機動戦士ガンダム0079

登録日:2025/08/29 Fri 14:30:00
更新日:2025/08/30 Sat 13:41:14
所要時間:約 20 分で読めます





機動戦士ガンダム0079』とは、ガンダムシリーズの漫画作品。
作者は近藤和久。
連載期間は1992年から2005年まで。単行本は全12巻で、メディアワークス発行、電撃コミックス。

【概要】

最大の特徴はテレビ版『機動戦士ガンダム』そのもののコミカライズ作品であると言うこと。
ガンダムシリーズのコミカライズ作品は一年戦争題材に限ってもそれこそ星の数ほどあるが、そのほとんどが別の戦場を描いた外伝だったり、一部キャラクターに焦点を当てたりと言ったスピンオフ的なものであるのに対して、
本作はアムロがサイド7でガンダムに乗り、ホワイトベースの仲間たちと共にジオン公国軍と戦い、ア・バオア・クーで終戦を迎えるまでがコミカライズされている。
似たような立ち位置の漫画作品として『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』も存在するが、「ガンキャノンやガンタンクをザク以前の旧式と描く」「テキサスの戦いでシャアがガンダムを圧倒する」「本編以前のジオン共和国→公国の歴史を描く」など独自設定が強いあちらに対して、こちらはよりテレビ版に近い世界観となっている。

一方で、単にテレビ版そのものというわけでもなく、随所にアレンジや設定の充実化などが謀られている。


本作の特色としては、まず地球連邦軍の様子がより細かく描かれている点
テレビ版・劇場版ではホワイトベース隊以外の連邦軍ははっきり言って脇役……というか背景同然であり、やられるシーンか、静止画を上下や左右に流して移動するシーンばかりだった。
ジムやボールに到っては、顔が描かれたパイロットが「ソロモン戦の最中、ビグ・ザムに挑むジムのパイロットとボールのパイロット」の二名のみという有様。ジオン側のパイロットが名無しのモブ含めて大量に顔と台詞を備えて出てきたのとは雲泥の差。
劇場版に到ってはそのボールのパイロットもカットされた。

これに対して、本作では戦闘機やジム、ボールのパイロットたちが頻繁に描かれ、また誘導役の兵たちが叫ぶ「Let’s Go! Let’s Go! Let’s Go!!」など、より軍隊らしい描写が増えている。
特にオデッサ戦では、ホワイトベース隊がまったく登場しない、地上軍の様子が執拗なほどに描かれている。
その雰囲気は少しアメコミチック。
味方の危機に駆けつけたアムロとセイラを溢れんばかりの感謝の念でもみくちゃにする連邦兵などはほかの作品では早々見られない。


ジオン側もまた描写がパワーアップしている
例えばジャブロー攻略作戦では、テレビ版では使われなかったアッグシリーズが大挙して投入された。
ゾックの代わりにゾゴックがアムロに倒されたり、アッグに到ってはジャブローの地下通路開通という悲願を果たしたりと、マイナー機も多数活躍。
ドップが気化爆弾を装備して、偽装林を薙ぎ払うなど、強烈なシーンも。

もちろんホワイトベース隊やシャアたちジオンの主要メンバーにもアレンジや設定充実化がされている。
例えば本編で未使用に終わった「スプレーミサイルランチャー」をガンキャノンが搭載したり、キャメル・パトロール艦隊との戦いではガンダムがフルアーマー装備で登場したり。
また黒い三連星がジャイアントバズに加えて90mmマシンガンを装備してきたり、チベのデザインがすべてティベ型に近いものになっていたりと、ジオン側も強化されている。
なお、マシンガンやティベなど、『ポケットの中の戦争』のデザインや武器の登場も多い。


漫画としては、少し絵に硬い印象を受けるが、メカの細かい書き込みは凄まじく、独自の迫力がある。
最終版のア・バオア・クー戦における、ドロス艦隊に連邦の量産型Gファイターが多数押し寄せるシーンは、背景の星々とミサイル・戦闘機・ビーム・艦船の書き込みが凄いことになっている。
躍動感もしっかりあり、マグネットコーティング後のガンダムが、撃ち込まれるビームをビームサーベルで切り飛ばすあたりはまるでスターウォーズのよう。
装甲へのダメージが細かく描かれ、ダメージを負ったまま動き回るなど、アニメでは難しい作画も見られる。

