登録日:2025/08/12 Mon 00:00:30
更新日:2025/08/15 Fri 13:05:04NEW!
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「どうなんでしょうねえ、最後のパイプスライダー、あそこまでキチっと距離と詰めて、反動を付けて距離を稼ぐ訳ですが…、どうしてもここダメですね」
「なんでなんすかねえ…」
「行けそうに思えるんですか?あの赤いステージに」
「いや、行けると思ってました、はっきり言って」
「すると実際は距離が足りない?」
「そうですね……うーんちょっと分かんないすけどね、なんか、自分ではもったかな、とは思ったんですけど…」
─── 総合実況 古舘伊知郎 と挑戦終了直後の山田勝己
パイプスライダーとは、TBS系列で放送されているスポーツバラエティ番組「
SASUKE」に登場するエリアの一つである。
概要
2本のパイプで出来たレールに跨るように配置されたバーにぶら下がり、身体を振って体重移動をしてバーを滑らせる事で前進するエリア。
悶絶の乳酸地獄、腕力の墓場として非常に有名な
3rdSTAGEの大トリを飾る位置に長らく設置されており、ここをクリアすれば栄光の
FINALへ進出が決まる一方で、落ちれば文字通り全てが
沼水の泡という場所にある。
それもあってか、数々の名場面から衝撃の瞬間に至るまでのあらゆる映像がここで撮られており、実質クリフハンガーと並ぶSASUKE3rdステージの代名詞の一つにして、SASUKEを象徴するエリアの一つとも言える存在である。
構造及びルール
パイプレールの距離は5.3m。選手がぶら下がる用のバーはオレンジ色に塗装されている。
当初はぶら下がるだけでなく足をかけても良かったのか、足をかけて腕を休ませようとする者もいたが、現在行う選手はほとんどおらず恐らく禁止されていると思われる。
またこちらも明言はされていないものの、オレンジのバー以外にぶら下がるとコースアウト扱いになって失格になると思われる。
登場当初は前半と後半に分かれており、それぞれの距離が5.3mという形になっていた。
前半と後半の間には「ブレイクゾーン」と呼ばれる緑のバーが設置されており、そこの上でのみ腰掛けて(若しくは足を着いて)休憩する事が許可される。
後半部分はそれまでの3rdのコースから90度右に折れ曲がるようにレールが設置されているため、3rdの中では特殊な形状のエリアであると言える。
これは90度回転した位置に3rdのゴールを置く事によって、3rdを突破した栄光のファイナリストがそびえ立つFinalステージをバックに挑戦後インタビューを受ける様子がスムーズに撮れるように計算されたため。
この事は一時的にパイプスライダーが撤去された際の3rd最終エリアにも全て踏襲されている他、現在の前半部分が撤去されて後半部分のみになった状態においても引き続きこの形がとられている。
パイプはかなり高い位置に設置されており、落下してもいいように下は深い水場が広がっている。別名泥水、死んだ水、亡霊の沼地
当初この沼はシンプルにゴール前まで掘られて形成されていたが、後述の事故をきっかけに、現在はゴールを囲むように広げて作られている。
初期からあるエリアという事もあってかルールは比較的シンプルで、途中で力尽きて水に落ちたり、パイプが脱線して落ちたりしたら失格。特にパイプの脱線はブレイクゾーンから後半に移行しようとぶら下がる際に特に起こりやすく、注意深く降りる必要がある。
レールの傍にはもう1本ガイドレールに当たるパイプが設置されており、オレンジのバーと金属製リングの付いたワイヤーで繋がっている。これによりパイプが脱線するとパイプは空中に放り出された後ワイヤーで宙にぶら下がる形になり、挑戦者のみが沼地に叩き落とされることになる。当初は2本のリングとワイヤーで支えていたが、後述のとある事情により現在は1本のみ。
頑張ってパイプを終点まで滑らせればゴール、と思いきやパイプのレール終点は途中で途切れ、そしてゴールはレール終点から1m以上離れた場所にあり、レール終点から直接飛び移ってゴールをしなくてはならない。
更にパイプレールはオレンジのバーを滑らせて前進しやすくなるように加工されているため、レール終点で普通に鉄棒の要領で身体を振って飛び移ろうとすると、レールが滑ってオレンジのバーが後退し、ゴールが一気に遠のいてしまうという意地悪極まりない構造になっている。
3rdのラスト、腕力は限界、目の前にはゴール、しかしそのゴールは飛び移ろうと身体を振る程無情にも遠ざかっていく…。ここで心を折られ満足に飛び移り動作に入ることすらできずに沼地に垂直落下してしまった挑戦者も少なくない。
また、結構な高さからの飛び移りが必要であり、場合によっては挑戦者が叩きつけられるという事もあってかゴール台の周囲は柔らかいマットで固められている。
そのため、飛び移りの距離自体は届きゴールに両足がかかったにも関わらずバランスを崩して沼地に吸い込まれるという悪夢のような失敗パターンもある。
この最後の飛び移りが番組史上でも屈指の緊張感Maxポイントにして名場面製造ポイントとなっており、今の主力選手はほぼ移動部分では落ちないのもあって、現状では番組全体の成果を占う最大の山場の一つとなっている。
エリアと番組の歴史(SASUKE)
第1期 1997秋~1999秋 第1~4回大会
第2回大会にて、針山(第1回3rdステージ最後のエリア)に代わって通算第17エリアとして初登場。現在以上に「腕力地獄担当、最後の門番担当」という立ち位置での登場だった。
カラーリングが今とは異なりバーは赤色、ブレイクゾーンは黒いバーという地味な色合いで、現在よりも無骨な印象が残る。
この時はほぼ腕力&根性、そしてついでに脱線しないような動きの緻密さを試すエリアで、パイプレールの終点すぐ近くにゴールを設置。身体を振る必要はあまり無く終点まで辿り着ければ割とすんなりゴール出来そうな構造だった。しかしながらバーを滑らせるノウハウが選手に全く無かった事や、小柄な選手が多く最後に足を伸ばす必要があった事もあり脱落者が続出。9人が挑戦し、成功者は2人だけだった。
因みにこの頃の3rdは通過点扱いされるエリアも多く、挑戦者9人、脱落者7人共に2025年現在史上最多である。更にこの挑戦者9人はそのまま3rd進出者9人であり、3rdに進出した選手は全員パイプスライダーに挑戦している。
前回に続く3rd最終エリアとして続投。ブレイクゾーンが今のようなグリーンバーに変更された。
エリア全体の規格にほとんど変更が無かった事に加え、前回7人が飲み込まれたのもあってか腕力をしっかり鍛えてきた挑戦者が多く、5人の突破を許す形になった。
この際、挑戦者の1人だった山田勝己がオルタネイトグリップと呼ばれるバーの握り方を採用して実行したのが、後にドラゴングライダー等で使われる「順逆(ジュンサカ)」の原点となっている。
