特別停車(名鉄)

登録日:2018/09/28 (水) 22:51:11
更新日:2025/04/04 Fri 00:23:28
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特別停車とは、名鉄の十八番であり数多い迷要素の一つである。

以下、西・北方面に向かう場合を下り、東・南に向かう場合を上りとする。


そもそも特別停車とは?

大手私鉄路線には優等列車はつきもの。更に一部の鉄道会社では時間帯を区切った停車駅設定なんてものも存在する。関東では小田急の経堂(平日夕方の急行通過)、関西だと阪神の今津(平日日中と土休日の快速急行が停車)などが代表例か。

それの名鉄版が特別停車である。しかし名鉄はこれを列車ごとに行う
もう一度言う。列車ごとに行うのだ。有料特急なら一部の会社でも見られる形式だが、名鉄は無料列車だろうが特別停車させる。

なお、臨時停車との違いは単純で、決まった日付に行うかどうか。時間帯を区切って(ほぼ)毎日行うのが特別停車で、日も区切って行うのが臨時停車。なお毎日行わなくても、例えば毎土日に停車などの場合は特別停車として分類される。
また逆に本来の停車駅を通過する「特別通過」というものもある。しかし2023年3月18日のダイヤ改正を以て新木曽川・笠松で行われていた特急の特別通過を取り止めることになったため特別通過は消滅することに。

先述したように有料列車であれば同様の形態を取る会社もあるが、特に特別停車と呼ばれるのはほぼ名鉄だけなので、これ以降は名鉄に絞って解説する。

特別停車をする意義

特別停車をする理由は大きく分けると3つ。

1.利用客の便を図るため

2.運用上の都合

3.かつての他の種別の成れの果て


1の理由は分かりやすい。例えば通勤通学で利用客の多い駅に優等列車を特別停車させれば便利であり、勿論そうした理由での特別停車もある。が、この派生として普通列車がしばらく来ないから特別停車なんてものもあるのが名鉄である。

3の理由は半分1と被る。現在は例が少ないがかつて準急・高速*1を廃止し特急・急行・普通の3本建てにしていた時代にはよく見られた光景である。

2の理由が一番の曲者。
緩急接続を取れないので接続できる駅に特別停車、始発駅だから特別停車、ひどいと後ろの列車を待避するために特別停車なんてものもあったりと迷要素満載である。


特別通過の場合もだいたい似たような感じである。

特別停車/通過の例

現行制度の特急の場合は個別項目が詳しいのでそちらを参照。

かつての本線特急

1990年代の本線特急停車駅は以下のような形だった。
参考までに現ダイヤの快特・特急の停車パターンも併記する。

駅名 豊橋 国府 東岡崎 新安城 知立 鳴海 神宮前 金山 新名古屋/名鉄名古屋 須ヶ口 国府宮 新一宮/名鉄一宮 新木曽川 笠松 新岐阜/名鉄岐阜
旧特急
現快特
現特急

標準停車駅は名古屋以東は現行の快特と同じだが、以西は新一宮のみの停車とかなり絞っている。

が、日中ダイヤで標準停車駅の通りに止まる列車は特急毎時4本中1本だけ

その他の列車は

  • 新安城と国府宮に特別停車するものが1本
  • 国府と新安城と国府宮に特別停車するものが1本
  • 知立を特別通過するものが1本

と、全部停車パターンが違っていた

新安城、国府宮、国府の停車は現行ダイヤに慣れ親しんだユーザーならば別にそう異様ではない。新安城・国府宮は毎時2本の特別停車なので異常なまでに特別停車数が多くなるがそこはご愛嬌。

目を引くのは知立の特別通過
速達化を狙ってのことであるが、知立は名鉄全駅で利用客数7位で三河線とも接続する押しも押されもせぬ代表駅。こんな主要駅を日中に通過というのは新幹線の「名古屋飛ばし」並の暴挙と言える。

