幽霊屋敷殺人事件(名探偵コナン)

登録日:2015/08/15 Sat 01:41:41
更新日:2023/01/14 Sat 20:53:33
所要時間:約 12 分で読めます




隠れても無駄か…

それは、奥さん、あなた達の方だぜ…



『幽霊屋敷殺人事件』とは、『名探偵コナン』において、かつて江戸川コナンが解決した事件のうちの一件。
単行本第2巻に収録されている。テレビアニメでは第20話として1996年6月17日に放送。
原作では、少年探偵団のメンバーの初登場回になっている。


以下、ネタバレにご注意ください。


【あらすじ】
歩美が学校の帰り道に見つけた幽霊屋敷で人魂を見たとコナン達に話していた。
その場所とは、5年前に館の主人が何者かに惨殺され、その主人の妻も息子も引っ越してしまってからはずっと空き家となっているという米花町4丁目にある古びた洋館
夜中に恐ろしいうめき声が聞こえた、館に迷い込んだ野良犬が翌日に骨になって発見された等、不可解で恐ろしい噂話が絶えない曰くつきの場所であり、
コナン達少年探偵団は、さっそく幽霊退治に乗り出すことにした。
そこは現在は空き家のはずであったが、光彦が一人でトイレに行った後、突然遠くで彼のものと思われる悲鳴がしたのを耳にして、
コナンは元太と歩美を部屋に残し、一人声の聞こえた方へと向かった。
そして、残った歩美と元太も持ち前の好奇心が顔を出し、コナンに忠告されたにもかかわらず部屋の外へと出てしまい、光彦に続いて1人で奥へと向かった元太までもが悲鳴だけを残して姿を消してしまった。
本当に幽霊なのか? 床の隠し扉に気づいたコナンが開けると地下へと続く階段が現れた……


【事件関係者】
CV:家中宏
屋敷の地下室にあるオリに幽閉されている不気味な長髪の男。
浮浪者のごとく髪とヒゲがかなり伸びており、夜中になるとうめき声をあげている。


  • 老婆
CV:山田礼子
屋敷の住人と思われる不気味な白髪の老婆。
空き家であるはずの屋敷の中を徘徊している様はホラー映画に出てきそうな亡霊を思わせる。
また、髪型がどことなくジンに似ている。


【レギュラー陣】
ご存知主人公。村人。
幽霊退治に乗り気ではなかったものの、歩美に泣きつかれて半ば強引に誘われてしまう。

ご存知純真小学生。女戦士。
学校の帰り道で幽霊屋敷を発見した事で物語が始まる。
大量のお菓子を持ってきた。

ご存知探偵団団長。勇者。
当初は歩美と2人だけでお化け退治に行くつもりであったが、光彦が歩美の話題を作り話扱いしたのをキッカケに光彦とコナンもお化け退治に巻き込んでしまう。
幽霊退治用として金属バットを持ってきた。

ご存知天才小学生。魔法使い。
幽霊や妖怪を信じておらず、「科学の時代にそんなのがいるわけないよ」と全否定して元太を怒らせてしまい、強引にお化け退治に付き合わされてしまう。
人数分の懐中電灯を持ってきた。



【以下、事件の真相…さらなるネタバレにご注意ください】
























やめろおお!!!

もうやめてくれよ、母さん…その子のいうとおりだ…

そうだよ!! 父さんを殺したのは、このオレだよぉ!!!

  • 昭夫
オリに幽閉されていた男。5年前に殺害された館の主人の息子であり事件の犯人。
当時の髪型を横分けにした好青年からは別人と言える風貌に変わっていたが、目の下のホクロでコナンに素性を看破されてしまった。
動機は父親から言われた言葉。
5年前の三浪目の大学受験に全て失敗し、落ち込んでいたところを…

フン! 我が家の恥だなおまえは…

いや、カスだ!! おまえはカス同然だ!!!

精神的にどん底だった昭夫は父親の辛辣な言葉で我を忘れて、近くにあった燭台で衝動的に父親を撲殺してしまう。
犯した行為の重圧に押しつぶされそうになった昭夫は自首して罪を償うつもりであったが、
息子の未来を案じた母親の手によりオリに閉じ込められ、それから5年もの間幽閉生活を強いられていた。
オリの中で毎晩のようにうめき声をあげていたのは父親を手にかけた罪悪感による苦悩であった。

そして、自分達の正体と屋敷のからくりを暴かれて逆上してコナンを殺そうとした母親を上記のセリフで制止、5年前の事件の真相を話した後…

後は君のいったとおりだよ…

母が事件を強盗の仕業に見せかけ、オレはこのオリの中に入れられたんだ…

でもオレはこれ以上、父さんを殺した悪夢を見ながら、おびえて暮らすのはいやなんだ!!

