてゴモラと戦った際、尻尾で何度も打ちのめされてグロッキーになり、その所為でゴモラを倒し損ねてしまった。
打撃以外に用いる怪獣も多く、エレキングは尻尾を巻き付けて拘束した相手に電撃を浴びせる「エレクトリックテール」が得意技。
しかし時として弱点ともなり、相手に掴んで振り回されたり更にはぶった切られてしまうことも少なくない…。

メタ的な事情としては着ぐるみの尻尾は操作が難しいため、昭和の怪獣の多くは操作せず引きずって歩くことがもっぱら。
無抵抗なので掴んで振り回されたり、切られたり、格好の的となっている。
生物の尾は本来なら尾骨があるため、無抵抗に掴まれたり簡単に切られたりすることはない。
平成期に入ってからは撮影技術や着ぐるみ操作技術などの向上により、一部の怪獣が尻尾を持ち上げて歩行している。


プトティラコンボ仮面ライダーOOO

恐竜系メダルを用いて変身するコンボで、本編での最終フォーム。
ティラノサウルス要素を担う下半身・腰部分に装備された「テイルディバイダー」を尻尾状に変形させて敵を薙ぎ払う。
必殺技の1つ「ブラスティングフリーザ」では冷気を発して凍らせた敵をこのテイルディバイダーで打ち砕く。


有尾人一族ジャシンカ帝国(科学戦隊ダイナマン)

「ダイナマン」の敵組織。太古の昔に落下した隕石に付着した生命体から進化した「有尾人」である彼らは、尻尾の数でその身分が決まるという特徴がある。
故に、たとえ帝国の皇族であっても尻尾を失うと最下層の身分へと落とされる。このことは終盤に大きなドラマを生むことになった…。


電子星獣ドル(宇宙刑事ギャバン)

ギャバンが乗る巨大な竜型のメカで、体を回転させての尾の打撃「スクリューアタック」でマクー戦闘円盤や巨大化したベム怪獣を攻撃する。


楽曲

しっぽのきもち

谷山浩子による楽曲で、恋に揺れる猫の女の子の気持ちを歌っている。
NHK『みんなのうた』で放送されていたのを見たことある人も多いのではないだろうか。

SHIPPO

岩男潤子の持ち歌で、しっぽを着けて恋人とイチャラブする歌。
でもなぜかときどきしっぽが勝手に動く…という謎展開。
なんせ作詞作曲が上記の谷山浩子なので、歌詞に謎めいた部分が多い。



追記・修正は尻尾でキーボードを打ちながらお願いします。


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最終更新:2023年04月02日 00:07

*1 初代では「尻尾の火が消えると死亡する」ととれるような表現がされており、現在もそのような解釈がされることがある。

*2 でんきタイプの天敵・じめんタイプには等倍なので、抜群をとれるくさむすびの方がゲームではピカチュウ系統のサブウェポンに多い。

*3 ゲームでは上下二本の尻尾がハサミになる

*4 自律行動可能な鋏付き

*5 先端が槍頭になっている複数の尾を高速回転させて武術に似た概念で敵を惑わして叩きつける、ゲームでは電撃を纏わせられる

*6 自己推進力を持つ尻尾のトゲにプラズマエネルギーを纏わせて発射可能、また、メガ・カイジュウの攻撃を見ると尻尾の先端全体にプラズマエネルギーを纏わせて巨大な槍にもできるかもしれない

*7 「銃剣のような」尻尾攻撃も強力

*8 シュライクソーン・ハクジャ・ライジン・多数のリッパーズが合体しており、ベースとなる三怪獣の能力を受け継いでいる