登録日:2025/08/29 Fri 23:19:13
更新日:2025/08/30 Sat 01:02:21NEW!
所要時間:約 40 分で読めます
概要
ここでは近代~現代の銃器を構成する部品について解説する。
各パーツの動作や古式銃については
銃の項目を参照。
発射に必要な部分
これらと撃発部があれば最低限弾を撃ちだすことができる。鉄パイプとハンマーで即席の銃を作り出す場面などはフィクションでも時たま描かれる。
薬室(チャンバー)
弾薬が収まり発火する場所。薬莢の外側がすっぽり入るような形になっており、薬莢、ボルトとともに発射時の装薬燃焼圧力を押さえつける。
自動式の場合は銃身と一体化している場合がほとんど。ガスオペレーションの場合は閉鎖のための引っ掛かり(ロッキングラグ)とも一体化している。
銃身(バレル)
発射時に弾頭に装薬の圧力を伝え、加速させる筒。
ライフリングが彫られている場合、旋転力を与え弾頭飛翔時の直進性を向上させる。
ガスオペレーションによる自動式の場合は先に近い個所に穴が用意されており、そこからガスを引いてくる。
銃口(マズル)
銃身の薬室と反対側の先端。
撃発部(発火に必要な部分)
現代では機械的に雷管を叩く機構そのものを指している。
ボルト
薬室とともに薬莢底部を抑える部品。発射可能時には(反動利用式の場合は外部機構またはボルト自身の重量、それ以外の場合はロッキングラグによって)薬室と結合されており、何かしらの力(手動/反動/ガスピストン)によって結合を解除することで開放できる。
また、開放する際に薬室から薬莢を抜き出し、マガジンから次弾をすくい上げて叩き込む機能も有する(エキストラクターとして別パーツ化される)。
エキストラクタ
ボルトに配置されている部品。射撃後の薬莢のリムを引っ張り出し、最終的に弾き飛ばす役割。
ボルトキャリア
ボルトを動作させるためのレールや回転軸、引くためのボルトハンドルなどをまとめた部品。拳銃ではスライドと呼ばれる。ロッキングラグの解除にボルトの稼働を必要としない/そもそもロッキングラグがない場合はボルトと一体化していることがある。
ガスオペレーション式の場合は真っすぐのエネルギーを回転やティルトに変える機構が内蔵されており、簡単な知恵の輪のように嚙み合っている。
ファイアリングピン
ボルト内部に存在し、弾薬側の雷管を叩く針状の部品。ボルトによる撃発以外ではバネや安全装置(AFPB/Automatic firing pin block)によって前身が妨げられている場合が多い。
オープンボルトでロッキングラグがない銃ではボルトに括り付けとなっている場合があり、その場合はボルト自体の前進を止める安全装置を配置する。
撃鉄(ハンマー)
雷管を直接またはファイアリングピンに衝撃を加える部品。直接叩くものは安全性の面やボルトの巨大化等で現在はあまりない。トリガーまたはシアによってテンションがかかった状態で維持され、トリガーを引いた際に落ちる。ボルトキャリアの後退や手動での操作によって起き、次弾の発射に備える。
現在ではハンマーを軽量にし、バネの強さや慣性で衝撃を加える場合が多い。ハンマーが完全に起きていない場合に落ちても発射しない一種の安全装置となっている。
ストライカー
縮めたバネを開放することで撃鉄と同じ効果を発生させる形式。ハンマーに比べて省スペース性で勝る。
ボルトグループを一体にしておきたいボルトアクションライフルや、銃身の位置を下げたい
グロック17以降の自動拳銃にてよく採用される。
機関部(引き金とそれに付随する部分)
撃発部の稼働を助け、次弾装填が完了した際に発火準備を整える。
尾筒(レシーバ/フレーム)
機関部を覆う部品。概ねガスピストン以外の部品を固定したり軸を提供したり、各部品を異物から守る役割を担う。
組み込みやメンテナンスのために大抵は上下に分かれており、アッパー/ロアと呼称される。設計によっては強度が重要ではなくなる場合があるため、ロアに機構を集中させてアッパーはダストカバーのみにしたり(
AK-47など)アッパーに機能を集中しロアは
ポリマーフレームにして軽量化と触り心地を改善したり(
FN SCARなど)など思想がかなり表出する。
引き金(トリガー)
引くことで発射する旨を伝える部品。直接ハンマーを支えているものとシア越しに支えているものがある。セミオート式を実現する為やスラムファイア(引き金を引いたままボルトを前進させることでボルトの前身と同時に発射できてしまう)対策のため現在ではシア越しが多い。
