カイジ ファイナルゲーム

登録日:2025/08/23 Sat 19:44:14
更新日:2025/09/20 Sat 01:08:29
所要時間:約 15 分で読めます






クズどうしが固まっていたって

一生ここから抜け出せるわけがねぇ!

クズ!クズ!

クズの人生をただ繰り返して

死んでいくだけだ! そうだろ!!


アイツが帰って来る―




『カイジ ファイナルゲーム』とは、2020年1月10日に上映された福本伸行氏原作の漫画『カイジ』シリーズを実写化した映画作品である。
監督は前作・前々作同様佐藤東弥氏、脚本は原作者の福本伸行氏、徳永友一氏が担当。


【概要】

カイジシリーズの実写版3作目にして完結編であるが、過去とは違い、原作をベースとしたストーリーではなく、完全オリジナルストーリーの作品となっている。過去作から引き続き登場する人物もいるものの、設定は大幅改変が施されている。またオリジナルギャンブル『バベルの塔』『最後の審判 ~人間秤~』『ドリームジャンプ』『ゴールドジャンケン』の計4つが登場する。
興行収入は20.6億円と前作より若干上がり、2020年公開の邦画興行収入ランキングでは8位にランクインした。


【あらすじ】

2020年、東京オリンピックの終了を機に、日本の景気は恐ろしい勢いで失速し、ハイパーインフレによって日本円の価値は暴落していった。
自堕落な生活を送っていたカイジは、たまたま再会した大槻から一攫千金の若者救済イベント『バベルの塔』に参加するよう誘われる。

今、カイジの人生を賭けた最後のギャンブルが始まる…!!!


【主な登場人物】

◇主要人物

演:藤原竜也

「わかった、わかった、やってやるよ!ただし、報酬はたんまり貰うぞ!!」

前々作、前作に引き続き本作も主人公。
黒崎の派遣会社で働いていたが、物価高のなか薄給でこき使われている境遇を「日本中が帝愛の地下帝国と変わらない」と零している。
仕方なく1缶1000円の缶ビールを飲んでいたところ大槻から声を掛けられ、最後のギャンブルに身を投じることになる。

  • 桐野加奈子
演:関水渚

「ほら、もうカチンコ鳴ったよ!スタートだよ!キュー!」

本作のヒロインにしてカイジの相棒その1。
大阪で開催された若者救済イベントの勝者にして自称「ラッキーガール」。
ことあるごとに「キュー!」と叫ぶ癖がある。
「最後の審判 ~人間秤~」で窮地に陥ったがカイジが奥の手*1を用意していたため、協力するべく奔走する。
自身の「キュー!」の口癖や、彼女が勝負前に東郷から預かっていた携帯が、結果としてカイジ達の窮地を救うことになる。
これにはカイジも「確かにお前はラッキーガールだ」と評した。

  • 廣瀬湊
演:新田真剣佑

「ギャンブルに勝つために力を貸してほしいのです」

東郷の秘書にしてカイジの相棒その2。
常に無表情であり、たとえ目の前で人が死んだとしても表情一つ変えることはない。
『最後の審判 ~人間秤~』で黒崎と対決することや、東郷側の支援者に関する情報などをカイジ達に説明する。

  • 東郷滋
演:伊武雅刀

「水面下で政府が良からぬことをしている」

不動産王とも呼ばれる資産家にして、『バベルの塔』をはじめとした「若者救済イベント」の主催者。
後述の『預金封鎖』の情報を事前に掴んでいたが、自身の余命が僅かであることを理由に、逆に日本の危機を阻止するべく自身の資産を投じることを決心した。
「若者救済イベント」で勝利するも現金給付ではなく「人生を変える極秘情報」を選択したカイジと桐野を「運と野心を持つ者」として仲間に迎え入れ、『最後の審判 ~人間秤~』で黒崎と直接対決する。


◇帝愛グループ

演:吉田鋼太郎

「クズは黙って従ってればいいんだ!」

前作では帝愛の最高幹部だったが、本作では帝愛グループ傘下の派遣会社「良善興業(よしよしこうぎょう)」の社長であり派遣社員の賃金を7割ピンハネして「日本の派遣王」と呼ばれるようになった男。本作の敵その1。
前作では嶋田久作氏が演じていたが、本作では吉田鋼太郎氏に変更されている。
冒頭ではカイジ達に「俺たちがいなければお前の仕事も成り立たない」と異を唱えられるも「じゃあ辞めろ!」と一蹴した。
その後はカイジ達を破滅させるべく、『最後の審判 ~人間秤~』で東郷と直接対決する。
本作のギャンブルの一つ『ドリームジャンプ』の考案者。

