秘薬リョーツGPXの巻(こち亀)

登録日:2020/03/28 (土) 14:19:39
更新日:2020/05/10 Sun 19:15:30
所要時間:約 9 分で読めます




こち亀のエピソードのひとつ。単行本第70巻に収録されている。
アニメでは118話として1999年3月7日に放送された。


◆ストーリー


冒頭、本田と共にパトロールに出ていたはずの両さんだが、
何やらサボって水門の配管の上という何とも危ない所で昼寝をしていた。

周辺ではなぜか近くにパトカーが集まっており、止めてある白バイも目立つためにいつ見つかるかヒヤヒヤしている本田は早く戻るように両さんを促すが、
当の本人は「パトロールさぼったくらいで逮捕されちゃたまらないよ」「こんな天気の日に働くなんてバチがあたるぞまったく!」と言いながら意に介す様子がない。

それでも再三本田に懇願されたことで、両さんはようやく重い腰を上げ始めた。
だが、水門の配管の上で寝ていたことをすっかり忘れていた両さんは、体を伸ばしたことでゴロリと転がり落ちて川にダイブする羽目に。バチが当たったのは働かない方だった


一気に目が覚めてしまった両さんだったが、服を絞っている最中に財布を川に落としてしまったことに気づく。
本田は「不運でしたね」と慰めたが、両さんからすれば金の問題は「不運」では済まないため、「ぜったいさがすぞ!」と叫びながら再び川にダイブしていった。


本田「信じられない行動をとるな…体とお金とどっちが大事なんだろ」


結局、サイフは見つかったのものぐしょ濡れになって帰ってきた両さんを見て中川麗子は驚く。


両津「川底のヘドロの中で発見した。真っ黒で見つけにくかったよ」

中川「水中メガネもつけずによく…」


そんな話をしていると、派出所の周りでやたらパトカーがうるさいことに気づく。
さっきの水門近くの土手にも多かったため、両さんが何かやらかしたのかと中川は疑うが、当然両さんは否定。
だが、慌てた様子で派出所に入ってきた部長から、とんでもない知らせが伝わる。


部長「大変なことになったぞ。河川敷のゴルフ場の除草剤が川に大量に流出したんだ」*1

中川「えっ!」

部長「あたり一帯汚染されて大変な騒ぎになってる所だ」


その知らせを聞いて、他の派出所メンバーの視線が一気に両さんに集まる。顔が青くなる両さん。
そう、部長の言うゴルフ場はまさに両さんがいた水門近くの場所にあるのだ。


酷く汚染された川で両さんが泳いでいた事実を知った部長は仰天。


両津「そういえば魚がプカプカ浮いてておかしいなと思ったんです」

本田「一時間くらいサイフを探すのに潜ってましたよ」

部長「欲深いやつめ…」


体調変化は全く自覚してなかったが、話を聞いて何だか気分が悪くなってきた両さん。急いで救急車を呼び、病院で調べてもらうことになったのだった。


本田「川の水をゴボゴボ飲んでましたよ」

部長「まったくあのバカ!」






そして両さんが運ばれたパラダイス病院においてあらかたの検査が終わったが、その結果は何と異常なしということであった。


医師「下痢も中毒も皮膚のただれもまったくない。あとは先ほどの検査の結果待ちですが大丈夫でしょう」

両津「そりゃよかった」


安堵する両さんだったが、医師が何やら看護婦に耳打ちされると様子が変わる。
ただならぬ表情になった医師は、両さんにそのままで待つよう言い残して席を立った。



バタッ

医師「新種の抗体ですって!?」

院長「うむ。両津勘吉氏の検査をしていたら見つかった」


研究室において、多数の医師を前にして驚愕の事実を発表する院長。


院長「知っての通り人には健康な状態を維持しようとする生体防御機能が備わっている」

院長「異物が侵入してもこの抗体が体を守ってくれるわけだ。抗体は大体同じ形をしている」


院長「しかるに両津氏の抗体は! このような形をしている!」

モニターに映し出された両津の体内にいる抗体は、何と銛のようなものを持った黒い小さな生命体のような形をしているではないか。


医師達「信じられん。まるでまんがのバイキンみたいだ…


しかし、漫画の主人公両津勘吉が持つ漫画のバイキンのような抗体は見せかけだけではなく、何とウイルスを一瞬で消し去ってしまうほどに強烈な恒常性維持機能を持っていた。
院長の推察では、当初はリンパ球から普通の交代が算出されていたのだろうが、あまりに不潔な環境での生活を余儀なくされたため、
火の鳥の如く何度も死と再生を繰り返した結果、どんな抗原にも一撃必殺の抗体しか生き残れなかった…のだという。
そしてこのウイルス抗体を体に持つ両さんは、注射ぎらいで予防接種を一度もしたこともないのにも関わらず30数年間一切の病気なしだという。
身をもってその抗体の恐ろしさをはっきり証明していたのだ。


