コランタン・ピノー(44歳)
帝国陸軍大将。スキンヘッドの巨漢で常に苦虫を噛み潰したような表情をしている。真面目で堅実な性格で戦場でも迅速な判断を下すため部下からの信望がある。13年前、帝国のトルキエ侵攻に従軍。マフムートの故郷で暴行、殺害行為を働いた部隊を軍規違反として例外なく処刑している。
以前は帝国の歴史は侵略の歴史と領土拡大を唱えていたが、トルキエとの敗戦を契機にエイゼンシュテイン公爵と共に内政充実による帝国の繁栄を目指すようになる。
帝国の遠征には反対の立場でルイ大臣にも進言するも遠征軍の総大将に任じられる。不本意ながらも職業軍人として命令に従い、南ルメリアに侵攻し総指揮をとる。天上の都(シエロ)では2万2千を率い、食糧不足を補うため敵軍から奪い取る作戦を立て、後背にいるカリル率いるトルキエ軍2万6千を工兵部隊の活用によって勝利を収める。
しかし、立て直したトルキエ軍に再び奪った食糧を奪い返され、フェレンツェンに包囲の指揮を任せ、再びトルキエ軍から奪おうと4万2千を率いる。だが、囁き(ムルムリョ)盆地でマフムートにハメられ二重包囲の陣に掛かってしまう。即座に対応策を講じるも、機動力の高いトルキエ軍に兵力2万2千を失う。剣の都(エスパーダ)方面に撤退し、剣の都(エスパーダ)を落とし立て直そうとする。けれども、予想以上の戦力によって、剣の都(エスパーダ)は落ちず、追いついたトルキエ軍の突撃によって壊滅。自身も突撃してきたマフムートによって首を斬られ、戦死。
リリー・ココシュカ(24歳)
帝国宰相秘書官ルイ大臣の側近で、軍監として遠征軍に従軍した。
地図読みに長け、参謀としての役割もこなす。前半のカリル率いるトルキエ軍と戦いは地図読みをいかして相手の行軍路を読んだ。しかし、囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでは大潮を利用としてトルキエ軍を包囲するも、逆に誘い込まれ伏兵に包囲される。撤退後の剣の都(エスパーダ)攻防戦でも相手の戦力を素早く把握し、交戦を進言する。だが、トルキエ軍の戦力は把握できたものの剣の都(エスパーダ)城内の傭兵までは把握できず、千人足らずと予想したが実際は1万いた。最期は方陣を突破したトルキエ軍に斬られ、戦死。
ヨハン・フレンツェン(33歳)
第1軍団長及び帝国陸軍中将→南領(スュッド)軍大将。病弱でよく体を壊しており、どうやら内臓全般が弱い模様。
平民出身でアダムとは同期で長年の友人。アダムと共に帝国を内から変えるために帝国軍に志願した。農業を怠る国は滅びるが持論。
勘が鋭く、アダムからは予言者とからかわれている。その勘の鋭さや能力についてはピノー大将や他も認めていて、後背のトルキエ軍を討ちに離れる際、天上の都(シエロ)包囲軍の指揮をたびたび任されている。
囁き(ムルムリョ)盆地の戦いの報を聞き、本隊が助からないことを悟る。天上の都(シエロ)包囲軍の撤退を決断する。
その後、南領(スュッド)軍大将に昇進する。ザガノス将軍の帝国侵攻と旧王国の独立、本国からの援軍無用の命令《*南領(スュッド)の喪失はルイ大臣の政策の失敗を意味するため》からこのままでは帝国暦は来年で終わると予感。命令を無視し、占領地を放棄し南領(スュッド)軍4万9千を率いて救援に向かう。その際、敵の注意を誤魔化すため兵の入れ替えを装い招集し、尚且つ同盟軍が背後からの攻撃にも備える周到さをみせている。
しかしこれを察知し馬の扱いに長ける騎馬民族のみで構成したトルキエ天上州軍により追撃を受け、斜面を駆け下りザガノス軍の側面を突かんというところで追いつかれてしまう。
その斜面での攻防においてマフムートの捨て身の一撃により乗っていた馬車を破壊されザガノスの前へ単身投げ出され、ザガノスを斬ろうと剣を抜くもマフムートにより討ち取られ戦死。
ディルク・ヴィヒター(24歳)
ヨハンの部下。ヨハン亡き後の南領軍をまとめて撤退した。
その後帝国陸軍南領軍中将・第8軍団長となる。
アントン・アダム(33歳)
第2軍団長。帝国陸軍中将。温和で人当たりの良さそうな性格で肥満体型の男。平民出身でフレンツェンとは同期の友人で病弱な体を心配している。フレンツェンと共に帝国を内から変えるために帝国軍に志願した。
