永遠という名の……(銀河鉄道物語)

登録日:2018/04/23 (月) 22:03:10
更新日:2018/04/24 Tue 20:15:53
所要時間:約 10 分で読めます



昔、遠い星で戦争があった。漆黒の列車が現れ、死者を乗せて行った。オリオン線で大事故があった時も、疫病が流行った時も、漆黒の列車は現れ、大勢の死者を乗せていった。

知ってる?オリオン線に出た幽霊列車の話

「永遠という名の……」とは『銀河鉄道物語』第4話のエピソード。
死者を乗せる幽霊列車へ死に別れた恋人と再び会いたい生きた人間が乗り込み、救出に向かうエピソード。

【あらすじ】

2つの恒星の間を8の字に回る惑星メリディエス。その惑星は軌道の関係で3ヶ月に1度、わずか10分間の間だけ夜が訪れる。そして、その瞬間に死者を乗せた漆黒の列車「幽霊列車」が停車するという。事故死した恋人カレンにどうしても会いたいテリーは、幽霊列車へと乗り込みそのまま行方不明となってしまった。テリーの捜索を依頼されたSDFは、惑星メリディエスへと向かう。その夜、闇に現れた幽霊列車に学とルイが駆け込むと、2人を乗せたまま列車は走り去ってしまう…。

【今回のゲストキャラクター】

  • テリー・ゴールドマン
世界の人々が幸せな想いを抱けるような写真を撮りたいと夢見ている。恋人のカレンを自動車事故で喪っている。

  • ジェイン・ゴールドマン
テリーの妹。

  • カレン
テリーの恋人。物語開始時点で故人。自動車事故により他界し、幽霊列車に乗っていた。

【舞台】

  • メリディエス
恒星アンテス・パステスの間を8の字状の公転軌道で周回する惑星。元々恒星アンテスの周囲を公転していたが、200年前から恒星パステスが接近し、2つの恒星の周囲を公転するようになった。2つの恒星を持ち、公転軌道・自転速度の関係で惑星の一部は3ヶ月に1度、10分間しか夜が訪れない。
かつては常夏の惑星としてリゾート開発が行われ、観光客誘致も兼ねて銀河鉄道の停車駅にもなっていたがアンテス・パステスの接近で危険が生じたため、20年前に廃駅となった。物語開始時点では無人の惑星となっている。

  • エターニティ号
現世と冥界を結び、死者の魂を冥界へと運ぶ特別列車。客車は999号の旧型客車と展望車に似ており、作中ではボックスシートの座席車と食堂車が確認できる。
死者のための列車だが、現世の駅に停車すると死者でなくても乗れる。走行中はシールドが展開されるため、SDFの列車であっても列車に接近することは出来ない。
乗務員は運転手と車掌が乗務している。運転手は骸骨、車掌は旧式のロボット。
作中で明らかになっている出現場所はオリオン線、アルデバラン環状線、アルファ・ケンタウリ線の3箇所。

【ストーリー】

惑星メリディエス、既に人影のないこの星に若い男女がいた。テリー・ゴールドマン24歳、彼は死に別れた恋人に再び会うため、幽霊列車へ乗り込もうとしていた。妹のジェイン・ゴールドマンは兄を引き留めようとするも、テリーの意志は固い。
夕闇迫る埃の積もったプラットフォームにテリーがインフィニティ(∞)を描く。するとインフィニティが光りだし、遠くから汽笛の音が。幽霊列車が本当に現れたのだった。
メリディエス駅に停車した幽霊列車。開いた客車のドアにテリーは吸い込まれるように入っていく。ジェインは連れ戻そうとするもドアが閉まってしまい、テリーはそのまま幽霊列車に乗って宇宙へと飛び立ってしまった。

所変わって銀河鉄道管理局のカフェスペース。そこでは女性オペレータ3人が談笑していた。
オペレータA「知ってる?オリオン線に出た幽霊列車の話」
オペレータB「なあに、それ?」
オペレータC「霊界行の特別列車。乗ったら最後、もう戻ってこられないの。」
オペレータA「真夜中のプラットホーム。真っ黒な列車がスーッと止まると白い手が手招きして…」
オペレータA・C「おいで~、おいで~」
オペレータB「キャアアアアア!」
彼女らの話に耳を傾けていた主人公有紀学。話を聞くのに夢中になり、後ろから来たルイに気づくのが遅れ、持っていたコーヒーをこぼしかける。

ルイ「何ぼんやりしてるのよ?」
一歩間違えば大火傷である。

ルイは学が幽霊列車の話に聞き入っていたと知り、一笑に付す。
ルイ「仮にもSDFの隊員が幽霊列車なんて言っていいの?」
ルイの返しに学は
「ルイこそ本当はそういう話好きなんだろ?」
と返すもルイは「ヤダもー!冗談でしょ!」とはぐらかしたつもりが、怪談話が好きなのがバレてしまった。
その時シリウス小隊にブリーフィングルームへの集合命令が入る。ルイは食器を片付けず一足先にブリーフィングルームへ。学はルイの使った食器と自分の使った食器をまとめて片付けてから部屋へと向かった。このため一人遅刻してしまった。

