名犬クールのお手柄(名探偵コナン)

登録日:2020/04/10 (金) 07:13:45
更新日:2020/04/30 Thu 13:36:58
所要時間:約 13 分で読めます





幼なじみかぁ…

わたしのムサシはどこほっつき歩いてんだか…


『名犬クールのお手柄』とは、『名探偵コナン』において江戸川コナンが解決した事件の名称である。
原作にはないアニメオリジナルエピソードで、第434話として2006年4月10日に放送された。
古内一成脚本。
かつて起きた『愛犬ジョン殺人事件』の後日談に当たるエピソード。


※以下ネタバレが含まれますので、未視聴の方はご注意ください。


【ストーリー】
米花公園に新しく出来たドッグランにやってきたコナンと蘭。
そこでアイリッシュ・セターのムサシの飼い主の堤夫妻と、ゴールデン・レトリバーのクールの飼い主の八木沢夫妻と知り合い仲良くなる。
堤夫妻と八木沢夫妻は元々知り合いでもなんでもなかったが、出会った時に2匹が共に生後5ヵ月だった事で意気投合し、以降は一緒に犬を連れて交流するようになったという。

その後コナンと蘭が帰宅すると、小五郎が主婦の中谷頼子と依頼について話し合っていた。
頼子の依頼は隣の家で飼われている犬を何とかしてほしいというものだったが、その犬が先程会ってきたばかりのムサシだと知ったコナンと蘭は声を出して驚いた。
コナンと蘭はムサシは人に吠えるような犬ではないと庇うが、それに腹を立てた頼子は「もう頼みません!」と依頼を取り下げ事務所を出ていってしまった。

数日後、堤夫妻がパーティーから帰宅すると、庭の方で何かが破裂する音が聞こえ、そのすぐ後でムサシの吠える声と頼子の叫び声が聞こえる。
堤夫妻が庭に行くと、そこでは倒れた頼子が必死に杖を振りムサシを追い払おうとしていた。
そして頼子が指を差した先には、頼子の義母・絹江が首から血を流して倒れていた。

絹江はその場で死亡が確認され、頼子は目暮に絹江はムサシに襲われて首を噛まれたと証言するが…。


【事件関係者】

  • ムサシ
アイリッシュ・セターのオス。2歳。
体は大きいがとても人懐っこい。負けず嫌いな性格でもあり、ボールを取ってくる競争ではいつもクールに勝っている。
とても賢い犬だが草や土等も興味を持って食べてしまうため、堤夫妻の悩みの種となっている。
最近では歯磨きをした時に歯に粘土がくっついていたらしい。
堤夫妻がパーティーから帰ってきた後に、頼子に向かって吠えているところを発見される。その後は倒れていた絹江の首筋を舐めていた。
頼子の証言では自分に近づいてきた絹江を襲い、彼女の首筋を噛んだ後で頼子も襲おうとしていたという。
以前は頼子にも懐いていたが、いつの頃からか頼子の気配を感じる度に吠えるようになった。
後に絹江の家宅侵入が認められた事で処罰は免れている。

  • クール
ゴールデン・レトリバーのメス。2歳。
好奇心旺盛で、最近はペットボトル等の食べられない物でも咥えて持ってくるようになった。
事件の後で堤邸を訪れた時に、茂みの中であるものを見つける。
ちなみになぜ女の子っぽくない名前がつけられているのかはエピローグで明かされている。

  • 堤英輔(つつみ えいすけ)
CV:磯部弘
ムサシの飼い主で会社社長。35歳。
事業で成功を収めているやり手で、米花町4丁目の豪邸に住んでいる。
美里と共にパーティーから帰ってきた後、庭のほうから爆竹の音とムサシの吠える声、頼子の叫び声が聞こえたので急いで庭のほうへ向かう。
そこで必死で杖でムサシを追い払おうとしている頼子と、首筋から血を流して倒れている絹江を発見した。
後に絹江の家宅侵入が認められた事でムサシと共に処罰は免れたが、ムサシが絹江を死なせてしまった事実は変わらないという理由で、近々家を引っ越そうと考えている。

