DEATH-T編(遊戯王)

登録日:2020/05/29 Fri 20:25:11
更新日:2020/06/28 Sun 23:11:27
所要時間:約 13 分で読めます





「DEATH-T編」とは、漫画「遊戯王」の長編エピソードの一つである。
それと同時に遊戯王という漫画において一つの転換期を迎えた一編である。


【あらすじ】
ある日後格闘ゲームやリアル格闘ゲームをプレイしていた遊戯と城之内。
二人がゲーセンを後にしようとした時、件の海馬瀬人が遊戯を招待する。
なんと瀬人は「アミューズメント産業の最大手会社『海馬コーポレーション』」の社長だったのだ!

ここで海馬瀬人が単なる高校生でなく海馬コーポレーションの社長である事や、ついでにモクバの名前が判明する。
遊戯たちはそんな瀬人の進めていた計画の落成式の前夜祭に招かれたのである。
その後案内された豪華な宮殿内でモクバによる「死の料理ロシアンルーレット」を仕掛けられつつもなんとか撃退。

翌日、遊戯は瀬人の進めていた「海馬ランド」のオープン落成式に参加。
屋内型アミューズメントパークである海馬ランドを瀬人の案内の元楽しむ遊戯達。
海馬ランドはバーチャル・リアリティをメインとしており、まるで本物が現れたかのような迫力ある映像を演出してくれる。
そして瀬人は言う。「遊戯のために特別なショーを用意した」と。

それは、遊戯の祖父「武藤双六」と「海馬瀬人」によるマジック&ウィザーズのデュエル。
双六は昨日のうちに海馬の部下に拉致されてここに連れてこられたのである。
双六は最初は海馬のモンスターを次々と撃破、それだけでなく「強いが魔法カードの使い方に難がある」と相手を分析する程の冷静さを見せていた。
そして「出せばどんなモンスターも太刀打ちできない」青眼の白龍を出し一気に勝負を決めに行くも…海馬はその青眼の白龍を3枚も持っていた。
明らかに双六のターンなのに青眼3枚も出しているのは内緒。元祖「ずっと俺のターン」とも。なお、文庫版では微修正されている

もはや負けを悟った双六は罰として青眼の白龍を破り捨てられた挙げ句、件のバーチャル・リアリティで再現された恐怖の映像を味わうこととなる。
どんな人間でも10分で廃人になるというそれを止めるには、遊戯への復讐のために作られた死のテーマパーク「DEATH-T」に挑む事だと告げられる。
遊戯は、祖父を救うためにそれを承諾し、城之内、そして偶然スタジオにいた本田と共に「DEATH-T」に挑むこととなったのだ…。


【登場人物】

遊戯と仲間たち

武藤遊戯
ご存知主人公。
この頃はまだ「もうひとりの僕」の事を認識出来ておらず「自分の中にある得体のしれない存在」として恐れていた。
その為…というわけではないが表遊戯としての活躍が非常に多いのが特徴的である。
連載初期なのでこの頃に良く見られた「スゲー!!」「なんかオーバーだな~」と言った口の悪さはまだ健在である。
「くそ…海馬め!!」とキレる表遊戯は東映アニメ版ではマイルドになりました


闇遊戯
ご存知もう一人の主人公である王様。
この頃はまだ魔王様のイメージが強く、海馬兄弟にキツイ言葉を浴びせたりもする。
「けっ…こりずに また現れやがったか…このガキが……」とモクバに言うシーンなどは前者でもあまり言わなそうな言い回しではあるが

しかし上述のように本シリーズでは相棒の活躍が多いため、仮にも作品の顔でありながら二月近く姿を見せないという事態に陥った。

なお、青眼三体を前に心が折れかけるなど後のシリーズへの伏線とも言える彼の心の弱さが初めて明白になったりもした。
モクバとのロシアンルーレット対決ではかなり珍しい彼の食事シーンが見られる。(食べたのはスパゲティとホットケーキ)


