哀しみの魔人(星獣戦隊ギンガマン)

登録日:2017/02/01 (水) 12:24:06
更新日:2020/02/01 Sat 01:34:14
所要時間:約 10 分で読めます





その魔人の名は……デギウス! 

「生きがいいだけじゃ勝てねぇよ、坊や?」

「俺は子供扱いされるのが嫌いなんだよ!」

魔人の哀しみに触れた時、ヒカルの心が…強く、激しく、鼓動する!

「俺の手で……倒す!!」

星獣戦隊ギンガマン・第四十章!


哀しみの魔人


今、伝説の1ページが刻まれる!







すまねぇ……結局俺は、星を裏切り続けちまったな……






「哀しみの魔人」とは星獣戦隊ギンガマンの第四十章。
ギンガイエロー/ヒカルととある老兵の魔人の物語にして、年末決戦編の前章でもある。

脚本:小林靖子 監督:長石多可男


【あらすじ】


宇宙海賊バルバンの根城たるここ、魔獣要塞ダイタニック。
魔獣ダイタニクスを復活させるために、彗星のエネルギーを送り込む作戦が提案される。
だが、そのためには魔人が巨大化しなければならず、しかも作戦後には魔人はエネルギーに耐え切れずに死んでしまう。
最初から死ぬと分かりきっている作戦に誰が参加するのか……
破王バットバスは死ぬくらいしか役に立たない奴として、バットバス魔人部隊が一人、老兵の魔人「デギウス」に白羽の矢を立てた。
「おめぇなら大丈夫だ!」と煽てるバットバスだがシェリンダ達もあいつなら死んでも惜しくはないと冷たい言葉を投げかける。



早速作戦に取り掛かるデギウスだったが最初から捨て駒にされていることは承知の上で、それでも最期に思い切り戦いがしたいと巨大化せず海岸で破壊活動を始める。
案の定誘き出されたギンガマンと戦闘を始めるデギウス。 

「生きがいいだけじゃ勝てねえよ、坊や?」 

「何ぃ!!」

果敢にギンガイエローが先陣を切り立ち向かうが鉄球の猛攻撃をくらい劣勢に陥る。
それでも子供扱いされるのが一番嫌いなんだ!とデギウスに食らいつくヒカルだったがふとした拍子にデギウス共々海へ転落してしまう。




海底洞窟で目を覚ましたヒカルは足を怪我してしまったが、デギウスから傷薬を渡され洞窟を出るために一時休戦しないかと提案される。
デギウスも昔の戦いで目を怪我しており、暗い洞窟の中では右も左もわからなくなっていたのだ。
歩けない自分に変わりデギウスにおぶってもらい、後ろから目となって道案内することになったヒカル。
おぶってもらっていても殺気を絶やさないヒカル。デギウスは彼の姿を気に入り「おめぇが最期の勝負の相手だ」と言う。
無事に洞窟を抜けた二人だが、いつまでたっても巨大化しないデギウスに痺れを切らしたバットバスが待ち構えていた。
「ダイタニクスを復活させてとっととくたばっちまえ!」
出陣前とは裏腹な、身も蓋もない暴言を投げつけるバットバスにやはりそれが本音かとデギウスは呆れる。
そして両社は交戦。老兵とは思えないパワフルな戦いでバットバスを退けたデギウスは、ヒカルを連れて逃亡する。




「なんで俺を助けたんだ?」

「俺の最期の相手だからさ。てめぇこそ、何で俺を助けた?」


デギウスが倒れればダイタニクスは復活する……地球のためにそんなことはさせないと。
戦士としての強い使命感を見せるヒカルに、懐かしさを感じたデギウスは自身の生い立ちを語る。

「俺も昔、そんな目をして星を守っていたんだ」

「え……!」

「すげぇ昔だ。だがな、戦うたびに大事なモノがなくなっちまうんだ。親や兄弟や故郷なんかがな。坊やもそうじゃねぇのか?」

「……」

「何だかバカバカしくなっちまってなぁ、気がついたらバルバンに入ってたって訳だ」

星獣剣の戦士に選ばれたあの日、ヒカルも一度は憧れの戦士であるヒュウガを、そして故郷たるギンガの森をバルバンに襲撃され長老オーギ共々喪っている。
若き戦士には過酷ともいえる状況が重なり続けてもなお、星のために戦い続けているヒカルはデギウスに叫ぶ。