トリガープルはシアなどと触れる場所の面積、触れ方やAFPBの有無によって変わるので競技用にはその点を調整したりAFPBの機構をキャンセルしたりする。
シア
トリガーの動作をハンマーに伝える部品。トリガーが引かれるまでハンマーを支え、引かれると外れてハンマーを落とす。
ディスコネクタ
セミオートの際にボルトの挙動を感知して作動し、次弾装填完了時にトリガーを引いていてもその動作をシアに伝えない為の部品。このパーツがないとボルトが前進する前にハンマーが下りてしまい正しくファイアリングピンを叩くことができない。
フルオートシア
ボルトが前進しきった後にトリガーを引いているならハンマーを下ろさせる部品。これによりトリガーを引いている間撃ち続けることができる。
また、ボルトの作動速度そのままで連射させると、装薬の違いなどで連射速度が変わったり想定以上の速度が出て銃に深刻な負荷がかかってしまう。安定した速度で連射する為、発射後の次弾発射を遅らせる形でレートリデューサーの役割も併用されている場合がある。
一般的にフルオート射撃を禁じている国の民間の銃では装着することができず、新規製造が禁止されている場合も多い。
バースト射撃を実現する場合などはこの部品にラチェットやギアを仕込んで発射弾数をカウントし制御する。
レートリデューサー
引き金を引いてから撃発するまでの時間を延ばして連射速度を抑えるもの。64式小銃で採用されるが、射撃時のタイムラグが長くなるためセミオートでの射撃時に精度が落ちる。
他の方法としてはボルトが後退する長さを稼ぐことで実現する場合があるが、これは弱装弾などにてサイクルが早くなるなどの影響が発生する。
Vz61スコーピオンやスチェッキンAPSでは後退時にグリップ内の錘を下げ、それが戻ってくるまではシアを動かさないようにして連射速度低下を実現している。
ポピュラーではあるが必須ではない。
安全装置/切換え金(セーフティー/セレクター)
上記部品の動作を制御することで発射の可不可やセミ/フル/バースト/次弾装填のキャンセルなどの切り替えを実現する。
手動の場合トリガーの動きを止めるだけの場合があるが、シアやハンマーを固定するものもある。
自動の場合AFPBなど引き金を引く以外での撃発を防ぐ目的が強い。
最初からなかったり、セーフティを掛けていても特定の動作で暴発する銃があったり、それはセーフティと言えるのか?というのもある。
特に古いフルオート火器を中心にセーフティーとセレクターが分かれている場合があり、部品点数や操作手順が増える点で嫌われることがある。
コッキングハンドル/チャージングハンドル/ボルトハンドル
ボルトキャリアを手動で操作するためのレバー。レシプロかどうかや組み立て方式によってボルトキャリアと別部品になっている場合がある。
レシプロケイト(レシプロ)
エンジンなどでもおなじみの「往復運動させる」の意味。ボルトとボルトハンドルとが連動するかどうかの違いがある。
- ノンレシプロケイト:発射時にボルトキャリアと連動しない。発射時に引っかかったりしない利点があるが、単体では閉鎖不良に対処できない。部品点数が増える。
- レシプロケイト:発射時に連動し、直接ボルトキャリアを動かすことができる。部品点数が減るがボルトキャリアの重量が増える。
- 折衷案:手動操作時のみレシプロケイトになる。操作系のデメリットを低減できる。
連発に対応する部分
ボルトアクション式など自動式でなくとも連発ができる場合は必須な部品。
弾倉(マガジン)
概要
銃砲の
弾薬を予め装填しておき、発射の際に次弾を給弾する為の部品のなかで部品側にも機構があるものの総称。部品側に機構がないものは弾帯(ベルト)や保弾板などであり銃に給弾機構が完備されている。
アメリカ人のジェームス・パリス・リーの発明とされており、
イギリスのリー・エンフィールド銃が最初期のマガジン式の銃として有名。
もっとも当時は「分解清掃の際に邪魔にならないように」という配慮によるもので、戦間期には脱落などを防ぐためチェーンで銃本体と繋がっていた。
戦後自動連発式が主流となったのちには着脱しての再装填が主流となった。最も一般的なものはダブルカラムの銃下部脱着式ボックスマガジン。
構造
内部の弾薬はバネなどとその先端につくマガジンフォロアーによりテンションがかかっていて、マガジンリップで薬莢の後端を抑えている。
マガジンリップの変形は
ジャムの原因となるので、撃ち切ったからといって安易に投げ置かず大事に扱う必要がある。
素材は変形に強く長期保存に優れたものが選ばれる。
