カイジ ファイナルゲーム

登録日:2025/08/23 Sat 19:44:14
更新日:2025/08/23 Sat 22:17:55NEW!
所要時間:約 13 分で読めます






クズどうしが固まっていたって

一生ここから抜け出せるわけがねぇ!

クズ!クズ!

クズどうしの人生ただ繰り返して

死んでいくだけだ! そうだろ!!


アイツが帰って来る―




『カイジ ファイナルゲーム』とは、2020年1月10日に上映された福本伸行氏原作の漫画『カイジ』シリーズを実写化した映画作品である。
監督は前作・前々作同様佐藤東弥氏、脚本は原作者の福本伸行氏、徳永友一氏が担当。


【概要】

カイジシリーズの実写版3作目にして完結編であるが、過去とは違い、原作をベースとしたストーリーではなく、完全オリジナルストーリーの作品となっている。過去作から引き続き登場する人物もいるものの、設定は大幅改変が施されている。またオリジナルギャンブル『バベルの塔』『最後の審判 ~人間秤~』『ドリームジャンプ』『ゴールドジャンケン』の計4つが登場する。
興行収入は20.6億円と前作より若干上がり、2020年公開の邦画興行収入ランキングでは8位にランクインした。


【あらすじ】

2020年、東京オリンピックの終了を機に、日本の景気は恐ろしい勢いで失速し、ハイパーインフレによって日本円の価値は暴落していった。
自堕落な生活を送っていたカイジは、たまたま再会した大槻から一攫千金の若者救済イベント『バベルの塔』に参加するよう誘われる。

今、カイジの人生を賭けた最後のギャンブルが始まる…!!!


【主な登場人物】

◇主要人物

演:藤原竜也

「わかった、わかった、やってやるよ!ただし、報酬はたんまり貰うぞ!!」

前々作、前作に引き続き本作も主人公。
黒崎の派遣会社で働いていたが、物価高のなか薄給でこき使われている境遇を「日本中が帝愛の地下帝国と変わらない」と評している。
仕方なく1缶1000円の缶ビールを飲んでいたところ大槻から声を掛けられ、最後のギャンブルに身を投じることになる。

  • 桐野加奈子
演:関水渚

「ほら、もうカチンコ鳴ったよ!スタートだよ!キュー!」

本作のヒロインにしてカイジの相棒その1。
大阪で開催された若者救済イベントの勝者にして自称「ラッキーガール」。
ことあるごとに「キュー!」と叫ぶ癖がある。
「最後の審判 ~人間秤~」で窮地に陥ったがカイジが奥の手を用意していたため、協力するべく奔走する。
自身の「キュー!」の口癖や、彼女が勝負前に東郷から預かっていた携帯が、結果としてカイジ達の窮地を救うことになる。
これにはカイジも「確かにお前はラッキーガールだ」と評した。

  • 廣瀬湊
演:新田真剣佑

「ギャンブルに勝つために力を貸してほしいのです」

東郷の秘書にしてカイジの相棒その2。
常に無表情であり、たとえ目の前で人が死んだとしても表情一つ変えることはない。
「最後の審判」で黒崎と対決することや、東郷側の支援者に関する情報などをカイジ達に説明する。

  • 東郷滋
演:伊武雅刀

「水面下で政府が良からぬことをしている」

不動産王とも呼ばれる資産家にして、「バベルの塔」をはじめとした『若者救済イベント』の主催者。
後述の『預金封鎖』の情報を事前に掴んでいたが、自身の余命が僅かであることを理由に、逆に日本の危機を阻止するべく自身の資産を投じることを決心した。
「若者救済イベント」で勝利したカイジと桐野を仲間に迎え入れ、「最後の審判 ~人間秤~」で黒崎と直接対決する。
支援者として、自身の弟や複数の友人に出資してもらう算段だったが…

演:松尾スズキ

「億万長者になるチャンスだとは思わないかい?」

過去作では地下帝国の住人だったが、本作では地下から脱出し、帝愛のグループ企業の1つの社長を任させるほどまで出世している。
若者救済イベント「バベルの塔」開催の情報を掴み、カイジに参加するよう勧めるが、その代わりに紹介料として賞金の半分を要求した。


◇帝愛グループ

演:吉田鋼太郎

「クズは黙って従ってればいいんだ!」

前作では帝愛の最高幹部だったが、本作では帝愛グループ傘下の派遣会社「良善興業」の社長にして「日本の派遣王」と呼ばれる男。本作の敵その1。
前作では嶋田久作氏が演じていたが、本作では吉田鋼太郎氏に変更されている。
冒頭ではカイジ達に「俺たちがいなければお前の仕事も成り立たない」と異を唱えられるも「じゃあ辞めろ!」と一蹴した。
その後はカイジ達を破滅させるべく、「最後の審判 ~人間秤~」で東郷と直接対決する。
本作のギャンブルの一つ「ドリームジャンプ」の考案者。

帝愛グループのトップに君臨する会長。
本作では直接的に登場することはなく、黒服のセリフでのみ言及される。


◇日本政府関係者

  • 高倉浩介
演:福士蒼汰

「働かざる者食うべからず!死んでいただいて結構!」

首相主席秘書官にして「影の総理」の異名を持つ若き官僚。本作の敵その2。
不景気で莫大に膨れ上がった日本の借金を相殺するため、最悪の政策『預金封鎖』を実施しようと企む。
本作のギャンブルの一つ「ゴールドジャンケン」を考案し、政治家や官僚を相手に接待を行っている。

