完璧(故事成語)

登録日:2011/08/20 Sat 21:08:00
更新日:2025/01/28 Tue 18:41:38
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完璧とは、故事成語の1つである。
その出典は史記からであり、「完璧而帰」(璧を完(まっと)うして帰らん)に見られる。


その意味は、完全で欠けたところがないこと。

しかし、原義は大切なものを傷を付けずに無事に持ち帰ること、だったりする。

その大切なものとは「和氏の璧」。春秋戦国時代、和さんが楚の国の王に献上したが、二代にわたって宝石と認められず、
和氏はただの石を献上した科で足を切断され、三代目にしてようやく研磨の機会を得たというドーナツ型の宝玉である。
故に「璧」の足は宝玉を表す「玉」。「土」ではない。

●目次

【原義】

この語が生まれたころ和氏の璧は趙の国が持っていた。秦の王が和氏の璧と自分の15の城の取引を持ち掛けたが、
ご存じ秦はに中国を統一する強国であり、趙は脅かされている立場であり一方的に璧を取られる恐れがあった。
かといって断れば趙が火種を作った形になるため、趙の使者が向かうとやはり秦の王は璧を受け取ると城のことをとぼける。
使者は璧に僅かな傷があるので説明すると言って取り返し、凄まじい形相で「騙されるようなことがあれば責任者の自分は自らの頭と璧を砕く」
と脅して交渉を中断すると部下に命じ璧を趙に持ち帰らせた。使者を処刑してももはや秦の非しかのこらない秦の王は使者を無事に帰した。

この功績ともう一つの交渉で出世したこの使者は後に国内で小競り合いに巻き込まれ、もう一つ有名な「刎頸の交わり」という故事成語を残しているがそれはまた別の話である。

完璧(史記)

む~かしむかし、中国の楚という国に卞和(べんか)という男がおりました。
ある日、彼が山を歩いていると玉の原石を見つけました。

卞和「これを王様に献上する→王様喜ぶ→褒美をくれる→みんなハッピー。俺天才すぎワロタwww」

卞和は王様に原石を献上しました。
王様はさっそく玉に詳しい人間にそれを見せました。

玉役人「こいつは!……ただの石ころの味だぜ……」

王「Fuck You……ぶち殺すぞ……ゴミめら……」

哀れな卞和は右足を切り落とされてしまいました。
月日が流れ、その王様は亡くなり、新しい王様が誕生しました。
卞和は再び原石を献上しました。

玉役人「この原石は、そこらへんの石ころと同じなんだよ!」

卞和「な、なんだってー!」


卞和は残った左足をも切り落とされてしまいました。
さらに月日が流れ、またも王様が変わりました。
卞和はそれを聞くと、原石を抱いて山に行き、泣きました。
三日三晩泣き続けた結果、王様が様子を見にやってきました。

王「君がッ 泣き止むまで ここにいるのを止めないッ!」

卞和「知らざぁ言って聞かせやしょう」

卞和は理由を話しました。
王様は試しにその原石を磨かせたところ、それはそれは立派な名玉が出来ました。
王様は卞和にゴメンナサイし、卞和を讃えるため、その名玉に「和氏の璧」という名前をつけました。


宝玉はその後、趙という国に渡りました。
ある日、その噂を聞きつけた秦という国からこのような手紙が送られてきました。

手紙「王様が宝玉を欲しがってらっしゃる。十五の城と交換して差し上げろ(脅迫)」

困った趙は、藺相如という男を使者として秦に派遣しました。

ちなみに、この時「城を受け取れなかったら、璧を完うして帰ります」という彼の言葉が「完璧」の語源になったそうな。

秦に到着した藺相如は、秦の王様に謁見し、宝玉を渡しました。
しかし、秦の王様は受け取ったとたんに、周りの人間に見せびらかし始め、まったく城の話をする気配がありません。

藺相如「まずその宝玉さぁ、小さなキズ……あるんだけど……貸してくれない?」

藺相如はそう言って秦王から宝玉を取り返し、宝玉を持ったまま柱の近くまで走りました。

藺相如「趙じゃ、秦を疑う意見がめっちゃあったんすよ。けど、趙の王は五日間身を清めてから俺に渡したんすよ。
    マジヤバくねっすか? つーか、趙の王がそうやったのに、秦王がそんなんじゃダメじゃね?
    マジガッカリっすよ。もう宝玉もろとも頭を柱でかち割って死ぬっすわ」

