登録日:2016/10/12 (水) 10:02:00
更新日:2022/03/09 Wed 22:13:02
所要時間:約 3 分で読めます
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ――杜甫「前出塞九首」
王への請願(Um Krone Und Kragen)はダイス
ポーカーをベースとした
ダイスゲームである。
デザイナーはトム・レーマン。
日本ではcosaicから絵のフレーバーをケモ系に変更した物(元のAmigo版はクラシックな西欧絵画調)が販売されている。
プレイヤーは王宮への請願者となる。王へ申請したいことがあるのだが、当然ながら門外漢がいきなり王に会って貰うことは叶わない。それで、まずは王宮に出入りする下っ端に顔をつなぎ、影響力(ダイスの個数)を増やしながら王への面会、そして請願を通すことを目指す。しかし、王宮の人間も暇ではない。余りに多くの人の為には労力を割いてくれないだろう。そういう意味では、早い者勝ちの面もあるのだ……。
ゲームは各プレイヤーが3個のダイスを振れる状態でプレイを始める。
場には19種類(ただし、
道化師とペテン師は同じカードの裏表であるため、実質20種類)の様々な効果を持つカードが拡げられており、これらのカードはそれぞれ「カードを取るために必要な条件」と「カードを使った時の効果」を持っている。
例えば、「衛兵」というカードは「3個以上のダイスが同じ目であること」が取るための条件であり、使った場合「2の目のダイスを現在の結果に加える(=ダイスが1個増える)」能力を持っている。
ゲームのファーストステージでの目標である「王」のカードの獲得条件は「7個以上のダイスを同じ目で揃えること」であり、要するに初期段階ではどうやってもまずダイスの数が足りない。様々な人につなぎを取りながらダイスの数を増やしていくことが、ゲームの最初の目標となる。
プレイヤーは自分の手番において、まず振れるだけのダイスを振る。(最初は3個だが、この最初のダイスを増やすカードもある)
振った結果を見て、そのうちの一個以上のダイスを「確定」させる。そして、確定させなかったダイスを全て振り直す。これを繰り返し、最終的に全てのダイスを「確定」させたら、その結果を見てとれるカードを1枚取る(なにも役が成立しなくても「道化師」は必ず取れる)。
「道化師」「ペテン師」以外は一人のプレイヤーが同じカードを2枚以上取ることはできない。また、カードの枚数は大抵プレイヤーの人数より少ない枚数しかないので、早い者勝ちである。
取ったカードは、次の手番以降に1ターンに1回だけ使うことができる。なお、使っても手元からなくなることはない。
「いくら振りなおせるといっても、6個以上のぞろ目なんて揃うのか?」と思われるかも知れないが、カードの中には「ダイスの目に+1~3する」「ダイス1個を既に確定されたダイスと同じ目にする」「ダイス2個をその合計が変わらないように好きな目にする(例:1・5→3・3)」と言った、ダイスの数を増やさない代わりに出たダイス目を操作するカードもあるため、割となんとかなる。カード枚数が増えてくる中盤以降は、これらのカードをどう組み合わせて使うかで頭を悩ませることになる。
そうしているうちに「王」を取ったプレイヤーが出たら、そのラウンド終了までプレイした後にセカンドステージに移行する。ここでは全てのプレイヤーが「ゾロ目を何個出せるか」で勝負をすることになる。「王」を始めに取ったプレイヤーは同時に「王妃(好きな目のダイスを1個加える)」を貰えるため多少有利だが、それでもここで逆転する可能性もある。なお、ゾロ目のダイス数が同じである場合、より高い目でゾロ目を出した方の勝ちとなる。
カード数十枚とダイスというシンプルなコンポーネントながら、ダイスに左右される運の要素とカードを使ってダイス目をいかに操作するかという思考のバランスの優れた傑作ゲームである。値段も安いので、興味をもたれたら一度手に取ってもらいたい。cosaic版は絵がキュートなケモ系な分多少気恥ずかしいかもしれないが逆にそういった物に抵抗が少ないボードゲーム初心者の女性に勧める手もアリ。
追記・修正は王への請願を通してからお願いします。
- 友人が言った「運を捻じ曲げるゲーム」って評価は的確だと思った -- 名無しさん (2016-10-12 12:25:25)
- なんか面白そうっすね -- 名無しさん (2016-10-13 12:06:08)
最終更新:2022年03月09日 22:13