死役所

登録日:2017/06/25 Sun 21:24:36
更新日:2024/05/24 Fri 18:40:39
所要時間:約 18 分で読めます





お客様は、仏様です



『死役所』とは、あずみきしによる漫画作品。
2013年1月より、『月刊コミック@バンチ』にて連載中。



【概要】

此岸と彼岸を結ぶ、死者をあの世へと導くための機関「死役所」を舞台とした、
人間の人生史とその心理の奥底を描くストーリー。

話は基本的には1話完結で、場合によっては2~3話に跨ることもある。

死んだ人間と、その人間を取り巻いていた環境から、人間の本質や世俗の虚しさを描き出していく。
作風も様々で、ハッピーエンドな話や後味の悪い話はもちろん、死んだ当人が満足していても現世に遺された方は・・・といった、
「生」と「死」の2つの世界観を同時に描き出す本作ならではの結末も存在する。


【死役所について】


成仏、転生とそれに伴う手続きを執り行う機関。
「死役所」の外が映るシーンがないので外観は不明だが、少なくとも内装は普通の市役所と同じ。
日本で死亡した人間は老若男女善悪関係なく、必ずこの死役所に転送される。

仕組みも現実における市役所と同じで、来庁者は自分の死因に応じた課で手続きを行う。
「天国」「地獄」なるものはあるらしいが、そこに到達するのはこの死役所で手続きを終えた後であり、どのような基準で振り分けられるのか、天国や地獄で具体的に何が待っているのかは明確にされていない。
尚、生まれ変われるのは天国へ行けるもののみに限られる。

死者と、死者が行う手続きについて


前述の通り、死者は皆死役所に転送され、ここで目覚めることとなる。
死者の姿および身体的スペックは死亡時のもので固定されているため、外傷が元で亡くなった死者は(痛みこそないが)エグいビジュアルで出現することもある。

死役所には「生活事故死課」「他殺課」など死因ごとに異なる課が用意されており、死者は自分の死因に応じた課に行き、そこで必要書類を書いて提出することで手続き完了となり、成仏できる。
自分が何で死んだのかわからない人間は「総合案内」にて案内してもらう事が可能。
また、死役所職員に手続きをサポートしてもらうこともでき、手続きが困難な幼児等はこのサポートを受けながら手続きを行う。

死者が死役所に滞在できる期間は49日であり、上記の手続きはこの期間内に行わなければならない。
手続きを拒否するなどして死役所に50日以上居座り続けた死者は成仏することが出来ないまま死役所を追い出され、
この世と死役所の間にある「冥途の道」なる場所を永遠に彷徨うことになるという。

なお、成仏する=天国へ行けるということではなく、死役所を出た後の行き先が天国か地獄かはわからず、
死役所内部で判断することはできない。(生前のデータから推測することは可能)


死役所に勤める職員について


死役所に努める職員は、例外なく全て「死刑を執行されて亡くなった者」である。
死刑となった人間は強制的に職員の採用試験を受けることになり、これを拒否すると先述の「冥途の道」へ送り込まれる。
不合格になったケースは登場しておらず、不明。
定時や休憩についても描かれていないため、死役所職員のプライベートがどうなっているのかも不明である。
立場上来庁者よりも長く死役所に滞在することになるが、それでも終わりはあり、
ある程度長い期間働いて、死役所上層部から「辞令」が下ると正規の手続きを経て成仏することができる。

メタ的な設定として、彼らは必ず苗字に「シ」が入っており、その読みに該当する漢字がカタカナになる。


【登場人物】


○職員
  • シ村/市村正道(しむら まさみち)
総合案内。本作の主人公。
フォーマルスーツを着込み髪の毛を七三分けにした典型的ビジネスマン風な格好をしている。
常に柔和な笑顔を貼り付けたような表情をしていて、目元は薄く、口元は逆への字を通り越してV字になっている。
基本的に物腰柔らかで丁寧だが、慇懃無礼な発言が多く、死者の神経を逆なですることを言ってはトラブルになることもしばしば。
その度にニシ川やイシ間らに窘められているが、本人に改める気は無いらしい。
「いいことを言う時もあるが、言うだけで何もしない」とはニシ川の弁。

