銃器部品

登録日:2025/08/29 Fri 23:19:13
更新日:2025/08/30 Sat 01:02:21NEW!
所要時間:約 40 分で読めます








概要

ここでは近代~現代の銃器を構成する部品について解説する。
各パーツの動作や古式銃についてはの項目を参照。


発射に必要な部分

これらと撃発部があれば最低限弾を撃ちだすことができる。鉄パイプとハンマーで即席の銃を作り出す場面などはフィクションでも時たま描かれる。

薬室(チャンバー)

弾薬が収まり発火する場所。薬莢の外側がすっぽり入るような形になっており、薬莢、ボルトとともに発射時の装薬燃焼圧力を押さえつける。
自動式の場合は銃身と一体化している場合がほとんど。ガスオペレーションの場合は閉鎖のための引っ掛かり(ロッキングラグ)とも一体化している。

銃身(バレル)

発射時に弾頭に装薬の圧力を伝え、加速させる筒。ライフリングが彫られている場合、旋転力を与え弾頭飛翔時の直進性を向上させる。
ガスオペレーションによる自動式の場合は先に近い個所に穴が用意されており、そこからガスを引いてくる*1

銃口(マズル)

銃身の薬室と反対側の先端。



撃発部(発火に必要な部分)

現代では機械的に雷管を叩く機構そのものを指している。

ボルト

薬室とともに薬莢底部を抑える部品。発射可能時には(反動利用式の場合は外部機構またはボルト自身の重量、それ以外の場合はロッキングラグによって)薬室と結合されており、何かしらの力(手動/反動/ガスピストン)によって結合を解除することで開放できる。
また、開放する際に薬室から薬莢を抜き出し、マガジンから次弾をすくい上げて叩き込む機能も有する(エキストラクターとして別パーツ化される)。

エキストラクタ

ボルトに配置されている部品。射撃後の薬莢のリムを引っ張り出し、最終的に弾き飛ばす役割。

ボルトキャリア

ボルトを動作させるためのレールや回転軸、引くためのボルトハンドルなどをまとめた部品。拳銃ではスライドと呼ばれる。ロッキングラグの解除にボルトの稼働を必要としない/そもそもロッキングラグがない場合はボルトと一体化していることがある。
ガスオペレーション式の場合は真っすぐのエネルギーを回転やティルトに変える機構が内蔵されており、簡単な知恵の輪のように嚙み合っている。

ファイアリングピン

ボルト内部に存在し、弾薬側の雷管を叩く針状の部品。ボルトによる撃発以外ではバネや安全装置(AFPB/Automatic firing pin block)によって前身が妨げられている場合が多い。
オープンボルトでロッキングラグがない銃ではボルトに括り付けとなっている場合があり、その場合はボルト自体の前進を止める安全装置を配置する。

撃鉄(ハンマー)

雷管を直接またはファイアリングピンに衝撃を加える部品。直接叩くものは安全性の面やボルトの巨大化等で現在はあまりない。トリガーまたはシアによってテンションがかかった状態で維持され、トリガーを引いた際に落ちる。ボルトキャリアの後退や手動での操作によって起き、次弾の発射に備える。
現在ではハンマーを軽量にし、バネの強さや慣性で衝撃を加える場合が多い。ハンマーが完全に起きていない場合に落ちても発射しない一種の安全装置となっている。

ストライカー

縮めたバネを開放することで撃鉄と同じ効果を発生させる形式。ハンマーに比べて省スペース性で勝る。
ボルトグループを一体にしておきたいボルトアクションライフルや、銃身の位置を下げたいグロック17以降の自動拳銃にてよく採用される。



機関部(引き金とそれに付随する部分)

撃発部の稼働を助け、次弾装填が完了した際に発火準備を整える。

尾筒(レシーバ/フレーム)

機関部を覆う部品。概ねガスピストン以外の部品を固定したり軸を提供したり、各部品を異物から守る役割を担う。
組み込みやメンテナンスのために大抵は上下に分かれており、アッパー/ロアと呼称される。設計によっては強度が重要ではなくなる場合があるため、ロアに機構を集中させてアッパーはダストカバーのみにしたり(AK-47など)アッパーに機能を集中しロアはポリマーフレームにして軽量化と触り心地を改善したり(FN SCARなど)など思想がかなり表出する。

