第2話の被害者、宇狩を殺害した真犯人。
半年前の抗争で狙撃された滝太は、左胸に銃弾を受けた状態で宇狩医院に担ぎ込まれる。
その銃弾は心臓に繋がる大動脈のすぐ側にめりこんでいたが、その周りを動脈が取り囲んでおり、少しぶれただけで大出血を起こしかねないという、そんな状態が成立すること自体が奇跡的な状態であったため、手術を担当した宇狩には手を出せず、黙って傷口を閉じるしかなかった。
そのため今でもこの銃弾は滝太の心臓を圧迫している状態にあり、滝太のカルテを見て状況を知った元医師の矢田吹麦面の見解では銃弾が打ち込まれた時点、つまり半年前から見て「もってあと半年」であり、今生きているのが不思議な状態であったらしい。そして滝太を助けることが出来る医師は見つかりこそしたが、莫大な手術費が必要であったので、彼の父親でキタキツネ組組長の常勝は真っ当な方法で金を集め、手術が成功した後は極道から足を洗おうと考えていた。
だが前述の通り美波は宇狩外科医院の看護師であり、しかも滝太の担当看護師だった。つまり美波は滝太の入院当初から、彼が一刻を争う状態であることを知っていた。
そう、彼女は滝太に惚れた訳でもなんでもなかった。最初から、滝太の命が長くないと知った上で、組の財産を手に入れるために滝太に接近したのである。滝太に気のあるふりをして婚約をし、彼の死後に組の財産を相続しようと企んだのだ。
滝太を騙して婚約者となり、後は彼が心臓の弾丸で死亡するのを待つだけであったが、事件が起きる少し前に実施された健康診断で、今も尚弾丸が心臓を圧迫し続けている事を本人に気づかれてしまった。
診断結果に逆上した滝太は宇狩に報復しようとするが、それを知った美波は自分の名前が記入されている滝太のカルテを隠滅するため宇狩医院へ先回りする。
そこで宇狩をピストルで脅しカルテを奪おうとするが、ふとした隙に宇狩に反撃され、首を絞められ気絶してしまう。
これにより彼女を絞殺したと誤解した宇狩は、彼女をやたぶき屋の屋台に乗せて人情公園へ行き、そこの川に彼女を流そうとする。
だが宇狩はそこで滝太と遭遇。ドスを向けて脅してくる滝太に宇狩は美波の本性を話そうとするが、その際に目覚めた美波は宇狩の口を封じるため、屋台の中から宇狩をピストルで射殺。
目撃者が逃げた後でこっそり屋台を抜け出しキタキツネ組の屋敷へ帰った。
なお、2日目の探偵パートで宇狩医院に侵入していたのは彼女であり、カルテを奪う目的で侵入していたが、金庫を開ける前に王泥喜達が来たため奪えずに退散した。
2日目の法廷で証言していた時には、滝太をかばうふりをしつつ彼に疑いを向けようとする。
だが王泥喜によって美波にも犯行が可能だった事を立証されると、これまでとは打って変わって尊大な態度になった。
王泥喜の立証により、事件当夜に医院に侵入していた事が暴かれるが、財産目的で滝太に近づいた事は認めても宇狩殺害については否定し、自分は宇狩に殺されそうになった被害者だと訴える。
しかし王泥喜によって事件の全容が暴かれると、自分が犯人である事を認め緊急逮捕された。
ちなみに王泥喜に弁護の依頼をしたのは、「成歩堂なんでも事務所」というふざけた名前の事務所に所属している弁護士なら間違いなく滝太の弁護に失敗するだろうと見込んでいたから。
記事冒頭の台詞にある「滝太クンの事、よろしくお願いします」という言葉には、「滝太を必ず有罪にしてください」という意味が込められていたのである。
だが王泥喜に依頼した事によって滝太が無罪となってしまったため、連行される前に一番の失敗は「王泥喜に弁護を依頼した事」と答えていた。
一方晴れて無罪となった滝太は前科がつかなかった事を喜ぶどころか「美波を返せ」と逆ギレした。いや殺人を犯した挙句、その罪を自分に着せようとした女を諦めていない時点でおかしい‥‥