トルキエ軍のフェレンツェンの帝国は来年には滅びるだろうという予言に故国バルトライン帝国に対して「あんな国でもなくなるとなると悲しいもんだな」、「いや、あんなボロボロの体の割には長く保ったと称えるべきかな…」と複雑な感情を吐露している。天上の都(シエロ)包囲戦において後背のカリル将軍率いるトルキエ軍2万6千を討つための4軍団2万2千のなかに選ばれ、ピノーに投げられた刀剣を体を張って防いでいる。
その後はフェレンツェンと共に本隊とは別に天上の都(シエロ)包囲軍に分けられたため、難を逃れている。反帝同盟との敗戦の後、南領(スュッド)に配属されたがザガノスの帝国侵攻に対して本国の援軍は無用の命令を無視して、フェレンツェンと共に救援に向かう。
ヨハンの軍をザガノスの元へ届かせるため、帝国へ向かう回廊でトルキエ軍を足止めする。
アビリガに本隊へ切り込まれ白兵戦となったが、的確に指示を出しながらアビリガを追い詰めるという芸当をやってのけた。
だが後背を突かれそうな軍を見て指示を出そうとしたところを、吹き矢で首を射抜かれ指示を出せぬまま戦死。
第3軍団
天上の都(シエロ)包囲軍の方にいたため、壊滅は免れる。
第4軍団
クリストハルト・べルツ率いる第12軍団と共に天上の都(シエロ)に突入するが、火計に掛かり全滅。
フォルカー・ヴィンケルマン(38歳)
第5軍団長。赤毛で顎鬚をたくわえている中年の男。
囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでは二重包囲の陣の外側の牡牛団5千に応戦する第13軍団の援護を命じられる。しかし、もともと戦闘員でない工兵部隊5千と護衛の2千の部隊では、敵の動きが速かった事もあり、到着より前に壊滅してしまう。第7、第8軍隊が壊滅した際、本隊と離れている第5軍団は格好の各個撃破の標的となり、本隊撤退完了までの時間稼ぎとして敵を引き付ける。
その後の描写はないが恐らく戦死したものと思われる。
ギルベルト・キルヘル(48歳)
第6軍団長を務める筋肉質なワイルドなおじさん。階級は陸軍中将。
天上の都(シエロ)包囲戦において後背のカリル将軍率いる2トルキエ軍2万6千を討つための4軍団2万2千の部隊に指名される。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでは二重包囲の陣の内側にいるトルキエ軍の包囲に加わる。その後、囁き(ムルムリョ)盆地の戦いの撤退から追撃するトルキエ騎兵の殿を兼ねて(バルトラインは歩兵が主体のため騎兵のトルキエとは機動力が劣る)
隘路で敵の隊列が伸び切ったところを伏兵により指揮官を狙う作戦を展開する。しかし、マフムートに見破られ、最後はトルキエ軍に突撃し、槍騎兵に貫かれ戦死。Wikiによれば殿が限られた戦力で敵の追撃を食い止めなければならない最も危険な任務であり、古来より武芸・人格に優れた武将が務めるものとされるため、遠征軍の中でも重要な人物であることがうかがえる。
エルマー・シュミット(28歳)
第7軍団長。階級は恐らく陸軍中将。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでは二重包囲の陣の外側の剣の都(エスパーダ)軍3千の応戦を命じられる。他の国の軍隊を見下している。
空堀で方陣を崩され、剣の都(エスパーダ)軍には剣士部隊がいたため態勢が立て直すのが遅れた。そのせいもあるが、ロイスと違って方陣に拘り、後退して方陣を再編しようとしていた。
しかし、味方の包囲網を突破したトルキエ騎兵7千余りによる各個撃破の標的にされる。最後は味方にトルキエに膝を屈するなと檄を飛ばした直後、トルキエの弓撃により皮肉にも器用に膝を屈することなく戦死。
アロイス・ロイス(46歳)
第8軍団長を務めるエレガントなおじさん。階級は陸軍中将。天上の都(シエロ)包囲戦において後背のカリル将軍率いる2万6千を討つための4軍団2万2千の部隊に指名される。