かつてはアルミ、鉄をプレスしたものがメインだったが、近年ではベークライトやポリマー製のものが流行している。
全体/一部が半透明となっていたり穴をあけていたりして残弾数が確認できるものもある。穴は異物混入のリスクがあるので一長一短。
中のばねは大抵金属製で、軍用のものは長年酷使し続けてもヘタりにくい。
マガジンフォロアーには突起や目立つ色がついており、マガジンが空になったことを銃(のボルトキャッチ)や射手に伝える役割も持っている。
バリエーション
ボックスマガジン
箱形のケースの中に20~40発の弾薬が一列(単列式、シングルカラム)又は互い違い(複列式・ダブルカラム)等に並べられる。
単純な構造により安価で信頼性が高く、大量に持ってもかさばりにくい。しかし装弾数を増やすと銃本体から大きく飛び出してしまうので極端には容量を増やし難い。
テーパーのかかったライフル弾では効率的、大量に収めようとすると湾曲した形になり、その形状から「バナナマガジン」と呼ばれることもある。
ほとんどは下部から差し込む。場所はトリガーの前や
後、直下など複数パターンがあるが、基本すぐ上にボルトの先端と排莢口が並ぶ。
特殊な例としては伏せ撃ちで邪魔にならないように左側面に差したり、初期の連発銃ではばねの安定した量産が難しかった為重力を利用するために上から差し込んだりする。
上面からの方式は射手と別の装填手が交換しやすい点もある。
上面かつ特殊なものでは
P90やH&K G11。上部に寝かせて配置する。
送り込まれる際に弾の向きを変える機能がマガジンリップや銃本体に搭載されている。デフォルト状態で多弾数を実現しているものの、装弾抜弾が難しく機構も複雑になる。
ドラムマガジン
ゼンマイ動力で送り出す円筒状のマガジン。
100発近くの大量の弾丸をスムーズに送るのには最適だが、構造が複雑で故障しやすくコストが高い傾向がある。
そして箱形と比べ並べての保管がしづらく嵩張る。この為採用しているのは少数。
銃帯を丸めて収納しただけの物(MG34等)もあり見た目はドラムマガジンだが、それらは狭義には単なる弾薬箱に分類される。
RPK-16などアサルトライフルを改良した軽機関銃では、ボックスマガジン用のマガジン挿入口の設計をそのまま用いるために採用されることがある。
第二次大戦初期の短機関銃ではこぞってドラムマガジンを採用したものの、後々簡略化のためにボックスマガジンへ転向した。
パンマガジン
「パン」は フライパン など円盤型、皿型、平たい鍋の意味。
ゼンマイ動力や銃から歯車で動力伝達されるものが主流で、ドラムマガジンとは違いこちらでは弾は弾頭を中心に向けてぐるりと配置されている。
主に機関部上部に水平に設置するが、まれに側面に垂直に設置するものもある。
こちらはダブルカラム化しにくい、弾にテーパーがかかっていないといけない等制限が強く、戦後はほとんど使用されていない。
ヘリカルマガジン(スパイラルマガジン)
比較的新種。細長い円筒状か多角柱で内部の螺旋状の溝に弾丸を収納し、銃の前方下部や後方上部に銃身と平行に取り付けて使用する。
大容量の弾薬をコンパクトに収める事が可能だが、構造が複雑な点に加えて前後に細長い形状のせいで残弾が減少するにつれ銃全体の重心バランスが崩れてしまう。
固定式
既にだいぶマイナー気味。民間での狩猟用など装弾数に制限がかかっている場合に採用される。
ボルトアクション向け。実質的な1列ドラムマガジンで、5発程度の少ない弾を確実に給弾する事を念頭に置いている。
連発可能なショットガンや初期のレバー/ボルトアクションライフルなどで採用。
縦に並ぶため弾頭が前の弾の雷管を叩かないように先端が尖っていないか弾頭が引っ込んだ弾を用いる必要がある。
余談
magazineは現在では一般的には「
雑誌・定期刊行物」を意味する事が多いが、原義はどちらもアラビア語で「倉庫(mahazin)」。
雑誌の意味は上記から「知識を蓄える場所」として派生したものとなる。
銃が違うとマガジンも勿論違うものとなるが、共用できる場合もいくつか存在。
5.56x45mm弾使用の突撃銃の一部は、M16のものをベースとしたSTANAGマガジンを使用することができる。
ベレッタやS&W等では同社の拳銃複数種類及びピストルキャリバーカービン(PCC)の間でマガジンの互換性を持たせていることがある。
マガジンの固定部が異なるので共用とは言えないが、M9のマガジンをグロック17に挿して手動で固定すると連射できてしまうという裏技がある。