因みに、山田がパイプスライダーを成功したのはこの回のみである。
バーがオレンジになり、現在よく知られているカラーリングになった。
更にゴール地点がレールの終点からスタッフの嫌がらせによって大きく離されており、飛び移らなくてはならないという点が明確になった。
構造及びルールの項にも書いた通り、
ゴールが離れた事で飛び移ろうと身体を振る度にバーが後退しゴールが遠ざかる鬼畜仕様が本格的に牙を剥き、多くの挑戦者を葬った。
因みにこの回はあの
クリフハンガーが初登場した回でもあり、そのため今より簡素とはいえ
あのクリフをその日の完全初見で突破する程の腕力の持ち主を何人も沼地に引きずりこんだ事になり、極悪な仕様になった事をまざまざと見せつけた。
そんな中、バーから身を投げ出しゴールのマットに叩きつけられながらよじ登るという強引極まりない方法でただ一人クリアしたのがあの”毛ガニの秋山”こと秋山和彦であり、ここを突破した秋山は直後のFinalで異次元のパフォーマンスを見せる事になる。
なお、トラビス・アレン・シュレイダーが挑戦した際に脱線、ワイヤーにつるされた状態になったがなんとそのまま強引に前進、脱線時点で失格ではあったがこれがきっかけでワイヤーが一本になった。
第2期 2000春~2006秋 第5~17回大会
秋山の完全制覇をきっかけにSASUKEは全般的な大リニューアルを敢行、ステージの難易度が大幅に上昇した中、数少ない前回の仕様のまま再登場。
悪夢のような難易度のエリアの数々をどうにか突破して辿り着いたガソリンスタンド店員山本進悟がただ一人挑戦。しかし最後の飛び移りの際に亡霊の沼地に吸い込まれた事で、史上初の3rdで100人全滅、Final進出者無しという結果に終わった。
この頃から全体的な難易度のインフレが起こった事もあって、そもそもパイプスライダーに辿り着ける選手の数は激減。パイプスライダーによってファイナリスト誕生が阻止されて3rdで100人全滅する事や、誰一人パイプスライダーに到達すら出来ずに100人全滅する事も珍しくはなくなっていった。
番組が全体的に鬼畜化した影響は大きく、この回も挑戦者は1人だけ。
前回前々回の時点で猛威を振るっていたにも関わらずゴールが更に離され、1m以上先の設置になった。
この回でただ1人挑戦したのが他ならぬ山田勝己。後のミスターSASUKEとなる彼はこの時点で完全にSASUKE狂いと化しており、なんとパイプスライダー最後のジャンプも自作セットで練習、掴んだコツを引っ提げての挑戦となった。
練習の甲斐あってか腕力に余裕を残した状態で辿り着いた山田は、練習通りに「上半身を固めて、足だけ振る」フォームを披露。
その体勢から両足で宙を蹴るように身体を反らしながらゴールに跳び付き見事に着地をした、と誰もが思った瞬間だった。
実は山田が着地したのは、激突による怪我防止の為にゴール台の前面に貼り付けられていたマットの上であったため、そのまま体勢を崩し、あろうことかゴールの真横に落下。2m近い高さのあるゴール台の上から土の地面に背中から叩きつけられるという完全に放送事故のような形で落下しコースアウトによる失格となってしまったのである。
誰よりも先のエリアに到達し、練習による成果も確かにあったにも関わらず最後に結果がついてこなかったというその後のSASUKEあるあるとなる無情さが漂う中、2大会連続パイプスライダーにて100人全滅という結果で番組は幕を閉じた。
またまた挑戦者は1人だけ。
今回ただ1人到達したのは、第5回でこのエリアによって最後の最後に苦汁をなめさせられた山本進悟。
過去のパイプスライダー挑戦よりもスムーズに最後の地点に達すると、実況担当の古舘伊知郎が「エビぞり」と形容するほどのしならせた体勢でジャンプ、膝を着いてなだれ込むような姿勢でゴールに着地。
最後のジャンプが必須になってから、初めてまともにジャンプをしてパイプスライダーを突破した選手として名を残すことになった。
因みにこの回から前回の山田の事故を受けて、ゴール台の横に至るまで沼地が延伸されるようになっている。
久々に複数人の挑戦者が登場。そして体操のオリンピックメダリストであるブルガリアの鉄人ことヨルダン・ヨブチェフと筋肉番付の顔でもある筋肉俳優ケイン・コスギの両名が見事にパイプスライダーを突破し、4大会ぶりのファイナリストとして名乗りを挙げる事となった。
一方初めてこのエリアに挑み涙をのんだ消防士、竹田敏浩はその後もこの最後の審判に苦しめられることになる。
第6回で山田が見せた足のみを振る方法が知られてきたのか、ヨブチェフ、ケイン共にその方法を採用しての突破であった。ファイナリストが誕生したのは前述の通り毛ガニの秋山以来4大会ぶり、複数人となると5大会ぶりである。
前回複数人のファイナリストが出た事を受けてか、3rd全体がまさかの更なる難易度インフレ。加えてゴール地点が更に離され、この辺りで現在のレギュレーションに近い約1.5m前後の距離になった。
そんなふざけた難易度になりつつあった3rdの難エリアをねじ伏せてパイプスライダーに到達したのが、この回からいよいよ本格的に活躍し始めた最強の漁師にして後にSASUKEのレジェンドとなる長野誠。過去にならって足を振って跳び付くも、「ここは行けると思ったんだけど、案外遠かった」と振り返る程の距離の前に撃沈。
この回の3rd一人目の挑戦者だった長野に続く者は現れず、そのままあえなく3rdで100人全滅となった。
節目となる10回目の大会となったこの回は久々に山田勝己が挑戦。1stの地味ながら嫌なリニューアルもあって全体的にクリア者が少なく、パイプに挑戦したのは山田のみだった。
ここまで盤石のパフォーマンスを見せて挑んだ山田だったが、第6回の失敗が頭をよぎったのか低い体勢でのジャンプとなり、ゴール台に身体が乗り切らず沼に転落。2大会連続での3rdで全滅となった。
この挑戦の後のインタビューで山田はこの項目冒頭のやり取りを総合実況の古舘伊知郎とするのだが、その直後に発言したのがあの水ダウ等で何度も弄られる「俺には…SASUKEしかないんですよ…。」である。
ここまで本家共々絶大な人気を博し、名物企画となっていたSASUKE。しかし本家番組である筋肉番付の方で参加者に重大な後遺症が残るケガを負わせるような事故を起こしてしまい、本家の方は打ち切りに。後ろ盾を失ったSASUKEはそもそも第10回の開催が危ぶまれる状況になってしまった。
なんとか調整は付き第10回の開催は決定されたものの「一応節目の10回目なので、放送時間も21:00時開始に格下げで、これでキリ良く終わらせる事を視野に」という状況であった。こうしてSASUKE第10回大会は単独番組として独立した状態で開催される事になったのである。
本家が無くなった事で「次が開催されるかすら分からない」という状況の中始まった収録、「筋肉番付打ち切り」は当時割と全国ニュースになっていたため、いつも以上に関係者だけでなく挑戦者の間にも緊張感が走った状態で収録は進んでいった。
