酒の泳ぐ川(ドラえもん)

登録日:2019/12/04 (水) 19:22:07
更新日:2019/12/31 Tue 11:56:00
所要時間:約 6分で読めます




「酒の泳ぐ川」とは漫画「ドラえもんのエピソードのひとつ。
「小学四年生」1984年2月号に掲載され、てんとう虫コミックス36巻に収録されている。
雑誌掲載時のタイトルは「サイラン液でサケをもどそう」であり、てんとう虫コミックス収録時に項目名のタイトルに改められている。

ようろうおつまみ」のようにドラえもんとのび太が「パパにたくさんお酒を飲ませてあげたい」と考えることから話が進むが、こちらは単なるギャグ回ではなく、環境問題や自然の大切さをテーマにした、メッセージ性の強い回である。ただ、その一方で使い道や存在理由がよく分からないひみつ道具が登場するのも特徴。

以下、意味の違いを表すために台詞の一部の表記を変更させていただく。


【あらすじ】


ある夜、残り少なくなったお酒をグラスに注ぎながらパパは言う。



毎晩これをチビチビ飲むのが楽しみだったのに。さびしくなるなあ。



それを聞いたのび太は、なくなったらまた買えばいいと言うが、パパによるとこれは社長からもらった高級な酒(めんどくさがって年始の挨拶から逃げ出した挙げ句、新年早々社員の自宅に転がり込むような社長が高級な酒をくれるのかは謎だが)であり、気軽には買えないらしい。そんなパパを可哀想に思ったのび太は、ドラえもんに相談することに。


酒をふやせないかしら。


その問いかけにドラえもんは


わけない。


と、なんでもないことのように言ってくれた。その返事に驚きながらも喜んだのび太は、急いでパパに報告しに行く。


パパ!!ドラえもんがふやしてくれるよ。けちけちしないですきなだけのむといいよ。


夢みたいな話だなあ。


息子の言葉に、のんびりと笑いながらこたえるパパ。
そして、部屋に戻ったのび太は、パパが喜んでいたとドラえもんに話し、すぐに酒を増やしてくれるように頼む。するとドラえもんは、少し時間がかかると前置きをしてから「サイラン液」を取り出して説明を始める。


これを飲ませるとタマゴをうむ。


この話の流れで「タマゴ」という単語が出てきたことを不思議がるのび太だったが、黙って続きを聞くことに。しかしドラえもんは、稚魚がかえったら川に放すなどと更に酒とは関係なさそうなことを言いだす。そして…


海で大きく育ってもとの川へ…


ここまで聞いてさすがにおかしいと感じたのび太は、ドラえもんにあることを確認する。


ひょっとして君の言うサケは……


するとドラえもんは
「何を当たり前のことを」というような顔で


もちろん。だよ。
*1

ここでようやくお互いの言う「サケ」が違う物だと気づいたふたりだが、今さらパパに「酒を鮭と間違えた」
などとは言えず、なんとかならないかと悩み始める。
そして考えた結果ドラえもんは、パパからその酒を借りてくるようにのび太に言い、酒の中にサイラン液を垂らす。もちろんこれだけで酒がタマゴを産むはずはないが、ここでドラえもんは、もうひとつ薬を取り出す。その薬の名は「コジツケール」。これで何をするかというと…


なんとかこじつけよう。どっちもサケだから。


よく分からない理屈だが、とにかくこれで酒を増やすことができるらしい。
その直後、酒に異変が起こり、ドラえもんはのび太に洗面器を持ってこさせる。
のび太が水を張った洗面器を持ってくると、酒ビンの口から小さな球体が洗面器の中に放たれる。なんと、本当に酒がタマゴを産んだのだ。瞬く間にタマゴは孵化し、沢山の稚魚が泳ぎだす。そのまま洗面器を抱えて「タケコプター」で近くの川へ飛んでいき、稚魚を放流するふたり。ドラえもんによると3日ほどかかるらしく、その日を楽しみに待つことに。そして、3日後…


きょう 酒が川に帰ってくるから とりにいこうよ。


いつもの4人で下校していたのび太は、そう言って静香を誘う。それを聞いたジャイアンとスネ夫は
「バーカ!あの川に鮭なんかくるもんか。」と笑うが
のび太は動じずに、ドラえもんが、来ると言ったのだと反論。そこで、全員でドラえもんに確かめに行くと……


ほんとだよ。みんなもつりにいこうよ。えさはおつまみのピーナッツ。


と、ドラえもんは笑顔でのび太の言い分を肯定し、みんなを釣りに誘う。(餌がおつまみということに誰もつっこまないのは「ドラえもん」では今更。)
そして、5人で川に向かい、釣り糸を垂らすが…


ちっともつれないじゃないか。

ドラえもん!からかってるんじゃないだろうな!


