別のサーガ(超常現象生命体)

登録日:2025/08/13 Thu 00:30:00
更新日:2025/08/14 Thu 00:54:22NEW!
所要時間:約 5 分で読めます





演者:メラニー・リバード

🌀概要🌀

「闇の世界」によって侵食された余剰次元「精神世界」で、サーガ・アンダーソンが遭遇した自身の破滅的なドッペルゲンガー。

+ 「精神世界」とは…
「精神世界」は単なる妄想でも非現実空間でもなく、アンダーソン一族が支配する余剰次元であり、この空間を介して他人の心を覗いたり他のアンダーソン一族と会話ができる。
RCUでは「アストラル・プレーン」という別の余剰次元も登場している。 
また、闇の世界も人々の夢と繋がった余剰次元である。

RCUにおける余剰次元は霊的空間というだけでなく物理的にも存在しているとされており、メタ構造の宇宙と言える。

常に実写で描写され、破滅的なことをまくし立ててサーガの精神世界を次々に変化させ、捜査ボードを後ろ向きな言葉や写真で埋め尽くして彼女のアストラル体を追い詰めていく。
インセイン・アランとの共通点が多く、類似した存在と思われる。

能力

  • ジャンプスケア
スクラッチノイズと共に、亡霊のように姿を現す。

  • 精神世界の改変
破滅的な言葉をまくし立て、精神世界の様相を変化させる。
また、精神世界を暗闇で包み込むこともできる。

  • 精神攻撃
サーガを言葉で執拗に責め立て、傷つけ、追い詰める。

🌀作中の活躍🌀

Alan Wake Ⅱ

  • 『リターン』9 カム・ホーム

2023年9月14日夜、サーガ・アンダーソンはミスター・スクラッチとの死闘の末に敗北し、アレックス・ケイシーの身体を乗っ取ったスクラッチの手によって異世界「闇の世界」の底に囚われてしまった。

気が付くとお馴染みの余剰次元「精神世界」にいたサーガだったが、いつもは捜査に役立つ筈の精神世界だが、闇の世界の影響により今まで集めてきた情報は全て消え去り、脱出もできなくなっていた。
サーガがまっさらな捜査ボードに近付くと、スクラッチノイズと共に「別のサーガ」が現れた。

私は闇の世界にいる 迷っている
出る方法は分からない 何をするべきかも

別のサーガがそうまくし立てた次の瞬間、捜査ボードには「みんなを裏切った」と書かれた付箋が出現し、プロファイリングエリアには「別のサーガ」の写真と「『彼ら』を裏切った」と書かれた付箋が出現した。

他の写真とは異なり白黒で禍々しい雰囲気の「別のサーガ」の写真と共に現れた「『彼ら』を裏切った」の付箋に触れると、「別のサーガ」は今にも泣きそうな声で言った。

「『彼ら』を裏切った」
私はみんなを失望させた
ローガン ケイシー 私自身
これは私のせい
ローガンは死んだ
パートナーは怪物に乗っ取られた
そして私は闇の世界に囚われている
無力な女

そして「別のサーガ」の写真から、「ケイシー」と「ローガン」の付箋が出現する。

それらの付箋に触れると別のサーガは独白する。

「ケイシー」
私はケイシーを支えられなかった
彼の力になれなかった
間違った手掛かりを追うことに夢中だった
ケイシーには私が必要だった
そして彼は怪物になった

「ローガン」
家族より仕事を選んだ
事件や謎を追うことにとりつかれた
危険な仕事にスリルを感じていた
そして今 それが家族に牙をむいた
娘の命を奪われた

サーガは「これは私じゃない」と否定するも、それはケイシーがミスター・スクラッチに乗っ取られてしまったことや、仕事を優先し家庭を疎かにしていたことを責める、紛れもない自分自身の声だった。

そして、捜査ボードにいくつかの「情報」が追加される。

「娘」
私は最低の母親
娘を死なせた

「相棒」
ケイシーがスクラッチに乗っ取られたのは私のせい

「自分」
ダメな女
これは私への報い

そして、再びプロファイリングの「別のサーガ」の写真から「ホラー小説」の付箋が現れる。

「ホラー小説」
この人生も 私の家族もただの創作の一部
私がするべきことを また他人に勝手に決められてる
奴がローガンを奪った
この物語からは絶対に抜け出せない
ウェイクからも

サーガは思わず「ウェイクのせい」と同調してしまうが事実だし、事態を打開するために精神世界を調べ回る。
しかし手に入る情報はいずれもサーガを後ろ向きにさせ、責め立て、捜査ボードを悲観的な言葉が埋め尽くすばかりであった。

出口なんかない!