引き金(トリガー)

引くことで発射する旨を伝える部品。直接ハンマーを支えているものとシア越しに支えているものがある。セミオート式を実現する為やスラムファイア(引き金を引いたままボルトを前進させることでボルトの前身と同時に発射できてしまう)対策のため現在ではシア越しが多い。
トリガープルはシアなどと触れる場所の面積、触れ方やAFPBの有無によって変わるので競技用にはその点を調整したりAFPBの機構をキャンセルしたりする。

シア

トリガーの動作をハンマーに伝える部品。トリガーが引かれるまでハンマーを支え、引かれると外れてハンマーを落とす。

ディスコネクタ

セミオートの際にボルトの挙動を感知して作動し、次弾装填完了時にトリガーを引いていてもその動作をシアに伝えない為の部品。このパーツがないとボルトが前進する前にハンマーが下りてしまい正しくファイアリングピンを叩くことができない*2

フルオートシア

ボルトが前進しきった後にトリガーを引いているならハンマーを下ろさせる部品。これによりトリガーを引いている間撃ち続けることができる。
また、ボルトの作動速度そのままで連射させると、装薬の違いなどで連射速度が変わったり想定以上の速度が出て銃に深刻な負荷がかかってしまう。安定した速度で連射する為、発射後の次弾発射を遅らせる形でレートリデューサーの役割も併用されている場合がある。
一般的にフルオート射撃を禁じている国の民間の銃では装着することができず、新規製造が禁止されている場合も多い。
バースト射撃を実現する場合などはこの部品にラチェットやギアを仕込んで発射弾数をカウントし制御する。

レートリデューサー

引き金を引いてから撃発するまでの時間を延ばして連射速度を抑えるもの。64式小銃で採用されるが、射撃時のタイムラグが長くなるためセミオートでの射撃時に精度が落ちる。
他の方法としてはボルトが後退する長さを稼ぐことで実現する場合があるが、これは弱装弾などにてサイクルが早くなるなどの影響が発生する。
Vz61スコーピオンやスチェッキンAPSでは後退時にグリップ内の錘を下げ、それが戻ってくるまではシアを動かさないようにして連射速度低下を実現している。
ポピュラーではあるが必須ではない。

安全装置/切換え金(セーフティー/セレクター)

上記部品の動作を制御することで発射の可不可やセミ/フル/バースト/次弾装填のキャンセルなどの切り替えを実現する。
手動の場合トリガーの動きを止めるだけの場合があるが、シアやハンマーを固定するものもある。
自動の場合AFPBなど引き金を引く以外での撃発を防ぐ目的が強い。
最初からなかったり、セーフティを掛けていても特定の動作で暴発する銃があったり、それはセーフティと言えるのか?というのもある。
特に古いフルオート火器を中心にセーフティーとセレクターが分かれている場合があり、部品点数や操作手順が増える点で嫌われることがある。

コッキングハンドル/チャージングハンドル/ボルトハンドル

ボルトキャリアを手動で操作するためのレバー。レシプロかどうかや組み立て方式によってボルトキャリアと別部品になっている場合がある。

レシプロケイト(レシプロ)

エンジンなどでもおなじみの「往復運動させる」の意味。ボルトとボルトハンドルとが連動するかどうかの違いがある。
  1. ノンレシプロケイト:発射時にボルトキャリアと連動しない。発射時に引っかかったりしない利点があるが、単体では閉鎖不良に対処できない。部品点数が増える。
  2. レシプロケイト:発射時に連動し、直接ボルトキャリアを動かすことができる。部品点数が減るがボルトキャリアの重量が増える。
  3. 折衷案:手動操作時のみレシプロケイトになる。操作系のデメリットを低減できる。



連発に対応する部分

ボルトアクション式など自動式でなくとも連発ができる場合は必須な部品。

弾倉(マガジン)


シリンダー(回転式薬室/弾倉)