帝愛グループのトップに君臨する会長。
本作では直接的に登場することはなく、黒服のセリフでのみ言及される。


◇日本政府関係者

  • 高倉浩介
演:福士蒼汰

「働かざる者食うべからず!死んでいただいて結構!」

元経産省官僚にして、現在では首相主席秘書官を務める若い男。本作の敵その2。
「影の総理」とも呼ばれている。
不景気で莫大に膨れ上がった日本の借金を相殺するため、最悪の政策「預金封鎖」を実施しようと企む。
本作のギャンブルの一つ『ゴールドジャンケン』を考案し、政治家や官僚を相手に接待を行っている。

映画本編では明かされていないが、ノベライズ版では首相主席秘書官の座に上り詰めることを決心した経緯が少しだけ掘り下げられている。

◇その他の登場人物

  • 菅原太一
  • 今野肇
  • 真山涼
  • 富樫悠斗
『バベルの塔』の参加者。
彼らも勝つための作戦を立てていたが、カイジに先を越され敗北してしまう。
その後、匿名の情報をもとにカイジを襲撃しカネを奪おうとするも、その計画性のなさを指摘される。
項目冒頭のカイジのセリフはその時のもの。
彼らもカネを求めていたのは確かであるため、カイジから協力するよう求められて東郷陣営に加わった。
公式には言及されていないが、ロボットエンジニアの菅原が彼ら4人組のリーダーと思われる。

  • 杉山志帆子
「良善興業」の派遣社員。
もともとは時計職人だったが、不景気で閉店してしまったとのこと。
病気で働けなくなったことで黒崎にクビにされてしまい、見かねたカイジが救いの手を差し伸べる。

演:松尾スズキ

「億万長者になるチャンスだとは思わないかい?」

過去作では地下帝国の住人だったが、本作では地下から脱出し、帝愛のグループ企業の1つの社長を任させるほどまで出世している。
若者救済イベント『バベルの塔』開催の情報を掴み、カイジに参加するよう勧めるが、その代わりに紹介料として賞金の半分を要求した。

演:天海祐希

「終了?ふざけんなよ、他に何やってんのよ!」

前々作以来の登場。
ギャンブルをするために帝愛ランドを訪れたものの、黒崎の指示によってゲームがすべて終了していたため、カイジに不満をぶつける。
しかし元帝愛幹部であったため帝愛ランドに関する情報を持っていたうえ、『ドリームジャンプ』によって黒崎がカイジを殺そうとしていたことを読んでいたため、これを阻止するべく攻略情報を教える。

  • 坂崎孝太郎
演:生瀬勝久

「勝つんや!絶対勝たなアカンで!」

前作に引き続き登場。
カイジを応援するために帝愛ランドを訪れ、自身も金貨を投げ入れカイジ達の勝利に貢献する。

それぞれ前作前々作におけるカイジにとっての宿敵。
本作には登場しないが、黒崎から「俺は一条や利根川のようにはいかんぞ!」と挑発された直後に回想シーン*3の形で記憶が甦る。


【用語】

若者救済イベント

カネを持て余した老人が日本各地で主催するイベント。
大槻の調査によれば、主催者は帝愛関係者ではないとのこと。
若者たちの暴動の鎮静化に一役買っているとされるが、一部の勝者は賞金を奪われ殺害されていた。

上記の通り、主催者は不動産王の東郷滋で、ゲームに勝利でき、10億程度の報酬では納得しないような「運と野心を持つ若者」を選別するために本イベントを実施していた。

緊急財政政策

高倉が提案した、日本を立て直すための政策。
その内容は「消費税を30%に増税」「年金支給額を40%削減」「生活保護の廃止」といった、貧困層の切り捨てと言わんばかりのものだった。
財界人のうち何人かは、この政策に反対している。*4

預金封鎖

銀行や郵便局に預けている日本円の引き出しを不可能にする。*5
これが実行されると、国民の資産は現金・預貯金・証券類のすべてが消えてなくなってしまう。
それと同時に新通貨「帝円」を発行、流通させることで、ハイパーインフレをなかったことにしようとする。

勝ち逃げ

本作においては、政府と結託して預金封鎖前に自身の資産を新通貨に付け替えて維持しようとすることを指す。
当然それができるのは情報を事前に掴んでいる政財界の一部エリート層に限られる。

天命の儀

預金封鎖を決定するための会議。
勝ち逃げする政治家達のみが参加するため、全員一致で可決される手はずになっている。
カイジ達は、政治家達に1000億の賄賂を配り、阻止しようと考えている。

帝愛ランド

帝愛グループが運営する巨大地下カジノ。
帝愛の地下帝国として建設していた区画の一部を利用していると思われる。
ここでは政治家から一般人まで多くの人間がギャンブルをするために訪れており、金塊やペリカを賭けて勝負している様子が見られる。
一般的な丁半賭博やルーレット等の他、本カジノ独自のギャンブルに『最後の審判 ~人間秤~』や『ドリームジャンプ』がある。