罪を償って、楽になりたいんだよーー!!

…と、5年間溜め込んでいた苦しみを悲痛な思いでコナン達に打ち明けた後、母親と共に警察に出頭した。
殺してしまった相手が父であったこともあるが、ここまで苦しんでいたことを考えると本来は犯罪などとはほど遠い心優しい人物だったと思われる。
苦悩に満ちた牢獄暮らし同然の生活を5年にもわたって送っていた点を酌まれて、少しくらいは情状酌量されることを祈りたいところである。




もう少しよ! もう少しで時効よ!! 黙っていれば誰にも…

  • 昭夫の母
老婆の正体。
5年前は黒髪のシニヨンヘアで穏やかな雰囲気の婦人であったが、彼女もまた長い間息を潜めて生活してきたせいか、すっかり風貌が変わってしまっている。

心配しないで昭夫…

母さんがあなたを守ってあげる…

夫であった館の主人が昭夫に殺害された際、犯行を強盗に見せかけ、息子を犯罪者にしたくない一心で彼をオリに閉じ込めた。
以後、事件の時効が来るまで人目を忍び、隠し通路を利用して誰も住んでないように装いながら5年もの間、オリに幽閉した昭夫の世話をしていた。
しかし、水道と電気が止まっていなかった事と、家族の写真をコナンが発見した事により、自分達の存在とその素性に気づかれてしまった。
水道や電気は口座から自動引き落としされていたか、集金者がいたにしてもあまりプライバシーに立ち入れるわけではないので監禁事件とまでは思わなかったのだろう。
コナンに全てを暴かれ、涙ながらに罪滅ぼしを訴えた昭夫を上記のセリフで言い聞かせようとしていたところ…

そう…確かにこのまま隠れていれば、警察からは逃げられる…

だが、犯した罪からは決して逃げられませんよ…

奥さん…あなたは息子さんに一生…

一生この重荷を、背負わせる気なんですか?

……とコナンに説得された事でようやく自らの過ちを認めて泣き崩れ、息子を連れて警察に出頭した。
その際には憑き物が落ちたように本来の穏やかな表情を取り戻していた。
ちなみに当時、殺人の時効は15年*1。5年ではまだ3分の1である。何か勘違いしていたのだろうか?
このためかアニメ版では「もう少しで時効よ!」の部分の台詞が「時効まで頑張りましょう!」に修正されている。

殺人事件ではあるが、刑が死刑や無期懲役になるほど悪質で身勝手な件ではないだろう。
また、息子が本来心優しい人物だったので母も息子思いの優しい母だったと思われるが、
自分の息子がいくら一時の感情とは言え父親を殺してしまった罪を償わずに平気で生きられる人間だったと思っていたのだろうか。
彼の罪悪感を抜きにしても、5年もオリに閉じ込められるなら、刑務所に服役していた方がマシだったのではなかろうか。
ただ、それでも昭夫は母を憎むようなことはなく、アニメで出頭に付き添われた際には母に優しい目を向けている。
ちなみに本来なら母は犯人隠避の罪に問われるが、親族であるため処分は軽くなる可能性が高い*2

  • 昭夫の父
CV:西村知道
館の主人であり、迷宮入りとなった5年前の洋館殺人事件の被害者。
3度も浪人したとは言え、精神的に追い詰められていた昭夫に対し、
フォローや同情する気配すら見せずに上記の台詞で彼を罵倒して、更に追い詰めてしまった末に衝動的に殺害されてしまった。
ある意味今回の事件の元凶と言える人物であるが、写真では笑顔で妻子と一緒に写っていた事から、おそらく本来は仲睦まじい家族だったのかもしれない。

  • 江戸川コナン
探索を進めていくうちに屋敷のからくりと住人の存在に気づき、阿笠博士の発明品の1つである伸縮サスペンダーで重い床の扉をこじ開けて、歩美と一緒に地下室に侵入した。
そこで対峙した昭夫の母親に襲われながらも、上記の台詞を言って彼女に息子を解放するよう促した。