「全部失くしたからって……星も、それを守る自分も捨てるのかよ!? いいのかよそれで!? やり直せよ!! 星を守る戦士に戻れよ!!」

「そうするには俺は人を殺しすぎた。元に戻ったんじゃあ虫がよすぎるんだよ!」



あくまで若き戦士との最期の決闘に固執し、自身のケジメのためにダイタニクスを復活させようとするデギウス。
ヒカルはとうとう意を決してギンガイエローにギンガ転生し星獣剣を抜き、身構える。
星を守るために戦う若き戦士とバルバンに堕ちた星を守れなかった老兵。
寸分の隙を逃さず互いに太刀を入れていく激闘が開始される。

「いい気分だ……何だか、昔を思い出すぜ」

ギンガイエローと戦うデギウスは何処か嬉しそうな顔を見せる。

戦いの果てに満身創痍となった二人は互いに睨み合い、そして……


雷一掃!!


渾身の一撃を受けたデギウスは倒れ、戦いはギンガイエローの勝利に終わる。

「強ええな坊や……俺の負けだ。遠慮はいらねぇ、止めを刺しな」

お前に殺されるなら本望だ、と覚悟を決めるデギウスに対し、ギンガイエローは剣を収める。

「お前は敵なんかじゃない! お前の技はあんなに真っ直ぐじゃないか! 俺にはわかる。あれはバルバンの剣じゃない! 星を守る剣だ!」

「……!」

「残ってるんだよ、戦士の心が。もう一度、星のために戦えよ。まだ遅くない」

「坊や……」

デギウスに手を差し伸べるギンガイエロー。デギウスもそれに応え手を取ろうするが……




見兼ねたビズネラが、死角を突いて無慈悲な狙撃を放つ。




「これは……バルバエキス!」

その弾丸にはバルバンの魔人を巨大化させるバルバエキスが入っており、デギウスは強制的に巨大化。ビズネラのコントロール装置により、かつての鋼星獣のごとく操り人形にされてしまう。
駆けつけたギンガレッドらと共にギンガイオーを駆り、ギガライノスの援護を受けて必死にデギウスのコントロール装置を止めようとするギンガイエローだが、デギウスのパワーを止められず苦戦する。


「死なせない!やり直すんだ!戦士として!」

「坊や……」


だが、無情にも彗星がすぐ傍まで近づいており、このままではギンガイオーとギガライノスもろとも直撃を受けてしまう。
両者を庇う形でデギウスはコントロールを振りほどき……


「危ねえっ!」


彗星に直撃してしまった。

やがて彗星からの強大なエネルギーはダイタニックへと伝わり、魔獣ダイタニクスが復活してしまう。
振動するダイタニックに帰還するや否や歓喜に沸くバットバスとビズネラ、その成功を喜ぶゼイハブ。
操舵士であるシェリンダも、舵輪を手にし魔獣の鼓動を直に感じていた。


そして、デギウスは……


「すまねぇ……結局俺は、星を裏切り続けちまったな……」


「デギウス―――――――――ッ!!!」

炎の中に消えるデギウス。絶叫するヒカル。
星を守る戦士として、もう一度やり直せたかもしれなかった老兵は、星を喰らう魔獣復活の捨て駒にされるという、あまりにも残酷な形でその辛い生涯を終えた。


仲間になれたかもしれない戦士を失ったヒカル。
その背中を無言で見つめるリョウマたち。
サヤは彼に声をかけようとするが、ハヤテは無言で静止し首を横に振る。
下手な慰めは余計に彼を傷つけると思ったのだろう。
……やがて、デギウスの遺品の剣を掲げ、墓標に見立てる形で地表に突き刺しながらヒカルは誓う。