そして最後の最後、あの「山田VSパイプスライダー」が起きてしまう。
今でこそネタとして擦られる事も多いこの場面だが、この背景事情を考えると「番組に命を掛けて来た男の情熱は完全に潰え、他の挑戦者たちは敗北感に塗れ、視聴者は未来永劫次の完全制覇者を見る事が出来ず、番組は完全に打ち切られ真の最終回を迎える」という関係者全員を絶望に追いやる完全なるバッドエンドの場面になる可能が非常に高い状態だったのである。
しかしここで、あの「俺には…SASUKEしかないんですよ…」という言葉が山田の口から放たれ、この発言の視聴者受けが非常に良かった事もあり、スタッフ他関係者が放映後も奔走、何とか筋肉番付の後継番組が決まりSASUKEも続行される事が決定した。
現在に至るまで番組の歴史が続く礎が出来、そして山田の発言が安心してネタに出来る所まで続く事が出来るようになったのである。もっとも、SASUKEはこの後更なる打ち切りの危機に晒される事になるのだが、それはまた別の話
山田の悲劇的な失敗から半年、なんとか筋肉番付の後継番組「体育王国」が始まり、SASUKEも無事開催。このエリアも続投となった。
パイプに辿り着いたのは、産業廃棄物運送業の小林信治と漁師の長野誠の2人。
小林は筋肉番付の後継番組「体育王国」で企画された100m雲梯「モンキーバーズ」での好成績を引っ提げてこの回初出場。
その腕力を見せつけるパフォーマンスを披露するも、例によってレール終点でのパイプの滑りに翻弄されあえなく落下。
初見でクリフハンガーの下り段差を突破する程の男がわざわざパイプのみ自宅でセットを組んで練習を積むという周到さを見せたにも関わらず、為すすべなく落とされるという恐ろしい光景となった。
そんな中2人目のパイプ到達者となった長野。
難なくレールの終点に着いた長野は、敬愛する心の兄弟船こと山田が嘗てやったように足を振りバーが滑らないように勢いとリズムを刻んだ後、身体をバーに引き付けながら両足を高々と振り上げ身体全体が弧を描くように跳躍するという離れ業を敢行し、1.5m近く離れたゴールに両足でピタリと着地。
スタッフの嫌がらせから始まりゴールが遠くに設置されてから足掛け4年と8大会、ようやく「パイプスライダー最後のジャンプの確実な攻略法」が開示、実践される事になった瞬間であった。
前回、長野がファイナリストになった事を受けて挑戦者の心に火が着いたのか、なんと5人が到達。これはジャンプが必須になってから2025年現在に至るまでの、最多人数となる。
そして5人の中から、SASUKE先生(当時)こと朝岡弘行、印旛村役場の白鳥文平、そして漁師長野誠の3人が突破に成功し、ファイナリストとなった。
パイプスライダーの成功者3人は、こちらもジャンプが必須になってから2025年現在に至るまでの、最多人数タイとなる。
一方で当時唯一の完全制覇経験者の秋山と消防士竹田はここで敗退。秋山は制覇時以来の挑戦、竹田は2度目の挑戦となったが、いずれも届かなかった。
前回3人もの突破を許した為かまたまた3rdに新エリア、カーテンクリングが登場。その影響もあってか到達者は2人のみ。前回ファイナリストとなった白鳥と長野が挑戦する事になった。
しかし白鳥はここまでの疲労と焦りもあったのか、まさかの失敗。
跳躍の距離は届いていたにも関わらず転落という勿体ない形での敗退になった。
そんな中、ゼッケン100番、最後の生き残りとして挑戦した長野はなんと一振りで跳躍、着地もピタリと止める異次元の動きを再度披露。すっかり完全制覇大本命となった者の力を見せつける結果になった。
前回に続きまたまた番組が大リニューアル。3rdに至ってはまさかのエリア増設(交換ではなく増加)という暴挙が行われた。
その為かパイプスライダーも前半部分が撤去、以後はブレイクゾーンと後半部分のみの運用という形がとられる事になった。
更に変化として、ブレイクゾーンとパイプの間に新エリアのデビルブランコが登場。そしてパイプのバーがブランコに掴まって身体を振らないと届かない程の高所に設置されるという、凶悪な進化を遂げた。
今回ただ1人挑戦したのは、第11回にもこのエリアに挑んだ産業廃棄物運送業の小林信治。
圧倒的な前腕の強さでここまで到達し、ブランコからの乗り移りを狙うもあろうことかパイプを掴むのに失敗、小林はなんとかブランコのバーを離さず踏みとどまるもパイプがひとりでに遠くに滑っていってしまう。
小林は一縷の望みをかけてブランコを再度大きく振り、思い切り跳んでパイプを掴もうとするも届かずそのまま落水。
後に続く者も現れず、そのまま4大会ぶりに3rd全滅。ブレイクゾーンからパイプに移動するのすら難しいという嫌な仕様を見せつける結果となった。
前回の難易度急上昇もあってか久々となる難易度据え置きでの続投。
今回は消防士の竹田敏浩が1人だけ到達。デビルブランコから手を伸ばしてパイプをグリップするもそこで力尽きたのかそのまま落水。
竹田がこの回最後の1人だったため、その場で2大会連続の3rd全滅およびパイプスライダークリア者無しが確定した。
この回の竹田と14回の小林は「完全にパイプにぶら下がる所までいっていない」ため、厳密には「デビルブランコでのリタイヤであり、パイプスライダーには未到達」となるが、デビルブランコ自体がパイプスライダーありきの超小型エリアであるため、パイプスライダーの歴史の一環として表記する。
クリア者が出ていないためか、また難易度据え置きでの続投。
パイプに触れたのはデビルブランコが増設されてから最多の3人。
まず体脂肪率3%の消防士こと山田康司が史上初めてデビルブランコを突破しパイプスライダーにぶら下がるも、デビルブランコで腕力を使い果たしてしまっていたためパイプを滑らせる事は全く出来ず。そのままあえなく落下。
続いて印旛村役場の白鳥文平が従来よりも効率的なデビルブランコの攻略法を見せてパイプに挑戦。
パイプを滑らせて久々の最後のジャンプへの挑戦をしたが、腕力の消耗に焦ったのかはたまた非常に遠いゴールに面食らったのか、ゴールに叩きつけられるようにバウンドして落水。再びの悔しい失敗となった。
最後の1人となった漁師の長野もここまで到達、しかしデビルブランコのチェーンがバーに引っかかるアクシデントが発生し腕力を消耗、一度はパイプを掴むものの上手くグリップが出来ずパイプを離してしまう。
すると初期位置から離れたパイプが勝手に滑って進んでしまい、くしくも第14回で小林が陥ったのと同じような状況になってしまった。止む無く長野も小林同様ブランコを振っての大ジャンプをするも届くはずもなく落水。
これにより史上初の3大会連続の3rd全滅と同時にパイプスライダー突破者0人が確定した。
引き続き前回からの据え置きで登場、今回も3人が到達して挑戦した。
レールの材質が変わったのかケチったのか、途中でレールがたわむ事で異様に滑りやすさが増しており、挑戦者が戸惑う様子も見られた。