なお、当初は打ち切りの懸念があったためか、ルナツー編をダイジェスト化していたが、こちらも後に増刊という形で補完された。
一方でアニメ版からカットされたエピソードも存在し、ククルス・ドアンやトクワンの回、イセリナの復讐、ザクレロ戦などは省略。
ガンタンクは宇宙では採用されずガンキャノンに置き換わったり、キャメル艦隊戦の展開が劇場版に準じていたり、キャメル艦隊との戦闘中にトクワンのビグロが襲いかかったりと、テレビ版との差異やオリジナルの展開もそれなりにある。


1984年から1985年に掛けて短期間連載された『MS戦記』の拡張版という側面もあり、フレデリック・ブラウンもちょくちょく登場。
『MS戦記』で描かれた「アムロのガンダムと戦うブラウンたち」が攻守ところを代えて再現された。
またブラウンが黒い三連星と出会うシーンも、台詞が変更され、三連星をより凄みを備えたベテランとして描くなど、セルフリメイクも兼ねている。
というか、本作の登場に合わせて『MS戦記』もMS戦記 機動戦士ガンダム0079外伝にタイトルを改められたという経緯もある。

『MS戦記』と比較した場合、「近藤デザイン」といわれた数々のアンテナ類などはさすがに簡略化されている。
ただメカデザインの変更は多く、中でもGファイター・ガンペリー・アッザムはほぼ別物。
また意外なメカがゲスト出演していたりする。


地球連邦軍

◇メカニック

足回りや腰回りのメンテナンスハッチが増えるなど、細かい描写は増えたが、さすがにテレビ版にほぼ近い姿。
しかしキャメル・パトロール艦隊との戦いでは「フルアーマーガンダム」の装備で登場。左腕にミサイルを増設するなど、MSVよりもさらにパワーアップしている。
アムロ機に追加装甲を施したタイプなので、頭部が白いままなのと、追加装甲にはデブチ穴のようなものが見られるのもポイント。
アムロ曰く「ジオンもそうだけど、連邦も新兵器を続々と送り出してくる」。
キャメル艦隊殲滅後は、ちょうどそのタイミングでホワイトベースを襲っていたビグロと交戦。
フルアーマーを破壊されるほど苦戦するも、腰のビームライフルを回収してなんとか勝利。
シールドが頻繁に穴だらけになったり歪んだり、黒い三連星に片脚をもがれたり、その足が修理されないままグラブロ戦に挑んだりと、ダメージ描写も熾烈。

アニメ版に近いデザインだが、肩にガンダムのような装甲が追加されたり、キャノン砲回りの描写が細かくなったり、たまにスプレーミサイルランチャーを搭載してきたりと、アレンジはされている。
黒い三連星との戦いでガンキャノンとガンタンクは「修復不可能」と判定され、ジャブロー防衛戦からはガンキャノンが二機配備された。コールナンバーはもちろん「C-108」「C-109」。
(よってC-108はそれ以前のガンキャノンとは別物と言うことである)
また量産型ガンキャノンも多数登場し、ジャブロー防衛戦やソロモン攻略戦、ア・バオア・クー戦などで実戦投入されている。

比較的テレビ版に近いタイプと、腕が肩から根こそぎに外され、代わりに対空用の連装機銃を備えた、より移動砲台のようなデザインになったものが登場。
二機あるようにも見えるが、ホワイトベース隊にガンタンクは一機しかないとのコズンのセリフがあるので、時々に合わせて腕を交換しているらしい。
また、後者のデザインに近いガンタンクが「RGT-76 ガンタンクⅠ」として量産され、一般部隊にも配備された。
このガンタンクⅠも仕様変更されている。胸部デザインは量産型ガンタンクに近く、コアブロックシステムを廃止して腰の旋回を可能とした。キャノン砲を対地ミサイルランチャーに換えた機体もある。
名前からして「ガンタンクⅡの前身」ということだろう。
そのガンタンクⅡも本編に登場。オデッサ戦でガンタンクが修復不能になったための代用として、ベルファスト戦でカイとハヤトが搭乗した。