  • 堤美里(つつみ みさと)
CV:久川綾
英輔の妻。33歳。
パーティーの途中で気分が悪くなったので、早めに切り上げて英輔と共に自宅へ帰る。
そのおかげでムサシに襲われそうになっていた頼子を助ける事が出来た。
事件のせいで家に住み続ける事が出来なくなり、引っ越しが決まると残念そうな表情を浮かべていた。

  • 八木沢浩(やぎさわ ひろし)
CV:坪井智浩
クールの飼い主。34歳。
散歩をしていた時に堤夫妻と知り合い、犬の話題で意気投合した事で仲良くなる。
いつもは堤邸の庭で遊ばせてもらっているが、米花公園にドッグランが出来たので、堤夫妻と一緒にそこを訪れた。
事件の事をニュースで知り、ずっと堤夫妻とムサシを心配していた。

  • 八木沢まなみ(やぎさわ -)
CV:半場友恵
浩の妻。30歳。

  • 中谷頼子(なかたに よりこ)
CV:篠原恵美
小五郎の依頼人で主婦。41歳。
今住んでいる家には3年前に春彦と一緒に越してきており、堤夫妻も同じ頃に隣に引っ越してきている。
引っ越してきた当初は堤夫妻とも仲良くしていたが、いつの頃からか顔を合わせても挨拶すらしなくなった。
元々中谷家と堤邸のある敷地は持ち主が一緒であったため、家の間の垣根は犬が飛び越えられそうなほどの高さとなっている。

最近ムサシが自分を見る度に吠えたり唸ったりするので、いつか襲われてしまうのではないかと思い小五郎に何とかしてほしいと依頼してくる。
だがコナン達がムサシを庇ったうえに自分に原因があるかのような言い方をしてきたので、この事に機嫌を悪くし「もう頼みません!私の身に何か起こったら毛利さん、あなたのせいですからね!」と言って事務所を出ていった。
その数日後に絹江がムサシに襲われ、自分も危うく噛まれそうになってしまう。

絹江がやって来た後で洗濯物が外に出たままなのを思い出し、2階のベランダまで取り込みに行く。
その際に春彦のシャツを堤邸の庭に落としてしまうが、生憎堤夫妻は不在でムサシも怖かったので、自分で取りに行く事が出来なかった。
そんな時に絹江が自分が取りに行くと言い出したので、心配しつつ彼女と一緒に堤邸の庭へ入った。
その直後に絹江がムサシに襲われたので、持っていた絹江の予備の杖でムサシを追い払った。
ムサシに襲われそうになると護身用のかんしゃく玉を鳴らして追い払い、自宅へ逃げようとする。
その途中で足を捻挫してしまい、4~5日ほど自由に歩けなくなってしまった。

襲われた時の事を話した後は、目暮に「自分のカーディガンを着ていたために母は自分と間違われて襲われた」と話す。
そのすぐ後で小五郎に「だからあの時、あなたに相談に行ったのに!」と文句を言っていた。

結婚する前は中学校で美術教師をしていた。

  • 中谷春彦(なかたに はるひこ)
CV:仲野裕
頼子の夫で会社員。
もう40歳を過ぎているが今でも絹江にベッタリであり、そのせいで普段から頼子と絹江の仲は悪かった。
今回頼子が隣の庭に落としたシャツも絹江に買ってもらったものであり、絹江が取りに行くと言ったのもこのためであった。
頼子が垣根を高くしたいと言っても「今のままがいい」と言って反対している。
ちなみに頼子との間に子供はいない。

  • 中谷絹江(なかたに きぬえ)
CV:不明*1
春彦の母親で頼子の義母。
中谷夫妻とは一緒に住んでいないが度々夫婦間のトラブルに口を出し、頼子が垣根を高くしたいと言った時にも春彦と一緒に反対している。
夕方頃に中谷家にやって来た後、頼子が誤ってコーヒーを服にこぼしてしまったので、彼女の赤いカーディガンを借りて着ていた。
その後で春彦のシャツが隣の庭へ落ちてしまうと、「ムサシは子犬の時から知ってるから」と言って頼子の制止を振り切り堤邸の庭へ入っていく。
だがムサシに近づいた途端に襲われ、首筋を噛まれて絶命した。
死因は出血多量によるショック死。喉に残っていた歯型とムサシの歯形が一致し、傷口からムサシの唾液も検出されたため、ムサシが彼女を噛んだ事は間違いなかった。
警察の調べで元々心臓が弱かった事が判明している。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
蘭が自分の事を犬扱いした事でつい苦笑いをする。
一見ムサシが絹江を噛み殺したようにしか見えなかったが、それだけでは説明がつかない事だらけであったので、これは頼子による殺人だと推理する。