なおラッシュにも知立の特別通過があったが、こちらはダイヤに乗れない旧性能車が運用についていたことが原因である。どっちみち暴挙だが。

快速急行急行準急

さて一般列車の快速急行急行準急の特別停車を見ていこう。

現行ダイヤで特別停車のある駅は以下の通り。

本線:男川、矢作橋、豊明、中京競馬場前、有松、牛田、左京山、本笠寺、栄生、二ツ杁、大里

犬山線:中小田井、下小田井

常滑線:大同町、柴田、聚楽園、西ノ口、蒲池、榎戸


これを多いと見るか、少ないと見るか。

駅はともかくとして、少なくとも特別停車回数に関しては現在はかなり減少傾向にある。

これは準急が現在存在しているから。種別変更で対応することで特別停車回数をかなり削ったのである。

そんな現行ダイヤで代表的な特別停車を以下に取り上げる。

始発駅が特別停車
伊奈、豊明、栄生が該当する。豊明と栄生は上り(栄生は土休日のみ)1本ずつ、伊奈は下り1本。

豊明は準急停車駅であるが、車庫のある関係上朝1本急行の始発があり、標準停車駅でないので特別停車扱いで豊明発で運行される。
ちなみにこの急行は特急車両の送り込みであり、特別車締切対応となっている。

栄生は急行停車駅。これまで快速急行は意地でも停車させない対応をとっており、実質栄生を通過するためだけに快速急行として運転される列車もあった。
しかし2019年3月改正で空港直通の快速急行のうち1本が土休日のみ始発が金山から栄生に延伸され、ここに栄生に始発として特別停車する快速急行が誕生してしまっている。

伊奈も急行停車駅であるが、隣にある主要駅の(はずなのだが)豊橋駅がJR東海との共用関係でなにかと制約を受けていることから、早朝の下り・深夜の上り列車を中心に特急の特別停車を駆使してローカル輸送面も対応している。
しかし豊橋駅への乗り入れ制限の関係か、早朝の特急1本だけは伊奈発で運行される。
余談になるが平日最終の伊奈行きは特急、つまり終点が特別停車駅である。
後ろの列車に抜かれるために特別停車
いくつか該当するが、特に西ノ口の例を取り上げる。急行上り2本の設定。

この2本は西ノ口に到着すると待避線に入り、それぞれ上位種別の通過待ちをする。

1本はミュースカイに抜かれる。ここまではまだ普通。

しかしその後の列車はなんと快速急行に抜かれる。しかもその後蒲池・榎戸と特別停車するので新舞子から先ほぼ各駅停車であり、実際普通並の速度で太田川~常滑を走破する。

列車間隔が開くので特別停車
中京競馬場前、中小田井、下小田井などが該当する。

それぞれ朝方の設定で、中京競馬場前は最大20分、中小田井・下小田井に至っては最大31分も普通列車の間隔が空いてしまうので特別停車で対応している。中京競馬場前は準急停車駅だが、この時間帯には準急の設定がない。


過去に準急が消滅していた時代はもっと酷い運用が見られ、

  • 消滅直前の準急停車駅と西枇杷島の合計9駅に特別停車
  • 特別停車駅で同じ急行に抜かれる
  • 南加木屋、巽ヶ丘、阿久比(すべて現在特急が特別停車する駅)を特別通過する急行
  • 特別停車駅から種別変更

などといった例が存在する。

普通の特別通過

現在ダイヤでは存在しないが、かつては江吉良、美浜緑苑といった駅を通過する普通列車が存在していた。

中でも特に有名なのが学校前(広見線)、椋岡(河和線)の両駅の特別通過だろう。
学校前は半数の普通のみの停車、椋岡は朝5-9時の9本と16-19時代に毎時1本のみの停車で他はすべて特別通過であり、むしろ停車する列車のほうが希少となっていた。

学校前が2005年、椋岡が2006年に廃止されて以降普通の特別通過設定はなくなっている。というより名鉄全体で一時的に特別通過が消滅した。


追記・修正は特別通過も特別停車もする列車の中でお願いします。

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最終更新:2025年04月04日 00:23

*1 かつて特急が全車特別車だった時代に、全車一般車で特急並の停車駅で運転する列車にこの種別が与えられた。高速と特急が統合された際に、現代の名鉄特急の基本スタイルである一部特別車特急が誕生している。