比較的新規に参入した企業のPCCでは、信頼性の高く流通量の多いグロック拳銃の各種マガジンと互換性を持たせることがデファクトスタンダードになっている。
マガジンはかなりの信頼性が要求される。アルミ製マガジンは歪みなどで給弾不良を起こす場合があるため、歪みにくいものが求められている。マグプル社のPMAGやランサー社のポリマー製マガジンはその点での耐久性に定評があり、信頼を勝ち取っている。
10~20発を込めたマガジンへさらに弾を込めるのはバネが強すぎて補助器具なしには難しい。
もし観光地の射撃場などで装弾する機会があった際には、インストラクターさんの指示に従いつつ少し装弾数を減らすのもよいだろう(動作不良や銃への負担も下がる)。
海外でのお土産としては、曲がりなりにも実銃の部品なので飛行機の預け荷物としてもグレー。
どうしてもというときは装弾補助具やホルスター、マグポーチなど武器としての効能がない周辺機器にとどめよう。どうしても欲しい場合、通販等で正規輸入店から購入しよう(オークションで同じ実物マガジンを正規店以外から大量に以上購入するのはやめよう!…おっと誰か来たようd)
シリンダー(回転式薬室/弾倉)
リボルバーに搭載されているレンコン状の部品。薬室を兼ねた丈夫な構造で、外的な力で回転し次弾を発射する。
弾数に制限がかかるものの、不発の場合でも即時に次弾発射に移ることができる。
弾帯(ベルト)、保弾板
弾倉と別の仕組みで弾を銃に連続で装填する部品。主に機関銃用。
クリップ
弾薬を複数発止めておく簡易なパーツ。ボルトアクションライフル時代には5発をまとめたクリップを銃の上部に差し込んで装填を行っていた。
リボルバーの装填補助用に用いるムーンクリップなども存在。
マガジンキャッチ(弾倉止め)
脱着式弾倉を銃に取り外すための部品。片方の爪と片方のレバーで保持したり、弾倉の溝に棒をはめたり、底部をロックしたりして固定する。
リフター
チューブマガジンの場合、薬室と弾倉の距離が遠い為ボルトを下げた際に弾を救い上げる機構。
フィーディングランプ
ボルトによってマガジンからすくいあげられた弾を薬室に誘導するための箇所。弾頭を滑らせるように当たることや薬室と別パーツ(レシーバー括り付け)である場合があるため、、ホローポイント弾など弾頭形状が特殊な弾だと引っかかって装填不良を起こす場合がある…が普通は問題ない。
ボルトキャッチ(ボルトストップ)
弾を撃ちきった際にボルトを開放状態で留める部品。
- マガジンフォロアーにひっかけているだけ
- 専用のリリースボタンがなくボルトハンドルを少し引いて前進
- 専用のリリースボタンですぐボルトを前進させられる
- そもそも機構がない
の4パターンがある。拳銃ではスライドストップとも。
弾倉からの給弾再開をスムーズにするための補助装置なので必須ではないが2000年以降の銃では概ね装備されている。
連射に対応する機関
ガスピストン(ガスチューブ):ガスオペレーション自動式のみ
重心と並行に/ボルト内部に仕込まれた部品。銃身からガスチューブ(と調整用のガスレギュレーター)を通して発射ガスを流入。そしてピストンを動かし、ボルトキャリアを外側から押す力を得る。
ショートストローク/ロングストローク/直噴式が存在し流入する箇所が異なる。
ガスの煤がたまりやすいため、隙間を多く作っておいたり(AK等)ガスピストン部のみに汚れが集中するようにしたり(G36/HK416等)する。逆に異物除去に使ったり(M16等)もする。
規整子(ガスレギュレーター):ガスオペレーション自動式のみ
ガスの流入量を調整する部品。ライフルグレネードなどを用いる際にカットしたり空砲でも連射させるために使用。
ロッキングブロック
ショートリコイル式やディレイドブローバック式の銃において動作を補助する部品。プロップアップ式(P38やベレッタ92等)やローラーロック式(G3等)などで採用。
ティルトバレル方式など銃身やボルトキャリア単体で完結する場合は必要ない。
リコイルスプリング/リターンスプリング
反動やガス等で後退させられたボルトキャリアを前進させるためのバネ。最低でもエアコッキングガン程度の硬さがあり、閉鎖不良を起こさないようにしっかりと前進させるようになっている。
リコイルスプリングユニット
リコイルスプリングを一定のテンションの状態でユニット化した部品。拳銃などで分解のたびにスプリングが飛び出さないように用いられる。
デュアルリコイルスプリング