ご存知蘭姉ちゃん。
ムサシとクールが幼なじみと聞き、つい新一の事を思い浮かべて「わたしのムサシはどこほっつき歩いてんだか」と呟いていた。

ご存知犬よりゼッケンをつけた馬のほうが好きな迷探偵。
当初はムサシが絹江を噛み殺したと決めつけるが、ジョンの事件を思い出した事でこれは周到に練られた計画殺人だと推理。
そして真犯人は頼子だと考え、皆を集めて推理を披露するが…。
食後に歯磨きをしない事があるらしい。

ご存知警部殿。
今回は犬が人を襲った事件だったので、かつて担当したジョンの事件を思い出す。
その事件では、飼い主が幾つかの音や言葉の組み合わせで愛犬にターゲットを襲うよう訓練するという方法が使われていたが、今回の場合は堤夫妻や頼子がムサシを訓練していたとは考えにくいと判断している。

ご存知一課のマドンナ。
小五郎の推理を立証するための検証では頼子の役となり、ムサシのリードを持っていた高木を信頼し「任せたわよ…」と見つめていた。

ご存知高木君。
小五郎の推理を立証するための検証ではムサシのリードを持ち、頼子役の佐藤を命にかえても守ろうと決意していた。


【その他の人物】

  • 前原剛
CV:佐藤政道
『愛犬ジョン殺人事件』の被害者だった大学生。
目暮がジョンの事件を思い出していた時に回想の中で登場。
ジョンに襲われているシーンは新規に描き直されており、当時は目が見開いたまま死亡していたが今回は瞼を閉じてから死亡している。


以下、事件の真相。さらなるネタバレにご注意ください

























  • 小五郎の推理
今回の事件は頼子が仕組んだ殺人だと断定した小五郎は、彼女が犬の特徴を利用してムサシに絹江を襲わせたと推理する。

まず、絹江が使っている杖と同じものを購入し、堤夫妻が留守の時に垣根越しに杖でムサシを刺激。こうしてムサシに自分への敵意を植え付ける。
その際に必ずかんしゃく玉を鳴らし、ムサシを驚かせた。
そして事件当夜、春彦と堤夫妻が留守になる日を狙って絹江を家に招き入れ、わざとコーヒーをこぼして自分の匂いのついたカーディガンを絹江に着せた。
更に夜になってから洗濯物を取り込みに行き、春彦のシャツをわざと堤邸の庭に落とし、絹江が取りに行くように仕向けた。
ムサシは自分のテリトリーに入ってきた絹江に気づき、その目で大嫌いな杖を見て、その鼻で大嫌いな頼子の匂いを嗅ぐ。
その途端に「これ以上近づくな」と警告の唸り声をあげるが、そこで頼子は絹江の後ろからかんしゃく玉を鳴らす。
その音によってムサシは絹江を頼子だと誤認し、彼女に飛び掛かり命を奪った。
言わば、犬の視覚・嗅覚・聴覚に訴えた巧妙かつ大胆な犯行計画だったのである。

普段から絹江は心臓が弱かったので、ムサシに襲われただけで心臓発作を起こす可能性が高かった。
だがムサシが絹江の喉に噛みついた事で、絹江は出血多量によって死亡してしまい、自分が思った以上の結果を引き起こす事となった。

動機については、普段から仲が悪い絹江を殺害したいほど憎んでいたと推理。
また隣の堤夫妻とムサシの事も憎んでいたと考え、その理由は自分達より年下なのに事業で成功し、広い庭のある邸宅に住んでいる事へのやっかみだと推理していた。

その日の夜、小五郎の推理を元にムサシを使った検証が行われる。
頼子のカーディガンと杖を身に着けた佐藤は、ムサシが駆けてくるとかんしゃく玉を投げる。
頼子の持ち物を身に着けた佐藤を見たムサシは、当初は小五郎の推理通り警告の唸り声をあげていたが、佐藤がかんしゃく玉を投げた途端にその音にビックリし、堤夫妻の元まで逃げてしまった。
自分の推理に自信を持っていた小五郎は、意外な結果につい落胆する。
これにより頼子の疑いは晴れたように見えたが、コナンは彼女が犯人だと確信していた。