バルジ「遅いぞ」

学が部屋に入り、今回の任務に必要な情報が説明される。行方不明者のテリー・ゴールドマンはメリディエス駅から列車に乗って姿を消したこと、既に行方不明から3ヶ月経過していること、目撃者は妹のジェイン・ゴールドマンしかいないことなどが語られる。
学が何の話かルイに尋ねるとさっきカフェスペースで耳に入ってきた幽霊列車の話と知り驚愕する。
ブルースは幽霊列車に対して懐疑的で
「クサいな~、その女。幽霊列車に乗って行方不明だ?きっとその辺から死体が見つかるんじゃねぇか?」
と殺人説を主張。デイビッドも殺人説に同調気味だった。

説明が終わり、そのまま各自配置へ。配置に向かう前、バルジは学へ「遅刻はするな」と注意。ブルースからは「行くぞ、坊や」と軽くいじられた。
ビッグワンで現場となったメリディエス駅へ向かうシリウス小隊一同。途中、学は兄の護が故郷を旅立つ時に乗り込んだ999号が実は幽霊列車じゃないかと考えてしまう。ルイには学が列車に酔ってしまったと思われ、心配される。
学はルイがカフェで食器を片付けなかったのを咎めるも、ルイはいつもの癖が出たとうっかり話してしまう。

そうこうしているうちにメリディエス駅に到着。ホームに降り立つとデイビッドは列車の出現まで5分11秒と予測。幽霊列車が本当に来るのかブルースと賭けをしようとしたが、ブルースはデイビッドに相当な金額を毟り取られたらしく乗り気ではない。
ルイと学はホームの上で手がかりを捜索。無人惑星のはずなのに踏み荒らされていたが、テリーの書いたインフィニティを発見。直後、ジェインが現れ(どこから来た?)行方不明になった状況を聞き出そうとした瞬間、インフィニティが光りだす。

直後、幽霊列車再び出現。ビッグワンの停車した線路へ進入し、あわや衝突かと思われたが謎テクノロジーで衝突せず幽霊列車はビッグワンと重なった形で停車。ドアが開くとジェインは乗り込もうとしたためデイビッドが制止。しかし学とルイが勢い余ってそのまま乗り込んでしまう。直後、列車は発車してしまい、ブルースが飛び乗ろうとするも強力なシールドに阻まれ、飛び乗りは失敗。幽霊列車は行き止まりになっているホームの端から宇宙へと上がっていった。

列車に乗った学とルイ。デッキでルイが学を押し倒したかのような構図で気を失っていた。直後、ルイが目を覚まし、状況を飲み込んだルイが早く起きるよう催促するも学のデリカシーのない「重くて起きられない」に激怒。一発ビンタを食らわせて起き上がった。
デッキから客室へ入るとそこに広がっていたのはボックスシートが並ぶごく普通の列車の車内。想像と違う光景にルイは面食らってしまった。早速乗客へ聞き込みを開始する。
学「どちらまでいらっしゃるんですか?」
女性客「この列車に終点はありません。いつ降りるか、それは自分自身で決めること。永遠に乗っていてもいいのです」
この女性客、全体的に白っぽくしかも薄い。ルイが話を聞こうとした若い男女も同じような様子で
「降りたくないんだ。もう少しこうして二人で見ていたいんだ。僕たちのいた世界を」

その時車掌のアナウンスが入る。
「次は間の駅です。」
ルイと学は車掌室へ行くことを思いつき、早速実行に移る。
車掌室にはロボットの車掌が1体おり、業務を進めていた。
「入ってきてはいけません。ここは車掌室です」
即座に所属を明かし、正当な理由で入ってきたことを伝える学。列車の認識番号を尋ねるもこの列車には認識番号がない、行き先をルイが尋ねると決まった行き先はないという答えが返ってきてルイはプログラムされた質問以外答えられないという推理を立てる。

一方テリーは車内でカレンを発見。テリーに見つかったカレンは別の車両へと走っていって姿を消してしまう。
テリー「カレンなんだろ!?」

食堂車で席に座り、物思いに耽るテリー。コーヒーを出されるとコーヒーの液面には死に別れた恋人のカレンの顔が写っていた。
カレン「あなたは馬鹿よ。どうしてこんな所まで来てしまったの?」
テリー「会いたかった。どうしても、もう一度、君を見たかった」
カレンは既にこの世にいないからとテリーを冷たく突き放す。