医師達「超万能のどんなウイルスもかなわないワクチンができるぞ!」

医師達「史上最強のワクチンだ!!」

医師達「カゼの特効薬が作られたらノーベル賞ものだ!!」(注:本当です)*2

院長「彼をこの病院から帰してはいかん!」


一気にヒートアップした研究室内。
早速、両さんを帰さないためにまずは豪華な料理を提供するが、
こんな急に親切にされては両さんも当然訝しむ。

医師の胸ぐらを掴み上げて脅すと「両津様の抗体が珍しいので再検査を…」という言葉を引き出す。
それを聞いた両さんは「余計なことまで調べるんじゃない!」と激昂。


両津「異常なしなら用はない! 帰る!」

医師達「帰っちゃいかん! 君にはもっと協力してもらう!」


両津「誰がそんなもん協力するか! はなせ! ちくしょう!!」

医師達「みんなつかまえるんだ! にがしちゃいかんぞ!! おとなしくしろ!」


帰ろうとする警察官の患者を医師達全員が取り押さえるという、何とも変わった大捕物が繰り広げられるのであった。


しかしこんな実験体じみた待遇から、まもなく両さんの扱いは一変することになる。




ガヤガヤ


部長「両津はここにはいませんよ! もう帰ってください!」


部長達派出所メンバーは、毎日のように両さんを求めて詰め寄るマスコミ達に辟易した。
こんなことになっているのは、両さんの体から最強の抗体が発見されたことで、日本中にビックニュースとして流れたからだ。


『風邪の特効薬発見!!』
『ノーベル賞並の出来事』
『パラダイス病院スタッフ見つける』
『両津氏から』
『両津氏の体中から』


なぜ、両さんの体に超人的な抗体ができたのか。
派出所メンバーは両さんから聞いたエピソードを元にすると、思いあたるフシもあると考える。

中川「子供のころから平気でドロや葉っぱをたべていたといってたし…
   犬のフンも勇気だめしにたべたことがあるといってました」

麗子「小学生のころ大阪まで歩いていったと聞いたわ」

部長「大阪まで!!」

中川「毎日30キロくらい走り回ってたといってましたからね。毎日が体力の限界にチャレンジしてるようなもんですよ」

部長「だからこんな抗体ができたわけか…」





やがてニュースは日本中のみならず、世界中で「20世紀最大の発見!! 風邪の特効薬ワクチン」として話題となる。それは「リョーツGPX型ワクチン」と名づけられた。

こうして世界中で有名となった両さんは何をしているのかというと…

医師「お食事の用意ができました」

両津「うむ。このホテルのスィートルームもあきたな。明日から別のホテルのデラックス・スィートにしてくれ。一泊50万円くらいの部屋にな!」

医師「はい」


超高級ホテルを巡る豪華絢爛な生活を満喫していた。
傍に医師らしき人物が控えてる所を見るに、どうやら抗体を発見したパラダイス病院の金で豪遊しているようである。
(アニメ版ではTVゲームと雀卓とパチンコ台を持ってこさせ、さらに美人看護婦2人を侍らせていた)
そんな両さんの元に部長と署長が面会にやってきて、署が有名になったことのお礼を言おうとするが…


両津「私をよぶ時は先生といいなさい」

部長・署長「なに!」

両津「やならいいよ! 協力しないもんね!」ゴロ


両さんがそっぽを向くと周りの人が慌ててご機嫌取りに向かい、
医師が「なんてことするんです!人類の将来がかかっているんですよ!」と署長達を叱りつける。


署長「両津先生! 本庁より五階級昇進とのことを本日はお知らせにあがりました」

両津「当然だよ。わしのおかげで地球から風邪は絶滅するんだよ。わしが地球を救うわけだ!」


直接的になにをした訳ではないのに鼻高々になる両さん。(アニメでは屯田署長が警視だとしって、さらに上の六階級特進(警視正)をねだっていた)
署長達の去り際にも先生呼びの別れの挨拶を強要することで、いい気分になるのであった。


