ニャビー、旅立ちの時!(ポケモン)

登録日:2017/04/13 Thu 12:57:38
更新日:2021/02/12 Fri 13:11:20
所要時間:約 4 分で読めます





「ニャビー、旅立ちの時!」はテレビアニメ『ポケットモンスター サン&ムーン』の21話のサブタイトル。
『サン&ムーン』最初期からたびたび姿を見せていた野生のニャビーに焦点が当てられている。
そして、アニポケでは史上初となる「ある出来事」が明確に描かれたエピソードでもある(詳しくは後述)。


◆あらすじ

今日もたくさんの買い物をしたサトシ、ピカチュウ、ロトム。
彼らが落としたドーナツを市場のお婆ちゃんが拾うと、どこからか現れたニャビーにそれを取られてしまう。
仲間の年老いたムーランドのためという事情を知るサトシ一行は、ニャビーを追いかけることにした。


街の中にある橋の下。
古いソファに座るムーランドは、ニャビーたちを迎え入れた。
ニャビーは帰るなり早速、硬いきのみを相手にわざの練習を始める。
どうやら新しく「ほのおのキバ」を覚えたいらしい。
なかなか上手くいかないが、ムーランドはその度にお手本を見せるのだった。
その衝撃からか、近くの木から葉っぱが1枚どこかに飛んで行った。


サトシは、市場で買ってきたきのみをニャビーに与えようとするも「ひのこ」でお返しされてしまう。
相変わらずつめたい態度のニャビーだが、ムーランドはそんな彼を叱りつける。
その日の夜、サトシから話を聞いたククイによると、
タイプのちがうポケモン同士でわざの練習をするというのはめずらしいことらしい。
ククイも感心するほど、2匹の絆は深いようだ。


後日、ニャビーの住処に向かおうとしたサトシだが、そこにロケット団が現れる。
いつものように、ピカチュウをゲットするつもりのようだ。
なんやかんやで秘密基地も完成し、やる気充分なご様子である。
しかし、その直後にあのニャビーが現れロケット団に「ひのこ」を浴びせた後、サトシのもとにかけよっていく。
いつもとようすのちがうニャビーを見たサトシたちは、「エレキボール」の爆発でドロンと退散する。


コジロウ「悪役みたいだ」


お前が言うな。
それはさておき、元々ニャビーを気にかけていたニャースだけはサトシのあとをつけていった。


ニャビーに連れられて橋の下にやってきたサトシたちが見たのは、苦しそうに倒れているムーランドの姿だった。
事情を察したサトシは、ムーランドをかついでポケモンセンターに連れていくことにした。


「サトシが運ぶロト?」
「あったりまえだろ! あ…… 軽い……」


背中にかつぎあげられたムーランドは、その見た目とは裏腹に体重が軽くなっていた。
サトシは自分よりも大きなポケモンを背負いながら、いそいで街のポケモンセンターに向かった。
この騒ぎの裏で、木の葉がまた1枚飛んでいき、用水路に流れていった。


ポケモンセンターに運び込まれ、ムーランドの緊急の治療が始まった。
点滴を打たれ、ひとまず容態は安定したようだ。
サトシがムーランドの容態について訊くと、ジョーイは神妙な顔つきで、こう答えた。


「ケガとか重い病気とか、そういうわけじゃないの。ムーランドはね……ムーランドは……――」


「ニャビー、そのこと分かってんのかな」
「感じ取っているとは思うわ……」


その後、ククイに連絡をしたサトシはムーランドにつきそうことにした。
ククイ曰く「ニャビーが頼ってきたということは、(サトシのことを)信頼できる人間だと思ってくれている証拠」だという。


その日の夜、ニャビーとムーランドにきのみを持って来てあげたサトシだが、治療室にいるはずの2匹の姿が見当たらない。
いったいどこに行ってしまったのだろうか。


「今のムーランドなら、まだ遠くに行ってないはずロト!」
「きっと帰ったんだ、あそこに!」


ニャビーとムーランドを急いで探そうとするサトシとピカチュウの前に、ニャースが現れる。


「おミャーらに言いたいことがあるのニャ。

ニャビーはとっても頑張ってる奴ニャ。

あいつのこと、見守ってほしいのニャ。」


それだけ言うと、ニャースは帰っていった。


その日の夜。
ポケモンセンターを抜け出したムーランドとニャビーは、再び橋の下でわざの特訓を繰り返していた。
何かをするたびに咳き込むムーランド。
夜は、彼に寄り添って眠るニャビー。
風に吹かれた木の葉は月に照らされながら、どこか遠くへ飛んで行った。




………どこまでもどこまでも続く白い景色…………

……ムーランドを追うニャビー………

…でも何故か追いつけない…

..触れられない..

