佐藤田十三(鉄鍋のジャン)

登録日:2025/08/14 (木曜日) 00:14:00
更新日:2025/08/14 Thu 00:14:23NEW!
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佐藤田十三が作っているものは料理ではない

夢だ!!


おまえは地道に『おいし~~~い料理』を作ってろ
最強の魔法で空を翔けるのはこの私だ!!


佐藤田(さとうだ)十三(じゅうぞう)とは『鉄鍋のジャン!R 頂上作戦』に登場する料理人のこと。


概要

「料理界のレオナルド・ダ・ビンチ」「厨房の魔術師」「21世紀の錬金術師」「科学と魔法を融合させた男」「魔法使い」などと評されている天才若手料理人。
元々はアメリカの中華料理レストラン『XIANGFAN(シャンファン)』で働いていた新進気鋭のシェフ。現在は『バートリー・フーズ』社長エリザ・バートリーの執事
見た目はメガネをかけた長身の成人男性。

バートリー家に雇われエリザ専属の料理人兼執事として彼女の食育や中華料理チェーン店十三龍(サーティーンドラゴン)の統括責任者を任されていたが、彼女の成長を確信すると「料理人として再び表舞台に立ちたい」という欲求が想起。執事を引退し料理人に戻ろうと画策していた。

『十三龍』及びビッグ大谷日堂杯の黒幕として大会終了後、優勝者である秋山ジャンと勝負を繰り広げた、『鉄鍋のジャン!R 頂上決戦』における事実上のラスボス枠となる料理人。
世界中から得た知識を基にした奇抜で自由な発想を武器にジャンと互角の戦いを繰り広げるも、自分より自由な解釈で自分と同等の料理を作られたことや、数年間の執事生活の弊害で大会で連戦出来るほどの体力が失われていたこと。
そして駄目押しとばかりにジャンがエリザによって大怪我させられた上でビッグ大谷日堂杯に出場し自身と互角以上に渡り合っていたことを霧子の乱入によって知り、料理人としても執事としても完敗を認めた。


なお運営席を降りて会場に姿を見せた際は背中にエリザがしがみついてるのもお構いなしにジャンの前に姿を見せたため「サンバガエル」呼ばわりされてしまい、大会前のエリザの所業や試合中のジャンへの挑発もあってジャンからは基本的に「カエルヤロー」呼ばわりされていた。


続編の『2nd』ではエリザと結婚しているようだが、本人は登場していない。


人物

一人称は執事の時は「私」。それ以外だと「オレ」
料理人であるが、物理学・人体生理学・宇宙工学・生物学・化学・音楽・美術・錬金術をも修めた博識な人物。
執事らしい寡黙な表情や温和な笑みの好青年然とした振る舞いも多いが本性はジャンに負けず劣らずの負けず嫌いであり自信家。
自身の料理で他者を驚かせることを何より好み、既存の中華料理のセオリーに囚われない自由な料理こそが真の魔法と豪語して憚らず、自らこそが真の魔法使いにして新しい中華の伝道師だと自認。
「中華鍋・中華包丁だけで料理する時代は終わった」「料理は"日進月歩"どころか"秒進分歩"」という自負から斬新さとサプライズに拘りを持ち、
  • 味にしか拘らず自由な発想を追求しない者を「ただの『うまいもの作り』の料理人に堕ちた」と見下す
  • 他者の行う見せかけの魔法を内心ペテン呼ばわりする
  • 秋山一族が培った秋山ノオトに記された調理技術さえも「ボロっちいノート」「時代遅れ」「チンケな魔法」と見下す
など高慢さやプライドの高さも見られる。所謂意識高い系の人物だともいえる。
頭脳と先見の明にも長け、大会運営として裏で暗躍していた頃はニシンのキャビアやメキシコ産姿クラゲのようなあまり日本では知名度の薄い食材のみならず、超絶希少な食材の糟蛋迄用意する未来予知じみた品揃えを実現させていた。