外内の2重にスプリングを配置したもので、組み立てが煩雑になるためリコイルスプリングユニットとして提供されやすい。スライド操作に必要な力が小さくなりリコイルによるキックのピークを抑えるがリコイルに大きな影響はない。
マズルブースター
銃身につける部品。反動利用式で銃身が後退する場合、銃口からの発射ガスを受け止め、銃身の後退力をより増幅させる。周辺機器としてのマズルデバイスと異なりその銃で連射する際には装着すべき装備となる。
ブランクアダプター
マズルブースターのガスオペレーション版。空砲を連射したい場合、ガス圧が足らないので銃口を狭めて圧力を高める。
外部パーツ
用心金(トリガーガード)
ふいにトリガーが引かれないためにトリガーの周りを覆う部品。最初期の銃やデリンジャー等超小型の銃ではオミットされることも。
銃把(グリップ)
引き金のすぐ後ろにある手で握る個所。ストックやトリガーガードと一体化していることもある。
フォアエンド(先台/被筒/ハンドガード)
グリップと反対の手で銃を保持するために銃の前側に用意されているスペース。
ストック
概要
肩、頬などに当てることで射撃姿勢の安定及び発砲時の反動抑制を行う部品。
肩に当てる部分をバットストックと言う。乱暴に言ってしまうと「肩当て」である。
主にクルミ材等の木材や樹脂、金属等で構成されるが、バットストックはゴムなど比較的軟質な素材製で射手への反動を低減する材質が用いられる場合が多い。
分類
銃身軸とバットストックの中心付近が近いかどうかで銃の性質が大きく変わる。
銃身軸は発砲反動の運動エネルギーが一番強く飛び出す部位であり、それを真っすぐに受けるか斜めに受け流すかの違いがある。
直銃床(ストレートストック)
銃身から肩当てまでが一直線上にあるもの。第二次大戦後設計の連射可能な銃のほとんどがこれ。
長所としてフルオート射撃時の反動をコントロールしやすく、セミオートでも次弾の発射に持っていきやすい。
短所として反動がダイレクトに伝わる点と銃身軸と照準線との差(サイトパララクス)が広くなり、あらかじめ調整した距離以外の射撃で着弾点のズレが大きくなる点がある。
反動がダイレクトに伝わる点については、材質や構造的な知見が深まっている現代ではかなり緩和されているものの射撃姿勢が悪い等で肩を痛めるような事象は発生しうる。
曲銃床
銃床が銃身の後ろより下にあり、構えた時に顔が銃身の真後ろにあるもの。戦前戦中設計の銃やボルトアクションライフル、ショットガン等は概ねこれ。
長所としてサイトパララクスが小さく、構えた体制にすっぽり収まるような形状故狙いがつけやすい。
短所として真っすぐに射撃の反動を受け止められない為銃が跳ね上がる。フルオートにはあまり向かないといえる。
クレー射撃や猟銃ではパララクスが重大な問題となる事や、伝統的な要素が強いことからボルトアクションライフル/ショットガンでは現役。
狩猟面でのノウハウが活かせるため狙撃銃でも現役ではあったが、最近はDSR-1など直銃床のものが増えつつある。
バリエーション
フォールディングストック
折り畳む(folding)事ができ、運搬、CQBの際に取り回しがし易い。
折り方は様々で、上下左右多種多様な方向に畳む。
排莢口やセレクター等を塞いでしまい撃てなくなることを防ぐために、折れる角度をずらしたり肩当てをフォアグリップ代わりにできたりと工夫がみられる。
テレスコピックストック
長さが調節できる(telescopic)。フォールディングストックと一緒にリトラクタブルストック(retractable=収納式、引き込み式の)とも呼ばれる。
取り回しの向上のほか、使用者の体格や
ボディアーマーの有無に合わせて調整できるのが特徴。その代わり頬付けがしづらい。
また、M4カービンやM1014などストック内にリコイル吸収機構等があり、長さが調節できるだけで完全に収納することはできない銃も存在する。
狙撃銃などでは肩当てや頬当て(チークピース)が調節可能なタイプがあるが、それらは収納を目的としていない為後述の固定式として分類される。
フィクスドストック
固定式(fixed)。昔からの物を上述の引き込み式と区別する為の用語。
取り回しは不利だが収納用の可動部が無い為「ガタ」が少なく、高耐久で強度に優れるという長所がある。
また、左右非対称な形状にしやすく、構えやすさを向上できる。
以下は固定式、収納式双方の派生型として存在。一体成型ではないもので下記の目的を達成するために採用される。
サムホールストック
体とのフィットのためカリフォルニア銃規制に適合する為に親指を入れる穴(サムホール)が空いておりグリップと一体化したもの