ただしそれなりに人望はあるようで、職場内での人間関係は円満(?)である。
前述の通り滅多なことで表情が変わることはないが、懐かしい知り合いに会った時には口元は緩むし、怒りを露にした時には目を見開き鬼のような人相になる。

職員になった経緯としては、冤罪によって死刑になったことのみが明かされている。本来、そのようなケースであれば死刑でも成仏することが出来るのだが、シ村はあえてそれを断り、死役所で最も忙しいといわれる総合案内に自ら志願して配属されている。

  • ニシ川/西川実和子(にしかわ みわこ)
自殺課。本作のヒロイン。
口元のほくろが特徴的な美女。生前は長髪だったが、今はショートにしている。
仕事はできるが、無表情でシ村に匹敵するレベルの毒を吐く。新人のハシ本を「イジメ甲斐がある」と評しているところから見ても、Sッ気があるようだ。
周囲からは「仕事に関しては真面目」と評されており、作者も公認である。
生前は理容師だったため、入所当時のハヤシの髪を整えたこともあるが、基本的に生前の話をすることは嫌がる。

職員になった経緯として、愛人関係となった男性を殺害し、その口をハサミで切り裂いた猟奇殺人犯として、死刑になっている。

  • イシ間/石間徳治(いしま とくじ)
他殺課。スキンヘッドの強面の老人。
見た目とは裏腹に人情深くて涙もろい。親の虐待や、交通事故の犠牲となった子供をみることが多いため、
「子供が死ぬの禁止って無理なもんかね」と発言するほど。
申請書を書く子供と話をするたびに、号泣することも少なくない。
一方で、自身もまた事情が事情とはいえ、子供を殺した罪で死役所に勤めているため、そのジレンマに葛藤することも多い。
第39条で、辞令により成仏の門をくぐり、死役所を退所した。

姪であるミチを強姦しようとしていた芋泥棒の兄弟から守るために、彼らを殺害して山中に埋めた。ミチが嫁いだ後に犯行を自供し、死刑になっている。

  • ハヤシ/林晴也(はやし はるなり)
生活事故死課。語尾に「~す」を多用する今風の青年。
職員の中にあって唯一、スーツを着用せずカジュアルな格好で勤務している。
「童(わっぱ)」「真(まこと)か」「何故(なにゆえ)」等、時代劇役者のような喋り方をするが、これは実際に役者だった祖父の影響によるもの。
基本的に人情味溢れる性格だが、死役所の機密事項をミチルに漏らすなど、うっかりな面がある。
趣味は死者が持ち寄った漫画等の遺品や、有名人のサイン収集。

幼少期より数奇な運命を歩むも、幼馴染と結婚して子供を授かるが、実は妻は浮気していて子供も自分の子ではないという現実を突きつけられ逆上、妻・間男・子供の3人をその場で殺害し、死刑になっている。

  • 松シゲ/松重謙三(まつしげ けんぞう)
交通事故死課。
方言で喋る上、歯が欠損しているので滑舌が非常に悪く、シ村以外は彼の言葉を聞き取ることすら困難。

  • 岩シ水/岩清水直樹(いわしみず なおき)
人為災害死課。
初期から登場しているが、いまいち地味な職員。おどおどしており、不測の事態には必ずと言っていいほどシ村を呼ぶ。
生前は連続放火魔だった。

  • シラ神/白神静佳(しらかみ しずか)
病死課。
儚げな雰囲気を漂わせる女性で、非常に低姿勢。シ村と会話すると謝り合戦が始まる。
手先が器用で、フシ見に切られたハシ本の傷を塗ったり、退所するイシ間に手作りの紙の花束を贈った。