挑発的な言動の多かった本編だが挑発的な言動はあくまでもジャンを怒らせ本気を引き出すという側面も多分にあり、精神性自体は作中の登場人物の中でもかなり良識的な方。
エリザが大会前に行ったジャンへの裏工作も彼が命じてやったものではなくあくまでエリザの独断。
ジャンがボロボロの大怪我になってまで大会に赴いていたとは想定しておらず、料理人や教育者としての誇りもあってか真実を知った際には「(だとしたらワタシは執事としても料理人としても失格だ…!)」と愕然としたことが敗北を認める大きな切っ掛けでもあった。


料理人として

信念は「料理は魔法
パフォーマンス要素が極めて強い前衛的なフュージョン料理*1を得意とし、コーヒーサイフォンやパスタマシン、ビーカーといった本来中華料理では使う事の無いような調理器具まで活用するため、既存の中華料理とはあまりにもかけ離れた異常な調理工程が特徴。
霧子も「今までいなかったタイプの料理人」と評しており、彼を知るブルー・メナールは「天才」「こと料理に関してはあいつの頭はブッ飛びすぎていて予測不可能」と賛辞を贈っている。

一見イロモノ料理人だが中国の古典料理の知識や技術もまんべんなく習得しており、こと現代的なセンスと知識量に関しては作中の料理人の中ではトップクラス。
特に水の扱いに長けており、ありとあらゆる水を自在に使いこなす水のエキスパートとしての一面も持つ。

古典から最新に至るまでありとあらゆる世界中の料理や調理法、食材を網羅する明晰な頭脳とそれを使いこなす技巧が最大の武器であるが、上述した通り3年間に渡る執事生活の副作用で大会の場で連戦できるほどの体力と精神力が失われてしまっていることが最大の弱点であった。


制作料理

  • 田鶏*2のフリッター、サーモンのムース、こぼれないコーヒー
『XIANGFAN』勤務時代に作っていたコース料理の一皿。
「フリッター」は田鶏の肉をスポイトに突き刺したような料理で、肉を口に頬張りスポイトを押すとスポイトからソースが飛び出し口の中で料理が完成する仕組み。
「サーモンのムース」は一口サイズのコーンの上に盛られてあたかも見た目はアイスのソレ。
アクリル板の上に盛られており見た目はユニーク。
「こぼれないコーヒー」はコーヒームースをコーヒーカップの中に仕込み、カップを逆さにして提供した品。


  • 握り寿司(仮称)
バートリー家の執事として雇われた際に最初に作った料理。
醤油に少量のゼラチンを混ぜて冷やし固めてムース状にして握り寿司の上にかけている。
食事を栄養サプリメントだけで補い食に一切の興味関心のなかったエリザの心を動かすための料理。


  • 吓一跳咕咾肉(佐藤田特性びっくり酢豚近未来風)
酢豚」の課題で作った料理。
世界各国から取り寄せた十数種類の酢*3に、それぞれの酢に合った各種スパイス*4を加えてコーヒーサイフォンで香り付けしたオリジナルスパイス酢を更にブレンドしスパイシーなフレーバー酢を作成。
その後フードプロセッサーでミンチにした豚肉に小麦粉を混ぜてパスタマシンで麺に成形し、両麺黄*5の要領で揚げ焼きに。
その後コーラ50本を煮詰めに煮詰めて飴状にしたものを風鈴を作る要領で球体にし、中に上記のフレーバー酢と水素を加えてガラス球のような状態にして肉麺の上に盛り付けて完成。
肉麺の熱でコーラの飴細工が解けて中のフレーバー酢とコーラが混ざり合い、客の前で糖醋である甘酢が完成する仕組みのショー形式でお出しされる。

両面焼きそばとしてこんがり揚げ焼きにされた肉麺の中には上記のフレーバー酢に漬けこまれたドライフルーツ*6が仕込まれており、単調になりかねない肉麺と甘酢の味に変化をプラス。さながらフルーツ入り酢豚の様な味わいを楽しめる。
両面焼きそばと酢豚の融合料理であり、コーラとフレーバー酢、ドライフルーツとフレーバー酢の糖醋のダブル構造が最大の肝。
審査員からは「我々の料理の既成概念を根底から覆すびっくり箱のオンパレード」「佐藤田ワールドこそ料理の未来系」などと大絶賛され、文句なしの100点を取りジャンと引き分けになり第2戦目にもつれ込んだ。