城之内克也
ご存知遊戯の親友。
少し前のリアルファイトで頬を怪我しており、このシリーズの間その傷痕がずっと残っている。
元グリーン・ベレーを奇襲でぶっ倒すなどフィジカル面で大活躍した。
ちなみにこの長編にて明確に人を殺している。状況が状況だから仕方ないが……。

相変わらずのコメディリリーフであるが、なにもない部屋で心折れる遊戯に対して言う台詞は非常にかっこいい。
「お前が辛くて苦しいなら そいつをオレによこせよ!仲間じゃねーか!」

東映アニメ版でのファッションセンスはなかなかシュール。通称「サスペンダー城之内」
その東映版では終盤にアニオリ展開があり、ミホと共に人質にされた本田と双六を救うため海馬配下のゲーム四天王に挑んでいる。
その勝負の内容が、「片方が特殊なスーツを着てもう片方の操作で動いて相手を倒す」というまさかのリアル格ゲー。
ミホとの凸凹コンビっぷりで四苦八苦する姿は必見。


本田ヒロト
ご存知遊戯の親友その2。
甥のジョージを背負って参加する。この頃はまだ空気ではない。
この辺でも機械に詳しい描写が見られ、シューティング・スターダストでは彼無しにはクリアできなかった。
「西部劇じゃ口数の少ねぇのが主役の条件だぜ!」
「脱げよ」は禁句。
東映版アニメでは、その後双六じいちゃんと共に人質にされており、少しずつ水が漏れてくる砂時計状のオブジェに閉じ込められ溺死させられそうになっていた。
これが後の闇マリクに与えた罰ゲームの元ネタとなったのかどうかは不明。


真崎杏子
ご存知ヒロイン。
バーガーワールドは「尻に触った客を蹴り飛ばして」クビになったらしく、海馬ランドにてアルバイトをしていた。*1
ただしDEATH-Tが人死の可能性のある危険な場所だと知ったら即座に辞職した
その後遊戯達に合流するが基本的にセクハラ要員であったが、DEATH-T3ではダンサー志望ということもあり活躍した。
ちなみにジョージは彼女に惚れ込んでおり、色々あって一緒にお風呂に入る権利を得たのだが実行されたかどうかは不明である。


・ジョージ
本田ヒロトの甥。ヒロトの姉の息子。
まだ赤ん坊ながらどういうわけか普通に喋ることができ、しかも非常に嫌味な奴。でも女好きでスケベな奴である。
瀬人に惚れ込んでおり、彼の悪口を言う遊戯達に文句を言ったり普通に裏切ったりするという正直足を引っ張るためのキャラである。
作者も扱いに困ったのか遊戯達4人が協力してゲームをしている間は蚊帳の外に追いやられたり
「リズムブロック」以降は睡眠モードに入り、文字通り荷物と化したりしていた。
なおこいつも人を殺している
「そんな事よりシャレたミルクスタンドを見つけたんだけど」
アニメでは未登場。
また原作でもこれ以降は、親であるヒロト姉が少し話題に上がったくらいで出番なしである。


野坂ミホ
東映版のヒロインその2であり、彼女もまた成り行きで一部始終を知った事で海馬と対峙する事となる。
基本的に原作ではチョイ役だったため空気だが、終盤のアニオリ展開では城之内と共に双六じいちゃんと本田を救うためにゲーム四天王と戦うという見せ場がある。


武藤双六
海馬に招待…もとい遊戯の命を人質に拉致され、エキシビジョンマッチで彼とデュエルして敗れる。
この際、自分のターンのドローで青眼の白龍を引き当て場に出そうとした際に海馬が唐突に青眼三体を出してくる理不尽な俺ルールで敗れている。
その後、敗者への罰として親友との友情の証である青眼のカードを破られた上に、死の体感としてモンスターに殺される幻影を見せられてしまう。
さすがに70過ぎの老体にこれは酷くショックだったようで、緊急搬送され手術を要する事態となってしまったが、搬送前に遊戯に自らのデッキを託す。