ダメージがしっかり描かれる本作では、翼の片方が欠落したまま長期間進んだり、片方のハッチが閉じなくなった状態のまま戦線を漂ったりと、悲壮感が増している。
ジャブローに入港した際には、横のドッグにグレイファントムがゲスト出演している。

航空機らしくデザインを大幅に変更。ミデアの小型版といった趣になった。

大きなアレンジが施され、もはや原形が迷子状態。
翼が大きくなり、その先にブースターユニットが装着されて、より宇宙戦闘機っぽい見た目になったが、機体の上に据え付けられたビーム砲は確かにGファイター。
ガンダムとの連結機能もあるが、前後に分離したり合体したりというマゼラアタックもビックリドッキリなギミックはさすがにオミットされ、ガンダムの背中に負ぶさるようにして飛ぶという、リ・ガズィのバックウェポンシステムに近い設定となった。
「量産型Gファイター」(または「汎用型Gファイター」)なる機体も登場。機体下部には対艦ミサイルを搭載したためガンダムに負ぶさることはできなくなったが、宇宙空間ならば上に乗せることができ、ガンキャノンやガンダムを背中に乗せるシーンもある。
対艦・対要塞の攻撃能力は非常に高く、また「量産型」の名に恥じず多数生産され、ドロス攻略にも活躍した。

こちらも登場。Gファイターかコア・ブースターの択一ではなく、両方が登場する。
スレッガー機としてキャメル・パトロール艦隊戦から登場するが、ソロモン戦の前に機雷原に突っ込んでしまい、大破。
スレッガーは脱出に成功し、量産型Gファイターに乗り換える。

上述通り、パイロットの様子も描かれるようになる。
テレビ版では敵機撃墜シーンも「アムロが敵機を倒すシーン」の使い回しがほとんどであり、ジムが活躍しているという印象を受けにくかったが、本作ではジムによるジオンMS撃墜というのがより分かりやすくなっている。
もちろんヤラレ役もしっかり果たしており、派手に撃墜される場面もまた多い。

こちらもこちらで、集中射撃でザクやリック・ドムを撃墜するシーンがしっかり描かれている。
ザクに蹴られてジムにぶつかる場面もちゃんと登場。

より薄っぺらくなり、また機体の左右に翼が設置され、その先にブースターユニットを装備。
Gファイターの量産型の一種という設定で、突撃用のためにより装甲が強化されているとのこと。ビーム攪乱幕用のミサイルがとてつもない大きさになっており、「ミサイルを抱えた」というよりも「ミサイルに抱きついた」というような見た目になっている。

ミサイルポッドが翼下に吊り下げられるほど小型化した。
では弱くなったのかというとそうではなく、低速で飛び回れることからジオンのスパイを発見、機銃と小型ミサイルでミンチにしていくという、恐ろしいシーンが描かれた。

『MS戦記』同様、火力と迎撃能力は侮れない存在として登場。
ガトルの対艦ミサイルやザクの猛攻などで撃墜されるシーンも多いが、密度の高い対空機銃で返り討ちにしたり、火力で敵艦を圧倒したり、集中砲撃でゲルググ部隊を殲滅したりと、強さもしっかり描かれた。

  • 陸上戦艦
なんとホバーで陸地を動き回れる巨大戦艦。ある意味バイク戦艦よりも無茶をやっている。その存在感はビッグトレーの比ではない。
アッザムによって撃沈した船も多数出てきたが、戦艦ゆえの「砲弾の撃ち分け」により対空散弾に換装、大ダメージを与えている。

  • 戦闘機
フライマンタらしき機体も登場するが、より現実のものに近い戦闘機も多数登場。
メカニックマンの激励やヤジも凄まじい。

61式戦車は登場せず、単装砲のみの通常の戦車が出た。
ザクをしっかり破壊する場面もあり、元「陸の王者」としての意地も見せる。

◇キャラクター

ほぼアニメ版通り。地上戦の苦しみもしっかりと描かれる。
母に再会した辺りの精神が最悪になっていた時期には、生身のジオン兵に60mmバルカンを乱射するなど目につくジオン兵を皆殺しにする勢いの凄惨な様相と、その直後にヘルメットを被ったまま、ストレスで嘔吐するという悲惨な姿を相次いで見せる。
バルカンの直撃を浴びて身体がバラバラになり、生き残りも悲痛に呻くばかりのジオン兵を横目に、上半身が闇に包まれ目だけが煌々と光るガンダムは、かなり怖い。
「ざまあないぜ!」などと嘲笑できる余裕はまったくない。
テレビ版同様オデッサ戦の時期を通してたくましくなっていくが、ララァとの感応シーンでは母からの心ない言葉や精神を病んだ父が出てくるなど、家族というものへのトラウマが重くなっていった様子も描かれていた。

