将国のアルタイル

登録日:2015/03/13 Fri 04:01:15
更新日:2025/05/07 Wed 17:26:18
所要時間:約 19 分で読めます




将国のアルタイルは月刊少年シリウスで連載中の漫画。
作者はカトウコトノ。既刊23巻
ジャンルは大河ファンタジー、時代背景は火縄銃が使用されていない中世頃。
絵だけ見ればGファンタジーにありそうな漫画であるが、ファンタジーといっても日本を舞台にしたSFやライトノベル系が多い月刊シリウスで連載されている。
また、この手のファンタジー漫画では主人公側を白人、貴族とすることが多いが、
今作品では逆に白人の貴族が敵になり、蛮族として描かれることが多いイスラム文化圏が主人公側となっている珍しい作品である。
戦いだけでなく、外交や文化にも比重が置かれている。
戦いにおいても戦術が決め手となり、呂布、関羽といった無双キャラがいないのも特徴。

アニメ化が発表され、17年に放送開始。



トルキエ将国の史上最年少将軍(パシャ)マフムートはバルトライン帝国の大臣襲撃事件から起こった戦争の危機を回避するが、
その後バルトライン帝国の策略によって友人イブラヒムが反乱を起したことを聞き助けに駆けつけ救い出す。
しかし、将軍会議でこの行動は将軍として相応しくないとして千人隊長に降格となってしまう。
将軍にふさわしい人間になるべく、外の世界について学ぶため旅立ち、成長していく。

■登場人物

大トルキエ
トルキエ将国を中心としたムズラク将国、バルタ将国、ブチャク将国、クルチェ将国の同一文化をもつ遊牧民族国家の連合体。
広義でいえばトルキエ、トルキエ人とはこれを指す。この5つの将国で大トルキエ会議が行われる。
しかし、多数決ではトルキエ将国が多数に含まれない場合案は廃案とされ、
貨幣鋳造権もトルキエ将国にしか認められていないため、トルキエ将国と他四将国では溝がある。


▲トルキエ将国
詳しくはトルキエ将国のリンク先へ

●主要人物

犬鷲のマフムート将軍(トゥグリル・マフムート・パシャ)
CV:村瀬歩
本作の主人公。史上最年少将軍(パシャ)。現在、天上州属州総督

キュロス・イオス・アポロドロス
CV:KENN
「目と耳」の密偵の1人。ポイニキア市長の息子。

アビリガ
ヴェネディック「ブレガ商会」の私兵隊長。トルキエとのパイプ役。

ニキ・アル・バフラーム
死んだ父の後を継いだ銀色の都(アルギュロス)の商人。

エルバッハ
タウロ市の牡牛団(エル・トーロ)の隊長。

トルキエ将国


四将国


バルトライン帝国
詳しくはバルトライン帝国のリンク先へ

央海12都市国家
央海(セントロ)と呼ばれる地中海みたいな海。各都市国家は交易により成り立つ商業国家が多い。それ故に自給自足が困難な所が難点。

ポイニキア
央海(セントロ)を東西に分かつ要衝に位置する港湾都市国家。
かつて広大な土地と繁栄を誇ったポイニキア帝国の末裔にして発祥の地。
国民は3千年を誇るポイニキア帝国の末裔であることを誇りにしている。

出身者は古代ローマみたいな服装と名前をしている。
三方を高い城壁と壁に囲まれ港入口は大燈台から鎖で封鎖でき、
ポイニクス帝の建国から千八百年、帝国解体から千二百年、合わせて3千年に渡り難攻不落を誇る。
崖から産出される水塔石(ピラミス)の原石が有名で、その関係からヴェネディックとは同盟を結んでいる。
港の一画を軍港として割譲する事を拒んだため、第一次ポイニキア戦争が起きる。
ヴェネディックの援軍が来なかったこともあり、敗北。帝国領となる。モデルはピザンツ帝国。


海の都(ヴェネディック)共和国

軍事、経済共に央海第一と目される干潟の上に造られた人工島の都市国家。
海軍は央海最強とされ、海運業が活発な商業国家。央海(セントロ)の女王と呼ばれ、他の央海都市国家にも影響力を持つ。

500年前騎馬民族に大陸を追われたヴェネテ人が移住したのが始まりとして、戦争などで故郷を追われた人々も移り住みできた移民の街。
国民の国への愛国心は強い。国の運営は参加資格を持つ共和貴族(ノービレ)と彼らに投票に選出された最高執政官たる元首(ドージェ)が行っている。
バルトライン帝国との関係悪化によりトルキエ、ウラド王国と三国軍事同盟を結ぶ。モデルはヴェネチア。


島の都(リゾラーニ)共和国

央海(セントロ)第二の勢力を持つ国。
海神トリントーネを父と崇め、海神の子と称される程に風や潮の流れが生き物として見える天才的な操船技術の才能を持つ。
海の都(ヴェネディック)と違い商人を保護する仕組みがなく、成功するもしないも本人の腕次第。
そのため、国中が皆ライバルの状態で国の命令にも従うとは限らない。近年はドーリア家とボッカネグラ家の2強時代が続いている。
央海(セントロ)の覇権を狙いバルトライン帝国と手を組む。