東映版アニメでもおおまかな流れは同じだが、カードを破られなかったため最大ダメージは回避したのか気絶するだけに留まっているが、
そのまま海馬の配下に拉致られて人質にされてしまう。
DM版ではカードは破られたが、死の体感を受けなかったためこちらも大事には至っていない。
どちらでも孫にデッキを託してフェードアウトする事には変わり無い。


・花咲友也
クラスでは遊戯と同じくらい目立たない度の高い少年。
DEATH-Tを離れられない彼らに変わり倒れた双六の容態を報告していた。
そしてこれが最後の出番となるのであった。


海馬と愉快な仲間たち

海馬瀬人
単なる嫌味なオタクコレクターだった彼の正体はなんと社長であった。
この時点で「子供たちの楽しんでもらえるような遊園地を作りたい」という気持ちはあったのだが、まだ残虐さは抜けておらず遊戯の抹殺を目論見様々なゲームを挑む。

青眼の白龍を手に入れるため3人のコレクターの人生を滅茶苦茶にしたり、
「死の体感」の実験台に多数の人間を使い発狂させたりとこの頃が最もエキセントリックな時期であろう。あと子供たちに見せる笑顔が今の瀬人を考えると気持ち悪い。

そして台詞が実に小物っぽい。
「俺は史上最強のカード「青眼の白龍」を3枚も持ってるんだぜ! ホラホラー …だがお前のそのカードの中には「青眼の白龍」は一枚もな~~~~~~い!!」


海馬モクバ
ご存知瀬人の弟。
彼もまたこの頃は小物っぽく、残虐な手段で遊戯を抹殺しようと目論む。

だがそれらは全て「兄の役に立ちたい」が為の行為であったが、
心が壊れている瀬人にとってそれは「負け犬」にしか見えず、かつては助けると願っていた弟すら殺そうとしてしまうのであった…。
この頃は外見が現在よりもふっくらしており、嫌味なガキというイメージが強調された感じのデザインとなっている。




以下ネタバレ多数あります。





【DEATH-Tのアトラクションと番人達】
遊戯を抹殺せしめんとする殺人ゲーム達。
どいつもこいつも殺す気満々であるが、一応ルール説明やクリア条件があることから考えるとこの時点の海馬でも最低限ゲーマーとしての心得は持っていたということが伺える。
…あくまで一応レベルであるが。


・死の料理ロシアンルーレット
明確にはDEATH-Tのアトラクションではないが一応明記。
遊戯と城之内、そしてモクバの3人でターンテーブルを回し、目の前に止まった料理を食べるという簡単な運ゲールール。
ただし料理には30分で致死となる毒が仕込まれている、一応ルール的には最後の一人になれば勝利だろう。
ちなみにモクバはターンテーブルに細工をしておりシロップ入れ型のレバーを使いテーブルの停止位置を調整するシステムだったがレバーを物理的に破壊され使用不可となった。
このとき千年パズルを完全に手放していたにもかかわらず闇遊戯の人格を維持する、という後の設定と完全に矛盾した描写が見られるが、突っ込むだけ野暮というものか。
なお、この時に城之内に毒入りお子様ランチを食わせた時のモクバの顔は今では信じられないほどのゲス顔である。

ちなみに前回のカプモンとこのゲームで遊戯たちに(勝手に挑み)敗北したことで、兄・瀬人のモクバへの評価は大幅に下がってしまっていた。


・シューティング・スターダスト
サイバーベストの心臓部分に向けてレーザー銃を発射し、命中したらゲームから抜ける。
全員が負ければゲームオーバーというサバゲーのようなゲーム。サテライトのクズエースモンスターは関係ない
…が、城之内が何も考えずに突撃しジョニー・ゲイルを蹴り倒した。これでも有効扱いらしい。

その城之内を囮に射撃戦に縺れ込むが、実は敵の銃に細工をされており、
本来なら弱点部分に命中したら全身に振動が走るのだが相手側の銃のみ100万ボルトの電流が発射されるようになっている。

