登録日:2025/08/12 Tue 13:16:37
更新日:2025/08/12 Tue 15:09:02NEW!
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ダノンデサイルは日本の
競走馬。
目次
【データ】
誕生:2021年4月6日
父:エピファネイア
母:トップデサイル
母父:Congrats
調教師:安田翔伍 (栗東)
馬主:(株)ダノックス
生産者:社台ファーム
主な勝ち鞍:'24 京成杯(G3), '24 日本ダービー(G1), '25 AJCC(G2), '25 ドバイシーマクラシック(G1)
主な表彰歴:24'JRA賞最優秀3歳牡馬
【誕生】
2020年4月6日生まれの栗毛の牡馬。
父はエピファネイアは2013年の菊花賞馬。天皇賞秋・有馬記念連覇を成し遂げた
シンボリクリスエスと日米オークスを制したシーザリオとの間にできた牡馬であり、天才二世・福永祐一に初めてのクラシックタイトルを授けた他、翌年のジャパンカップでは
ジェンティルドンナや
ジャスタウェイを下した強豪。
母のトップデサイルは重賞勝ちこそ無いものの、G1二着2回という実績を持つ素質馬。
母父CongratsはG2サンパスカルHを勝利し、種牡馬としてはG1を3勝したタービュラントディセント等を輩出している。また、
ダノンデサイルと同世代であるスーパースターの母父でもある。
2022年のセレクトセール1歳市場において1億3500万円で株式会社ダノックスに落札された。
【戦歴】
2歳
栗東・安田翔伍厩舎に入厩。
2023年10月9日に東京競馬場の2歳新馬戦1600mでデビュー、鞍上は
武豊と双璧をなす
競馬星人大ベテラン・
横山典弘が手綱を握った。
道中では後方で足を溜めて最後の直線で追い上げるも届かずに4着。
その後は距離を200m延長させ、10月28日に行われた京都1800m未勝利戦に出走。ここでは走法を変えて道中二番手で追走し、最後の直線で逃げ粘るシルヴァリームーンを交わして1馬身半差で勝利した。
そして11月25日、自身初の重賞である京都2歳ステークスに出走。14頭中11番人気という人気薄ではあったが、最後の直線では勝ち馬のシンエンペラーを上回る上がり最速タイの末脚を見せて4着に食い込んだ。
3歳
3歳になったダノンデサイルはクラシック戦を目標に始動。そのトライアルレースとして、昨年の皐月賞馬である
ソールオリエンスも前哨戦に使い勝利した
京成杯(G3)を選択する。
8枠14番という外目からスタートすると積極的に前に押して行き、道中5番手の好位を確保。そのままレースを進めていき、最終直線で外から豪快な差し足を見せる。後ろから横山典弘騎手の息子・横山武史が操るアーバンシックが上がり最速の末脚で猛追してくるも振り切ってそのままゴールイン。初の重賞を制覇した。
…が、この京成杯にてダノンデサイルは勝利以上にある事で話題になってしまった
問題のシーンは第二コーナー、この時中継カメラは5番手でレースを進めるダノンデサイルの姿を映していたのだが…
何とダノンデサイルはレース中にボロ、要するにうんちを出しながら走っていたのである!
一般論として、競走馬がパドックや本馬場にて排便をするなんてのはごくごく普通の当たり前の行為である。そしてそのことで下品だの汚いだのと言っていたら競馬なんてやってられないものである。
しかしレース中に走りながら排便するというのは非常に珍しい、というか
走りながら排便することなんてできるのか?とネット上で大いに話題になった。
そして最終的には安田翔伍調教師がXにて「レース中にウンコしたとか言われてますけど実際は、、、しました」と、異例の申し開きを行われ、その際に『
茶太郎』と呼ばれてしまったり、競馬漫画『
みどりのマキバオー』の主人公に肖って『
令和のうんこたれ蔵』という名誉だか不名誉だか分からない二つ名を頂戴するハメになった。
最もこの時、この二つ名が『ネタ』ではなく『ガチ』になるとは誰も予想していなかったであろう…
さて、無事にトライアルレースを勝利したダノンデサイルは本命である皐月賞(G1)に出走。ホープフルSや朝日杯FSといった2歳G1を勝利したレガレイラやジャンタルマンタル、共同通信杯を制したジャスティンミラノ、弥生賞を制覇したコスモキュランダといったメンバーが集まる中、京成杯を制したダノンデサイルも勝利を期待されていた。
全18頭が無事に馬場入りをし、後はゲートに入ってレースをスタートするだけ、だったのだが…
鞍上の横山典弘騎手が何かに気付いたかのようにダノンデサイルの足を止め、スタッフに声をかけた
そして幾度かゲート裏を往復した後に、場内アナウンスから衝撃の内容が流される
「16番ダノンデサイルは馬場入場後馬体に故障を発生したため競走から除外いたします」
ダノンデサイル、無念の競走除外。
一生に一度しか出られない晴れ舞台よりも、自らの健康を優先する結果となった。
実はこの時ダノンデサイルは右前脚に打撲があり、それが元となって跛行を起こしていた。しかもタチが悪い事に跛行に関する症状が全く表れておらず、厩務員やその他関係者ですら気付かないものであったのである。
それに誰よりも先に気が付き、出走直前であっても取り止めるという判断を下せたのは横山騎手の天性の賜物と言えよう。
