ウーア・ウイルス

登録日:2019/04/19 (金) 00:17:03
更新日:2023/12/07 Thu 18:54:09
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概要

『ウーア・ウイルス(UA virus)』とは『428 〜封鎖された渋谷で〜』に出てくる架空のウイルス。

短径90~110nm程度、長径500~700nm。
しばしば反り返った形状の「鎌形」になるため、「死神の鎌」とも呼ばれることもあるらしい。
外皮膜を有し、表面には多たんぱく質のスパイク状の突起が並んでいる。
空気感染で広まるが、感染者が発症しなければ他者には移らない。特にウーアで死亡した人間の体液が一番ヤバいという。

ウーア・ウイルスの「ウーア」というのはスワヒリ語で『花』を意味し、ウイルスの増殖した形が花びらに似ていることから命名された。

しかしこのウイルスの危険度は花なんて可愛らしいものではなく、ウーアにはもう一つ『死』という意味がある。
このウイルスに感染した場合の致死率は驚異の100%になるからである。
というのもこのウイルスは危険過ぎて国の上層部しか知らされておらず、ウイルスへの感染例ですら秘匿にされている。
そのわずかに知る事が出来る感染者は漏れなく死んでいるため100%となっているだけで、感染例が増えれば生存者は増えると予想されている。
しかし幾分か致死率は下がっても、非常に高い致死率を維持するのは想像に難くない。

感染すると肺からリンパ腺を通し全身に広がり、肝細胞やマクロファージなどで増殖し血管の内皮細胞を破壊する。
一つ体内に侵入しただけで1時間で2000個に増殖する驚異的なスピードである。
感染から発症までの時間も短く、なんと12時間で発症する。
発祥すれば骨と骨格筋以外のあらゆる場所から出血し、発症者は死亡する。

日本でも有数な製薬会社である大越製薬は428の主人公の一人である大沢賢治に抗ウイルス剤を作る事を命じる。
数年の試行錯誤を経て理論上感染直後なら100%、発症した後であっても早期状態ならば80%で治癒が出来る抗ウイルス剤ができた。
欠点としては人体への副作用が強いという事。一定以上投与すると生命の危機に陥ってしまう。
そんな時、大越製薬のナノテクノロジー医療開発部門が最先端医療機器であるDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)というナノマシンを開発。
これは超極小のカプセルに薬剤を仕込ませ、目的の場所に薬剤を届ける機器である。
これを使い抗ウイルス剤を首から体内に注入し、少量の薬でウーア・ウイルスを的確に殲滅する事が可能になった。よって副作用も少しで済む。
DDSは1週間は体内に残る性質上、投与された人物に一週間抗ウイルス剤が残ることになるが。


後は臨床試験して効能を試せば薬として完成するのだが、なにしろ致死率100%のウイルス。
理論上は完治可能とはいえ万一がある事を恐れ大沢は実験に躊躇しており、抗ウイルス剤は完成と言える段階ではない。

しかし実は大沢の上司である牧野は勝手に抗ウイルス剤を外に持ち出しており、臨床試験を大沢に無断で行っていた。
その結果大沢の理論が正しい事、抗ウイルス剤が完成している事が彼には分かっている。
この事を大沢が知ってしまう事から大沢のシナリオは始まっていく……。




もう既に某大国はこのウイルスを兵器として軍事利用している。
最近では中東の軍事施設に散布し、少なくとも12時間で800人、民間人を含めれば2000人の死者をだしたもよう。
そして某国は証拠隠滅のために空爆で死体事一掃した。この事実を大沢は知らなかったが、牧野は知っている。

当然某国にとって大沢が作り出した抗ウイルス剤はこの兵器を無力化する極めて危険な物であり、
某国は抗ウイルス剤を独占するために大沢を自国に勧誘したり大越製薬と取引している。





以下ネタバレ











大沢を取り巻く最大の事件、彼の娘・大沢マリア誘拐事件、これを企んだ事件の黒幕アルファルドの真の狙いは抗ウイルス剤である。
武器商人であるアルファルドはウーア・ウイルスを独自に入手しており、兵器の価値を無くす抗ウイルス剤を独占するのが目的である。

しかし大越製薬のセキュリティは完璧であり、アルファルドでもそこから薬剤を入手するのは不可能だった。
そこでマリアの妹である大沢ひとみにある方法でウーア・ウイルスを感染させる。そしてそれを大沢に伝える。
大沢は娘のためと人への臨床試験への興味で会社の規約で禁止されている私用での薬剤使用を破り、ひとみに抗ウイルス剤を使用。
薬剤は1週間ひとみの体内に残るのでひとみを誘拐し、抗ウイルス剤を取り出すのがアルファルドの目的だった。
しかしアルファルドの部下が双子であったマリアとひとみを間違えて誘拐してしまったため、ひとみに身代金を持ってくるように指示。
身代金リレーをして警察とCIAを引きつけ、その間にひとみを誘拐しようとする。


物語中盤、これらが上手くいかない事を悟ったアルファルドはマリアにウーア・ウイルスを仕込み、渋谷で解放。
抗ウイルス剤を渡さなければウーア・ウイルスを渋谷中広げようとするが――










以下最大のネタバレ

















実はアルファルドはCIAと繋がっており、アルファルドが抗ウイルス剤を入手するべく動いたのは某国のせいである。










CANAANでのウーア・ウイルス

『428』の後日談と位置付けられているアニメ『CANAAN』でも重要キーワードとして登場する。

ウーア・ウイルスの感染者の中でも、抗ウイルス剤無しで生存した者は身体の一部が変異することが確認された。
身体のどの部分が変異するかは個人によって異なり、作中では「盲腸が二つになった」という単なる持病の悪化程度のものから、
「声帯が殺人音波を発するものになった」という特殊能力を得た事例も登場。

身体の変異が完全な者を「ボナー」、変異が不完全な者を「アンブルーム」と呼ぶ。
両者共通の特徴として花形の青い痣が身体のどこかに存在する。
また、専用の薬を摂取し続ける必要がある。
ボナーの多くは身体の変異による特殊能力を備えており、その能力と薬の摂取にさえ気をつければ一般人と同様の生活を送ることができる。
一方、アンブルームは頭部に日光が当たると症状が再発して死亡してしまうため、何らかの被り物を常に着用する必要がある。

例外として、主人公のカナンは定義上はボナーと思われるが、花形の痣無い上、薬を摂取する必要がない。
彼女の場合は元々持っていた「共感覚」が変異し、超能力レベルに強化されている。





追記・修正はウーア・ウイルスに感染してからお願いします。

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最終更新:2023年12月07日 18:54