  • ハシ本/端本(はしもと)
他殺課。
目元まである長髪が特徴的な、暗い青年。
新入職員で、初めのうちはフシ見の嫌がらせにキレたりもしていたが、なんだかんだで職場に溶け込んでいく。

  • シン宮
死産課。
妙齢の女性。若者がタイプらしい。



○死役所を訪れた人。

単行本ごとに記述する。

+ 1巻
  • 鹿野太一(かの たいち)
中学生。死因は自殺。享年12歳。
母親が4歳の時に社会的地位のある男性と再婚しているが、愛情を感じたことがなかった。
牛尾を首謀者とするグループの虐めに遭い、自宅マンションの7階から飛び降りて死亡する。
自分の死後、義父が犯罪者になってまで自分の仇を討ってくれたことを知り、シ村に「もっと話したかった」と義父への伝言を頼み、成仏する。

  • 牛尾(うしお)
中学生。死因は他殺。
太一を虐めていた首謀者だったが、太一の自殺後、彼の義父に轢き殺されて死亡。
死役所でも太一に暴力を振るい、一足先に成仏の門をくぐるが、生前の行いから地獄へと落ちた。

  • 上杉涼子(うえすぎ りょうこ)
工員。死因は人為災害致死。享年23歳。
顔の右半分が無く、内臓が露出しているというグロテスクな風貌で描かれている。
前科持ち故に就職の当てがなく、途方に暮れていた所を小さな工場の社長に拾われる。
社長に恩義を感じるようになり、仕事も順調だったが、ある日工場での作業中に落下してきた鉄板から、社長を庇って死んでしまう。
自分が死んだことで、社長に罪の意識を与えてしまったかもしれないことを後悔し、「挺身申請書」を書くことを拒んだ。

・・・上記の事故は、ワンマン経営の社長を殺害するために、社員が結託して仕組んだものだった。しかし、涼子が社長のことを信頼しきっていたため、誰も彼女に計画のことを伝えていなかった。

  • 小野田凛(おのだ りん)
幼稚園児。死因は他殺(虐待死)。享年5歳。
水商売の母親から虐待を受け、大雪が降る中外へ締め出されてしまう。母親に昔買ってもらった本を読みながら帰りを待つうちに、凍死する。
死んでからも、母親が「自分を虐待していた・死に追いやった」ことを認識しておらず、シ村はその様子を「洗脳」と評した。
尚、母親は凛の葬儀の場で、虐待死の罪で警察に逮捕されている。

  • 江越伸行(えごし のぶゆき)
無職。死因は死刑。享年26歳。
極めて自己愛の強い性格で、サイコキラー。働かずに楽して暮らしたいという思いから、死刑囚になるためだけに、5人の子どもを轢き殺した
シ村から採用試験を薦められるが、働きたくない彼はこれを拒否し、「冥途の道」行きとなる。
殺人を武勇伝のように語った直後、シ村から「クズ」呼ばわりされ、無限の闇へと堕ちた。



+ 2巻
  • 塙保(はなわ たもつ)
漫画家。死因は生活事故死。享年31歳。
20年以上漫画家に憧れ、活動してきたがストーリーに恵まれず、小説家戸川アランの作品『腐ったアヒル』作画を務めることになる。
しかし自分の漫画を描きたいと願っていた彼は、アイデア出しのために戸川の真似をしてツーリングを行うも、
その途中で交通事故に遭い、視力のほとんどを失う。
漫画家としての復帰が絶望的になった彼は、ストーリーテラーとして再始動を目指すため、パソコンのリハビリを行っていたが、
その最中に土手から足を踏み外して転落死してしまう。

状況が状況だけに、その死を自殺と捉える者は多かったが、塙と作品を通じて「対話」していた戸川のみが自殺ではないと見抜いた。

  • 襟川(えりかわ)
初老の男性。死因は心臓病死。
本来は優しい人物だが、無愛想で口が悪く、人付き合いが下手なため、妻に先立たれるまでは友人もいなかった。
妻が亡くなってから、彼女の知り合いの集まりに彼女に代わって参加することで、地域との交流が増えた。
口癖は「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く」だが、本人はその逆で最期を迎えたことに満足して成仏していった。

