ハンバーガーの要素(美味しんぼ)

登録日:2018/10/25 (木) 19:55:37
更新日:2021/05/20 Thu 15:08:05
所要時間:約 8 分で読めます






この大馬鹿者っ!! なんのために、私がいろいろ教えてやったと思うんだっ!!
おまえは才能があるから美食の真髄を究めることのできる料理人になれると見込んでいたのに!!
そのおまえが、味覚音痴のアメリカ人の食べる忌まわしいハンバーガーを!!




概要


ハンバーガーの要素とは美味しんぼのエピソード。単行本9巻に収録。

料理店を開こうとする人に山岡がアドバイスを与えるという美味しんぼではよくある話だが、
そこに海原雄山が絡んでくる話はちょっと珍しい。
グルメ漫画の美味しんぼで珍しくファストフードのハンバーガーを題材にしていることや、
海原雄山のハンバーガーに対する傍若無人極まりない発言などから、けっこう知名度の高いエピソードである。



あらすじ


美食倶楽部の料理人である宇田が独立してハンバーガーショップを開くことになった。
雄山は当然怒り狂うが、山岡に助力を頼みハンバーガーを作ることに。
しかし、最高の牛肉を使用して作ったはずのハンバーガーに、雄山は失格の烙印を押したのだった……。



主な登場人物


○山岡士郎
本作の主人公。宇田の考えに共感し、彼の背中を押す。
むしろ「独立して和食なんていうほうが安易で不安」とか
「料理人は俗物根性で権力者を客に迎えることを喜びがちだが、宇田はそれとは真逆だからいい」とか、
雄山への反発なのかやたらと高級なものを腐す言動が見られる。確かに山岡はこういった価値観を持つが、
後者の事例を俗物根性症候群という造語を作ってまで批判するあたり、いつもより過激である。
ともあれ味には真摯であり、宇田の店の成功のために尽力する。


○栗田ゆう子
本作のヒロイン。屋台を出すときには、山岡と共に従業員として手伝った。仕事はいいのか?
いつも通り味の評価は的確だが、今回は活躍や印象深い発言はない。


○宇田
美食倶楽部の料理人で、その中でも特に優れた腕を持つ。
美食倶楽部は確かに最高の料理店だが、それを一部の人しか味わえないことに疑問を持ち、
大衆に広く愛されるものを作ることでたくさんの人を喜ばせたいという想いからハンバーガーショップを開くことに。
「美食倶楽部の会員以外は味がわからないなんて思い上がり」と、中川の前ではっきり言っている。
雄山の怒りを買ったことは精神的にこたえたようで、本エピソード中では視野狭窄に陥っている節が見られる。


○中川得夫
美食倶楽部の調理主任。海原雄山の付き人のような立場である。
山岡に宇田を止めてもらうつもりで相談したが、山岡は背中を押してしまった。
それでも宇田のことは気にかけており、宇田のために雄山に取り計らう。


○海原雄山
山岡の父親で、美食倶楽部の主宰。山岡とは顔を合わせればいがみあう関係。
宇田が独立して、味覚音痴のアメリカ人の食べる忌まわしいハンバーガー(※個人の感想です)
の店を出すことに激怒した。気難しい性格だが、このエピソードではツンデレぶりを発揮している。


○中松警部
山岡の知人の警部。
初登場時は屋台そばの違反行為*1を見逃すかどうかを自分の権限で決めていたが、
このエピソードでは山岡の頼みで宇田のためにハンバーガーの屋台の許可を出した。
しかも自分も一緒に販売を手伝っている。ノリのいい人である。


○夏子
『寿司とも』の店主。初登場以来、寿司関連のエピソードでよく登場する寿司職人。
このエピソードでも宇田に寿司を食べさせるために彼女の店に行くことに。







あらすじ以降のお話の流れ(ネタバレ注意!!)