【登場するギャンブル】

本作では4つの映画オリジナルギャンブルが登場する。

バベルの塔

「参加者が目指すのはただ一つ!棒のてっぺんに取り付けられた人生逆転カード!」
対戦相手:自分以外の参加者
カネと暇を持て余した老人が主催する「若者救済イベント」として開催されたギャンブルの一つ。
街中のどこか*6に高さ約8メートルの簡易的な塔が建てられ、その頂上にある「人生逆転カード」を奪い合う。
このカードに最初に触れた者*7が勝者となり、以下のいずれかを手にすることができる。
  • カードの表「魔法の電卓」:入力しただけの金額、最大で9億9999万円が手に入る。


最後の審判 ~人間秤~

「マッチメイクされた敵対する2名が全財産を金塊に変え、天秤となっている秤の上に乗ってその重さを競い合う究極の総力戦ギャンブル!」
対戦相手:黒崎義裕
対戦する2人が全財産を金塊に変え秤に乗せ、どちらが多いかを争う。
副題にある通り、途中経過や最終場面で秤側で体重差を補正して対戦者自身も秤に乗る。
勝者は全てを獲得し、敗者は全てを失うことから「最も過酷なギャンブル」と呼ばれる。
現時点で持っているもののみならず、「4つのF」こと家族(Family)・友人(Friend)・フィクサー(Fixer)・会場にいる観客(Fan)から追加で支援を受けることができる。
支援の順番は、Family・Friend・Fixerがスロットでランダムに抽選され、3種類の支援が終わった後、最後にFanとなる。
会場にいる観客にとってはどちらが勝つかを予想し、秤に金貨を投げ込むことで投票するギャンブルとなっている。支援した側が勝利すれば、賭けた倍の金額をリターンとして貰うことができる。
ただし支援として有効になるのは実際に秤に乗った金貨のみで、地面に落ちた金貨は帝愛に没収される。加えて時間経過により秤の皿が上昇する仕掛けになっており投げ入れるのが困難になっていく。*8
実際に戦うのはカイジと桐野加奈子を仲間に迎えた資産家の東郷滋だが、途中で容態が急変したため体重差を再補正してカイジが後を継いだ。


ドリームジャンプ

「一発逆転の死のギャンブルです。10人中9人が死にます」
対戦相手…なし
10人が一斉にバンジージャンプをするが、1本のロープだけが地上すれすれで止まり、それ以外に繋がれた者は地面に激突して死亡する。
残った1人は、大金を手に生還することができる。
観客の富裕層達にとっては、誰が生き残るかを予想するギャンブルとなっている。
ノベライズ版では、「中間管理録トネガワ」に登場した荻野が責任者に抜擢されていることが判明する。


ゴールドジャンケン

「金を手にしたグーで勝った場合その金を貰うことができる」
対戦相手…高倉浩介
首相主席秘書官にして「影の総理」の異名を持つ若き官僚・高倉浩介が接待で行うギャンブル。
3つの金塊が入った黒い袋に手を入れた後、ジャンケンをする。3回勝負。
ただし少なくとも1回は金塊を握った手(つまりグー)を出さなければならない。この状態で勝てばその金塊を自分のものとして獲得できる。




追記・修正は、金を握ったグーで勝った人にお願いします。

この項目が面白かったなら……\ざわ…ざわ…/

最終更新:2025年09月20日 01:08

*1 決戦前に東郷から借りていた10億を元手にギャンブルで増やす

*2 廣瀬の絵の換金の際に出てきた、額縁の値段だけが査定されたもの。

*3 ちなみに2021年に金曜ロードショーで初放送された際、一条役の伊勢谷友介氏が放送前に不祥事を起こし逮捕された為、一条のシーンは沼で勝利したシーンに差し替えられている。

*4 原作者の福本氏は、この政策に反対する立場の財界人の一人として登場する。

*5 現実では日本国憲法施行前の1946年(昭和21年)に、戦後のインフレ対策として緊急勅令により、実施されたことがある。現在の日本国憲法下では財産権の保障を定めた憲法29条との兼ね合いから、行われたことはない。

*6 塔がある場所は、ゲーム開始の号砲と同時に参加者に公開される。

*7 カードには最初に手が触れた参加者の指紋を読み取る機能がついており、それ以外の参加者が触れても動作しないようになっている。

*8 そのため秤の皿が下がっている≒三種類の支援が終わった際に優勢である方が投げ入れやすい

*9 ただし小さなトランクにはきちんと大金が入っており、カイジにチャンスは与えていたものの、カイジが欲望に正直になったことで不意にしてしまった。