・・・しかし妻の知り合い側は社交辞令程度にしか思っておらず、襟川の遺体も発見されないまま、蛆が湧いているカットで終わる。

  • 石間ミチ(いしま-)
イシ間の姪。死因は老衰。
イシ間の弟の娘で、両親の死後はイシ間が親代わりとなって彼女を育てた。
ある時、芋泥棒を企てた兄弟から強姦され、事件後もそれがトラウマになっていたため、イシ間によりその死体を見せられた。
「もう自分を狙う者はいない」と思わせたうえで、事件から1年後、イシ間のもとを離れて嫁いだ。
その後は家族に恵まれて天寿を全うし、死役所に来た時は認知症を患っていたが、それでもイシ間のことを覚えていた。


  • 伊達夏加(だて なつか)
女子中学生。死因は交通事故死。享年15歳。
転校する前に、片想いの男子と最初で最後のデートをしていたが、その最中に相方の目の前でトラックに轢かれて死亡する。
初恋の相手にトラウマを刻んでしまうような死に方を後悔していたが、「どんな形であれ記憶に残ることは喜ばしい」というシ村に一言に逆上・号泣する。



+ 3巻
  • 佐尾高慈(さお たかやす)
お笑い芸人。死因は病死。
高関一文(たかぜき かずふみ)と共に、お笑いコンビ「カニすべからく」を組んでいる。
非常に独創的でシュールなネタを書くため、一般大衆にそのセンスは理解されず、お笑い芸人としても長らく成功しなかった。
コンビ名の「カニすべからく」も、佐尾が作ったネタからとったもの。
無口で暗い性格のため、高関以外にはろくに友人もいなかった。

『家族性アミロイドポリニューロパチー』という遺伝性の病を患っており、自分の命がもう長くないことを悟って、遺書をしたためていた。
地上波放送のコント大会への出場権をやっと手にするも、本番直前に倒れてしまう。
高関の呼びかけに答え、スタジオへ車椅子で訪れて棄権ギリギリになりつつもなんとか出場を果たす。
本番終了後、高関に自らの遺書を渡すことで、病気の事実を明かした。

死役所を訪れた際は、ハヤシがサインをもらう暇もない程迅速に成仏していった。
その様子をシ村は、「(生前の行いを)思い返したくなかったか、それとも思い返すほどもないくらい、満足していたか」と評している。

彼の死後、高関により佐尾への追悼用に作り変えた「カニすべからく」が、事務所内でのイベントで披露された。

  • 須藤麻帆(すどう まほ)
女子高生。死因は生活事故死。17歳。
スマホデビューし、同級生たちと連絡先を交換してから、スマホ中心の生活となる。親友の理奈(りな)と遊ぶ時でも、風呂に入っている時も寝る時も片時もスマホを離そうとはしなかった。
理奈と遊んでいる時に歩きスマホをしていて、階段から転落して死亡している。
当初は自分の不注意で死んだと思っており、死役所側もそう判断したが、転落する直前に理奈に言われた言葉を思い出し・・・

・・・真相は、スマホに熱中するあまり自分をおろそかにする麻帆に理奈が嫉妬し、悪戯心から麻帆が階段から落ちそうになるように仕向けた、間接的殺人である。また、麻帆が友達と思っていた同級生たちも、麻帆のことを「空気が読めない子」と思っており、麻帆が死んだ直後に彼女をグループから削除した。

  • 三樹ミチル(みき-)
女子大生。死因は生活事故死。享年20歳。
野次馬根性が強く、「死んでるっていうのに賑やか」な人物。
「自分が片想いしているイケメン先輩を横取りされたくないサークルの先輩に殺された」と他殺を主張するが、
実際は飲酒デビューに浮かれて酒を飲み過ぎたための急性アルコール中毒死だった。
挙句に「他殺と認めてもらうまで成仏申請書を書かない」と言い張り、49日の間死役所に居座るようになる。

