登録日:2025/10/05 Sun 21:59:39
更新日:2025/10/05 Sun 23:14:59NEW!
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E7系はJR東日本、W7系はJR西日本の新幹線電車である。形式名で察した方もいらっしゃるだろうが、この2形式は同一の形式と読んでも問題ないレベルで共通の設計であるため、本項目でも2形式をまとめて解説する。
なお、本項目では特注がない場合、
北陸新幹線は東京~敦賀間、
上越新幹線は東京~新潟間の路線としてみなし、解説を行う。
導入経緯
1997年に高崎~長野間で開業した
北陸新幹線(当時は長野新幹線と案内)は、2015年に長野~金沢間が延伸開業することとなった。区間延伸に伴う増備、及び老朽化が進むE2系の置き換えを目的に、2013年より導入された。
E7系は金沢延伸1年前の2014年3月、W7系は金沢延伸と同じ2015年3月に北陸新幹線にて運用開始。
また、上越新幹線内にも残る
E2系及び、同世代の
E4系を置き換える目的で、2019年に新潟新幹線車両センターにも導入され、上越新幹線での運用が開始された。
車両概説
E7系は47本、W7系は24本が増備され、2025年10月時点では後述の水害による廃車を除いてE7系は39本、W7系は22本が在籍する。
E7系の編成記号は「F」、W7系の編成記号は「W」である。
なお、形式につくサフィックスで所属会社を分けているため、
東海道・
山陽・
九州新幹線の車両のように各車両の形式番号のハイフン以降につく番台で区分はしていない。しかし、ハイフン以降の個体番号の使い方がE7系とW7系で異なり、E7系では設備や機器ごとに区分しているのに対し、W7系はユニット(編成内で車両を複数寮に分けた際の区分)に応じて100番台、200番台、300番台、400番台、500番台としている。
編成は12両編成で、
E1系の増備完了から約19年ぶりに12両編成で新製された新幹線電車である。北陸新幹線で運用されていたE2系N編成は8両編成であり、同じ編成長のままでは延伸後に求められる輸送力が足りないために編成が延ばされた。11号車はグリーン車、12号車はグランクラスとなっている。
北陸新幹線は上越妙高駅を境に南はJR東日本、西はJR西日本が管轄する路線となっており、この2社によって共同開発が行われた。同路線は周波数切り替えや碓氷峠の急勾配を抱えるといった性能面はE2系をベースに開発している。E2系では高速性能と登坂性能双方を兼ね備えた万能型車両として開発されたが、同系の後期に製造された1000番台では北陸新幹線に対応した設備が撤去されており、それぞれの線区に特化した車種を導入する方針がすでに定まっていた。E5系がJ編成(1000番台)の後継であるならば、こちらはN編成の後継として求められる性能を持って生まれている。
最高運転速度は東北・上越新幹線内では275km/h、北陸新幹線内(高崎~敦賀)では260km/h。無論この数値はE2系と同等の高速性能を持つことを意味する。
北陸新幹線沿線のイメージより、和風をモチーフとしたデザインがなされ、さらに「洗練」と「ゆとり・開放感」のキーワードをもとに、奥山清之によるデザインがなされている。
車体外観はノーズ上部から屋根にかけてと窓下のアクセントの帯が空色、側面はアイボリーの配色で、屋根と側面の境界と、窓下に銅色の帯が入る。
側面窓下の帯は上が銅色、下が空色となっている。
F21・22編成は上越新幹線導入開始から2021年まで、上越新幹線のイメージカラーである朱鷺色が窓下の空色の帯の下に追加されていた。
ロゴは、すべての編成で数字の「7」をモチーフに「輝く未来に向かって突き進むイメージ」をコンセプトにした、鋭い印象のものが張られている。遠目ではカタカナの「フ」に見えなくもない。
F21・22編成では朱鷺色の帯と同じ時期に、さらに朱鷺の羽をモチーフにしたロゴが設置されていた。こちらは稲穂もイメージしている。
先頭部はE2系と同等のノーズ長であるが、イメージ刷新を図りE2系よりも直線的なデザインとなっている。イメージは刷新されたが、キャノピー構造の運転台にその前後は青い配色なところはJR西日本の
500系を、ヘッドライトもE2系とは違いノーズ側面に設置され、