その後は奇襲してきたトルキエ軍に兵糧を奪われる失態を犯している。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでは第7軍団と同じく二重包囲の陣の外側にいる煙の都(ウーモ)紋章の都(セルラント)軍弓兵部隊2千に応戦する。空堀で方陣を崩されると方陣での正面突破は不可能と判断し、弓兵部隊であったせいもあるが素早く態勢を建て直して方陣を解き、盾で防ぎつつ前進させ、別働隊に空堀を迂回させ攻勢に転じる確かな手腕をみせる。しかし、味方の包囲を突破したトルキエ騎兵7千余りが右翼から攻め込まれ、各個撃破の憂き目にあい、壊滅する。
最後は右腕を負傷しながらも第8軍団敗北の責任とるためクルト将軍に挑み、戦死。その最後は見事とクルト将軍に評される。
クラウス・アルトドルファー(29歳)
第9軍団長。階級は恐らく陸軍中将。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでは本隊に所属。剣の都(エスパーダ)攻防戦では街の攻略を命じられる。
当初は錬度の低い傭兵が1千ばかりが守っていると考えていたが、心臓地方(クオーレ)同盟が第9軍団の倍の1万の傭兵を雇っていたため予想に反して攻め込むことができなかった。この戦いによりピノー大将を始め他の将官も戦死したが、彼のその後は不明。
ダニエル・ピーガー(29歳)
第10軍団長、階級は恐らく陸軍中将。ややニヒルで斜に構えた発言が目立つが、剣の都(エスパーダ)攻防戦で敗北が決定的になった際、兵士に死にたくない奴は死んだフリしてやり過ごせと言う部下思いな一面を持っている。
最期は薄い方陣を重装騎兵に突き破られピノーを守る盾となり戦死。
コルネリア・ノール(25歳)
第11軍団長の短髪の女性。階級は恐らく陸軍中将。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでトルキエ軍が、包囲が完成する前に出口から突破しようとするマフムート率いる騎兵7千余りを右翼に転進して攻勢に出ようとするも、右翼への転進により左翼への守りが薄くなったため包囲網の出口を2個に増やしてしまう。
その左翼に空いた隙をクルト将軍率いる別働隊7千余りが突いて突破し、包囲作戦の失敗及び囁き(ムルムリョ)盆地の戦いの敗北の遠因を作ってしまう。剣の都(エスパーダ)攻防戦では第9軍団と共に背後のトルキエ軍の守備に当たる。
しかし、剣の都(エスパーダ)に1万の傭兵がいる事を知り、剣の都(エスパーダ)攻略が絶望的と判断すると突撃を指示する。最後は槍騎兵の連携に掛かり戦死。
クリストハルト・べルツ(25歳)
第12軍団長で筋骨隆々とした精悍な男。非常に耳がいいユルゲンという副官がいる。階級は陸軍中将。天上の都(シエロ)包囲軍の物資輸送任務を請け負っており、船で運ばれた物資を自らも兵士に交じって引き揚げ作業を行う一面を見せている。輸送任務の途中、兵糧を奪いに来た敵兵と交戦。そのまま追撃し、天上の都(シエロ)市内に突入するも、火計の罠に掛かり戦死。
トリスタン・バレ(36歳)
第13軍団長。階級は帝国陸軍中将。赤蛇の教団(ロットウルム)出身の眼帯の男で部下にも赤蛇の教団(ロットウルム)出身が多い。
ルイ大臣の肝いりで編成された第13軍団は大陸初の工兵部隊5千とそれを守る第14軍団2千の計7千を率いている。カリル将軍(パシャ)のトルキエ軍2万6千との戦いで背後を攻めてきた別働隊を射石機を素早く組立追い払い、帝国軍を勝利へと導いた。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いで牡牛団(エル・トーロ)7千に応戦するも、戦闘員2千では支えきれず援軍の到着前に部隊は壊滅、自身は戦場から逃亡する。
テオ・アンドロシュ
陸軍退役中将→帝国陸軍大将。
城壁の町(ミュール)防衛戦において、常備軍をまとめるために担ぎ出された老将。
アンセルム・トット
南領軍第1軍団長。階級は帝国南領軍大将で、ヨハンとアダムが戦死する以前は第3軍団長だった。
ひょろ長い四白眼の男で、平時は頼りなさげだが戦闘の際は不気味なほど鋭くなる。
マルク・ブルーメンタール
南領軍第2軍団長。
ドミニク・オータン
南領軍第7軍団長。