そんな中でも新進気鋭の若手として直近の回で着々と実績を挙げていたトランポリンプレイヤーの長崎峻侑と、すっかり番組の大本命になっていた漁師の長野の2人がクリア。4大会ぶりのファイナリストが生まれる結果となった。
一方5大会ぶりのパイプスライダー挑戦となった消防士の竹田は3度目の正直とはならず。またもパイプにFinalへの道を阻まれる結果となった。
そしてこの回でファイナリストになった長野がその後7年ぶり(13大会ぶり)史上2人目のSASUKE完全制覇者となった事で、パイプがこの回限りでお役御免になる可能性は高いと思われた。
第3期 2007春~2009冬 第18~24回大会
大方の視聴者の予想通り、パイプスライダーは撤去。後継となる3rd最終エリアには棒状のパイプでは無く輪の形になったパイプのリングを滑らせる「ファイナルリング」が設置された。
ただエリア全体の難易度インフレの影響もあってか、実際にお披露目をされたのは更に3回後の第21回になってからとなった。
第4期 2010春~2011秋 第25~27回大会
その後更なる大規模リニューアルを経て、フライングバーが3rd最終エリアを務めた後に「正式なパイプスライダーの後継、発展エリア」として設計されたと思われる「バーグライダー」が第27回に設置された。
新設されたこの回に2人がこのエリアに到達。しかし、あの
アルティメットクリフハンガーを攻略しその後の罠も切り抜けてここに到達した塗装工の又地諒と、史上3人目の完全制覇者となった靴メーカーの営業マンの漆原裕治の敵では無かったのか
2人ともあっさりとバーグライダーを突破。エリア的な意味での見せ場は全く見られなかった。
その直後、漆原が2度目(のべ4人目)の完全制覇者になった事と、SASUKEをメインで制作していた会社が破産した事で、SASUKEの歴史と共にパイプスライダー系列エリアの歴史も完全に幕を閉じる物だと思われた…。
第5期 2012冬~2015夏 第28~31回大会
13回大会を機に以前の制作会社から分裂していた別の制作チームが引き継いだことで鋼鉄の魔城復活。
そしてそれに合わせて、パイプスライダーもまさかの復活を遂げた。復活したのは第14回以降と同じブレイクゾーンと後半部分のみ。
ただしこの回の3rdはあの「クレイジークリフハンガー」と「バーティカルリミット」が初登場、更に実際に猛威を振るった「クレイジークリフハンガー」に話題が集中した事もあって、パイプスライダーの復活は当時ほとんど触れられなかった。
因みにこの回のパイプのジャンプはSASUKE史上でも稀なレベルで遠くにゴールが設置されており、そのせいで「この回だけはどうしてもファイナリストを出せない理由があった」のではという噂のネタにされる事も。
最後のジャンプが2期の時に近い1.5m程に戻されて続投。この回は特別ルールにつき、ゴール地点にゴールのボタンが設置された。
クレイジークリフハンガーの存在により当分パイプへの挑戦者が出ない事も危惧される中、当時の有力選手であった漆原たちを差し置いて大学生の森本裕介がまさかのクレイジークリフ、そしてバーティカルリミットも突破してただ1人のパイプスライダー挑戦者となった。しかし最後のジャンプはわずかに届かず、緑山の夜の風にはなれなかった。
結果として悪夢の二大新エリアをいきなり突破した新進気鋭な若手の鮮烈さと、それほどの選手をも飲み込むことができるパイプスライダーの恐ろしさが改めて突き付けられる形となった。
30回記念大会も当然のように続投。
前回森本がパイプに到達したことで挑戦者たちが刺激を受けたのか、コンクリートミキサー車運転手の川口朋広と27回でファイナリストになった又地諒の2人が到達。2人とも綺麗な跳躍をみせてここを突破し、3大会ぶりのファイナリストになった。
前回2人のファイナリストが登場したためか、もはやお約束となったステージの難化が見られ、辿り着けたのは29回に続いて森本ただ一人。
29回で不覚を取ってから、他の挑戦者にアドバイスを聞いて回り更に念入りに練習してコツを掴んでから挑んだ今回は、見事にリベンジに成功。そのままFinalも一気に駆け上がり、史上4人目(のべ5人目)の完全制覇者となった。
第6期 2016夏~2020冬 第32~38回大会
例によって完全制覇者が出たためエリアがリニューアル。ただパイプは引き続き登場となった。
しかし「ウルトラクレイジークリフハンガー」と「バーティカルリミット改(第3形態)」の登場と、この二つを休憩所無しで直接連結するという悪魔の所業により3大会連続でパイプへの挑戦者は現れず。
特に34回ではこの時点で不動の100番ゼッケンだった森本をもバーティカルリミットで返り討ちにしており、今後番組は一体どうなってしまうのかと視聴者に心配させる結果になった。
34回の結果を受けて非常に批判されたからか、クリフハンガーとバーティカルリミットの間に休憩所が復活。
3rdがほんのわずかに易化した一方、1stが大幅に構成変更されて誰が突破するのか読めなくなる中、今回もただ一人森本が到達。パイプもあっさりと突破して3大会ぶりのファイナリストとなった。
この回からFINALが「横浜赤レンガ倉庫にて大晦日の生放送チャレンジ」というレギュレーションに変更。これによりパイプスライダーの突破者がいなければ、「わざわざ横浜赤レンガ倉庫に別個で高いFINALの塔を建てておきながら、誰も挑戦をすること無く番組の締めとなり更に年も明けてしまう」という物理的にも精神的にも寒くなるのが必至の番組スタッフが自らの首を絞めるような仕様になった。
そしてあろうことか99人がパイプにも辿り着けずに全滅、100番の森本は自分が落ちたら色んな意味で番組が終わるという状況で、またもただ一人パイプスライダーに到着。挑戦者以上にスタッフが固唾をのんで見守る中、慣れた仕草でパイプも突破。
ファイナリストの栄光をまたも得ると共にスタッフと番組の首の皮1枚を守る事に成功した。
再びFINALは「横浜赤レンガ倉庫にて大晦日の生放送チャレンジ」という形態での放送になり、パイプスライダーは再び3rd突破者を見極める立場に。
そしてこの付近の回では珍しく3人がパイプに到達。辿り着いたのは山形県県庁職員の多田竜也とサーカスの象つかいであるレネ・キャスリー、そして久々に3rd最終エリア到達となった完全制覇者の漆原であった。
まず多田が巧みな跳躍で3rdの突破を決めると、続いて到達したレネはほとんど身体を振らずに体幹の力だけで飛び出しあっさりゴールに着地する常識外れの離れ業を披露、更に経験豊富な漆原もパイプに着き、そのままゴールするだろうと思われた。
しかし漆原がグリーンバーからパイプにぶら下がろうとした瞬間パイプが大きく横に滑り脱線、漆原は3rdの沼に吸い込まれてしまった。結果で言うと3人到達し、2人がクリアしたという事になった。