.......

...







翌朝、ニャビーが目を覚ますと、ムーランドの姿は消えていた。
必死にムーランドを探し回るが見当たらず、最後の木の葉が散るや、雨が降り始める。
脆くなっていたソファの脚が不意に音を立てて折れてしまった。
空に向かって叫ぶニャビー。


サトシとククイは、そんなニャビーを見守ることしかできなかった。


「ムーランドはどこロト?」
「聞くな…」


ロケット団の秘密基地ではニャースが憂鬱な顔で、雨空を見上げていた。
それを優しく抱きしめるキテルグマ。

ソファに塞ぎ込むニャビーは何を思うだろう……。


市場のお婆ちゃんから沢山のきのみを預かり、とことん付き合うことを決めるサトシ。
モクローとイワンコも優しく見守っている。

ニャースもまたニャビーの元を訪れ、「良かったらニャーに話すニャ。話してみれば少しは楽になるのニャ」と声をかけるのだった。


更に後日。
虹を見上げるニャビーが見つけたのはムーランド型の雲
やっと吹っ切れたのだろう、その顔には笑顔が戻っていた。


それを見たサトシは仲間にならないかと提案する。
同情から誘ってると思い難色を示すニャビーだが、ピカチュウとのバトルを経てようやくサトシの手持ちポケモンになる決意を見せるのだった。
一部始終を見ていたニャースは「これからは敵ニャ」と言いつつ嬉しそうに去っていった。


新たな仲間を増やしたサトシのアローラライフはまだまだ続く。





◆余談

ここまで読んだあなたならもうお分かりだろうが、本話はポケモンの「寿命」を描いたエピソードである。
過去に、劇場版でポケモンの死や、テレビアニメ版『XY』のあるエピソードでトレーナーが過去に死去していたという描写がされていたが、
登場するポケモンの「死去」を描いたエピソードは、テレビアニメシリーズのポケモンではこれが初。
なお、同年公開の『劇場版ポケットモンスター キミにきめた!』では更にレントラーの凍死体がはっきり映るシーンがあり、
近年のポケモンアニメでは、「死」についてかなり踏み込んだ描写がされている。


『サン&ムーン』は過去のアニポケシリーズと比べると、ギャグシーンや明るいシーンが多いのだが、
本話はそれまでの雰囲気とは大きく異なる、重くほろ苦いエピソードとなっている。
ムーランドは前々のエピソードから老衰で弱った様子を見せており、遂に本話で天に召されていったようだ。


本話は2017年4月6日放送の『ポケットモンスター サン&ムーン1時間SP』の後半に放送された。
前半は「サトシとピカチュウ、二人の約束」という、サトシとピカチュウがメインのほのぼのとしたエピソードだったため、その落差に驚いた人も多い。

その後同シリーズの第108話『カプ・レヒレの霧の中で』で、カプ・レヒレが生み出した、死んだ人間やポケモンと再び会える霧により、サトシやニャヒート(ニャビー)達の前に再び姿を現した。この時のムーランドとの特訓によりニャヒートは「だいもんじ」が使えるようになった。
また同話では一部のファンの間で考察されていたマオの母親の存在やモーンリーリエグラジオの父親についての謎が明らかになっており、終盤でマオがまさかのシェイミをゲットするなど今後の展開に大きく関わる要素が多い。


  • 場面ごとに木の葉が落ちる、ソファが壊れる、雨が降るのは死の暗喩。
  • ジョーイさんのセリフは肝心要の『ムーランドが弱った原因』が聞き取れないようになっている。更に、上記の演出も相まって直接的な表現を避けてはいるが、アニポケでは大変珍しく「自然の摂理としての死」を真正面から扱った。
  • 野生ポケモンが心の支えを失ってから、サトシの仲間になる展開は、『AG』のキモリに通じる部分がある。
  • 大人の視聴者からは前々からムーランドが動かなくなる悪夢などのシーンが放送されてたのもあり、テレビ雑誌にサブタイトルが掲載された時点でこの展開を予想する声が多かった。
  • ニャースがニャビーを励ます場面で、『DP』でのヒコザルとの対話を思い出した視聴者も多いだろう。
  • ニャビーがムーランドを探す場面でエイセツシティのBGMアレンジ、サトシ達やニャースがニャビーに寄り添う場面で挿入歌として『XY&Z』のED「ニャースのバラード」が流れる。



追記・修正は、ほのおのキバを習得してからお願いします。

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最終更新:2021年02月12日 13:11