  • ブレンド水で煮出した紅茶
水料理*7」の課題のデモンストレーションで制作。
ダージリンの茶葉を硬水と軟水を独自の配合でブレンドした水で煮出したもの。
ダージリンの茶葉に最適な硬度の水になるよう調整されてあり、軟水で煮出した時よりもずっと茶葉の味わいが良くなっている。


  • 大水旋流海賓(中華風アクアパッツァ佐藤田流――カサゴの水煮――)
「水料理」の課題で作った料理の1品目。
チタン鍋と超硬水で一気にアクを抜き去ったカサゴを各種野菜*8をミキサーでドロドロにしてからネル・ドリップで超濾過して作った透明な野菜水で煮込みアクアパッツァにした皿。
煮込むと素材が固くなる超硬水の欠点は灰汁が抜け切ったタイミングで即廃棄することで抜かりなくデメリットを回避した。

「水をメインとして扱い意図的に際立たたせる」という水へのアプローチで作られている。
完全にアクを抜いてから野菜水で煮込んだことで味わいは雑味の一切無い超クリアな透明感のある味。皿にはカサゴと煮込み汁しかないのに、煮崩れした無数の野菜が存在するかのような味わいを楽しむことができる。
中華らしくアサリやドライトマトの代わりに干し貝柱を加えたことで潮の風味が強調され、各種野菜と干し貝柱の旨味をカサゴが吸いこんでカサゴの旨味が倍増した芸術的な一皿。
付け合わせは軟水で練った蕎麦粉のパスタ。軟水で練ったため蕎麦粉の持つ食感と風味を楽しめる。


  • 蘋果玻璃球(金箔入り水のデザート びっくりリンゴのガラス球入り)
「水料理」の課題で作った料理の2品目。
金箔を浮かべた水の入ったグラスにリンゴ飴の小さな球を3つ浮かせた前衛的デザートで、自身も「近未来の料理として料理界に一石を投じた自信作」と豪語した皿。
りんご飴の中には酒に漬けたリンゴのシャーベットが溶けてできたリンゴのリキュールが入っており、口の中でリンゴ飴が溶けるとリンゴの甘いカクテルが口内で完成する大人のデザート。「ウイスキーボンボンのリンゴ版」とも評された。
制作の際には
  1. 丸く成形したリンゴのシャーベットを直接溶けた飴の中に入れて抜絲の要領で瞬時にコーティングし飴球を作る
  2. 飴玉を500Wで5秒加熱
  3. 加熱した飴玉を冷凍庫に数秒入れて飴を固める
という手間暇かかる工程を経て完成させたもの。
当初はリンゴを最初に見せてリンゴも上記の料理に使うと見せかけつつ、サプライズも狙う搦手を目論んでいたが、即座にジャンに見抜かれたためご破算となった。

2品とも「水料理」として完璧な出来栄えであり審査員にも絶賛されたが、ジャンの「和えタレを水道水で薄める」というシンプルかつ奇抜な発想の前に引き分け。
その後ジャンに「おまえは水を際立たせ過ぎた。水のために料理があるんじゃねえ!!料理のために水があるんだぜ!!」と欠点を指摘された後「水で薄めただけ」という非常に原始的な使い方で旨味を引き出した点で佐藤田よりも勝ると評価。
更に上記の顛末を踏まえ敗北を認めたことで皿としては事実上の敗北を喫した。




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最終更新:2025年08月14日 00:14

*1 多国籍料理とも呼ぶ

*2 食用カエル

*3 中国産の黒酢数種、赤酢、白酢、四川産のビンテージ酢、フランスのワインビネガー、イタリアのバルサミコ酢など

*4 オレンジの皮、レモンの皮、八角、丁字、黒胡椒等

*5 上海版の両面焼きそば

*6 イチジク、サルタナレーズン、龍眼、パイナップル、苺

*7 「水の特性を理解してあらゆる料理に完璧に対応させられるか」「いかに水を使い熟すか」を問う佐藤田の提唱する料理概念のこと。

*8 トマト、日向なつ、菜の花、ワカメ、暮坪カブ、人参