君がウルトラマンだ(ザ☆ウルトラマン)

登録日:2020/08/08(Sat) 20:51:50
更新日:2020/08/12 Wed 11:42:20
所要時間:約 7 分で読めます





僕はウルトラマンだ。しかしこれだけは、誰にも言えない秘密だ。でも、僕自身はこれで良いのだろうか……ヒカリ超一郎としての、僕は……

「君がウルトラマンだ」とは特撮作品「ザ☆ウルトラマン」の第15話。
本作においてウルトラマンがヒカリ超一郎を協力者として選んだ理由が明かされる重要回であると同時にウルトラマンが出てくると主人公がいなくなるという暗黙の了解に踏み込んだエピソードである。

脚本:吉川惣司
絵コンテ:鳥海永行
演出:石田昌久


【登場人物】

  • ヒカリ超一郎
本作の主人公にしてウルトラマン。今回はウルトラマンである自分に悩むことになる。

  • アキヤマ徹男
科学警備隊のキャップ。彼の今回のセリフはウルトラマンと人間の関係性を見事に表している。

  • マルメ敬
科学警備隊隊員。彼の不用意な言動がヒカリを追い詰めてしまう。

  • 星川ムツミ
科学警備隊隊員。落ち込むヒカリを励ますと共に、ウルトラマンが自分たちの近くにいるようだと考えていると話す。

  • トベ博明
科学警備隊隊員。今回はあまり目立たない。

  • ウルトラマンジョーニアス
本作のウルトラマン。地球で活動するためにヒカリと一体化した理由を語る。

  • いん石獣ゴグラン
芋虫のような見た目の宇宙怪獣。そこからさらに蝶や蛾のような見た目に成長する。その翅の羽ばたきによる被害の描写はアニメならではといえるだろう。


【概要】

1人黙々とジョギングをするヒカリ。彼はウルトラマンであることを自覚してから身体を鍛え、常に健康に保つよう心がけていた。

彼がジョギングを終えて帰ってきた頃、基地中央部では科学警備隊のメンバーがこれまでのウルトラマンの戦いの記録を見返していた。そんな中でウルトラマンが何者かという話題になる。

ピグは地球人でないとの計算を行うが、ムツミはもっと身近な存在で常に近くで見守ってくれているようだと語る。そこでアキヤマキャップはモニターを消し、これ以上の詮索はよそうと告げる。

「彼が我々の地球を愛しているという事実…それで十分だからだ。今日君達と録画を見直す気になったのも、この事を深く心に刻みたかったからだ。我々は素晴らしい協力者を持っている。それだからこそ、我々は努力を怠らず彼に恥じない行動を取るべきだ」

これを聞いたヒカリは1人その場を後にし、トレーニングルームで苛立ちをぶつけるかのようにサンドバッグを何度も殴りつける。そこにマルメとムツミが通りかかる。マルメは鍛えるヒカリを揶揄う。咎めるムツミだが、マルメはやめなかった。


「こいつはいつも肝心な時になるといなくなっちまうからな」
「いいんだよ、お前がいなくても困ったためしはないんだ。なんてったって科学警備隊には、ウルトラマンてつええ味方がいるんだ」


この言葉に愕然とするヒカリを尻目に、マルメは去っていった。ムツミはヒカリを励ますものの、彼女が去った後にヒカリは再びサンドバッグを殴り出す。


その頃、筑波山の植物研究所で芋虫のような小型の怪獣が職員を溶かして研究所から逃げる事件が発生。現場でヒカリは植物の種のようなものを見てかつて宇宙ステーションEGG3で起こった事件の際に見たと話そうとするものの、自慢話だと受け取ったマルメに遮られてしまう。

直後にピグから通信が入り、怪獣ゴグランが暴れているという。一同は急行し、バーディ4機で食い止めようとするが、怪獣の侵攻は止まらない。

やがてヒカリはバーディを着陸させ、ビームフラッシャーを掲げた……が変身することなくベルトに戻し、バーディへと戻ろうとする。その時、彼の頭にウルトラマンの声が聞こえてきた。


「なぜやめる?なぜウルトラマンとなって戦わない?」
「僕は確かにあなたの力で戦うことができる。しかし……」
「しかし?」
「僕は人間として戦ってみたいんだ。ヒカリ超一郎として!」