挙げ句こちらの銃は当たっても判定の出ないオモチャという絶望的な状況でゲームにすらなっていなかったが、
アルバイトの杏子が持っている銃が敵のものと同じということが判明(ジョージがぶっ放したことで判明した)。

それを使った本田とジョージの奇策により残りの二人も倒しクリア。なお電流の出力を下げているため命だけは助かったらしい。


+番人
  • ジョニー・ゲイル、ボブ・マグガイア、謎の殺し屋
それぞれ「元グリーン・ベレー ゲリラ戦が得意」「元SWAT狙撃班リーダー どんな遠距離でも必中の腕前」「現役の殺し屋 狙われた相手は生存率0」という触れ込みで登場。
一人倒すごとに1万$をもらえるということでやってきたが……。

ジョニー:城之内の奇襲攻撃により即座に敗北。
ボブ:実は本田の射撃が弱点部分に命中しているためゲーム的には負けである。
殺し屋:この中では一番マシであるが口数が多く自惚れ屋であり油断をして敗北。
という体たらくであった。

…よく考えればこんなプロやヤバい連中より早打ちが可能な本田や奇襲を仕掛けて倒せる城之内の強さがおかしいと言ってはならない。
そしてそんな彼らを簡単にひねり上げてしまう牛尾さんっていったい…

なお謎の殺し屋は某ゴルゴのパチモンみたいな外見とプロフィールになっている(中身は雲泥の差だが)。
その為かアニメでは女性軍人ブルーに変更され、他の2人はデザインはそのままだがボブが「ブラック」ジョニーが「レッド」と全員色の名前となっている。

ちなみに作中でペガサスより先に「海馬ボーイ」(「海馬BOY」)と言った人物でもある。


・ホラーゾーン「死の電撃椅子ライド」
お化け屋敷の中を疾走するライド型アトラクション。
その正体は椅子に座ると全身を固定され、更に声をあげると座っている椅子から100万ボルトの電流が流れる仕込むになっている。100万ボルトの電流好きだな…。
最初の方は正統派のお化け屋敷で和希先生の画力もありそれなりに怖いのだが、途中から執事の操作により椅子が牙を向く。
耳元にスプレーを吹きかける、マジックハンドでくすぐる。
というかマジックハンドが杏子の胸を揉む等、お化け屋敷が関係なくなってしまうが、
唯一フリーだったジョージの奇策で執事が死亡。椅子の仕掛けが止まったこともあり無事クリアとなった。
ここで仲間に一番心配されてたのはオカルトが大嫌いな城之内であったが、怖がりすぎて即気絶したので事無きを得た。

+番人…とちょっと汚い話
  • 海馬家執事
その名の通り執事であると共にあらゆる拷問のエキスパート
声をあげさせる術は勿論、自らがどのような責めを受けても声をあげない術もマスターしているという。
…しかしよく考えたら必要もないのに彼も電撃椅子に付き合ったのが運…いやウンの尽き。
ジョージが彼の膝の上に排泄をしたことにより声をあげてしまい電流を浴び、目的地に到着した時には黒焦げで原型を留めていない状態となっていた。
…誰も触れていないがおそらく死亡したものと思われる。



・殺人の館(マーダーズ マンション)
「切り刻む者」チョップマンが住む館。
ギロチンの仕掛けられた穴の先にあるスイッチを押すことで先に進むことができる。
だが4つある穴のうちスイッチは正解が一つしかない。他のスイッチを押した瞬間ギロチンは落ち手は切断される。制限時間は5分。
しかしスイッチの正解のヒントは部屋の中に落ちているメモに書いてあり、遊戯がそれを解読することで正解のスイッチを押すことに成功するが…。