サロス王国
後背に広大な食糧供給源を持ち、黒人が住む都市国家。国王が独裁していて豊かなのは国王の周りだけ。
奴隷貿易が行われている。5年前、帝国と修好通商条約を結び、年々帝国への経済的依存度を高めている。実質上の帝国の属領。

ウラド王国
ムズラク将国、クルチェ将国の北に位置する寒さに厳しく国土は痩せており、慢性的な食糧不足にあえいでいる。
それ故、食い扶持を減らすため老人が家をこっそり抜け出し凍死するという悲しい風習がある。
中立を国是とし他国との諍いを避けるため鎖国を貫き交易を行わない。トルキエ、ウラドと三国軍事同盟を結ぶ。モデルはワラキア公国


心臓地方(クオーレ)
ルメリアナ大陸の心臓つまり中心であるという自負をもつ。
文化や商業が発達していてこの地方の国々は軍隊を持たず傭兵に任せている。
彼らにとって不慣れな戦いをするより、商売に専念してその金で傭兵を雇った方が効率的と考えている。
また、盟主花の都(フローレンス)共和国を通さなければ、孤立を恐れ勝手な外交や取り決めはできない。この地方の人間はイタリア系の人間が多い。

花の都(フローレンス)共和国
心臓地方(クオーレ)の経済・文化の中心地。心臓地方(クオーレ)同盟の盟主でもある。
市民の投票によって選ばれた大統領(ゴンファロニエレ)の任期は1年。
遥か昔、遊牧民族が侵攻してきたため、住民はその文化の中心地としての自負も相成ってトルキエ人を蛮族とみなす偏見がある。モデルはフェレンツェ


南ルメリアナ
心臓地方(クオーレ)を除く、ルメリア大陸南部地域。スペイン系の人間が住む。
タウロ市
牡牛団(エル・トーロ)と呼ばれる傭兵の町。総兵力は7500で槍斧を使う。
作中の他の傭兵はプロといった印象なのに対しならず者の集まりのような集団で実力はピンからキリまで。
故郷で職にあぶれた人間を牡牛団(エル・トーロ)として鍛え上げ、商品として各国に送ることを生業としている。
トルキエに雇われ、帝国と戦う。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いにも参加し、その後は巡察兵団、護民兵団として天上州(チェロ)に駐屯する。

カンパーナ(鐘の都)
大陸一の鐘塔群を誇る小さな町。住民はみな褐色である。
帝国の降伏勧告に逆らったため、周辺の国への見せしめとして町は破壊され、徹底的に住民は売るか、殺されている。


天上の都(チェロ)共和国
1200年前、山の頂上にあった救貧院を母体として共同体を形成したのが始まり。そのため、
国家元首は院長(ディレクトル)と呼ばれる。山の上に杉でできた木造建築の家が並ぶ町を作っている。
木造建築なのは敵が攻めてきたとき、中におびき寄せ火計にするため。不落を誇り、遂に落ちることはなかった。
救貧院を母体していたため貧民、病人には無償で福祉を与え、せめて安やかに死ねるようにすることを信条としている。
それができるのは喜捨(カリダッド)の文化と温暖で良質な環境、質素な国民性のおかげ。後に天上(チェロ)州としてトルキエの属州となる。


銀色の都(アルギュロス)
東西ルメリアナ大陸の接点に位置する商業国家。
三大商人の合議によって治め、手形(ズァーツク)を与えられた商人しか商売を認めていない。
他国の政治が介入するのを嫌い街を守るために各国家と商人との付き合いを禁止しており、大秦(チニリ)との交易は三大商人に独占している。
それらを破った場合、街を追放される。


その他の国
岩の都(スコグリオ)公国
ポイニキア皇帝から公爵位を得て成立した国家。戦力差をみて戦わずに降伏したため帝国軍の略奪は行われないで済んだ。
ここを手に入れた帝国はポイニキアと合わせ、ポイニキア帝国の継承者と称し、それを大義名分として他の国へ侵攻する。

剣の都(エスパーダ)共和国
優れた長剣を生産する。反帝同盟に加盟し、囁き(ムルムリョ)盆地で帝国と戦う。
反帝同盟会議では当初、天上の都(チェロ)の統治権は近隣である剣の都(エスパーダ)に預けられるつもりであった。

煙の都(ウーモ)共和国
炭鉱の町。反帝同盟に加盟し、囁き(ムルムリョ)盆地で帝国と戦う。囁き(ムルムリョ)盆地の戦いでの空堀は彼らが掘った。

紋章の都(セルラント)共和国
反帝同盟に加盟し、囁き(ムルムリョ)盆地で帝国と戦う。

アラバ族(悲劇の民)
帝国内に多く住む踊りが好きなロマ風の衣装をした褐色の肌をした流浪の民族。
自分たちの国を作り散り散りになった同朋と暮らすのが悲願。殆どの登場人物は言語関係なく意志疎通できるが、アラバ語を話さなければ話が通じない。

ポイニキア帝国
その昔、広大な領地と栄華を誇った帝国。被征服地であっても平等に扱い、能力があれば皇帝にもなれた。
広大な領地を守るための防衛費がかさみ滅んだが、今なお他の国々で見本とされている。


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最終更新:2025年05月07日 17:26