第15条~20条まで、準レギュラー的な役回りとして死者と対話し、その過程で職員の経歴に興味を持つようになる。
職員が全員死刑になった人間であることを知り、一度はその事実に感情的になるものの、最終的にシ村の経歴を盗み見て真実を知る。
しかし、それについてシ村に追求することはせず、最終的には成仏した。





+ 4巻
  • 杉(すぎ)
元刑務官。死因は病死。
かつて死刑囚の独房を監視する役目を担っていたが、「死刑囚でも人間である」という信念を持っていたため、度々上司と衝突することも多かった。
死刑囚の一人・沼尻努(ぬましり つとむ)に気遣いをかけるが、彼の処刑に立ち会うことになり、葛藤する。
最終的に刑は執行され、自らが沼尻に死を下したことや、実際に死んだ「事実」と対面したことが耐え切れなくなり、その1年後に退職している。

尚、生前のシ村とも独房内でだが面識がある。また、彼が死に立ち会った沼尻も、死役所で職員として働いている。

  • 本堂千裕(ほんどう ちひろ)
主婦。死因は交通事故死。享年35歳。
単調な主婦業に退屈していた所を、友人の日暮蘭子(ひぐれ らんこ)に呼ばれ、危険ドラッグを使ったパーティーにはまるようになる。
生活は泥沼化し完全にジャンキーと化していたが、車の運転中に蘭子の逮捕をニュースで聞いてパニックを起こし、ハンドル操作を誤って事故を起こす。
己の人生の不遇さを嘆いていたが、ニシ川からは「自業自得」とバッサリ切り捨てられた。
尚、同乗していた彼女の子どもたちは無事だったが、その知らせが彼女に届くことは無い。

  • 坂浦真澄(さかうら ますみ)
定食屋店主。死因は他殺。
妊娠中の妻・和歌子(わかこ)と店を切り盛りしていたが、かつて自分の父親を殺した原島健治(はらしま けんじ)に刺殺される。
殺害の動機は明言されていないが、ストーリー紹介で、裁判で証言台に立ったことへの逆恨みであることが示唆されている。
その事実を聞いた坂浦は、次に狙われるのは自分の妻と子供ではないかと戦慄する。


+ 5巻
  • 生野芳聡(せいの よしあき)
事務職員。死因は病死。享年36歳。
動画サイトで、「ヘプヘプ」という名前でネット配信を行っていた。
当初は視聴者も8人ほどで人気がなかったが、彼の葬儀会場には幾人かの視聴者が訪れて実況を行っており、多少なりともファンがいたことがうかがえる。

「草生える」「キタコレ」等のネット用語を現実世界でも使っていたらしく、死役所の職員は全く意味が理解できなかった(シ村は園芸が趣味なのかと勘違いした程)。

  • 津川勇樹(つがわ ゆうき)
小学生。死因は生活事故死。享年7歳。
ヒーローに憧れており、友人と遊ぶ時も常にヒーローに成り切っていたほど。
川で溺れている猫を助けるために水の中へ入り、猫は救出したが自身は流されて死亡した。
死役所ではハヤシと共にヒーローごっこに興ずる。
「生まれ変わったら本当のヒーローになれるか」と案じていたが、ハヤシに「とっくに本当のヒーローになっていた」と返され、感極まり号泣する。



+ 6巻
  • 彫刻さん
ホームレスの男性。死因は自然災害致死。
普段は日雇い労働をしながら、就職活動にも勤しみつつホームレスをしている。地蔵の彫刻が得意で、趣味にしていることから「彫刻」とあだ名されている。
歯が無いらしく、「ヒョホホ」という独特な笑い方をする。
元は企業の人事担当者で、不況に伴うリストラ社員を選抜していたクビ切り役人でもあった。
今の自分の現状は、その報いであると受け止め人生を諦めているが、市役所の新人所員である広本つかさとの交流を通じて、心境に変化が表れ始める。