オデッサ戦の最中にアッザムを撃破し、直後に味方の陸上空母に着艦した際、兵たちから感謝と共に「幸運のお守りの水晶」をペンダントとして受け取る。
ジャブロー到着時にもセイラはこれを装着している場面がある。

基本は変化無し。なお、彼らのパイロットスーツは、髪を押さえるためのインナースーツがあることも描かれている。

ホワイトベース隊に配属されてからの初陣となるキャメル艦隊との戦いではいきなりコア・ブースターに乗り、砲手は努めない。
ソロモン戦前にコア・ブースターを失ってしまい、量産型Gファイターに乗り換えた。
破天荒振りに磨きがかかり、カイのガンキャノンを上に載せて前線まで運ぶ際にはフルパワーの全速力で突進。ムサイのエンジンを繋ぐ橋桁の隙間を通るなどして、カイが絶叫を上げまくる一幕も。
なお、無駄に派手な操縦をしたのではなく、急接近するGファイターに慌てた別のムサイがメガ粒子砲を乱射した*1結果、スレッガー&カイが橋桁を潜っていたムサイにそのメガ粒子ビームが命中、同士討ちで一席沈めてしまっている。
彼はこの同士討ちを狙ったのであった。それはそれとしてカイは「死ぬかと思った」と愚痴ったが。

ルナツー編は当初ダイジェスト化されていたが、後に増刊号で詳しく再現された。
ソロモン攻略戦ではブライトたちの成長を認める一方、変わらぬ厳格さも見せている。

本編との相違はほとんどない。

基本的にはアニメ版と同じだが、街中で暴れる水陸MSに対して、湾内の巡洋艦から艦砲射撃をぶっ放すという作戦を実行。
部下の士官が「流れ弾が市街地に当たってしまいます!」「住民の避難も済んでいないのに……」と反論するも「どの道このままでは市街地もやられる」と押し切ったり、ジャブロー上層部から「宥和政策を無視して一人で戦争を始めた」と批判されたりと、強硬派・過激派の一面も見せている。


ジオン公国軍

◆メカニック

序盤から終盤まで出ずっぱりの主力機。
なお巻末の機体解説では、地上走行用のバランサーやセンサー、制御システムの整備が難しく稼働率が低かったこと、連邦のような教育型コンピューターがないためにパイロットの育成に時間がかかったことも記述されている。

ド・ダイに乗る際には固定用のワイヤーを結んでいる。空中戦用の迷彩を施した機体も。
陸上戦艦に攻め込む際にはザクバズーカを搭載して火力強化を図るシーンもあった。

黒い三連星の機体は、弾数の限られるジャイアントバズに加えて、90mmマシンガンも装備して二刀流で戦った。

より円形になり、薄っぺらくなり、砲塔を収納し、脚部は着陸時のみとして引き込む形になり……とした結果、円盤形UFOそのものな姿になってしまった。どうしてこうなった。
なお、オデッサ戦に使われるのは変わらないが、マ・クベは出撃命令を出すのみ、キシリアは地上に赴任しないため、テレビ版とはまったく違う展開となった。
優れた対地攻撃能力で連邦軍の陸上戦艦を多数沈め、一時は連邦軍全体が静止するほどの恐怖を与える。
しかし後日、陸上戦艦から対空散弾を撃ち込まれて破損。さらに折悪しくセイラのGファイターに上を取られて大破、山に墜落して爆散した。