因みにこの結果を受けて第37回は「7大会ぶりに複数人が到達、クリア」「7大会ぶりに森本以外の挑戦者が到達」「8大会ぶりにパイプスライダーでのリタイヤが出る」「29大会ぶりに海外勢が到達、クリア」「33大会ぶりに脱線による失格者が出る」「史上2つ目の完全制覇者4人全滅を達成したエリアの登場」というパイプスライダーにとって細かい記録ずくめの回になっている。
新型コロナの影響もあってかまた大幅にレギュレーションを変更しての開催になり、それに伴ってFINALの生放送も廃止され、従来通りの緑山での収録になった。
その影響か前回から2ndに新設されたローリングログと3rdのクリフディメンションが本格的に稼働され挑戦者は大苦戦。
そんな中でもやっぱり森本はパイプに到達、クリアして2大会ぶりの単独FINALへ駒を進めるのだった。
そのまま森本はFINALも突破して史上2人目の「二度の完全制覇者」、のべ6人目の完全制覇者となり、6期は幕を閉じた。
第7期 2021冬~ 第39回大会~
例年であれば大幅リニューアルとなる所だが、まだまだ新型コロナが猛威を振るっているのもあって全体的なエリアの変更点は少な目。
そのためパイプも変わらず続投されたが、1stで悪天候に見舞われたこともあって常連組が大苦戦。
大本命の森本がそりたつ壁に貼られた強力な滑り止め加工をも無効化してしまう程の大雨に屈した事もあってパイプに到達する者は現れず。
新型コロナの騒動が少しずつ落ち着いてきた中での記念大会、引き続きそこまで大きなリニューアルが無かった影響か4人がパイプに到達した。
例年よりも3rd挑戦時の湿度が高かった影響かいつもよりも滑るパイプに森本を除いて苦戦する様子を見せるも、山田軍団「黒虎」の絶対的エースこと山本良幸、山形県県庁職員の多田、そして栄光の4000番を付けた森本の3人が見事突破。
一方で進学塾「栄光ゼミナール」講師でSASUKE界隈でも有数の指の力を持つ山本桂太朗はここでジャンプに失敗して無念の落下となり初のFINAL進出はならず、11大会ぶりのパイプでのジャンプ失敗者になってしまった。
第40回で3人のファイナリストが出たためか、スタッフが満を持して用意した、噂にして悪夢の新エリア「バーティカルリミット.burst」が3rdステージに登場。
このエリアが荒れ狂った影響でパイプスライダー到達者は現れず。
バーティカルリミット.BURSTの登場によってクリフとバーティカルリミットの直連結の再来(3大会連続で突破者無し)が予想される中、{第41回でついにベールを脱いだ怪物銀行員、宮岡良丞がバーティカルリミット.BURSTを執念で突破しただ一人パイプスライダーに到達。
そのままパイプもクリアし、単独でのファイナリストとなった}。
2025年現在第43回以降の登場は未定であるものの、今後も3rdの最後で天国と地獄を分かつ審判を務め続ける可能性は高いと思われる。そして今後も更なるドラマを生み出す舞台となり得る場所として挑戦者の登場を待ち続ける事だろう…。
エリアと番組の歴史(KUNOICHI)
当初のKUNOICHIはSASUKEとの差分化及び女性の筋力体力の都合もあってか、SASUKEとは異なるバランス系特化のエリアがメインで展開されていた。
そのためSASUKEとは全く異なる印象のエリアが配置されており、女性の有力選手がSASUKE3rdステージの難関に挑む姿を見るのは現実的では無い状況が長らく続いていた。
当然パイプスライダーも例外では無く、パイプスライダーに挑む女性挑戦者が見られる日は恐らく来ないと思われていたのだが…。
しかし2017年の新春に18年ぶりに復活開催された第9回大会で、エリア全体をSASUKE寄りにフルモデルチェンジするというまさかの変化を遂げた。
全体的に小型化はしているものの本家SASUKEの難関エリアが導入され、従来のバランス特化から女性挑戦者の気力、体力、技巧、精神力をとことんまで試すエリア構成への変更が為されたのである。
ただしこの時は久々の番組復活だったこともあってか、3rdステージに該当するステージは作られず、SASUKE3rdステージからの輸入はクリフハンガーのみに絞られた。しかし…。
まさかのKUNOICHIにパイプスライダーが登場。
位置はSASUKE同様にBlackステージ(SASUKEの3rdステージに該当)の大トリで、FINAL直前の門番となる場所に配置。レールこそ5.3m一本のみ(SASUKEで言う後半部分のみ)だが、なんと最後のジャンプが必要な空白も再現。本家で数々のジレンマを呼び起こし幾つものドラマを生んだ魔の空間がKUNOICHIにも降臨してしまった事になる。
因みにKUNOICHIの収録は室内で行われたという事もあってか、エリアの下に広がる亡霊の沼地は流石に再現されず透明な水のプールが用意された。また、バーの色も黄色に変更されている。
この回では2人がパイプに挑戦。しかし全くパイプスライダーのノウハウが伝わっていなかった事もあって大苦戦。
結局まともにジャンプする事も出来ずに2人とも撃沈し、番組はBlackステージでの全滅という結果に終わった。
因みにこの結果に対し普段SASUKEを見ない、特にこの回が初めての視聴だった層からは「ムリゲーすぎる」、「欠陥エリア」といったSASUKEファンにとってはあまりにも今更な批判が数多くあった。
SASUKEを知らない視聴者にとっても難易度インフレで感覚がマヒしているSASUKEファンにとっても、改めて二の腕の処刑場扱いされるパイプスライダーの恐ろしさがよく分かる良い機会だった事が窺える。
数々の批判非難にめげず再度登場。この回では3人が到達した。
まずパイプに挑んだのは元体操女子選手の岡部紗季子。例によって終点で滑るバーに苦しめられるも、ここで何とバーに捕まったまま足のつま先がゴールの端に付く幸運に恵まれる。
これによりバーの滑りが小さい状態で一度だけ身体を振る事が出来て見事にゴール。女性初のパイプスライダー突破者となった。
そんな岡部に続けとパルクールインストラクターの山本華歩とSASUKE出場経験を持つ銀行員の大嶋あやのがパイプに挑むも、届かずに落水。特に大嶋は本家SASUKE選手ばりのジャンプを見せてゴールに足がかかるもバランスを崩して落下という悔やみきれない結果に。
結果として3人が挑戦、1人が突破という最終結果になった。
第11回の開催から更に7年が経った事もあり更にエリアがリニューアル。これによりパイプスライダーはお役御免となり、KUNOICHIからは姿を消した。
もっとも通算で挑戦者5人中クリアしたのはたった1人だけ、しかもその1人はイレギュラーに近い方法での突破という事もあってまだまだ門番としての役割は充分に果たせる事が見込めるため、いついきなり復活するか予断を許さない状況が続いている。そもそもKUNOICHIそのものがちゃんと続くのかどうか、という問題はともかくとして。
主な挑戦者とエピソード
節目となった挑戦者及び「複数回」挑戦した挑戦者のエピソードを記す。順番はおおよそ挑戦した時系列順となっている。(ただしあくまでおおよそ)
番組唯一の皆勤賞で史上初めてこのエリアに挑戦した男。