100系や
200系といった国鉄時代の新幹線車両をほうふつとさせる配置であり、新型ながらどこか既視感を覚えるフォルムである。
グランクラスはE5系とほぼ同等の設備を持つが、デッキにて四季それぞれをモチーフにした装飾の柱が設置されている。下り側デッキには冬、上り側デッキにはそれ以外の季節の装飾が見られる。
グリーン車は青系、普通車は赤系の座席が並ぶ。
グリーン車の座席も、背面・座面を自動で連動してリクライニングするようになっている。
車内照明は本形式よりLED照明を本格採用、全席に電源コンセントを設置した。これらはH5系やE5系後期車でも採用された。
E7系とW7系の違いは、形式や編成番号以外ではロゴ下の社名表記以外では車内チャイムが異なり、E7系では1991年の東京駅開業以来、上越・北陸新幹線用に使われているオリジナル曲であるが、W7系では谷村新司の「北陸ロマン」が流れる。なお、W7系デビューから半年は、東海道・山陽・九州新幹線のJR西日本所属車と同じく「いい日旅立ち・西へ」が流れていた。運行区間的には原曲の「いい日旅立ち」と解釈できなくもないが。
運用
2025年現在、北陸新幹線東京~敦賀間、上越新幹線東京~新潟間で運用。
原則として長野車およびW7系は北陸新幹線で、新潟車は上越新幹線で運用される。しかし、長野車で上越新幹線の、新潟車で北陸新幹線の代走に入ることがあるほか、高崎以南のみで運行される早朝・深夜の「たにがわ」では、運用の兼ね合いでごく一部が長野車またはW7系が所定で運用に入っている。
団体臨時列車として、北陸新幹線~東北新幹線を大宮でスイッチバックする形で直通運転する運用が行われたこともある。
災害による廃車
2019年10月に発生した台風12号の影響で千曲川堤防が決壊し、長野新幹線車両センターが浸水する状況に陥った。
E7系8本、W7系2本が被害に遭い、当時上越新幹線用に増備されていたF23~27編成の長野暫定転属や一部編成の共通運用化、F40~42編成、W12・13編成の代替新製による北陸新幹線輸送力の確保が行われた。
間接的に影響を受け、車両数が不足してしまう上越新幹線では、E/W7系の代替新製完了後の2021年10月までE4系の引退が繰り下げられた。
関連作品
言わずと知れた鉄道玩具の金字塔でももちろん発売。
2014年に発売された「
E7系かがやき立体レールセット」でデビューを飾り、テコロジーやサウンド、笛コンといったギミックを搭載した特別仕様のセット品が続々登場。なお、単品化は意外と遅く、2022年。
これらはE7系として発売され、W7系として発売されたのは2023年に敦賀延伸を前もって祝った「W7系北陸新幹線かがやき 鉄道道路併用橋セット」。
無印、Z、CWと3作続けて登場。いずれの作品でもパワータイプと位置付けられており、無印とCWではドリルを装備する共通点が存在する。
なお、いずれも「E7かがやき」名義であり、W7系のシンカリオンや、上越新幹線仕様のE7系のシンカリオンが登場したことはない。
NHKEテレで放送されている教育番組「おかあさんといっしょ」の派生番組、「おとうさんといっしょ」の楽曲。
2014年6月に初めて披露された。歌詞の内容は特にE/W7系にクローズアップしているわけでもなく、他の列車名や車両形式も登場する。
本作がなぜE/W7系と関係するのか、と考えた方もいらっしゃるだろう。E7系デビュー当時のCMでは「セブン」にちなみ、本作のオープニングテーマをオーケストラアレンジしたものが使用された。
搭乗する車両の一つ、ハンゾーは本形式群をモチーフとしている説が存在する。
アプリ「Link!Like!ラブライブ!」の活動記録劇中にて登場したほか、アイドルマスターとのコラボ企画「アイラブ歌合戦」に合わせて描かれたイラストでは、本系列群普通車車内に
日野下花帆と
乙宗梢が座るものが存在。
余談
- アニヲタwiki(仮)では、本項目の執筆をもって、2025年10月時点で営業運転を開始済みの新幹線電車全形式の項目が出揃った。
追記・修正は台風で犠牲になった車両に黙祷をささげてからお願いします。
- W7は定期運用で小山新幹線車両センターへの回送が組まれているらしい -- 名無しさん (2025-10-05 23:14:59)
最終更新:2025年10月05日 23:14