「デギウスみたいな奴は一人で十分だ。バルバンは、絶対に倒す!!」





そして……決戦がはじまる。






【主な登場人物】


  • ギンガイエロー/ヒカル  
初期はその若さから未熟な面が目立っていたが、バルバンとの激闘を通じて成長。
特に、今回のデギウスとの1対1の決闘でも互角の戦いを繰り広げるまでに成長している。
だが、子供扱いされカッとなる所は変わっておらずデギウスに坊や呼ばわりされるとすぐさま反論している。
ダイタニクス復活を止めるためにデギウスを倒そうとするが、彼と触れ合う内に心にはまだ星の戦士としての誇りがあると見抜いて手を差し伸べるが、僅かながら見い出せたその和解の道も、辛く苦しい結果となってしまった。
デギウスのような思いをする奴は一人で十分だと彼の形見の剣に誓い、打倒バルバンへの決意を新たにする。


  • デギウス(声:小林清志) 
今回の主役その2。バットバス魔人部隊の老兵で、デザインの武器モチーフは鉄球。自身も鎖のついたトゲ付きの鉄球を武器に使い、地面を叩いて衝撃波を発生させることも可能。
タフさも驚異的で、星獣剣を片手でつかんで防いでしまう。
元々はギンガマンと同じ星を守る戦士だったがバルバンとの戦いで家族や故郷を失い、疲れ果てて気がついた時にはバルバンに入っていたという経緯を持つ悲劇の魔人。
バルバンの中でもかなりの老兵だが、生粋の悪党ではなく元々は星の戦士だった。
そのこともあり、組織の中では作戦で死んでも惜しくはない奴とかなり軽んじられており、計略を見抜けなかったブドーや掟を破ったイリエスはともかく、基本的に船員の命を最初から捨て駒にするようなことはなかったバルバンの中ではかなり異質な存在といえる。
心身共に疲れ果てていたとはいえ自発的にバルバンに加入し、既に幾多の星で多くの人々を殺しすぎているとしてもう後戻りはできず、あたかも死に場所を追い求めてるような素振りを見せている。
だが、剣を交えたヒカルはその太刀筋はバルバンの剣ではなく星を守る戦士の剣だと気づき、心にまだ戦士の誇りがあると見抜き手を差し伸べた。
バルバンに人生を狂わされ、最期には捨て駒にされるという哀しき魔人だったが、最後にヒカルに胸の内を打ち明け、戦士として戦うことができたのが唯一の救いかもしれない。





【解説】


今回は、これまで純粋悪として描かれていた、宇宙海賊バルバンの魔人の一人にスポットが当たった珍しい回であり、
同時に戦隊物恒例のヒーローと怪人の交流回でもある。

ただ、今回のデギウスについては、善も悪もわからなかったり渋々悪事をしていた怪人達とは違い、
全てを失ったからとはいえバルバンという組織で長きに渡り悪事を働いていた経緯があり、単純な怪人の中にもいい奴や可哀想な奴はいるんだという話の枠に縛られていないのが特徴である。
そんな彼がどうケジメをつけるのか、どうヒカルと対峙していくのかが今回の見所の一つ。
幹部でもない一介の怪人が、どういう経緯で悪の軍団に入ることになったのか、語られる描写も特撮全体で見てもあまり類を見ない珍しい描写である。

この話で忘れてはいけないのが、ギンガマンもデギウスと同じ末路を辿っていたかもしれないということである。
もし、リョウマ達仲間がバルバンに負け、命を落としヒカルただ一人が生き残り、勇太や晴彦など親しい人々が蹂躙されていくのをただ見ていることしかできなくなり絶望の淵に立たされたとしたら……?
何も守るものが無くなり、無気力のままにバルバンの軍門に下ったデギウスや、故郷と肉親への復讐のために他の犠牲を厭わなった黒騎士ブルブラックのようになっていたかもしれないだろう。

つまり、デギウスはギンガマンのIFといえる存在なのだ。

彼にも仲間がいれば、もう少しはやくギンガマンと出会えていれば、7人目の戦士としての姿がありえたのかもしれない。
これはギンガマンに限ったことではないが、だからこそ絶対に負けられない、こういった悲劇を繰り返さないためにもヒーローは勝ち続けなければならないのだ。
デギウスのような思いをする者は一人として居てはいけないのだから……

この哀しみの余韻に浸る間もなく、次の回である第四十一章から魔獣ダイタニクス決戦の前後編へと突入していく。
年末商戦と言ったら身も蓋もないが、善悪双方の総力戦という面でも怒涛の展開に見逃せない。









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