~回想始まり~
カレンが死んだ日。その日は二人でデートを楽しみ、別れ際にテリーはカレンの写真を愛用のカメラで撮影し、次の日曜にまた会う約束をしていた。カレンが歩き出したその時、暴走していた車にはねられ、そのままカレンは帰らぬ人となってしまったのであった。
~回想終わり~

テリーはカレンに結婚の意思を伝えたかった。テリーが幽霊列車に乗り込んでまでカレンに会いに来たのは婚約指輪を渡すためでもあったのだ。指輪をはめたカレンはテリーに会うのが怖くて突き放すような態度をとっていた事を明らかにする。
その時ルイと学がテリーを発見。テリーを連れ戻しに来たと伝えるも、テリーは連れ戻されるのを拒否。カレンの表情が険しくなった瞬間、車内灯が落ち、テリーもカレンもいなくなってしまった上、ビッグワンと交信できなくなる。まさかと思い、学が手元の時計を確かめると時計の針が止まっていた。


一方ジェインを保護し、幽霊列車を捜索中のビッグワン。ブルースはルイと学が勝手な行動を取ったことに怒っており、管理局へ連絡することを提案。バルジはすぐレイラ総司令へ繋ぐように指示を出す。直後管理局レイラ総司令のところに通信が繋がれる。
レイラ「有紀学のことですね」
バルジ「はっ!実はルイも一緒です。連絡も取れず、向こうから報告も…」
「冥界と現世を結ぶエターニティ号。どんな時刻表にもダイヤグラムにも載っていない特別列車。あの列車を止める術はありません」
総司令からの返答にバルジは学とルイの身を案じる。
「自分たちの意思で行動したのです。運命に任せなさい。」
「運命の糸を辿りなさい。言えるのはそれだけ」

直後、幽霊列車と思しき軌道レーダーに反応が出るもすぐに消えてしまう。幽霊列車の反応が消えたと思われるポイントが近づくとデイビッドはブルースに
「なあブルース、無事帰ってこられる方に1000エーブル」
と賭けの提案をするも
「バカかお前。帰ってこられなかったら、どっちにしろパーだろが」
と返し、賭けは不成立となった。
消失ポイントでは確かに幽霊列車が走行中。速度を上げ接近するも強力なシールドに阻まれ、接近することが出来ない。

そうこうしているうちに列車は間の駅に到着。カレンとテリーは降りることに決める。
間の駅は冥界と現世の間にあり、駅の改札を出てしまうと二度と現世へは戻れなくなる。

ホームではウェディングドレスを着たカレンとテリーが立っていた。
テリー「もう離さない。永遠に一緒だよ」

学とルイが直後列車から飛び降り、テリーを引き留めようとする。しかしカレンはテリーと共に改札を出る意思を崩しておらず、ルイの腕をつかみそのまま離そうとしない。もしこのままカレンがルイの腕を離さなかったらルイも死者の仲間入りをしてしまう。更にテリーは隠し持っていた銃を取り出し
「行け!僕たちの邪魔をするな!」
と脅す。直後、ビッグワンの汽笛が聞こえ、テリーがひるんだ瞬間に学は銃をはたき落とす。
ビッグワンは駅に停車し、バルジ・ブルース・デイビッド・ジェインが降り立ちテリーの説得にあたる。ジェインが必死に説得するもテリーはカレンと共に逝く決心を崩さなかった。ジェインは説得対象をカレンに切り替える。
「冷たい。こんな冷たい手で兄さんを抱くの?そんなに兄さんを愛しているの?」
ジェインの言葉にカレンは考えを改め、テリーから離れて再びエターニティ号へ乗り込もうとするカレン。テリーに間の駅まで共に来てくれたことに感謝を述べ、列車へ乗り込む。直後ドアが閉まり、列車は動き出す。
「幸せよ、私。あなたが思い出届けてくれたから。さようならテリー。幸せに…」
ホームから離れていく列車を追いかけるテリー。無情にも列車は速度を上げていく。
「カレェェェェェン!!」
テリーの叫びは過ぎゆく列車を追うだけだった。

運命という車輪の下で人は愛し、憎み、やがて去っていく。行く先を知る者は誰もいない。ただ、永遠という名の旅人だけが、それを知っている。別れもまた愛の形なのだと。

しばらく経ってシリウス小隊の下へジェインからビデオレターが届く。それによればテリーは旅に出たこと、旅先からメールが届く度に自分を取り戻していることなどが語られた。

「なぁルイ。運命って、何だろう」
ルイ「分からないわそんなの。でもあの二人は元気でいる。それだけでいいんじゃない?」

ルイと学の会話で物語は幕を閉じる。


アニヲタWikiという車輪の下でwiki篭りは愛し、憎み、やがて去っていく。行く先を知る者は誰もいない。ただ、追記・修正という名の旅人だけが、それを知っている。別れもまた愛の形なのだと。

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