第2回の初挑戦時こそ腕力を使い切り途中で無念の落下をしてしまうも、第3回では見事リベンジ。更に第5回で最後の空白に屈するもこれも第7回でリベンジ、挑戦4回中2回成功と意外と相性は悪くない。
後述の山田や長野によってパイプジャンプの技法が提唱される前の段階では最も悪夢の空白に抗えていた存在である。
しかし第7回を最後に徐々に難易度インフレの波に押され始め、以降はパイプに辿り着けていない。
にも関わらずパイプスライダー挑戦回数4回は実はまだ単独3位。初期の山本の活躍ぶりと、現在そもそもパイプに辿り着くのが如何にふざけた難しさであるかがよく分かる数字である。
元体操日本代表選手。こちらは史上初めてパイプスライダーを突破した男となる。
第2回でファイナリストになるも第3回は1stで敗退し、以降はSASUKEに関わってはいない。
言わずと知れたミスターSASUKE。
第2回に初めてパイプスライダーが登場したのを目の当たりにしたため、史上初めて個人制作されたSASUKEセットに「パイプスライダーのセット」も含まれる事になった。
このセットで練習を積んだ事が功を奏したのか第3回でパイプスライダーを余裕で突破、ファイナリストとなった。
その後3rd終点のゴールが離される難化嫌がらせが施されたのを見ると、最後のジャンプの練習も開始。第6回でパイプスライダーに辿り着くと、前述のように番組史上初となる「まともなパイプスライダー最後のジャンプ」を実行するも失敗。
その後オーバートレーニングによる肉体コンディションの悪化や人生を賭けてしまったが故の重圧に晒された事もあって3大会連続でパイプスライダーには到達できず。
節目の大会となる第10回で4大会ぶりにパイプスライダーに到達するも、ここでも失敗。そしてこの第10回での「山田VSパイプスライダー」の映像はその後様々なドキュメンタリーやバラエティ番組に至るまでのあらゆる映像媒体で何十年も擦られ続け、SASUKEの事を全く知らない人を含めた上での「SASUKE史上最も有名な場面」となっている。
そして何の因果か、2025年現在でもこれが山田の最後のパイプスライダー挑戦となっている。
元祖「SASUKE先生」だった初期の挑戦者。
第4回でパイプスライダーに明確に「最後のジャンプ」が必要になってから初めて挑戦した人物でもある。この時は滑るパイプに翻弄されあえなく落下。
ここから8大会が過ぎた第12回で久々にパイプに到達、見事リベンジを果たしファイナリストになった。
実は「8大会ぶりのパイプ挑戦」と「8大会越しのパイプスライダーリベンジ」はいずれも史上最長期間である。
因みに第41回直前に放映されたミスターSASUKEこと山田勝己の特集「山田勝己の㊙伝説SP」のオープニング映像にて、超速ダイジェストでまとめられた山田の歴代落下シーンに前述した朝岡の第4回のパイプ落下が混じるという編集ミスによる放送事故が起きている。
当時は2人とも上半身裸に黒い長ズボンという全く同じ出で立ちだったため、混同してしまったと思われる。
初代完全制覇者こと毛ガニの秋山。
第4回で3rdに初挑戦し当時の挑戦者の中では群を抜くレベルだった腕力を披露。
パイプの嫌な滑りにも顔色一つ変えず体勢を立て直すと、そのままゴールへ決死のダイブ、そのままゴール前のマットをよじ登り3rdの突破を決めた。
当時3rdのゴールにマットをよじ登って到達した者は一人もおらず、異例かつ異様な形でのFinal進出となった
第12回で朝岡と並ぶ8大会ぶりのブランク付の挑戦となったが、こちらでは上手く着地出来ずに落水。
距離が遠くなって難しくなったパイプスライダー側のリベンジを許す格好になってしまった。
SASUKEオールスターズに所属する最強の消防士。
第8回で初めてパイプスライダーに到達するも、パイプの滑りに翻弄され満足にジャンプも出来ずに落水。
その後第12回、第17回と2度リベンジの機会を得るもいずれもジャンプが届かず落水してしまった。
パイプスライダーで3度落水しているのは2025年現在でも史上最多。
オールスターズ内でも随一の安定感を持ち、第42回終了現時点で通算ステージクリア数最多を誇るにも関わらず、オールスターズで唯一ファイナリストになれなかった男という不名誉な呼ばれ方をしてしまった大きな要因がパイプスライダーなのは誰の目にも明らかであった。
宮崎県が生んだ野生児で最強の漁師で2人目の完全制覇者なSASUKE界「伝説」の男。
来るものを拒む数々の凶悪な難関エリアを天才的な運動センスとほんのちょっとの練習で撃ち破り続け、更に幾つかのエリアでは挑戦者に革命をもたらすコツを本番で実演し、毛ガニの秋山やミスターSASUKEと共に「SASUKEにおいて不可能は無い」事を自らの身体を使って長きにわたって証明し続けたレジェンド。
パイプスライダーにおける長野のパフォーマンスもそんな攻略法の革命の一つであり、初挑戦時の第9回こそ不覚を取ったものの、その後は4度挑戦し4回とも成功、その全てが危なげない着地である他、最盛期にはわずか一振りで飛び出し完璧な着地をするという当時では頭二つほど抜けた離れ業を見せている。
長野は全盛期からほとんどSASUKEに向けた集中的な練習をしていない事で知られており、苦手なエリアや一度落ちて対策が必要と考えたエリアもむやみに本物そっくりのセットを作る事はせず、公園の遊具や職場の機材を使って「それっぽい動き」を1日2日やるだけですぐにコツを掴んで本番であっさり実現してしまうという現代の有力者から見たら特異極まり無い存在でもあった。
パイプのジャンプの技術も職場の停泊港倉庫で同僚にフォークリフトを用意してもらい、リフトの爪に単管パイプを引っ掛けてぶら下がる、という原始的な練習方法で習得しており、恐ろしい程の飲み込みの早さも伺える。
一方で本人の忘れっぽさもあってか、32回で一度引退をした後に一度だけパイプスライダーのみ特別シミュレーターを務めた所、そこで約20年ぶりにパイプのジャンプを失敗した模様。
もっともこの事でパイプのコツは思い出したのか、後に解説として登場した第11回KUNOICHIではパイプスライダーについての解説らしい説明をちゃんと行ってもいた当時の視聴者は解説席を飛び出して勝手にバンカラ型応援団長と化していたイメージが強い人が大半だとは思われるが。
印旛村役場勤務でオールスターズ随一の頭脳派ジャンパー。
3rd全般における身体の反動を使ったより効率的な攻略法に目を付け、それを実践してみせた有力選手。
そしてそのために家の敷地に大型のSASUKEセットを組み、更にそこへ他の有力選手を呼び込んで活発に意見交換をして「より効率的な攻略法をみんなで探求する」という現代にも通ずる流れを最初に作り上げた存在でもある。
パイプスライダーでもその攻略法は適用されておりパイプのスライド部分を反動を利用して超スピードで処理したり、デビルブランコも予めブレイクゾーンのバーで勢いを付ける事で高速で処理したりする事で、最後のジャンプに必要な腕力を温存するという手法がとられた。