ワイヤーストック、スケルトンストック(skeleton=骨組み)
コストダウンや軽量化や、りたたんだ際に排莢口などを塞がないようにするために細い材質でストックを構成したもの。頬付けなどは実質あきらめている。
警察向けのバイザー付きヘルメットなどでは頬付けができないので、バイザーを避けるような形状のスケルトンストックが装備されることがある。
ホルスターストック
補足
複数の特徴の併用
SCARやL96の一部モデル、AK-12M3は折りたたみと頬当ての調整、肩当ての伸縮機能を併せ持つ。
しかしあまり複雑にすると(特に折りたたみ)ガタが来るので、銃身長その他との兼ね合いで折りたたみ機能を含めない場合はある(20式小銃)
カスタマイズ
M4カービンのカスタム製品は取り外しも可能。マグプル社その他サードパーティー性のストックを採用することで使用感を向上できる。
AKやMCXでもカスタムモデル用の基部(M4と異なり中身はドンガラだったりリコイル吸収機構があったりする)が取り付けられる為、銃器パーツの中でもかなりの市場となっている。
安定性と法規制
短い銃でもストックがあれば安定した射撃ができてしまう。短くて精度の良い銃を求める暗殺やらギャング抗争やらに引っ張りだことなってしまう…
司法機関はそう考えて短い銃にストックをつける事を規制する場合がある。SBR(ショートバレルライフル:バレル長16インチ未満のライフル)への追加徴税などが代表的。
回避するために、
- 拳銃のグリップに沿う形をしており、握りこんだ場合だけストックのように活用できる(握りこんだ姿勢でないと活用できないから大丈夫という論理)
- ストックではなく、下腕にベルトを巻き付けて固定するためのアームブレイスだ/スタビライザーだ等と主張(まともに肩付けできない形状だという論理)
このような論理で立ち向かう個人/企業が存在する。パチンコ屋の隣の換金屋かよ…
ストックを用いるパターン
車両や船舶、ヘリコプターに搭載する銃(M2重機関銃、ミニガン等)に取り付けられることはほぼない。
逆に言えば、たとえ
拳銃でも肩固定で安定させて撃ちたいならストックを装備する。
過去には拳銃に大型ストックと大容量マガジンを取り付け、カービンの代替とした銃も存在した。
現代では拳銃で遠くを狙う競技のためにカスタムパーツショップからストックが販売されている。
大口径リボルバーでの遠撃ち競技にもなると、ハンドガンなのにストックと
照準眼鏡までくっつけて何の銃だかわからない事になる。
別冊コロコロコミックで連載された「超未来戦隊コンバット弾」は、ハンドガンをストックで保持して撃つシーンを細かく描写した珍しい作品(しかもコロコロコミック!)。
肩と太腿で支持するカスタムストックで、オートマグを集中連射するという漢の
ロマン溢れる場面。
さらには拳銃を機関部としてガワを被せカービン/短機関銃に変身させるキット(RONI等)も存在する。しかし前述の規制のあおりを受けつつあり難しい立場。
これは通称『バッシュ(殴打)』と呼ばれ、第二次大戦ころまでの一体成型で銃を覆うような構造をしていたストックは、反動抑制を抜きにすれば直接ぶん殴る為に存在していたといっても過言ではない。
米軍では小銃を模したクッション製のパジルスティックという棒で格闘訓練を行うが、銃剣(赤く塗られている端)だけでなくストック(黒く塗られている端)での打撃も認められている。
…が、最近のストックは軽量化やプラスチックやゴム製で内部機構も衝撃吸収を重視しているため、強度が殴打には耐えられない・殴打してもその衝撃をストックが吸収してしまうので低威力になってしまう場合がある。
空きスペース
肉抜きされていないストックの場合、内部にクリーニングキット等を入れられるスペースを設けてあったりする。
特に近年はレーザーサイトやドットサイトといった電気で動く周辺機器が増えてきたため、予備電池などの小物入れを備えたストックも珍しくない。
周辺機器
減音器(サプレッサー)
銃口に取り付けて銃口からの音を軽減する。副次的に発射炎も減少させる。
消音器(サイレンサー)
サプレッサーの別称。現実の減音器は完全に音を消すわけではないため、サイレンス(無音)の呼び方は最近は避けられる傾向がある。
消炎器(フラッシュハイダー)
銃口付近に取り付けて射手から見た発射炎を減少させる。被弾者からは見えやすくなるため、その辺の対応をした銃も存在する。
銃口制退器(コンペンセイター)
銃口付近に取り付けたり銃身に穴をあけて特定の方向の反動を相殺する。マズルブレーキなど類似品も存在。