・殺人鬼とのゲーム
ジョージが拐われてしまい、彼を救うために城之内が挑戦。
…するも脅されたジョージが城之内とチョップマンを手錠で繋いでしまう。
そんな状況で始まったこのゲームのルールは「どちらかが死ぬまで戦う」という急にストロングスタイルになった。
しかし城之内が燭台を使い手錠を解除、更にそれに扉と蝋燭を括り付けて出口を確保。
チョップマンは仕掛けられていた蝋燭により断末魔を浴びながら燃え尽きた。
「海馬、お前とチョップマンのコンビはよぉ…バカとバカ力、その火と油のようにバツグンに相性が良かったのに残念だったな」

+番人
  • チョップマン
童見野町の湖の畔でキャンプをしていたボーイスカウトの少年10人を惨殺した惨たらしい殺人鬼。
海馬コーポレーションでは残酷な心を持つもの程有能な人材となるということで雇われたらしい。
自分を「チョッピー」と呼ぶなど既に狂いに狂った状態だが、不思議と瀬人には忠実であった。
ジョージを使い城之内を罠に嵌めるも、遊戯のアドバイスを元に城之内に焼却処分された

子供たちの為に海馬ランドを設営しながら裏では子供を惨殺するこいつを使う時点で、この頃の瀬人の狂気と迷走が手にとるようにわかるだろう。

なお、OCGに《凶悪犯-チョップマン》として登場したが、 見た目は全く違う
だが、原作のチョップマンの断末魔の光景が、OCG版チョップマンのイラストで《バックファイア》として再現されているため、完全に無関係というわけではないようだ。


・なにもない部屋
チョップマンを倒した遊戯たちが辿り着いたのは、今までのアトラクションと違って殺風景な部屋
遊戯はここで閉じ込められたと勘違いし、心が折れ、仲間を巻き込んだことに後悔の言葉を吐く。
しかし城之内の熱い説得、そして杏子の描いた「ピースの輪」により遊戯は復活、仲間の結束も更に固くなった。
ただジョージはこのステージから睡眠を開始。以降荷物として扱われる。
だが既にゲームは始まっており…。


・リズムブロック
上からブロックが大量に落ちてくる部屋で、ブロックを回避しながらそれを足場に出口を目指すゲーム。
ここで優れたリズム感を持つ杏子がブロックが落ちてくるタイミングに規則性があることに気付く。
そしてダンサー志望さながらのリズム感で仲間たちをリードするが、リズムが急に変わったことにより本田の服が挟まってしまう
ここで「脱げ」というツッコミが多数あるものの実際には運動神経に不足した遊戯のフォローをしなければいけないこと。
そしてブロックが落ちる感覚が早いことからその時間すらなかったのがオチであろう。それにこの世界の服針金で出来てるし。
結局本田は取り残されたまま閉じ込められ、脱落となった。

ちなみにこのステージのみ瀬人がゲーム名を言っておらず城之内が逃げながら「死の落ちゲー」と比喩したくらいだったが、
「キャラクターズガイドブック -真理の福音-」にて「リズムブロック」という名前がつけられている。


・リアル格闘ゲーム
東映版のアニオリ展開として挿入されたゲーム。
砂時計状の少しずつ水の落ちてくるオブジェに幽閉され命の危機に瀕したじいちゃんと本田を救うため、城之内とミホが臨んだゲーム。
内容は、片方がアーマーを付けてもう片方がそれを操作して戦わせるという文字通りのリアル格ゲー。
このゲームの番人は、かつて遊戯に敗れたゲーム四天王の2番手と3番手、不破龍一とアイリーン・ラオ。
城之内とアイリーンがバトル、ミホと不破が操作担当を担うが、相手がゲームの天才である二人であったために即興コンビの城之内とミホは苦戦を強いられる。
しかし、本田達を救いたいという強い想いから一気に逆転。
ゲーム四天王を倒し人質にされてた二人を無事に救い出した。
なお、アイリーンは以前の回で海馬に「あの子(遊戯)はあなたより強い」と言って手を切ったような描写があったが、何故再び海馬の下に就いていたのかは不明。
不破の方も、以前は海馬の事を「海馬君」と呼んでいたが、何故かこの時は「海馬様」と呼ぶようになっている。


