ウォレスとグルミット チーズ・ホリデー

登録日:2020/02/22 Sat 22:35:25
更新日:2025/01/07 Tue 22:32:24
所要時間:約 4 分で読めます




概要


『ウォレスとグルミット チーズ・ホリデー』はイングランドのクレイアニメ*1『ウォレスとグルミット』シリーズの記念すべき第一作である。

後発の作品と比べると差異点も意外と多いが、とぼけた性格の発明家ウォレスが行動を起こし、彼のパートナー犬のグルミットが振り回されるつつもサポートするシリーズ最大の胆はここから始まっている。

今回は週末の旅行に行き、そこで予期せぬ出会いとトラブルに見舞われることとなる。一作目からスケールでかすぎである。


登場人物


  • ウォレス 声:ピーター・サリス/萩本欽一(日本語吹替版)
西ワラビー通り62番地に住居を構える少々とぼけた自称天才発明家。計画性に難ありなのはもちろん、いざという時の行動力もこの時から。
チーズが大好物で、「月はチーズでできているって昔から言うじゃないか」という理由で月旅行を計画する色々な意味で凄い人。だが、計画の最後の最後でチーズの相棒であるクラッカーをうっかり忘れて慌てて取りに行く事になったり、
壊れた作業台の代わりにするためだけにグルミットを呼ぶなど、無頓着な性分はこの作品の時点で始まっている。
この頃は発明家、というより日曜大工的な雰囲気を醸し出している。
またクレイのデザイン面でも頬の膨らみが小さく、以降の作品と比較すると若干スマートな印象を受ける。
おそらく月のチーズを食べ過ぎて太ったのだろう。

  • グルミット
ウォレスのパートナーのビーグル犬。ウォレスと違いしっかり者な性格で、趣味は読書。言葉は喋らないものの手先が器用で、二足歩行はおろか喋る事以外なら人間ができることはほとんどなんでもできる。なおウォレスからはあくまでペット扱いの模様。
以降の作品と変わらず終始無口だが口以上に表情で会話する、「仕草が口ほどに物を言う」タイプ。
作業に呼び出されたと思いきや作業台そのものにされたり、ペンキを塗っている作業の真下で働かさせられるなど早々にぞんざいな扱いを受けたりしている。同時に鋸をひくタイミングで釘打ちをするなど、なんやかんやで息がぴったりな面も。
このころはいかにも成熟した犬という感じで後発のデザインと比べるとしっかりとした体つきをしている。
さらに度々うとうとするなど、さながら老犬のような描写もされている。
単にウォレスにこき使われて働き過ぎなのかもしれない。

  • ロボット(?)
月に放置されていた謎のロボット(自販機?)。見た目は昭和のキッチンのオーブンにそのまま車輪と腕を付けた感じ。
コインを入れてもらうことでその金額分動ける。だから小銭巻き上げ機では断じてない。
感情もしっかりあって意外と激情家。ますます謎。
誰がいつ、何のために作ったのかは一切不明*2
腹部のケースは四次元ポケットのようになっており、制裁用のバット・望遠鏡・紙とペンなどを収納している他、ウォレスが散らかしていったゴミを収納したりする。
ウォレスが自販機と間違えてコインを入れたことで起動。コインを入れてもすぐに動かなかったので色々いじった結果、うっかり摘みを壊されたりしている。
ウォレスが無断で月のチーズを採取していることに腹を立てる傍ら、彼が持ってきたスキー雑誌を見て地球に思いを馳せる。

発明品


  • ロケット
ウォレスが月へ行くために作成したロケット。カラーリングは朱色。2人乗りしかできない小さなサイズのロケットだが、
ちゃんと月まで行って帰ってくることが可能。なお着火手段は導火線にマッチメインの電力と食い合う、何故かトーストを焼き上げる機能を始め突っ込みどころ満載のオーパーツである。
しかし作中の描写から見ても「子どものラクガキ同然のかなり大雑把な設計図から作られる」「ほとんど木製にもかかわらず推力はウォレスが身動きできなくなるレベルの加速力」「そんな驚異の推力を地上に繋ぎ止め続けるサイドブレーキ(?)」「原理は不明ながら人工重力を常時発生させていて乗り心地は非常に良好」「ロボットが乗り込む際に側面に穴を空けられ、燃料に引火してもちゃんと離陸して地球に帰還できる」
等など、性能の良さがとんでもなさすぎる代物である。
現実でこんなの作れねーぞ!天才発明家の名は伊達じゃなかった。

  • 発着施設
ウォレスの家の庭に作られたロケットの発着施設。昔の特撮さながらに庭が開いてロケットがそこから発進する。
スルーされがちだがロケット完成直後にほぼすぐに出発していることから、この施設もロケットと共に同時進行で作られたことになる。

余談


  • 「月はチーズでできている」という言い伝えは実際に欧米に伝わっており、童話も存在する。
ちなみに肝心のウォレス世界における月のチーズは地球のチーズとも違う味わいらしく、場所によっては美味しかったりいまいちだったりする模様。

  • ウォレスもグルミットも月面で宇宙服無しで平然と活動している。まぁ月のチーズが発酵することで酸素を作り出しているのだろう(適当)。

  • 本作ラストでウォレスが月のチーズを持ち帰ったことがきっかけなのか、次回作『ペンギンに気をつけろ!』でグルミットが読んでいた新聞に月のチーズの株価が高騰した旨が書かれている。

追記、修正は日曜大工のノリでロケットを作って月に旅行に行って月のチーズを食べてからお願いします。

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最終更新:2025年01月07日 22:32

*1 登場キャラのモデルを少しずつ動かし撮影するコマ撮りによって制作されるアニメのこと。クレイ(粘土)と呼称されるが、実際には乾かず何度でも再利用可能な違う素材で作られている。

*2 DVDの解説によるとなんと「月の管理人」らしい。作中の行動(欠けたチーズを接着剤で繋ぎなおす、ウォレスのロケットに駐車違反のようなメモを挟む、オイルが漏れていることに憤慨するなど)から見てもおそらく月のチーズの管理(採取するためなのか?)しているのだろうが、ますます誰に作られたのか気がかりである。