  • ジオン水泳部の面々
ズゴックゴックアッガイゾックはあまり変化がない。地味にザク・マリンタイプも登場。
一方でゾゴックはより格闘戦向きにアレンジされ、グラブロはより潜水艦らしくアレンジ。
ジュアッグはなんと通信能力を強化して、ガウ司令機からの通信を潜入部隊に伝える役回り。
アッグガイは頭部と「目」が小さくなった代わりに、扁平な頭部の後ろ半分がでかい目玉になり、他水泳部の面々と似せながらも異形さは健在。また両手の武装もヒートロッド二本ではなく、ズゴックのようなクロー二本と機銃二門になった。
アッグは足が一本になり、両腕のドリルも巨大化、より重機らしく。
マッドアングラーも生物的なデザインから、より潜水艦らしいデザインに変更された。ただ、ユーコンとはまったく違う扁平なデザインはそのまま。

機体によってはザク・マシンガンを装備した機体も。
なおコンスコン戦の二回目にはガンダムによってジャイアントバズを奪われ、逆に撃ち込まれるシーンもあった。
アムロはそのジャイアントバズを使って、コンスコンのチベも沈めている。

  • ザクフリッパー
強行偵察用のザク。
下半身はサイコミュ高機動試験用ザクのものに換装され、離脱用に速力を高めている。
ワッケイン艦隊の先頭で哨戒中のスレッガーのコア・ブースターに発見され、追撃を受けるが、機雷を撒いてコア・ブースターを大破させ、自身は脱出に成功した。

ゲルググとの競作に開発された試作機を、マ・クベが自分専用にチューンナップしたもの、という設定が加えられている。
これにより「ゲルググとのコンペ用の機体」という設定と「ギャンは私用に開発していただいた機体だ」というマ・クベのセリフをうまく統合している。

バックパックが追加され、宇宙用に合わせて斜め上にもブースターが設置された。
『MS戦記』主人公フレデリック・ブラウン最後の機体と言うこともあり、ブラウンとナウマン以外は新兵ばかりのゲルググ部隊も描かれた。

クチバシ部分が丸くなり、アームは腕を組むようにして収納されている。
ほかに翼が増設され、後方には大型ブースターが増設されるなど、より宇宙戦闘機に近いデザイン。
トクワン大尉の乗る機体は、キャメル・パトロール艦隊を支援するためザンジバルから先行するという形で登場。
到着はキャメル艦隊の壊滅直後になってしまったが、相手のフルアーマーガンダム&Gファイターと互角に戦い、その追加装甲も破壊するが、最後はビームライフルの反撃で敗れた。
なお、爪がガンダムに引っかかるシーンこそあるが、アムロが直後に追加装甲を排除したため、気絶させることはなかった。

その他にもう一機がア・バオア・クー戦に登場。
ワンシーンのみだったが、パイロットのヘルメットには専用のマークが掘られていて、腕利きの模様。

それっぽい機体がザンジバルの船内で解体されていた。以上。

胴体がさらに左右に広がり、足も長くなるなど、原典の巨大感をさらに強化。
中央の大口径メガ粒子砲の周囲には旋回する小型メガ粒子砲が追加され、さらに胴体の下面にはミサイル発射管も内蔵。
さらに足のクロー部分には補助の足を展開するギミックも仕込まれている。

原作とはほとんど変化無し。ただ、カラーイラストでは機体が銀色になり、オレンジ色の部分が緑色になっている。割と綺麗。

「とんがり帽子」と呼ばれる所以となった「とんがり」がさらに大きく尖り、広がった。
コックピットの真上にメインカメラが設置されたり、機体の駆動を助けるためのサブブースターが斜め上に設けられたりと、細かいアレンジも光る。

頭が少し角張ったほか、肩周りやスカート周りにブースターが増設され、より機敏になっている。

なぜか名前が少し変更されている。「マゼラン」という略称で呼ばれる場面も。
巻末のイラスト集では分離したマゼラトップの再接合場面の想像図が描かれている。マゼラトップの下面から短いワイヤーを伸ばし、その先端がフック状になっていて、ベース部分のラッチに引っかけた後、そのワイヤーを巻き取り接続する、ということが描かれている。
もっともマゼラトップでそんな細かい動きができるのかという疑問もあるが。整備中ならともかく、戦闘中には無理そう。
またM1A2エイブラムスと大きさを比較する作画があるが、メチャクチャ大きいことが分かる。
そしてそのマゼラン・アタックの車体をさらに大型化したものを使用するザクタンク、そのザクタンクよりも一回り大きいガンタンク、そのガンタンクを二回りほど大型化したガンタンクⅡ……と、「マゼラアタックやガンタンクは戦車としては大きすぎる」という設定が視覚的に分かりやすくなっている。