ただし、初挑戦となった第12回こそ成功するものの続いての挑戦となった第13回、第16回では突破は出来ず。初挑戦時に既に高齢寄りだった事もあってかパイプそのものの成功は1回止まりとなった。
しかし彼が持ち込んだ頭脳派視点の手法が挑戦者に与えた影響もまた大きく、特にデビルブランコの迅速な処理方法によるパイプスライダーに向けた腕力の温存は、これが無かったら長野の完全制覇があったかどうかというレベルのテクニックであった。
元塗装工でチーム「Unlimited Cliffer」の元メンバーな「SASUKE新世代」の一人。
小柄な体格故の身軽さと類まれな前腕の強さに定評があり、SASUKE新世代の中でも特に3rd適性が高いとされている有力選手の一人。その評判は見かけ倒しでは無く、2025年現在複数回クリフハンガーに挑戦して未だ無敗の数少ない選手でもある。そして3rdにおける身体運びの技術も高く、現在有力選手間で最も上手くパイプスライダーのジャンプが出来る選手の一人ともされている。
もっとも実際のSASUKE本番では所謂「やらかし」も多く、成績が不安定な事もあってそもそも3rdに進出出来る回数が少なく3rdの最終エリアに到達できたのは2回だけ。ただしその2回(第27回のバーグライダー、第30回のパイプスライダー)は前評判通りの完璧なジャンプを見せてしっかりファイナリストになっている。
又地の上手いパイプスライダーのジャンプの裏には前述の長野のジャンプを研究し、更に確実性を上げるために改良したという非常に重要な行動が隠れている。
これは「ジャンプのコツをしっかりと明文化した」事で、最近の有力選手たちがパイプに対して好成績を収められている大きな要因の一つにもなった非常に大きな行動である。
特に後述のように森本にパイプのやり方を教えた点は、SASUKEの歴史における一つの転換点に近い。
結果として本人の3rd進出回数こそ少ないもののパイプのコツの伝道者のような存在になっており、有力選手間の影の功労者扱いされる事が増えている要因となっている。
靴の「HARUTA」の営業マンでSASUKE新世代の筆頭旗手で史上3人目の制覇者兼史上初の2回制覇経験者な、アラフィフで現在もSASUKE最前線に食らいつく大ベテラン。
3rd最終エリア到達回数は4回ながら、パイプの無い時期に台頭してきたのもあってパイプの挑戦自体は1回しか無いという珍しい存在。
尤もパイプの練習自体は積んでいるようで、第27回で挑戦したバーグライダーの方は難なく突破してその実力を示している。
第37回で久しぶりの3rd最終エリア挑戦、そしてパイプスライダー初挑戦となり、過去の結果からFinal進出はほぼ確実かと思われた。しかし結果はまさかのバーの脱線による強制落下という悲劇的な失敗。これによりパイプスライダーは完全制覇経験者4人全員を落とした史上2つ目のエリアという恐怖の勲章を持つエリアとして名が残る事になった。
皮肉にも2025年現在、この第37回が漆原にとって唯一且つ最後の「パイプスライダー挑戦」で「3rd最終エリア失敗」となっている。老兵に今後リベンジの機会は現れるのか。
ご存知完全制覇のサスケくん。
第29回にただ一人のパイプスライダー挑戦者となるものの惜敗。
この結果を受けて森本はその後すぐにそれまで一度も連絡をとった事が無かった又地(前述のように「一番パイプが上手い人」と認知されていた)に連絡を取り、練習方法やコツを聞いて徹底的な練習を行っている。
その効果は非常に大きく、第31回に最到達してから現在まで5回挑戦して一度もここでは落ちず、しかもその全てが危なげないものとなっている。
特に第40回は当時の湿度の高さもあって他の挑戦者が苦労する中、一人だけ過去4回の成功のリプレイかのような安定感を見せて結果的に格の違いを見せるような状況となった。
このエリアの通算挑戦回数6回と通算成功回数5回は既に単独トップであり、名実共に「SASUKE界現役最強の男」である事を示す材料の一つにもなっている。
現状パイプの技術も頭一つ抜けている状態となっている森本だが、このジャンプの技術は簡単に身に着いたものでは無く、本人は又地に教わったコツを完全に自分のものとするのに「半年ほどかかった」とのこと。
半年間地味な練習をひたすら続ける森本の根気と狂気、そしてそんな技術を10年以上前にSASUKEセットも使わずほんの1日で開発してしまったレジェンド長野の天才ぶりの両方が感じられるエピソードと言える。
地味に長い下積み出場歴を持つ、「森本世代」の一人な山形県県庁職員。
第37回、第40回と2度のファイナリストとなっている彼だが、実は複数回パイプスライダーに挑戦している選手の中で、ただ一人だけ無敗継続中という記録を持っている。
異国ドイツからやってきたサーカス団の象つかい。ドイツ版Ninja Warriorきっての有力選手であり完全制覇経験者でもある、まさにドイツからやってきた黒船。
第37回でパイプスライダーに辿り着き第8回のヨルダン・ヨブチェフ以来の「パイプに到達した外国人挑戦者」になると、それまでのセオリーを無視したまさかの完全に身体の反動のみを使ったジャンプを敢行。
にも関わらず長い手足とサーカスで培った体幹で体制を全く崩さずに難なくゴールに着地、29大会ぶりの外国人ファイナリストとなってみせた。
涼しい顔のまま3rdのゴールに悠々と立つ姿はまさに「世界の広さ」を視聴者に見せつける象徴とも言えるものであった。
年齢の若さもあって更なる活躍が期待されていたが、その後は所属するサーカスの興行事情もあって日本版への参加は不定期気味。そのためもあってか、パイプへの挑戦は未だ1度だけである。
元柔道家、現在は総合格闘家の女性で史上初のパイプスライダーに挑戦した女性。
第10回KUNOICHIでは格闘技で鍛えた馬力を如何なく発揮し、女性初の段差が付いたクリフハンガー突破者にもなった。
それほどの腕力の持ち主であったにも関わらず、あまりに勝手が異なるパイプスライダーには大苦戦。終点には着いたものの滑るバーにただただ翻弄され、最後はジャンプできずに力尽きて落水、パイプスライダーの意地悪な構造が改めて浮き彫りになる結果になった。
元体操選手で、現状史上初にして唯一のパイプスライダーを突破した女性。
第11回KUNOICHIでパイプに到達するも、やはり滑るバーに苦戦。そこで腕を伸ばした状態でバーにぶら下がり、そのまま足を伸ばした所なんとつま先がゴールの端に引っかかる幸運に恵まれる。
そのままバーが滑らないようにゆっくり足を離すと、そこから一振りでゴール地点に飛び込む事で見事に突破、この回唯一のファイナリストとなった。
一方で岡部は体操選手、もとい女性としては異例とも言える手足の長さを持っており、結果的にこれを活かした無理矢理に近いパイプスライダーの突破方法となったため、他の女性挑戦者が岡部の方法を活かすのは恐らく不可能である可能性が高い。