大雨の日に、橋の下の自宅で壁に地蔵を彫っていた際、鉄砲水に流されて死亡。
翌日、彫刻の家が流されたことで露わになった、壁に彫られた千人地蔵が、SNS等で拡散されて観光名所となった。

  • 山中紗世(やまなか さよ)
OL。死因は他殺。享年24歳。
魅力溢れる美人で、接待でもセクハラばかりされるほどだが、その不満を親友である誓衣(ちかい)に打ち明けている。
しかし、彼女が自分を見る目も、セクハラオヤジたちと同じように思えたことに危機感を覚えるが、その矢先に誓衣の自宅に連れ込まれて殺害される。
山中本人には、殺される理由が全く分からなかったため、死役所職員は動機の推測に興じた(ハヤシは終始「百合」推しだった)。

・・・殺人の動機は、山中を手羽先のように食べるためだった。

  • 花村妙子(はなむら たえこ)
ニシ川と因縁のある女性。死因は心臓病死。
かつての夫・繁之(しげゆき)を、ニシ川に不倫された挙句殺害されている。
当時はその事件をスクープにしようとしたマスコミや、夫を殺された心労から何度も自殺を図ろうとしたが、
被害者遺族の会の存在や、ニシ川の死刑執行を通じて持ち直し、最終的には天寿を全うする。




+ 7巻
  • 寺井修斗(てらい しゅうと) 
大学4年生。死因は交通事故死。
自身を「底辺大学生」と称するコンプレックスの塊だったが、祖母にカルト宗教「加護の会」に誘われたことをきっかけに、宗教に興味を持つようになる。
やがて、自分を家族として受け入れてくれる「加護の会」の虜となり、「盟約」を結んで信者となった。
家族に強引に連れ戻されても考えを変えようとはせず、逃げ出そうとしたところを車に撥ねられて死亡した。
死んでもなお、「加護の会」の素晴らしさを説いており、洗脳は解けることは無かった。

  • 日原紺志(にちはら こんし)
会社員。死因は人為災害死。
妻と一人娘を持つ単身赴任者で、喫煙者。しかし喫煙のことは家族には内緒にしている。
急遽単身赴任先に来るという家族に備え、タバコの始末と証拠隠滅を図って一眠りするが、その合間に火災に巻き込まれ死亡する。
火災の原因は日原自身にはなかったが、岩シ水の判断で「自身が加害者という罪悪感を背負ったまま成仏」した。



+ 8巻

  • おチビ
荻野家の生まれてくる予定だった赤ちゃん。死因は死産。
不妊治療を行い、ようやく授かった命だったが、早剥により死産となってしまう。
シン宮は「生まれる前の赤ん坊に意思は無い」と評したが、荻野夫妻にはおチビの声が届いていた。


  • 築本直太郎(つきもと なおたろう)
整体師。死因は他殺。27歳。
風俗に入れ込んでおり、お気に入りの嬢であるゆなに本番行為を迫ったため、抵抗されて撲殺される。
彼はゆなが本気で自分に惚れこんでいると信じており、一方で風俗嬢は社会の底辺であると見下している。
イシ間からは呆れられ、ニシ川からは「馬鹿」呼ばわりされ、シ村からは「見下していた方に殺されるとはさぞかし悔しいだろう」と皮肉を飛ばされた。

・・・ちなみに犯人のゆなこと吉原佐音(よしわら さおん)は、正当防衛を主張したが、警察はそれも演技ではないかと疑っている。

  • 尾ヶ崎秀哉(おがさき ひでや)
小学生。死因は病死。
夫婦仲が険悪な両親に挟まれ、育児放棄されていたが、それでも両親のことを信じていた。
インフルエンザを発症した際、両親に一日中放置され、父親が発見した時にはすでに手遅れだった。
後にイシ間と共に成仏の門をくぐる。

・・・彼の両親は、秀哉の死により自分たちを繋ぐものが無くなったことで、離婚を示唆する言葉を残している。




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最終更新:2024年05月24日 18:40