幸いにも症状は軽く、翌週にはトレーニングを再開できる程度のものであったため、陣営はクラシック二戦目の日本ダービー(G1)に出走、皐月賞での競走除外から力関係が不透明なことも相俟って17頭中9番人気という低人気に押される。
レース本番、絶好のスタートを切ったダノンデサイルは道中最内の三番手を確保。末脚に賭ける競馬をしてきたエコロヴァルツが逃げを選択したことで1000m62秒というドスロー展開になったり、道中コスモキュランダとサンライズアースが捲っていったりと一筋縄ではいかない状況でレースを進めていく。
最後の直線、スロー展開から前残りと見越して早めに動いていたジャスティンミラノが外から差そうとするが、動いていなかったダノンデサイルが最内から抜け出す。そして並ぶ間もなくあっという間に先頭に躍り出て2馬身差でゴールイン、世代の頂点に輝いた。
このG1勝利はダノンデサイルにとって初めてなのは勿論のこと、数々のG1を勝利してきたダノン軍団にとっても初めてのクラシック制覇、安田翔伍調教師初の中央G1勝利&史上最年少でのダービー制覇、横山典弘騎手にとっては武豊を抜き史上最年長のダービー制覇かつ3勝目、父・エピファネイアおよび父父・シンボリクリスエスの親子三代の悲願達成とまさに記録尽くしの大勝利となった。
そしてその後はクラシックの最終戦、
菊花賞(G1)に出走。
この時、秋の天皇賞に向かう予定だった皐月賞馬のジャスティンミラノが右前浅屈腱炎を発症し早期引退、日本ダービー3着馬のシンエンペラーは
凱旋門賞を視野に海外遠征と有力馬が軒並み回避をしたこともあって、自身のキャリア初の1番人気に推される。
…が、道中ではノーブルマーク→メイショウタバル→ピースワンデュックと目まぐるしく先頭が入れ替わったことでメチャクチャな流れとなり、当初は好位をつけていたはずがどんどん位置が下がり第4コーナーでは
18頭中16番手という大ピンチ。最終直線で外に持ち出して末脚に賭けたものの間に合わずに6着に敗れた。
年末は
冬のグランプリ・有馬記念に出走。
この年の天皇賞秋・ジャパンカップを制覇し、大本命と目されていた
ドウデュースが直前に跛行によって出走取消となったことで、菊花賞を制したアーバンシックに次ぐ2番人気に推される。
最内1枠1番からスタートしたダノンデサイルは、他に逃げ馬がいないと見るや何と逃げを敢行。そのままゆったりと走り1000m62.9秒というスロー展開を作り上げる。
そのまま最後の直線まで先頭をキープししぶとく逃げ粘りを図ったものの、レガレイラと
シャフリヤールに抜かされてしまい2頭の並んで
ゴーン!!!のゴールを後ろから見る展開に。それでも3着と馬券内は確保しダービー馬の矜持を見せることとなった。
そして3歳時点での走りによってJRA賞最優秀3歳牡馬に選出された。
4歳
明けて4歳、当初は放牧に出る予定だったが、
AJCC(G2)への出走を決定。この時、主戦騎手であった横山典弘騎手はマテンロウレオに騎乗する予定であったため、ジャスティンミラノで皐月賞・レガレイラで有馬記念を制し、勢いに乗る戸崎圭太騎手に乗り替わり。これまで中山2200mで重賞を2回勝利しているレーベンスティールと人気を分け合い1番人気に推される。
レース本番、今回は前目につけていた今までとは違って後方からの競馬を選択。先行集団を見据えつつ、レーベンスティールをマークする展開となる。
そして第4コーナーで外に持ち出して徐々に位置取りを上げていき、最終直線では逃げたマテンロウレオとコスモキュランダをゴール板直前で差し切って見事に勝利を飾った。
日本ダービー馬のAJCC制覇は
スペシャルウィーク以来26年ぶりの快挙である。
次走は安田調教師が『アラビア語が話せるようになったらドバイに行きたい』と言っていたが、
無事に話せるようになったのかドバイシーマクラシック(G1)を選択。
このレースでは、前回勝者
レベルスロマンスやG1二回連続二着の
カランダガンといった欧州の強豪が参戦。日本からは同期で昨年のオークス・秋華賞を制した
チェルヴィニアに昨年のジャパンカップ2着同着の
ドゥレッツァ、同じくジャパンカップ2着同着でサウジアラビアのネオムターフカップ(G2)を制したシンエンペラーといった実力馬が参戦した。
レース本番ではスタート自体はまずまずだったものの最内に潜り込むことに成功し、ハナを主張するレベルスロマンスをマークする展開に、そのままレースを進めていく。
第四コーナー、ここで前を走っていたチェルヴィニアの手ごたえが無くなったのを見逃さず、外目に持ち出して持ち前の末脚をさく裂。そのまま前を走っていた先行集団を抜き去っていき、そのままゴールイン。G1二勝目となった。
これが
安田翔伍調教師・戸崎圭太騎手初の海外G1制覇、その余りにも完璧なレースから鞍上の戸崎騎手も
『ベリーベリーホース』という戸崎イングリッシュでダノンデサイルを祝福することとなった。
次走はイギリスのG1、英インターナショナルSを予定している。
欧州勢相手に勝利を収めることはできるのか、ダノンデサイルの今後の活躍に期待したい。
追記・修正は走りながらウンコしたことがある人がお願いします。
最終更新:2025年08月12日 15:09