◇その他の登場人物

  • 菅原太一
  • 今野肇
  • 真山涼
  • 富樫悠斗
「バベルの塔」の参加者。
彼らも勝つための作戦を立てていたが、カイジに先を越され敗北してしまう。
その後、匿名の情報をもとにカイジを襲撃しカネを奪おうとするも、その計画性のなさを指摘される。
項目冒頭のカイジのセリフはその時のもの。
彼らもカネを求めていたのは確かであるため、カイジは自分に協力するよう求め、それに従った。

  • 杉山志帆子
「良善興業」の派遣社員。
もともとは時計職人だったが、不景気で閉店してしまったとのこと。
病気で働けなくなったことで黒崎にクビにされてしまい、見かねたカイジが救いの手を差し伸べる。

演:天海祐希

「終了?ふざけんなよ、他に何やってんのよ!」

前々作以来の登場。
ギャンブルをするために帝愛ランドを訪れたものの、黒崎の指示によってゲームがすべて終了していたため、カイジに不満をぶつける。
しかし元帝愛幹部であったため帝愛ランドに関する情報を持っていたうえ、『ドリームジャンプ』によって黒崎がカイジを殺そうとしていたことを読んでいたため、これを阻止するべく攻略情報を教える。

  • 坂崎孝太郎
演:生瀬勝久

「勝つんや!絶対勝たなアカンで!」

前作以来の登場。
カイジを応援するために帝愛ランドを訪れ、自身も金貨を投げ入れカイジ達の勝利に貢献する。


【用語】

預金封鎖

銀行や郵便局に預けている日本円の引き出しを不可能にする。*1
これが実行されると、国民の資産は現金・預貯金・証券類のすべてが消えてなくなってしまう。
それと同時に新通貨「帝円」を発行、流通させることで、ハイパーインフレをなかったことにしようとする。
財界人のなかには、これに反対する人物もいる。*2

政治家の一部エリート層は事前に情報を掴み、勝ち逃げしようと目論んでいる。

帝愛ランド

帝愛グループが運営する巨大地下カジノ。
帝愛の地下帝国として建設していた区画の一部を利用していると思われる。
ここでは政治家から一般人まで多くの人間がギャンブルをするために訪れており、金塊やペリカを賭けて勝負している様子が見られる。
一般的な丁半賭博やルーレット等の他、本カジノ独自のギャンブルに「最後の審判 ~人間秤~」や「ドリームジャンプ」がある。


【登場するギャンブル】

本作では4つの映画オリジナルギャンブルが登場する。

バベルの塔

対戦相手:自分以外の参加者
カネと暇を持て余した老人が主催する『若者救済イベント』として開催されたギャンブルの一つ。
街中のどこかに高さ約8メートルの簡易的な塔*3が建てられ、その頂上にある「人生逆転カード」を奪い合う。
このカードに最初に触れたものが勝者となり、以下のいずれかを手にすることができる。
  • カードの表「魔法の電卓」:入力しただけの金額、最大で9億9999万円が手に入る。


最後の審判 ~人間秤~

対戦相手:黒崎義裕
対戦する2人が全財産を金塊に変え秤に乗せ、どちらが多いかを争う。
副題にある通り、途中経過や最終場面で秤側で体重差を補正して対戦者自身も秤に乗る。
勝者は全てを獲得し、敗者は全てを失うことから「最も過酷なギャンブル」と呼ばれる。
現時点で持っているもののみならず、「4つのF」こと家族(Family)・友人(Friend)・フィクサー(Fixer)・会場にいる観客(Fan)から追加で支援を受けることができる。
支援の順番は、Family・Friend・Fixerがスロットでランダムに抽選され、3種類の支援が終わった後、最後にFanとなる。
会場にいる観客にとってはどちらが勝つかを予想し、秤に金貨を投げ込むことで投票するギャンブルとなっている。支援した側が勝利すれば、賭けた倍の金額をリターンとして貰うことができる。*4
実際に戦うのはカイジと桐野加奈子を仲間に迎えた資産家の東郷滋だが、途中で容態が急変したため体重差を再補正してカイジが後を継いだ。


ドリームジャンプ

対戦相手…なし
10人が一斉にバンジージャンプをするが、1本のロープだけが地上すれすれで止まり、それ以外に繋がれた者は地面に激突して死亡する。
残った1人は、大金を手に生還することができる。
観客の富裕層達にとっては、誰が生き残るかを予想するギャンブルとなっている。



ゴールドジャンケン

対戦相手…高倉浩介
首相主席秘書官にして「影の総理」の異名を持つ若き官僚・高倉浩介が接待で行うギャンブル。
3つの金塊が入った黒い袋に手を入れた後、ジャンケンをする。3回勝負。
ただし少なくとも1回は金塊を握った手(つまりグー)を出さなければならない。この状態で勝てばその金塊を自分のものとして獲得できる。




追記・修正は、金を握ったグーで勝った人にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ざわ…ざわ…/

最終更新:2025年08月23日 22:17

*1 現実では日本国憲法施行前の1946年(昭和21年)に、戦後のインフレ対策として緊急勅令により、実施されたことがある。現在の日本国憲法下では財産権の保障を定めた憲法29条との兼ね合いから、行われたことはない。

*2 原作者の福本氏は、このシーンで登場する。

*3 塔がある場所は、ゲーム開始の号砲と同時に参加者に公開される。

*4 ただし支援として有効になるのは、実際に秤に乗った金貨のみ。

*5 ただし小さなトランクにはきちんと大金が入っており、カイジにチャンスは与えていたものの、カイジが欲望に正直になったことで不意にしてしまった。