  • ギャロップ、キュイ
砂漠に合わせた迷彩が施されている。
迷彩はアニメーション作画ではあまりに困難だが、漫画では容易と言うことのようだ。

  • ダブデ
連邦軍の陸上戦艦のインパクトに隠れがちだが、こちらも巨大化。
特徴的な首がやや短くなり、砲塔も機体に直接繋がるようになった一方で、三連装の対空機銃が八基も搭載され、主砲は宇宙世紀でも類例がない四連装砲塔にパワーアップ。
司令室の装甲も大きく強化されている。
何より、自重が増えたためか例のダンパーを必要とせず、普通に砲撃できるようになった。
なお「二号車」と呼ばれるシーンがあり、これでも「戦車」として扱われている。

  • マ・クベ専用ダブデ
劇中では明確に「ダブデ」と呼称されているが、画面手前を進む一般ダブデが小さく見えるほどの巨体を有し、司令室の外観も大幅に変更。
搭載する砲塔も、一般ダブデの主砲並みの連装砲と、それをさらに凌駕する謎の超巨大三連砲塔を有する。
マ・クベの立場もあって最前線に出ることはなく、水爆ミサイルの恫喝と発射のみの登場となった。

基本は変わらないが、エンジン左右に垂直翼のような部位が付いている。
またメガ粒子砲塔が二基のみのタイプは登場せず、全てが三基のタイプになっている。

全体的に前後に大きく引き延ばされ、デザインが『ポケ戦』に登場したティベ型に近いものとなっている。

クチバシのような艦首部を切り離し、上陸艇・連絡艇として使えるというギミックが描かれた。


◆キャラクター

さすがに基本はほとんど変わらない。

  • ドレン
シャアの副官時代はほとんど変化無し。
キャメル艦隊の指揮官として登場した場面では、劇場版をベースとしつつも、フルアーマーガンダムのミサイルで船内が大ダメージを負った様子が描かれ、悲壮さがさらに増している。

テレビ版に準拠し、ほとんど変化なし。

ドズル戦死時に、テレビ版では激昂していたが、本作では淡々とデギンに報告の使者を出すのみで特に感情を動かしていない。
ア・バオア・クー戦でキシリアに背後に立たれた際には、彼女の殺気を感じてシートベルトを外し、右手を腰に回して拳銃を握る動作を見せる。が、すでに背後を取られていては如何ともしがたく、撃ち殺される。
テレビ版では最後までキシリアの本気に気付かず薄ら笑いを浮かべたまま無防備に撃たれたが、今回はギレンも額に脂汗を浮かべ、最後のセリフ「冗談はよせ」もニュアンスが変わっている。

ビグ・ザム爆砕時には頭がもげている。
実は劇場版の同一シーンをコマ送りすると、やはりドズルは頭が吹っ飛んでおり、それはこのシーンを再現したものとなっている。

ソロモン陥落時には「救援が間に合わなかったとは!?」と本気で驚いている。
マ・クベやウラガンは「今さら出撃したところで間に合うはずがない」と最初から諦め半分だったため、意外と軍事知識は疎いことが描写されている。
(ア・バオア・クー戦で指揮権を奪ってから戦況が劣勢になったり、小説版でグラナダに攻め込まれた際には完敗したりと、指揮能力に劣る描写は他の作品でも散見される)

木馬撃破のために戦力を無理やりにでも抽出するが、他の戦線の戦力が薄くなることなどについて部下たちから文句を言われる場面があったり。

  • イセリナ・エッシェンバッハ
ガルマの訃報を聞いて泣き崩れる場面で終わっており、テレビ版で描かれていた「ガルマの仇討ちにイセリナも参加する」というシーンはなかった。