秦王「istd


秦王は急いで国の地図を持ってこさせ、城の話をしました。
それを上辺だけと見た藺相如は、宝玉を渡す儀式として秦王も五日間身を清めるように要求しました。

藺相如「俺はここで時間を稼ぐ! お前は宝玉を無事に趙に持って帰ってくれ! 心配するな、すぐに追いつく!」

藺相如はその間に、従者をひそかに宝玉を持たせて趙に帰してしまいました。
そして、五日後。

藺相如「五日間、身を清めれば宝玉を渡すと言ったな」

秦王「そうだ。は、早く」

藺相如「あれは嘘だ」

藺相如は続けて、「今までの秦王は信用できない(キリッ。ちゃんと城を渡せばくれると思うけど、俺って無礼だよね? さ、死刑にしてくれ」と言いました。
群臣は嬉々として死刑の準備に取りかかろうとしましたが、秦王は違いました。

秦王「死刑にしなくていい。べ、別にあんたが気に入ったとかじゃないからね!
   あんたを殺しても何も得られないし、なにより趙の恨みを買っちゃうから殺さないの! 勘違いしないでよね!」

結局、城も宝玉も渡さないことになりました。
こうして藺相如は宝玉を守り通し、趙の面子を保ったのでした。
この逸話は「完璧」と呼ばれ、長く語り継がれることとなります。
めでたし、めでたし。

次回 刎頸の友に続く………

【主な使用例】


実際、日常で最も聞く故事成語である。

まず、故事成語である事すら知らずに使っている人すらいる。

意味は完全で欠けたところの無いこと、なので、基本的には、完璧な仕事など、褒め言葉として使われるのが正しい使用法なのだが、
物事をただ印象付けるために使われている事もある。「完璧に壊れた」等。

これらの言葉は主に完全、と刷り変わっている事が多く、使用頻度が高い程、間違った解釈も増えるという事は、他にもある。

また、漢字を書き間違られる事もある。
「完璧」であり、「完壁」ではない。

もし、完壁と書いてドヤ顔している子を見かけたら、その子をこれから「かんかべ君」もしくは「かんへき君」と呼んであげよう。

ちなみに、同類に「双璧」がある。
これも「双壁」は間違いなので気をつけよう。


完璧主義者、という人がいるが、自分が完璧なだけでなく、他者にも完璧を求める人がいるが、正直ただの迷惑である。

どんぐらい迷惑かっていうと、こんくらい。
シチュエーション~妹~

「ねぇお兄ちゃん、これ何?」

「(あ、あれはオカズ用にパクっといた委員長のタオル!!)あ、新しく買っただけだよ…。」

「でも、このタオルお兄ちゃん以外の匂い付いてるんだあ。ねぇ、お兄ちゃん?ウソはいけないよ?」

「ち、違うって、なんかの勘違いだろ?」

「…ウソはいけないって言ってるでしょ?私のお兄ちゃんは完璧でなくちゃいけないの。
お兄ちゃんは完璧なお兄ちゃんだから、私にウソなんてつかないの!!」

「ご、ごめん……。(しかし、本当の事は言えない…どうする!?)」
ガダッ
「うわっ!?」

「やっぱり言えない事があるんだね…でも、いいよ。私がお兄ちゃんを完璧にしてあげる、私しか見えないお兄ちゃんに……。」



ちくしょう兄もげろ


お分かり頂けただろうか。ヤンデレである。



しかし、まあ、このぐらい他人に完璧を求める人は鬱陶しかったりする。

特に、子供に完璧を求める親は一番厄介。
完璧を求められた子は全体的に暗い性格に成りやすく、引いてはアニヲタになる原因にもなる。

例えば「完璧」を「完壁」と間違えたのをドヤ顔で指摘して完璧に、いや完全に嫌われるなんてことにならないように注意しよう。
完璧に気配りできるイケメンなら空気を読んでそれとな~く教えてあげることができるハズである。

完璧という言葉は、そうそう簡単に使える物でも無いので、言葉を使う時にはしっかり注意して使おう。
人に知れ渡った言葉程使いにくいとは、何とも皮肉である。



追記、修正は完璧にお願いします。




「これでもう私しか見えないよね、お兄ちゃん……ウフフ…」
ちくしょう兄もげた。

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最終更新:2025年01月28日 18:41