その言葉に沈黙するウルトラマン。バーディに戻ったヒカリだが、ゴグランはガスタンクへと向かう。やがてマルメの絶叫が響き、彼のバーディが溶解液を受け墜落した。さらにガスタンクはゴグランの攻撃で爆発。その後には焼け野原と焼け焦げたゴグランが残っていた。

負傷したマルメはムツミの看護で意識を取り戻し、ヒカリが途中で独断で着陸したことを詰る。ヒカリはスーパーマードックの上に出て、やはりウルトラマンになるべきだったのかと悩む。追ってきたムツミは彼を励まし、EGG3で起こった出来事を聞かせてくれと言うが、2人の目の前で黒焦げになったゴグランが動き出し、その身体に亀裂が入る。調査員によればおそらくあの黒焦げのゴグランは蛹であり、キャップは爆発の熱で成長が早められたと考える。

羽化したゴグランはその巨大な翅からの鱗粉と風圧で街を破壊しながら飛び回る。スーパーマードックで追う科学警備隊だが、その風圧で機体が揺らぐ。キャップの静止を振り切り、ヒカリは単身バーディで発進する。マルメは怒るが、ムツミはマルメがキツいことを言って追い詰めたから必死なのだと非難する。


「くそ!早くウルトラマンになりたい!」


だがヒカリのバーディはあえなく撃墜され、脱出に失敗したヒカリは地面に叩きつけられて重傷を負う。さらにビームフラッシャーを落としてしまった。

無事であることを通信で伝え、マードックとゴグランの戦いを見上げるヒカリ。ビームフラッシャーを手に取ろうと這うように進むヒカリだが、意識を手放しそうになってしまう。

そんな彼に再びウルトラマンの声が聞こえてきた。


「頑張れ!君自身が駄目になったら私とて力を発揮できない」
「でもダメなんです。僕はやっぱりただの人間だ……」
「ヒカリ、君はなぜ私に選ばれたのだと思う?君のような若者は数多くいる。その中でも私が特別に君を選んだ理由を考えたことがあるか?」


わからないと答えるヒカリに対し、ウルトラマンはEGG3での出来事を思い出せと語る。

あの時、ゴグランの幼虫がステーションのシャッターを食い破ろうとしていたのを見たヒカリは自分の呼吸困難を顧みずに他の職員を助けるために力を振り絞って幼虫を叩き殺した。それをウルトラマンは見ていたのだ。その時の過去の自分と、ビームフラッシャーを取ろうとする今の自分が重なる。

「頑張れ!君は可能性の限界を超えられる!あの時、君は人間としては信じられないくらい長い間酸素欠乏の状態に耐えたのだ!」


ついにビームフラッシャーを手にしたヒカリはウルトラマンに変身。激闘の末にゴグランをプラニウム光線で打ち倒す。


地球防衛軍の医務室でマルメはヒカリに謝罪した。それを快く許すヒカリ。ムツミが包帯を変えようとするが、ヒカリはすっかり傷は治ったと言い、再びランニングに出て行く。EGG3での出来事を聞かせてくれと言うムツミだが、ヒカリはまた今度と言って走り去る。

「そう…君は、EGG3での活躍をついに誰にも話さなかった。自分の手柄を誇りたいのは誰しも無理のない事だ。だが…ウルトラマンになる人間はそうであってはならない。ヒカリ、私は、君を選んだ事を誇りに思う。心から…」

ウルトラマンの声に、顔を上げるヒカリ。その目の前には彼を称えるかのように美しい夏雲が湧き上がっていた。


【解説】

  • ウルトラマンとしての活躍が称賛されないことにヒカリが思い悩み、そこからさらに「肝心な時にいなくなる」というウルトラシリーズのお約束に丁寧に向き合ったエピソードである。
  • さらに見逃せないのが今回においてヒカリの悩みは何一つ解決していないということである。しかしそれをウルトラマンにヒカリが選ばれたことの誇りへ転化させることで一応の答えとして提示した点でもウルトラシリーズで極めて重要だと言えるであろう。
  • そしてこの悩みは46話にて、より深刻な問題として再燃する事となる…


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最終更新:2020年08月12日 11:42