リボルバーに搭載されているレンコン状の部品。薬室を兼ねた丈夫な構造で、外的な力で回転し次弾を発射する。
弾数に制限がかかるものの、不発の場合でも即時に次弾発射に移ることができる。

弾帯(ベルト)、保弾板

弾倉と別の仕組みで弾を銃に連続で装填する部品。主に機関銃用。

クリップ

弾薬を複数発止めておく簡易なパーツ。ボルトアクションライフル時代には5発をまとめたクリップを銃の上部に差し込んで装填を行っていた。
リボルバーの装填補助用に用いるムーンクリップなども存在。

マガジンキャッチ(弾倉止め)

 脱着式弾倉を銃に取り外すための部品。片方の爪と片方のレバーで保持したり、弾倉の溝に棒をはめたり、底部をロックしたりして固定する。

リフター

チューブマガジンの場合、薬室と弾倉の距離が遠い為ボルトを下げた際に弾を救い上げる機構。

フィーディングランプ

ボルトによってマガジンからすくいあげられた弾を薬室に誘導するための箇所。弾頭を滑らせるように当たることや薬室と別パーツ(レシーバー括り付け)である場合があるため、、ホローポイント弾など弾頭形状が特殊な弾だと引っかかって装填不良を起こす場合がある…が普通は問題ない。

ボルトキャッチ(ボルトストップ)

弾を撃ちきった際にボルトを開放状態で留める部品。
  1. マガジンフォロアーにひっかけているだけ
  2. 専用のリリースボタンがなくボルトハンドルを少し引いて前進
  3. 専用のリリースボタンですぐボルトを前進させられる
  4. そもそも機構がない
の4パターンがある。拳銃ではスライドストップとも。
弾倉からの給弾再開をスムーズにするための補助装置なので必須ではないが2000年以降の銃では概ね装備されている。



連射に対応する機関

ガスピストン(ガスチューブ):ガスオペレーション自動式のみ

重心と並行に/ボルト内部に仕込まれた部品。銃身からガスチューブ(と調整用のガスレギュレーター)を通して発射ガスを流入。そしてピストンを動かし、ボルトキャリアを外側から押す力を得る。
ショートストローク/ロングストローク/直噴式が存在し流入する箇所が異なる。
ガスの煤がたまりやすいため、隙間を多く作っておいたり(AK等)ガスピストン部のみに汚れが集中するようにしたり(G36/HK416等)する。逆に異物除去に使ったり(M16等)もする。

規整子(ガスレギュレーター):ガスオペレーション自動式のみ

ガスの流入量を調整する部品。ライフルグレネードなどを用いる際にカットしたり空砲*4でも連射させるために使用。

ロッキングブロック

ショートリコイル式やディレイドブローバック式の銃において動作を補助する部品。プロップアップ式(P38やベレッタ92等)やローラーロック式(G3等)などで採用。
ティルトバレル方式など銃身やボルトキャリア単体で完結する場合は必要ない。

リコイルスプリング/リターンスプリング

反動やガス等で後退させられたボルトキャリアを前進させるためのバネ。最低でもエアコッキングガン程度の硬さがあり、閉鎖不良を起こさないようにしっかりと前進させるようになっている。

リコイルスプリングユニット

リコイルスプリングを一定のテンションの状態でユニット化した部品。拳銃などで分解のたびにスプリングが飛び出さないように用いられる。

デュアルリコイルスプリング

外内の2重にスプリングを配置したもので、組み立てが煩雑になるためリコイルスプリングユニットとして提供されやすい。スライド操作に必要な力が小さくなりリコイルによるキックのピークを抑えるがリコイルに大きな影響はない。

マズルブースター

銃身につける部品。反動利用式で銃身が後退する場合、銃口からの発射ガスを受け止め、銃身の後退力をより増幅させる。周辺機器としてのマズルデバイスと異なりその銃で連射する際には装着すべき装備となる。

ブランクアダプター

マズルブースターのガスオペレーション版。空砲を連射したい場合、ガス圧が足らないので銃口を狭めて圧力を高める。



外部パーツ

用心金(トリガーガード)