変化なし。

テレビ版以上の実力者となり、マッシュ戦死後のリベンジ戦ではジャイアントバズに加えて90mmマシンガンも装備して登場。
猛烈な攻撃でガンキャノンとガンタンクを修復不可能なほどに破壊。
後から駆けつけたガンダムとGファイターに対しても互角以上に渡り合い、ついにオルテガ機がガンダムの右脚を吹っ飛ばして横転させる。
アムロも死の恐怖に絶叫するが、コックピットにヒートサーベルを突き刺そうとした瞬間、ガンダムのビームライフルがオルテガ機のコックピットをゼロ距離発射で貫通。
最後のガイアは怒りと共に突撃するが、片脚を失い動けないガンダムに意識を集中させすぎたため背後から迫ったGファイターを忘れてしまい、背中からビームを打ち込まれて撃墜された。
しかし彼らの猛攻により、ジャブローに着くまでホワイトベース隊はGファイターと片脚のガンダムで戦うことになってしまった。
なお『MS戦記』のフレデリック・ブラウンと出会うシーンもリメイクされており、明るいだけではない、歴戦の戦士としての凄みも見せている。

基本は変化なし。テキサスコロニーではギャンに乗って戦う。
ちなみにオデッサ戦では階級を「少佐」と書かれてしまっている。ランバ・ラル戦時期や宇宙に上がってからは「大佐」表記なので、作者が間違って描いてしまったようだ。

  • ジャブロー潜入工作員
映像版や『THE ORIGIN』では子供たちを捕縛した結果、彼らに爆弾を解除されてしまう。
が、今回は爆弾を設置して脱出する際に子供たちに見つかり、すぐに逃走する、という展開となり、拘束はしなかった。
しかしそのおかげで子供たちの爆弾解除もなく、直後にジムの工場一つを爆破する。
その点では映像版以上の成果となったが、前後して潜入MSが連邦の哨戒網に発見されてしまい、さらに連邦軍の軍用犬や警備兵などによって他の潜入部隊も発見される。
特にファンファンに発見された部隊は、機銃や小型ミサイルによって悲惨な結末を迎えた。
爆風と岩の破片で工作員たちが血まみれになり、通信機から断末魔の悲鳴が響き渡る様はシャアをして「緊急事態、我々は全滅の危機にあり」と言わしめた。
幸い、待機していたアッガイがファンファンの迎撃に現れ、シャアたちはズゴッグに乗り込む。

彼の死についてシャアはテレビ版同様の理由に加えて「せめて彼には、『ガンダムと互角に戦った』という名誉を残すべきだ。今出撃してララァがガンダムを撃破してしまうと、彼の最後に残される名誉をも傷つけてしまうことになる」と言及している。

  • フラナガン博士
デザインは劇場版のものを踏襲している。

  • フレデリック・ブラウン
「私の指示に従い、そして無茶はするな。英雄になろうなんて考えるな。この戦いで死んでも名誉なんかじゃないぞ」

前作『MS戦記』主人公。
オデッサで仲間と共にガンダムと戦ったり、ジャブローで上官ハンズマンを失ったりといった前作の場面の他、ア・バオア・クー戦では学徒動員の新兵たちを統率する場面も描かれる。
ジャケットをマントのように羽織るなど古参兵としての風格が出ており、新兵たちにも上段のセリフで鼓舞し、また戦場では「二機一組で連携し、有利なときだけ攻撃を仕掛けろ」と細かく指揮していた。
(なお「英雄になろうなんて考えるな」は本作で黒い三連星がブラウンに掛けた言葉そのままである)
しかし戦況の悪化は覆せず、サラミス艦隊の猛攻でゲルググ部隊は全滅。オデッサ着任以来の部下だったナウマンも戦死する。
その上、もとから関係の悪かった上司ゲイツ大尉は連邦軍に寝返ろうとする。
ブラウンはそれを許せず、あえてゲイツの母艦チベの艦橋に陣取り……

「ゲイツ大尉! 部下を犬死にさせた事を恥じ、単艦、敵艦隊へ特攻とはご立派! お最後、見届けさせてもらいます!!」






「ナウマン、項目を充分読み込むんだ! アニヲタの情報力を活かし、追記・修正せよ」
「ブラウン軍曹、了解!」

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最終更新:2025年08月30日 13:41

*1 ムサイには対空機銃がないので、接近されると主砲のメガ粒子砲を撃ちまくるしかない。