・カプセルモンスターズチェス-ヴァーチャル・リアリティ・バージョン-
海馬モクバの得意とする、チェスをモデルにした対戦ゲーム。
負ければ死の体感に加え、城之内と杏子が銃で撃ち殺されるというルールの元行われた。
なお、ここでようやく満を辞して闇遊戯が登場。連載期間でいえば実に約2ヶ月ぶりである。

「城之内くん!! 杏子! オレは絶対に勝つぜ!!」

ガチャポンで引いた5体をコマにするのだがイカサマが仕込まれており、遊戯のコマは弱小モンスター、対するモクバは最強レベルのパーティを組んでいた。
しかしモクバの力押しの戦法を利用し同士討ちを誘ったり、コマの命を捧げ相手を道連れにする自爆、進化マスによる成長を駆使しなんとか勝利する。
だがモクバは「オレが負ける要素は何一つなかったハズだーー!!」と吠えるばかり。遊戯はそれを無視して会場を後にしようとするが……。

「そのあわれですがりつくような負け犬の視線を…オレは長年背中に感じ続けていた」
「敗者には『罰ゲーム』が待っている。それが『DEATH-T』の掟だ!」

最愛の弟すら「死の体感」で無情にも切り捨てようとする瀬人。
流石にそれを見過ごせる遊戯ではなく、モクバを助け出す。
どうして助けたのかと問うモクバに対し「オレがここまでこれたのは手を差し伸べてくれる仲間がいたからだ」と言葉をかける。
それを聞いたモクバは、かつて自分にも手を差し伸べてくれる兄がいたことを思い出す。
変わってしまった兄を戻せるのは遊戯しかいないと思い、彼の邪悪な心は少しずつ変わっていった。



・バーチャルマジック&ウィザーズ
遊戯と瀬人の最終決戦は「マジック&ウィザーズ」
最強の「青眼の白龍」を3枚も持つ海馬を相手に、遊戯は双六から受け継いだデッキで勝負を挑む。
実はこのデュエルにて暗黒騎士ガイアブラック・マジシャンが初登場した。
…が、将来のエースであるこの2枚も「青眼の白龍」の前にはやられ役でしかならなかった。

だが遊戯は双六の生き霊幻を見、自分の手札に一つの可能性を見出す。
意味不明のカード封印されし神エクゾディア5枚のカードが手札に揃った時に勝利をもたらす絶対無敵のカードである。
既にパーツは揃っているが、最後の1枚が引けなければ負けという状況まで追い詰められる。
その絶望的な状況を前に闇遊戯は珍しくカードから逃げ出したい程の恐怖に支配される。
だが遊戯は一人で戦っているわけではない。

「もしひとりで辛いことがあったら このピースの輪を思い出して」
「オレ達がついているぜ」

仲間と共にいる。それだけで遊戯の恐怖心は消えていった。
そして…

「オレの引いたカードは『封印されしエクゾディア』 今、5枚のカードが全て揃った!!」




【結末】
エクゾディアという絶対勝利のカードを引かれ海馬は敗北した。
人の命を弄び、最愛の弟すら手に掛けようとした裸の帝王。
それに下される王の裁きは「償い」――マインドクラッシュであった。
瀬人の練り固まった悪の心は砕け散り廃人状態になる。しかしその内では、バラバラになった心のパズルをもう一度―今度は間違えないように―作り直すこととなった*2

また「死の落ちゲー」で犠牲になったと思われた本田だがなんとか生きており部屋に閉じ込められていた。
それを助けたのは改心したモクバであった。
瀬人がやられてもなお仲間を開放しない黒服の後ろから現れ、城之内2人と大暴れした。
そして双六爺さんの容態も安定し、これ以降のストーリーで元気な姿を見せている。

こうして海馬兄弟の復讐は幕を閉じた。
そして心を組み替えた結果、続く王国編で遊戯の決闘に呼応して自我を取り戻し、ようやく皆が知る傲慢で誇り高い海馬瀬人が完成するのであった。