  • 吉田歩美
光彦と元太が行方不明になった後、コナンと共に屋敷を探索していた。
今回の事件でお化け退治に懲りたと思われたが…

  • 小嶋元太
  • 円谷光彦
途中で姿を消した2人は屋敷の外の草むらで仲良く眠っていた。
昭夫の母親に麻酔薬をかがされて屋敷から放り出されたようである。むしろ奥さんの罪としては犯人隠避よりこっちの方が重い可能性が高い
ただ、昭夫のことに気づかなかったからこれで済んだのかもしれないが、昭夫を見てしまったコナンと歩美は、放り出しでは済まなかったかもしれない。


【その後】
解決後、コナン達は下手したら昭夫の母親に口封じに殺されてもおかしくない状況だった事から、当然ながら毛利蘭を含めた保護者達にこっぴどく叱られ、もう今回のような行動をしないと誓わされた(元太に至ってはゲンコツされた)。
少年探偵団の最初で最後の冒険も無事に終わった





……はずだった。




後日、学校で歩美が再び幽霊屋敷を発見したとコナン達に語っていた。
その場所は2丁目21番地の「えとう」という人物の屋敷であり、
近所の噂によると、屋敷内は怪しげな本で埋まっていて、たった1人で住んでいた少年が魔物に食われて今は誰も住んでいないとの事である。
歩美の話の内容にピンと来たコナンは本当に「えとう」という家なのかと彼女に質問すると…

カタカナの「エ」に漢字の「藤」よ!!

その言葉を聞いたコナンは歩美が目撃した幽霊屋敷の正体に気づく。そして再びお化け退治に行こうと決意した歩美達に血相を変えながら内心でこう叫ぶのだった…

バ、バカ…

それは「えとう」じゃなくて「くどう」…!!

オレん家だよ!!!


【余談】
この工藤邸幽霊屋敷ネタはその後も忘れた頃に弄られる事があり、『命がけの復活』の1シーンで家主の新一と少年探偵団が初めて顔を合わせている。
しかし、そのすぐ後で新一が居なくなってしまったため、『1年B組大作戦!』の時に自称探偵団顧問の小林澄子先生を加えて再び工藤邸を調査しようとした事も*3
そのしばらく後、工藤邸に沖矢昴が居候することになり、さらに後工藤夫妻が一時帰宅しているので、幽霊屋敷ネタは今後登場しないと思われる。

この話は2022年9月時点で歩美の父と光彦の母が(1コマだけだが)登場した唯一の回である。
なお、『犯人は元太の父ちゃん』では元太の父・元次が登場しているが、歩美の母が『テレビ局殺人事件』で登場した時は手しか映らなかった。

名探偵コナン 特別編』第1巻に収録の『幽霊ビル』では、少年探偵団が幽霊が出ると噂されている建設途中で放棄されてしまった廃ビルに入り、幽霊退治をしようとしていた。
そこで他殺死体を発見し、廃ビルに隠れ住んでいた犯人に狙われてしまうが、コナンの機転で犯人を逮捕する事ができた。
しかし、夜遅くまで外出した事でコナン達は蘭や母親達(歩美の母、元太の母、光彦の母。ただし、台詞のみ)に怒られてしまった。
「ビルに潜む幽霊は鏡に弱い」という噂話も語られ、実際に鏡は犯人の制圧の為に使用されたのだが、保護者たちからの叱責に対する効果はないようだとコナンは途方に暮れるのであった。

また、1052話の『少年探偵団の肝試し』(アニオリ回)でも、少年探偵団が動画サイトでの幽霊スポットの配信を観て、幽霊が出るという廃病院をコナンと灰原と一緒に訪れ、幽霊を撮影しようとしていた。
そこで潜伏していた逃走中の容疑者と遭遇し、命を狙われてしまうが、コナン達とゲストキャラの恐狩サダオと怖霊屋トシコの活躍で犯人を逮捕する事ができた。
だが、エピローグで恐狩サダオと怖霊屋トシコの二人は警察で事情聴取を受けた上、コナン達5人は目暮に怒られてしまい、コナンは「あ~あ、肝試しはもうコリゴリだぜ」とぼやく始末だった。


荒らしはもうやめてくれよ、母さん...その子が追記・修正したとおりだ...

追記・修正は放課後、幽霊屋敷に突撃してからお願いします。

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最終更新:2023年01月14日 20:53

*1 現在は時効はなくなっている。

*2 親族による犯人隠避は特別に刑を軽くする規定があるが、軽くするかどうかは裁判官の裁量次第である。

*3 アニメ版では灰原がこの言動に微笑していた。