コナンは情報を集めるために、蘭と八木沢夫妻と共に堤邸を訪れる。その際にクールがムサシの歯ブラシを咥えコナンのところまで持ってきた。
これを見たコナンは「ムサシの歯に粘土がついていた事もあった」という話と頼子が元美術教師だった事を思い出す。
そして絹江の血が落ちていた場所まで行き、クールが嗅覚を頼りに茂みの中から“あるもの”を見つけた事で事件は急展開を迎える。



この、この足さえくじかなかったら…

  • 中谷頼子
今回の事件の犯人。
だがわざとムサシに絹江を襲わせたわけではなく、自らの手で絹江の命を奪い、その罪をムサシに着せようとした。

かつて美術教師だった経験を活かし、ムサシに粘土を噛ませて型をとり、石膏でムサシの歯型を作成。
そして犯行当日。春彦のシャツを取りに堤邸の庭に入った絹江を背後から押し倒し、歯形で絹江の首を刺して殺害したのである。
ムサシは目の前で起きた異常な出来事に興奮し、頼子に吠え掛かる。
その際に頼子はかんしゃく玉でムサシを遠ざけ、その隙に自宅へ戻ろうとしたが、その途中で足首を捻挫してしまう。
その後は駆け付けた堤夫妻に絹江が襲われた事を告げ、堤夫妻が倒れている絹江に気を取られている隙に歯形を自宅の庭へ向かって投げ入れた。
絹江から離れたところに落ちていた血痕はこの時に飛んだものである。
ちなみに絹江の傷口にムサシの唾液が付いていたのは、自分や仲間が傷つくと傷口を舐めて治す犬の習性を利用したからであった。

クールが発見した歯形を突き付けられ、計画を暴かれると犯行を自供。
そして絹代がここに来るたびに隣の堤夫妻を見て「嫁は選ばなければダメね」とため息をついていたと話した。
これが絹江を殺害した動機であり、動機を知った春彦に「そんな事で…」と驚かれると「いくつになっても母親ベッタリのあなたにはわからないでしょうね!」と逆ギレする。
そして「この足さえくじかなかったら…」と悔しそうに呟くが、その直後に目暮に…

足なんか直に治る!

だがその前に、あなたには直すべきものがあるんじゃないのかね!?

…と叱責された。
その後は黙ってうつむき警察に連行されていった。

ちなみに隣の堤夫妻とムサシを巻き込んだ理由は特に明かされていないが、度々絹江に堤夫妻と比べられていたので、小五郎の推理通り自分達より年下なのに事業で成功を収めていた彼らを妬んでいた可能性もある。

  • 中谷絹江
中谷家にやって来る度に頼子と隣の堤夫妻を比べ「嫁は選ばなければダメね」とため息をついていた。
普段から頼子と仲が悪かったようだが、このような愚痴をこぼしていただけで頼子に殺されるほど憎まれる事となるとは夢にも思っていなかっただろう。


【その後】
事件が解決した翌日。コナンと蘭は堤夫妻・八木沢夫妻と共に米花公園のドッグランを訪れる。
その時にコナンは八木沢夫妻にクールの名前の由来について尋ねた。
実は英語ではなくフランス語であり、「クール」はフランス語でという意味なのでこの名前をつけたという。
それを聞いた蘭は「きっと幼なじみを助けたいと思う心がクールにはあったのね」と推測。
そして「あたしのムサシ(新一)にもあるのかしら?」と物憂げに考えると、コナンは「それはきっとあると思うよ…」と照れながら答えた。
すると蘭は「ううん、ないわ!だってあいつ、事件となるとすぐに心ここにあらずになっちゃうもん!と断言し、コナンは「座布団一枚…」と苦笑いを浮かべたのだった。
蘭「ん?コナン君何か言った?」 コナン「え?」


【余談】
今回の事件で重要な証拠品を見つけるという手柄を立てたクールは、2012年7月14日に放送された第664話『名犬クールのお手柄2』に飼い主の八木沢浩と共に再登場する。





追記・修正はゴールデン・レトリーバーの飼い主にお願いします。

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