バタッ

部長「両津のやつ図にのりおって…」

署長「大原くん、くやしいがしかたない! 彼は今や人類の救世主なのだから」

部長「あんなやつが救世主なんて世も末ですよ」








しかし、両さんの天下は長くは続かなかった…



医師達「リョーツGPX型ワクチンは使えないですって!?」

院長「あまりにも……強力すぎるんだ」


そう、突如として判明したリョーツGPX型ワクチンの最大の欠点。
それは一般の人には使用できないというものだった。


院長「彼のような頑強でタフな体のみ存在可能な強烈な抗体だ!!」

院長「通常の人にワクチンを接種させることは子供にウォッカを一気飲みさせるようなものだ!」

院長「抗体だけにとらわれて彼の並はずれた体を計算に入れなかった…」

医師達「そ そんな…」ガヤガヤ ザワザワ


こうして、風邪の特効薬 万能ワクチンと謳われた夢は崩れ去り、マスコミからは一斉に叩かれることになった。


『リョーツGPXワクチン 本人のみに有効! 他人には使用不可能なカゼ薬』
『強すぎて一般人には通用せず』
『他人には使用不可能なガゼ薬』
ムダ薬(・・・)ワクチン』
『新抗体、本人にしか効果なし!』
『海外でも大ショック 人類の夢やぶれる。』
『一般人には使用不可能』
『とんだデマだ』






両津「えっ 五階級昇進はオジャン!?」

署長「当然だよ イメージダウンになったのだから! 最悪だよ!」

署長「本庁では五階級落とそうかと考えてるらしい!」

両津「くそ…」


ある程度調子に乗った分,、自業自得とはいえ、
病院や署からも手の平を返された両さんは一転、
天国から地獄へと突き落とされてしまったのだった。
なお両さんは巡査長であるがこれは警察階級の下から2番目。五階級落ちたらどーなるの?



結局、何の後ろ盾もない巡査長に逆戻りした両さんは気まずいながらも、
「みなさん! 両さんが帰ってきましたよ! 私のこと覚えてますか?」と言いながら派出所に入るが、
それを見た部長が開口一番「お前の机は今日からそこになった」と言いながら指差した先は、床に直接引かれたござに、机代わりのみかん箱だった


部長「お前のために署から予算をとられてな! 二年くらいその机を使え!」

両津「じかにすわると腰がいたくなりますよ…ひえるなァ…」

両津「ぼく体弱いから風邪ひくかもしれないな…」ゴホゴホゴホ


今更同情を誘うように弱いフリをしても、そこになに一つ説得力はないのであった。

◆補足(蛇足)

アニメ版では更にリョーツGPXのパワーがインフレしており、がん細胞水虫*3夜泣きや癇の虫まで撃破していた。
また、リョーツGPXをロシア・イギリス・フランス政府が10億→20億→50億円で買いたたこうとするなどのオリジナル描写も追加されている。

フランスの美女スパイ「50億円に加えて、別荘を建てて私がメイドになりますわ♡」
両津「うはは、ワールドカップで優勝する*4だけあって気前がいいな!」

ちなみにアメリカ政府は爆竜大佐が代表として来たが、交換条件は無くただの実力行使。…実にアメリカ的(婉曲表現)である。


なお、80巻に収録されたエピソード『野生へ帰れ!の巻』ではマリアによって両津の生活習慣が改善された結果、リョーツGPXが弱体化していた事が判明した。

また、このエピソードから大分後の164巻に収録されたエピソード『スピンオフの巻』では遂に両さんが48度の高熱を出して倒れた。
遂にリョーツGPXを超える耐性菌が生まれたのだろうか…。
ちなみに途中までは両津不在で中川他が主人公の座を巡って様々な話を展開していたが、ラスト2ページで(死にそうになりながら)両津が現れたため、
結局連載完結まで主人公としての登場は皆勤賞となった。


当然だよ。わしのおかげでアニヲタWikiから荒らしは絶滅するんだよ。
わしが項目を追記・修正するわけだ!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/