雄山に認めてもらえず落ち込む宇田だが、そうは言ってられないとのことで市場調査。
一般的なハンバーガー店は使う肉の質が低く、宇田を満足させられる店はなかった。

極上の牛肉を毎日卸してもらえることになり、これなら最高のハンバーガーが作れると自信満々。
パンは知り合いの縁でパン屋を紹介してもらえた。肉の冷凍保存は味が落ちるのでやらない。
更に炭火で焼くという徹底ぶり。間に挟む野菜も無農薬農家の最高の品だ。
しかしハンバーガーを食べてみた山岡と栗田はうかない表情だった……。

そこに雄山と中川がやってきた。よりによって山岡がいることに怒り、中川を叱り付ける。
「ま、しかし、ハンバーガーみたいな下衆な食べ物と士郎はよい取り合わせだわ」
そして宇田のハンバーガーを食べたいと言う。山岡は止めようとするが「私と宇田のことに口を挟むな」と一蹴した。

「宇田、どうやって食えばいいんだ。私には、こんな下卑た食い物の食べ方はわからん。」
そして一口食べると、「こんな物は売り物にならん!」と一喝した。
「教える人間が士郎ではこんなものか。帰るぞ中川。時間の無駄だった」
山岡は悪くないのに……

宇田は「私が憎いからってこんな嫌がらせをしに来るなんて」と更に落ち込む。
いつもなら山岡がそういうことを言い出す立場なのだが山岡はその発言を咎めて一計を案じる。

中松警部に許可を出してもらってプレオープンとして屋台を出すことに。
通行人たちは『ワールドバーガー』という人気チェーン店で食べたがっていたのだが、
中松警部が「並ばねえと警察にしょっぴくぞ」と強引に客を引っ張ってくる。まるで両津のようだ
「50円でいいし、気に入らなかったら、食べかけのを返してもらってお金もいらない」
という条件で客の関心を引き食べてもらうが……
彼らはやはり浮かない表情でハンバーガーをつき返した。

「どうしてだ……!? 私のハンバーガーが50円にも値しないというのかっ…!?」

店に帰って頭を抱える宇田。
「最高の肉を使ったハンバーガーの味がどうしてわからないんだっ!?」
だが、山岡はこうなることはわかっていて店を開かせたのだ。
「客の反応が雄山の言葉の正しさを証明している」と言うと、ようやく宇田は現実を認めた。
『美味しいものがわかるのは一握りの人間だけではない』という自分の言葉を、皮肉にも自分で思い知らされることになった。

宇田のハンバーガーの問題点をわからせるために「寿司を食いに行こう」と誘った。
そして夏子の店に行くと、ここで2種類のマグロと2種類の酢飯を使った計4種の寿司を食べることに。

冷凍マグロの赤身と普通の酢飯:普通の評価。
冷凍マグロの赤身と美味しい酢飯:美味しいが、酢飯の美味しさが際立って赤身の味がわからなかった。
大トロと美味しい酢飯:最高に美味しく好評。
大トロと普通の酢飯:お茶をもらいたいんだが……

大トロが美味しいのは確かだが、酢飯が美味しくない。結果として、大トロの脂のくどさばかりが口に残ってしまう結果となった。
大トロと酢飯の調和がとれていなかったために、一番不評な寿司が出来上がってしまった。
「寿司を食べに連れてきた意味がこれでわかっただろう」
宇田は気づいた。マグロにあたるのがハンバーグ、そして酢飯にあたるのがパンなのだ。
ワールドバーガーは宇田のものと比べて素材は安物ではあったが、全体の調和は取れていたので、相応の人気があったのである。
ここまでされなきゃわからないって、お前本当に美食倶楽部の料理人か?