最後に闇遊戯は「今度は間違わないように心を組み直している」と語っているが、
「青眼LOVE!オベリスクLOVE!モクバLOVE!アテム勝負だ!ワハハハハハハハハ!!!」の心が果たして本当に正しい完成図だったのか…それは謎である。

なお、東映版ではこの後の闇バクラとの戦いで物語が終わっているため、海馬兄弟はここで出番を終えることとなる。
闇遊戯が最後に「モクバ…海馬に優しい心があればきっと戻って来るだろう」と言い残しているが、結局それが最後となってしまった。



【余談】
文庫版あとがきによると、作者の高橋氏は一番このDEATH-T編を気に入っているとのこと。

アニメ遊戯王デュエルモンスターズではこの話が「牙を持つカード」*3の内容と融合&超圧縮されておりデュエル以外はかなりオミットされている。
その為モクバは最初から良い子で瀬人はモクバを殺したりしようとはしていない。

逆に東映版ではこのDEATH-T編はメインで書かれている。
オリジナル要素が多い東映版ではなかなかの再現度である(もちろんオリジナル要素も多々ある)。

当初はアトラクションは後3つ構想されていたが、担当編集に早くカードバトルやろうよ!と煽られたため、駆け足気味に最終決戦に突入することとなった。
文庫版のあとがきではこの辺りの路線変更について、「きっと結果的には良かったんだと思います。」と、ちょっと含みのあるコメントを残している。

そして同時に遊戯王自体が打ち切りの危機の為「ならば海馬という巨悪を用意してそいつを倒したところで綺麗に終わらせよう」という狙いもあったらしい。
その構想のほとんどはカットされたもののなんとか打ち切りは回避。
打ち切り危機はもう一度くらいあるのだが、それも乗り越えて以降、遊戯王という作品は快進撃につながることとなった。

打ち切り危機を乗り越えられたのは、こいつが「俺は自由だ!」と叫んで本誌を去ったことで、適当な穴埋めで本誌の下っ端に入れたおかげであるというのは内緒。

冒頭で述べた通り遊戯王はここで一つの転換期を迎えた。
まず武藤遊戯が自分の中にある「もうひとりの自分」に対する恐怖を乗り越え、城之内や杏子に打ち明けている。
二人が心を通わせるにはまだもう少し時間がかかるが、とりあえず自分の中にいる闇遊戯も「仲間」と感じられるようになったのは大きいだろう。

他にも海馬兄弟の大改心も大きなファクターである。
これ以降モクバは基本的に少し生意気だけど兄思いの好少年という風になり、
兄瀬人は勢いのまま全速前進し、遊戯のライバルとしての地位を築き上げていく。
ついでに2人とも急激に心身共にイケメン化が進む。

また、毎回違うゲームで悪党を懲らしめる「主人公が人を殴らないバトル漫画」という初期遊戯王の集大成という一面もあり、これ以降主人公以外はバンバン人を殴るようになる。

他にも地味なところではセクハラや軽犯罪上等だった城之内のダーティっぷりが鳴りを潜める事となった。ギャグキャラポジションは相変わらずであるが
また杏子へのセクハラも残念ながら減少し、彼女の明確なお色気シーンはモンスター・ワールド編直前の水着シーンが最後となった。
なお準レギュラーだった花咲君は最後の出番となってしまった。

このデュエルにて鳴り物入りでデビューしたエクゾディアだが、次のデュエルの前に蟲野郎によって海に捨てられてしまう。
最もエクゾディアがあればそれを出すだけの単調なゲーム展開になるので致し方ないだろう。
なお捨てられた直後城之内が飛び込むことにより2枚は回収。海に漂っていた残りも外伝ゲームでだが梶木漁太が全て回収してくれた。





オ、オレのDEATH-Tの項目がぁぁぁぁ!!つ、追記…修正せいせい…


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