そのため、ある意味正当な方法でパイプスライダーを突破した女性は未だ登場していない、という言い方も出来なくはない(無論これによって岡部が不正をしたという話にも当然ならないが)。
関連エリア
第14回に登場したパイプスライダーとの直結エリア。
ブレイクゾーンのバーの前に2本のチェーンで両端を繋がれて垂れ下がったバーで、これに掴まって大きく身体を振らないとパイプスライダーのパイプに届かないようになっている。
鉄骨とバーを結ぶチェーンは非常に長く、かなり頑張って何度も身体を振らないと勢いを付ける事が難しい。そのためぶら下がって振っている内に腕力を使ってしまい、まともにパイプに移行することが出来ずに落下してしまうパターンも見られた。
更にブランコのチェーンはブレイクゾーンのバーに近い位置にあるため、振るとチェーンがブレイクゾーンのバーに当たって不規則な動きをしたり、酷い時にはバーに絡まってしまいほどくのに腕力を要してしまったり、というそもそもの構造欠陥としか見えない場面も散見された。
最後はオールスターズの頭脳派こと白鳥によって固定されたブレイクゾーンのバーとブランコをそれぞれ片手で両方握って、しっかりと勢いを付けてから一振りでパイプに移行するという攻略法が示された事と長野の完全制覇による全面リニューアルのあおりを受けてお役御免となった。
第18回からパイプスライダーに変わって3rd最後のエリアとして登場。
下り傾斜した鉄骨のレールが1本あり、そのレールを通ったリング状のパイプに掴まって進むエリア。
レールの終点とゴールの間はパイプの時よりも更に離れており、しっかり身体を振ってジャンプをする必要がある。
ゴールまでの距離は第18回~22回と第23回~24回で異なり、後者ではより遠くに設置されている。
リングの直径は公表されていないが意外と大きく、不規則に動きがブレるのもあって見た目以上に腕力を消耗する。
レールの下り傾斜はかなり急角度で、自力で動かすのでは無くストッパーを外してぶら下がると勝手に終点まで滑り降りるようになっており、3rdの大トリ、という立場を考えると傍目にはやや拍子抜けな難易度の印象を受ける。
更にレールに傾斜があるため、一度終点に着けば適当に身体を振ってもリングが後退せず、とにかく頑張って振るだけで簡単に勢いを付ける事が出来る。
もっとも、腕に疲労が溜まる3rdの最後という事もあってか本番でもリタイヤした者もいる他、本番前にシミュレーターが落ちる事もしばしばあったらしいのでFinalへ完全フリーパス、という訳では流石に無かった模様。
因みに第21回記念すべきこのエリア1人目の挑戦者となった長野は「&bo(){何故か全くリングが滑らない}」という不具合に直面。自力で強引にリングを滑らせていくも終点付近で腕力を使い果たし叩き落とされるようにそのまま落水、一時的に「当時3rd最強格だった長野の腕力でも対抗できない」極悪難易度のエリアに変貌した。
翌22回からは前述通りの仕様になっている。
第25回から設置された3rd最終エリア。
当初は3rd最終エリアだったが挑戦者が出ず、第27回で3rdの前半に移動して3rd最終エリアの座を後述のバーグライダーに譲った。
第28回で更なるリニューアルを受けて撤去されるも、その後第32回に3rdの前半に復帰、現在も使用されている。
第27回に新設された3rd最終エリア。
見た目は途中でレールに30cmの段差が付いたパイプスライダーであり、完全に「進化したパイプスライダー」という形での登場となった。
しかし終点でバーが止まりやすくなっていたと思しき挙動であった事、到着した挑戦者2人があのアルティメットクリフハンガーを涼しい顔で突破した超人だった事からあっさり突破を許す結果に。
その後1大会で姿を消してしまった事もあって、現在では完全に空気扱いされている。
余談
- 当初は前半・後半に加えてもう一本(前半と同じ向き)の3本構成で、第2回の1stSTAGE収録時点までは確認できるが3rdSTAGE開始までに撤去されている。その名残で第2回のみ沼地と骨組みが後半の終わりからFINALSTAGEに向かって伸びている。
- このエリアで時々見られる「ゴールに乗れたのにバランスを崩して落ちてしまう」現象だが、あれには実は対処法が存在する。最後のジャンプをする際に視線を着地点に向けたままにしてしまうと、身体が前傾した状態且つ後ろに体重が残ったままゴールの端に着地してしまうため、非常にバランスを崩しやすくなる。そのため飛ぶ際に視線は真上の空を見上げるような形のまま足を振り上げて飛ぶと、仮に綺麗に着地出来なくてもゴール側に倒れ込んだりマットにしがみつきやすくなったりする、とのこと。実際これをふまえて過去の失敗者の試技を確認すると、ほぼ全員「マットに視線が残ったまま飛んでいる」のが確認できる。
- このエリアで度々起こる論争火種の一つに「レール終点にストッパーが付いている回付いてない回」がある、という説が存在する。ただし、これに関する公式からの発表は一切無く、全ては推測の域を出ない。
- 大半のSASUKEの新エリアは「構想を綿密に練り、大型の資材を発注して組み立て、仮組み段階でシミュレーターの挑戦を見て細かい難易度調整をして…」と大掛かりな工程を経て作成されている。しかしパイプスライダーは当時の現場監督ディレクターとメイン美術担当と新人ADの3人だけでスタジオ内で雑に組んだ鉄骨がそもそもの元ネタである事が明かされている。「若いADをぶら下げて少人数且つ少ない時間でひっそり作ったあんな簡素なエリアが、(山田VSパイプスライダーを始めとした)数々の名場面やドラマを作るんだから、分からないものだ」とのこと。
追記・修正は緑山の夜の風になった者からお願いします。
- 見た目の単純そうな構造とは裏腹に極悪過ぎるエリアなんよな… -- 名無しさん (2025-08-12 02:30:15)
- 観覧見に行った事あるけど、最後のジャンプでも常連勢は全く後ろに戻らず体を振るんだよね。それでやっぱりストッパーあるのは本当なのか…って思ってたら次の初挑戦者が振ると思いっきり戻っちゃって、常連が上手いだけだったっていう -- 名無しさん (2025-08-12 17:42:57)
- クリフハンガーをクリアして油断してると、ドボン! -- 名無しさん (2025-08-12 23:04:21)
- 肘を曲げて体を押し付けながら振る事で戻らずに飛べるっていう攻略法自体はなるほどと思うが、ココまでの腕力地獄で消耗した状態でそれ出来る人間は限られてるよなあ… -- 名無しさん (2025-08-12 23:17:50)
- ↑クリフもそうなんだけど「単独なら問題なく出来る」って人は意外と多いって言われてるからな。SASUKEあるあるだが。これの面倒さは最後にこれがあるからってので倍ドンで痛めつけてくるのもだし -- 名無しさん (2025-08-14 00:23:57)
最終更新:2025年08月15日 13:05