いつまで待っても小魚一匹釣れず、ジャイアンとスネ夫はドラえもんの言葉を疑いだす。のび太と静香にも不安げに問い質されたドラえもんが川に飛び込んでみると、川底には酒も鮭もおらず、ごみが沈んでいるだけだった。それを見たドラえもんが、戸惑いながらもみんなにそのことを告げると、のび太以外は騙されたと怒って帰ってしまう。
帰宅後、酒を増やすなんて初めから無理だと思っていたと言いだしたのび太と喧嘩をしたドラえもんは、居間でテレビを見ていたパパに謝りに行く。すると…


あ、お酒をふやすとかいってた…。ざんねんだなあ。楽しみにしてたのに。


言葉とは裏腹に穏やかな表情で言うパパ。もともと本気にはしていなかったらしく、酒を増やすと言われたことすら忘れていた。
その様子を見ていっそう申し訳なさを感じたドラえもんは、肩を落としながら居間を出ようとするが、その時テレビであるニュースが流れる。それは…


東京湾で酒ビンのような形をした魚が、発見されました。


そう、成長した酒が、すぐそこまで来ていたのだ。
急いで2階へ行き、先ほど喧嘩したことも忘れてのび太にこのニュースを話すドラえもん。しかし、ここでふたりはある疑問を感じる。それは、鮭と同じく産まれた川に戻って来る本能を持つはずの酒が、何故あの川にいないのかということ。
するとのび太が、ある可能性を口にする。


ひょっとして川がきたないから……。


それを聞いて納得したドラえもんは、のび太と一緒に川に戻り「ウォータークリーンシップ」で川を掃除していく。しばらくすると川下が波立ち…


酒だ!!帰ってきたんだ!!


酒の大群がこちらへおよいでくる。
そしてラストシーン。
ジャイアン達が見上げる中、酒ビンがぎっしりと詰まった大きなビニール袋を手に、タケコプターで飛びながら、笑顔で読者に呼びかけるドラえもんとのび太。


みんな 川をきれいにしようね。 サケのすめるきれいな川に。



【初登場のひみつ道具】


〇サイラン液
小さなビンに入った液状の薬。スポイトで垂らして使用する。名前のとおり、これを魚や鳥に与えると、その場で卵を産ませて採卵できる。また、作中の描写からすると成長促進効果もある模様。

〇コジツケール
サイラン液と似た形の容器に入った薬。スポイトで垂らすのも共通。
作中で「こじつける」としか明言されていないので筆者の推測で申し訳ないが、おそらく「おはなしバッジ」のように、現実にはありえない出来事をこじつけで実現する薬。ただ、それがなんの役に立つのか、開発者は何をしたかったのかは一切不明であり、微妙なひみつ道具の項目にもしっかりと記載されている。

〇ウォータークリーンシップ
掃除機と船を掛け合わせたようなひみつ道具。起動すると水面を進み、水中のごみや汚れを掃除する。

【アニメ版】

大山版とわさドラ版で1回ずつアニメ化されている。

○大山版「サイラン液でサケをもどそう」
1984年11月30日に放送された。
当時は単行本未収録のため、タイトルは雑誌掲載時のものが使われている。

「十戒石版」や「あの頃に戻りたい!」と共に、 文化庁から表彰を受けた作品 であり、
1988年12月31日の特番「大晦日だよ! ドラえもん」でこの事が紹介されていた。

現在、ソフト化はされていない。

○わさドラ版「パパとのび太と酒の泳ぐ川」
2012年11月23日に放送された。

DVD「NEW TV版 ドラえもんVol.80」に収録。

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