照準器(サイト/スコープ)
銃の上部などに装着して弾の進行方向を制御しやすくする部品。
キャリングハンドル
運搬などの際に銃を安定して持つための取っ手。歩兵銃でも4kg以上あった時代の名残で、1980年代以降は省略されがち。照準器と合体されることがある。
脚(ポッド)
1~3本の支持脚を用いて即座に安定した射撃を行うための器具。モノ/バイ/トライが接頭語。
負い紐環(スイベル/ランヤード)
スリングを装着するための箇所。用途によって1~3箇所存在。
銃剣(バヨネット)
銃剣止め(着剣ラグ)
銃剣を先端に装着するための機構。銃身に装着されることが多い。
フォアグリップ
概要
銃前方(フォアエンド/ハンドガード)下部に付けられたグリップ下の部品。
突撃銃や
機関銃に取り付けられることが多い。
利点
- ハンドガードが過熱しやすい銃にて、別素材の垂直グリップをつけて火傷対策ができる
- 垂直の場合は銃を手前に引く力が増すため反動制御がしやすくなる
- 銃の取り回しを向上させる
欠点
- 前方に抜ける弾倉(AKなど)の脱着の際に干渉する
- アンダーバレルウェポンと併用できない
- 法規制の対象となる場合がある(後述)
使用例
製造時から固定式のものが装着されている銃はそこそこ存在するが、現在ではマウントレール付きハンドガードへの着脱式のものが普及している。
銃規制にてバーティカルフォアグリップは連射性能を高めるとされたことから、少し傾けたものが販売されていたりする。
装着しているか否かで銃種の認識がかわる様はたびたびネタにされる。
現在ではCクランプのようなハンドガード主体の構え方もあり、そちらに適合したアングルフォアグリップなどのほうが主流。
AKやVz61ではマガジンの固定が強固で、こちらをフォアグリップにすることを教本などで指示していたりする(M16など対応を公言していない銃ではジャムのもとになるのでやらないように)。
自動拳銃の中には予備マガジンをフレーム前方に装着し、代用できるものもある。
持ち方
過熱対策の場合はその部分をきちんとよけて握る。
反動抑制目的であれば普通に握る。ただし(拳銃などでもそうだが)引き金側の手は添えるだけで逆側の手はしっかり握るのが鉄則。きちんと押さえよう。
最近では前述のCクランプを行う。
親指を上に回しハンドガード自体をつかむような構えをするが、その際に手の構造上小指付近が余る。そこをフォアグリップで埋めて保持力を高める(長時間の連射などでは普通に握る)。
余談
- 陸上自衛隊では被筒部の破損事故が発生したため、89式小銃への装着自体が禁止されている。
20式ではマウントレールが付き、2脚兼用のフォアグリップも標準でついてくる。
- ロボットものの武器ではハンドガードから水平(横向き)にフォアグリップが伸びている。
ステンガンのマグウェル(非推奨)や前述の斜め式フォアグリップのように左手が横向きとなる場合はいくらか存在するが、人間は手のひらを前に向けた状態がひねりなどのない自然体である為多少無理がある。
もっともロボットの場合は片手で腰だめだとしても十分保持、照準が可能なのであまり問題無い。
ライフルグレネード
銃口に取り付け、銃弾/空砲の圧力で飛ばす榴弾。下記アンダーバレルグレネード以前に多く採用されていた。
アンダーバレルウェポン
銃身下部に取り付けて別目的で使用する武器。銃本体が重くなってしまうが、専用に別の武器を持つよりも少し軽い。
レーザーサイト
レーザーを用いて近距離での弾道を可視化する。特殊な光に対応する照準器(ナイトヴィジョン等)と併用することで腰だめでも必要十分な精度を出せる。
ライトと合わせてレーザーエイミングモジュール(LAM)とする場合もある。
フラッシュライト
指向性が高めの電灯。銃につけて索敵に使用したりレーザーサイトの代用とする。
スイッチ
レーザーサイト、フラッシュライトの点灯を制御するスイッチ。ライト単体では即座の点灯消灯がむつかしかったので配線を介して押しやすい場所にスイッチを設けるようになっている。
マウント
上記周辺機器を取り付けるためのパーツ。ネジ2点でのスコープの固定に始まり、突起や窪みを使ってクランプで閉める方式が生まれた。
現代ではピカティニーレールかM-LOKが主流。
ピカティニーレール
概要
周辺機器を取り付けるためのレールマウント規格のうちの一つ。M4カービンの機関部上部に付いているギザギザのあれである。
アメリカ陸軍の軍備開発研究を行うピカティニー兵器廠が開発し、NATO標準としても用いられる。