後日、美食倶楽部の昼食。

雄山が昼食を食べるときは、美食倶楽部の料理人の腕を見るためであることが多い。
この日もそのつもりだったようだが、中川が今日は変わった物を出すだという。
「大変に下衆な物でございますが…」

そして食卓に出てきたのはハンバーガー。雄山の顔は怒りに染まるが、
必死に頭を下げる中川に根負けしたのか、そのパッケージを開ける。
まず雄山はパンに着目した。明らかに前回よりいいものを使っている。
肉の味がよく、パンがハンバーグをきちんと受け止めている。トマトと玉ねぎも素晴らしい。
炭火で焼いた肉はいい香りを出している。
……という食レポをしながら、雄山は下記の台詞とともにハンバーガーを食べきった。
「まったく、アメリカ人好みの浅ましい食い物だ…」
ふと、自分の手にケチャップがついているのに気づく。

「見ろ!! 手が汚れてしまった!! 中川、二度とこんなものを私の食卓に出すなっ!!」



宇田の屋台は大盛況だった。客たちも『これに比べたらワールドバーガーのなんか紙粘土細工みたいなもんだ』と
今までひいきにしてた店に酷いことを言いつつ絶賛した。

店は繁盛間違いなし。だが、宇田にはまだ気がかりなことがあった。雄山の反応である。
そこにまたもや雄山と中川がやってきた。挨拶もなしに大きな箱*2をいくつも店内に運び込む。
中身は宇田が漬けたピクルス

「こんなものは美食倶楽部の客の口に合わん、漬けたお前が責任もって始末しろ!」

雄山は一度も気を許した顔を見せてくれなかったが、中川が笑顔でこちらを振り返った。
中松がピクルスを食べると、「こんなうめえピクルス食ったことねえぞ!」と褒め称える。
宇田の目にはうれし涙が浮かんでいた。
雄山は宇田の店の門出を祝うためにわざわざ届けてくれたのだ。









余談


上記の話は原作の出来事をありのままに書いたものだが、このままだと原作未読の人に
「宇田は自分で食べて不味いと思わなかったのか?」と突っ込まれそうなので一応フォローしておくと、
宇田が初めて作ったハンバーガーを山岡と栗田が試食して、その感想を言う前に雄山が来店したため、
宇田はハンバーガーを一度も食べていない。
…が、これはこれで 客に出す前に味見してないのはどうなんだ と結局突っ込みどころになってしまうからか、
アニメ版だと 宇田自身も試食の段階で不味いことには気付いてたけど、いい材料を使ってるという自負から認められなかった といういくらかマトモな設定に変更されていた。

主に和食を出す美食倶楽部でそんなに大量にピクルス漬けてどうすんだとか
このハンバーガーは採算とれるのかとか
いろいろ突っ込みどころのある話だが、やはり最も重要なのは雄山のツンデレぶりである。

雄山が大衆向けの食べ物に偏見を持つのは今回に限ったことではないが、(初期の頃であり、後期には見られなくなる)
『ハンバーガーとやら』とか『ハンバーガーみたいな下衆な食べ物』とか、
自分の持っている嫌悪感を隠そうとしない。
そして、なんだかんだで最後には山岡のプロデュースによって美味しいものを食べて態度を変えるのもお約束。
手が汚れてしまったと文句を言ったのはつまり、味には文句のつけようがなかったということである。

そういった態度は人間に対しても向けられる。
雄山の山岡への接し方はそういった意味でよくネタにされるが、
今回のエピソードでの宇田への態度は雄山のキャラクターがよく表現されている。









むう……どっしりした読み応え……
文章力と、中の情報量の歯ごたえが釣り合っている。

ほう……内容が濃い……
なかなか正確に記述されたしっかりとした情報だ……文章の構成が力負けせずその情報を受け止めている……

ふむ……
この情報量と文章力の釣り合いのよさがあって始めて、登録されたタグ一覧の素性の確かさを楽しめるというもの。

なるほど……各所に散りばめられたネタは笑いをあおるな……

全く……アニヲタ好みの浅ましい項目だ……

見ろ!! 追記・修正されてしまった!! 中川、二度と記事を投稿するなっ!!

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最終更新:2021年05月20日 15:08

*1 正式に許可証がでる前に営業を始めていた

*2 1m×2mほどの箱を少なくとも2箱