ふいにトリガーが引かれないためにトリガーの周りを覆う部品。最初期の銃やデリンジャー等超小型の銃ではオミットされることも。

銃把(グリップ)

引き金のすぐ後ろにある手で握る個所。ストックやトリガーガードと一体化していることもある。

フォアエンド(先台/被筒/ハンドガード)

グリップと反対の手で銃を保持するために銃の前側に用意されているスペース。

ストック




周辺機器

減音器(サプレッサー)

銃口に取り付けて銃口からの音を軽減する。副次的に発射炎も減少させる。

消音器(サイレンサー)

サプレッサーの別称。現実の減音器は完全に音を消すわけではないため、サイレンス(無音)の呼び方は最近は避けられる傾向がある。

消炎器(フラッシュハイダー)

銃口付近に取り付けて射手から見た発射炎を減少させる。被弾者からは見えやすくなるため、その辺の対応をした銃も存在する。

銃口制退器(コンペンセイター)

銃口付近に取り付けたり銃身に穴をあけて特定の方向の反動を相殺する。マズルブレーキなど類似品も存在。

照準器(サイト/スコープ)

銃の上部などに装着して弾の進行方向を制御しやすくする部品。

キャリングハンドル

運搬などの際に銃を安定して持つための取っ手。歩兵銃でも4kg以上あった時代の名残で、1980年代以降は省略されがち。照準器と合体されることがある。

脚(ポッド)

1~3本の支持脚を用いて即座に安定した射撃を行うための器具。モノ/バイ/トライが接頭語。

負い紐環(スイベル/ランヤード)

スリングを装着するための箇所。用途によって1~3箇所存在。

銃剣(バヨネット)

銃剣の項目を参照。

銃剣止め(着剣ラグ)

銃剣を先端に装着するための機構。銃身に装着されることが多い。

フォアグリップ


ライフルグレネード

銃口に取り付け、銃弾/空砲の圧力で飛ばす榴弾。下記アンダーバレルグレネード以前に多く採用されていた。

アンダーバレルウェポン

銃身下部に取り付けて別目的で使用する武器。銃本体が重くなってしまうが、専用に別の武器を持つよりも少し軽い。

レーザーサイト

レーザーを用いて近距離での弾道を可視化する。特殊な光に対応する照準器(ナイトヴィジョン等)と併用することで腰だめでも必要十分な精度を出せる。
ライトと合わせてレーザーエイミングモジュール(LAM)とする場合もある。

フラッシュライト

指向性が高めの電灯。銃につけて索敵に使用したりレーザーサイトの代用とする。

スイッチ

レーザーサイト、フラッシュライトの点灯を制御するスイッチ。ライト単体では即座の点灯消灯がむつかしかったので配線を介して押しやすい場所にスイッチを設けるようになっている。

マウント

上記周辺機器を取り付けるためのパーツ。ネジ2点でのスコープの固定に始まり、突起や窪みを使ってクランプで閉める方式が生まれた。
現代ではピカティニーレールかM-LOKが主流。

ピカティニーレール




追記・修正お願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年08月30日 01:02

*1 先端に近いのは、発射時に弾頭が銃から離れた後動作を開始させるため。そうでないと圧力が高い状態で薬室が解放されてしまう。

*2 ガスブローバックのエアソフトハンドガンなどでは、ディスコネクタが摩耗や分解結合不良でうまく作動しないとフルオートになってしまう

*3 正式な規格ではないので順守していない国も多い

*4 装薬量が少なくガス圧が足らない。軍では訓練中を示すためにもブランクアダプターのほうが主流

*5 ピストルとして登録したARピストルにフォアグリップを付けたらSBR扱いとなって追加課税など

*6 マウントレールを四面に配置したハンドガード

*7 これはKACの商標なので他社では「ハンドレイル」や「ピカティニーフォアエンド」等の名で販売している

*8 M203グレネードランチャーは標準ではバレルとアッパーレシーバー部で固定するが、派生型で対応している

*9 ゲームでは照星が邪魔な場合にかさ上げするために用いられることがある