おおよそ大半の西側銃にて適用されており、照準器のみならず様々なアクセサリに対応している。
正式名称はMIL-STD-1913/STANAG 4694。日本では横幅が20mmであることから20mmレールマウント等と呼ばれることもある。
形状
横
凹凸凸凸凸凸凸凸凸凸凹
正面
<=>
横からだとギザギザの四角が並んでいるだけに見えるが、正面からだとそろばんの玉のような形をしている。
横幅が0.835in(約20mm)、横溝(スロット)の間隔は各0.206in(約5mm)、斜めの部分は45度などと細かく決められている。
MIL-STD-1913ではインチ基準、STANAG 4694ではメートル基準。
ウィーバーレールとともに概ね形は変わらないが、スロット間隔が決められているので、細かい前後の調節はピカティニーレールの特権である。
ただのギザギザといえど、常に安定した土台でなくてはならず、温度差や衝撃で変形することはあってはならない。
灼熱の砂漠や寒冷の極地、多湿乾燥などに耐えるようかなり丈夫かつ欠けづらい構造となっている。
歴史
規格誕生以前は、スコープの着脱用に各銃専用のマウントレールが用いられていた。狙撃銃やナイトビジョンスコープ、競技用のレースガンなどにマウントが取り付けられているのが見て取れる。
ドプテイル(Dovetail)というレール状のものやウィーバーレールなどスコープ向けには採用されやすい形状のものはあったが、標準的なものではなかった。
アクセサリーにも概ね対応しておらず、ダクトテープでフラッシュライトを括り付けたり一体形状のフォアグリップにしたりと自由度はほぼないに等しい状態であった。
1980年代、ウィーバーレールをもとに標準化を行いM4カービン(コルトモデル920)のアッパーレシーバーに取り付けるマウントシステムとして開発。
追ってNATOも2009年にSTANAG(Standardization Agreement)として標準化した。
現状
米軍ではKAC社のレイル・インターフェイス・システム(RIS)が導入されている。
特殊部隊向けのSOPMODから全軍に派生し、M4A1/M16A4の標準装備といえる。
現在は改良型のRAS(Rail Adaptor System)が標準となっている。
主に以下の用途に用いられている。
- 照準器:直列に並べやすいので、ドットサイトとブースター/ナイトビジョンを並べている場合もよく見かける
- レーザーサイト/フラッシュライト/スイッチ/フォアグリップ
- スリング取付用のスイベル
- アンダーバレルウェポン
- ストックアダプター:MPXなどで採用される。
- レールマウント:スコープなどはリングマウント経由で2か所で固定するが、それの脱着を簡易にするためにレールに載るレールがある。
- 着剣装置(半ばジョークグッズだが実際に売られている)
状況に応じたカスタマイズが即時可能である点が広く認知されているといえる。
しかしハンドガードにレールがあると
- 手触りが悪く持ちにくい
- 金属製だと手を切るわ重たいわ熱伝導率が高いので火傷する
…といった欠点もある。カバーをつけて対策できるが太くなる。
これらの点を解消することを目的に、新しい規格としてVLTOR社のKeyMod拡張スロット規格が開発された。鍵型の穴が開いていて差し込んでねじで留める方式で、スリムさと拡張性を兼ね備えている。
追ってH&KのHKey、MAGPUL社のM-LOKも登場。フリーライセンスな点などによる精度面で勝ることから現在ではM-LOK一強となっている。
しかし拡張スロットにピカティニーレールを増設するパーツも存在。今後もピカティニーレールはアクセサリのスタンダードとして使用されるものと思われる。
余談
- M-LOKなど拡張規格対応でもトップレールは残っていることが多い。照り返しを抑えるために天辺に縦の溝が彫られている。
- レーザーサイトを樹脂製ハンドガードにつけるとゼロインが狂うことがあるので、ハイドラマウントのように照準器と同じ場所に照準器に近い高さでつける場合がある。
- 東側でも普及しており、AK-12ではWTO標準のドプテイルサイドマウントをかなぐり捨てて公式にピカティニーレールに対応した。
- 拳銃にもトップレールや4面レールをつける例は存在するが、どちらかといえばMOS(Modular Optic System)などとして直接スライド側が対応する方向に進化している。
追記・修正お願いします。
最終更新:2025年08月30日 01:02