そう叫ぶ別のサーガの言う通り、事態は悪化の一途を辿っていた。
サーガが足掻いていると、プロファイリングエリアの別のサーガの写真から新たな付箋「出口」が現れた。

「出口」
そんな どれも現実じゃない
おかしくなったの?
私は存在すらしない
精神世界は現実じゃない
超常的な闇にまつわる事件?
まともな精神状態じゃない
私はウォータリーにローガンを引きずり込んだ
私がローガンを殺した

いよいよ自己認識をも揺さぶってきた別のサーガに対し、サーガは負けじと抵抗する。
その思いに呼応し、「ここを出ないと!」と書かれた付箋が出現するが…

「ここを出ないと!」
終わりよ
何をしても無駄
全てダメだ
出口なんかない
なんとかできるはずがない
どうにもならない
永遠にここに閉じ込められる
私と私の過去
私の罪
私の過ち

別のサーガは破滅的な言葉ばかりを続け、ダメ押しのように精神世界を暗闇で包み込む。

しかし、それでも諦めないサーガの思いによって概念としてのライトが出現し、サーガがそれを手に取ると、今まで隠されていた「希望」が見えるようになる。
それらを覆う闇をライトの光で焼き払い、サーガは真実を思い出す。

  • ケイシー
ケイシーは家族が集まる夕食に誘ってくれたことを心から感謝していた。
そして、自分達の仕事が危険なことを知っていて、怪我をしても決してサーガを責めたりしなかった。

  • ローガン
ローガンは死んでいたりせず、サーガが仕事へ行く前にブレスレットをプレゼントしてくれた。
そして、サーガを母親として慕っていた。

  • 自分
サーガの能力は本物で、彼女は狂ってなどいなかった。母親は手紙で「自分の能力を信じろ」と言っていた。
その能力が認められたからこそ、サーガはFBIに入局できたのだ。

サーガはその確かな真実で捜査ボードを埋めていく。

何をしても 誰かが傷付く
どうすればいいの?
怖い…

そして、別のサーガのその言葉で気付く。
最大の敵は自分だと。
つまり、「別のサーガ」の正体は闇の世界の底で絶望に飲まれ、昏倒しているサーガ本人であった。
現実を直視し、諦めない意志を固めるサーガに対し、別のサーガは反論する。

無理よ できない 私には
ただ願ってるだけ

サーガがローガンやケイシーのことを思い出せと更に反論すると、プロファイリングエリアの別のサーガの写真から、最後の付箋が現れる。

「ここを出る」
怖い
きっと辛い
でも みんなを救うためなら耐えられる

その言葉を最後に、別のサーガはサーガのアストラル体と同調し、消えた。
今まで多くの過ちを犯してきたことを認めながらも、それでも乗り越えていく決意を固めたサーガは、自分自身に克ったのである。

そして精神世界の出口を開き、外へ出たサーガは闇の世界のニューヨークで目を覚ますのだった…。

🌀余談🌀


インセイン・アランとは違い、「別のサーガ」とのボス戦は無い。
だが、作劇上のラスボスと呼べるのは間違いなくこの「別のサーガ」であろう。

闇の世界には人々の内面をまるで暗い水面のように反射してドッペルゲンガーを生み出すという性質がある。
闇に支配された者たちも完全に支配される前に自分のドッペルゲンガーと対面したと思われる。

「別のサーガ」は必ずスクラッチノイズと共に現れるため、ミスター・スクラッチの支配下にあることがわかる。

レメディー社は2001年の『MAX PAYNE』から「自分自身の闇との戦い」を描き続けており、特に『Alan Wake』シリーズではそれが顕著である。

前述の通りインセイン・アランとの共通点が多い。以下は共通点の一覧
  • 破滅的なドッペルゲンガーである
  • 正体は闇の世界で正気を失い昏倒している自分自身
  • フル実写
  • 破滅的な言葉によって世界を改変する
  • 最後はアストラル体と同化して消える

「概念としてのライト」は『Alan Wake』の特別篇(DLC)『シグナル』と『小説家』にも登場しており、やはり破滅的なドッペルゲンガーへの対抗手段だった。


追記修正は自らの闇に打ち克ってからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年08月14日 00:54