アポピスの化神(遊戯王OCG)

登録日:2025/10/06 Mon 07:08:16
更新日:2025/10/06 Mon 08:54:16NEW!
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(トラップ)モンスターカード、アポピスの化神!!


《アポピスの化神》とは、遊戯王に登場した罠カード、およびそれをモチーフとした遊戯王オフィシャルカードゲームの罠カードである。
項目名は「アポピスの化神」となっているが、この項目ではのちに登場、テーマ化をした【アポピス】カードについても解説する。

なお、このカードのカード名はアポピスの「化」ではなく、アポピスの「化」である。すごく勘違いしやすいのでこの機会に覚え直そう。*1




OCGにおける《アポピスの化神》


アポピスの化神
永続罠
①:自分・相手のメインフェイズにこのカードを発動できる。このカードは通常モンスター(爬虫類族・地・星4・攻1600/守1800)となり、モンスターゾーンに特殊召喚される(罠カードとしても扱う)。

週刊少年ジャンプ2001年36・37号の付録カードとして2001年8月にOCGに実装。
発動後、モンスターカード扱いとして特殊召喚される永続罠カード。所謂「罠モンスター」として登場した初の罠カードである。

お互いのメインフェイズ限定で発動でき、発動後に地属性爬虫類族通常モンスターとしてフィールドに特殊召喚される効果を持つ。魔法・罠ゾーンから突如モンスターを展開できるため、追加でモンスターを展開して奇襲をかけることが可能。
モンスターとしてのステータスは攻1600・守1800の下級モンスターと当時基準ではまあまあの数値。攻守のバランスは良いが逆に言うと突出した強みは特にない。召喚後は特に効果も持たないため、メインフェイズにしか発動できない点も含めて後発の罠モンスターに比べると奇襲性は低めである。
だが当時としては召喚権を使わずにモンスターを展開できる手段としては斬新かつとても優れた存在であり、トークン生成カードと違い特に発動後の制約もない。そのため生け贄召喚の生け贄要員として非常に優れており、をはじめとした上級モンスターを要する多くのデッキに採用されてきた。
だがしばらくすると、1800という高い攻撃力を誇りバーン効果が強力な《死霊ゾーマ》や、3000という破格の守備力を誇る鉄壁《メタル・リフレクト・スライム》などが登場。これらがメインフェイズ以外でも発動可能であったこともあり単純なモンスター展開要員としてはそちらの方が優先されることになる。
とはいえ、その2体が若干クセがあり攻撃か防御に振り切った性能であったことと、状況に応じて攻撃と防御どちらにも応用が効く点などから《アポピスの化神》を引き続き採用する決闘者もいたという。

後の世代でも罠モンスターは後の世代で更に数や種類を増やしていくが、メインフェイズ限定なことを除けば比較的クセが少なめであり、罠モンスターの開祖なだけあって愛用者も多く、星4であることを生かしてS召喚X召喚の補助として使われることもあった。
流石に2025年現代基準では単体で見た場合、展開要員としてもモンスターとしても非常に厳しいため単体採用されることはまずない。しかし当時の遊戯王の戦略の幅を広げ、当時の決闘者の多くの相棒として活躍してきた、遊戯王の歴史においては重要なカードといえるだろう。
なお2025年現在でみても通常モンスターとして特殊召喚される罠モンスターは非常に少なく、大半の罠モンスターが効果モンスターである。この通常モンスターである点を活かして【原石】や【天威】のサポートを得ることも可能なためそれらを軸にしたデッキを組んでみるのも可能である。罠モンスターであるために扱いは少々難しいが…。

ちなみに特殊召喚された後は通常モンスターとして扱いつつ、モンスターゾーンにいながら罠カードとしても扱われる、という罠とモンスターの2つの性質を併せ持つ特殊なカードとして処理される。この性質が影響し、モンスターの表示形式を変更する《月の書》や罠を無効化する《人造人間-サイコ・ショッカー》などが絡むと処理が特殊かつややこしいことになる。詳細については罠モンスターの個別項目を参照。


原作およびアニメ版における《アポピスの化神》


お前の言うとおり、私のデッキは大半が罠と魔法カードで占められている。
だがモンスターカードの役割を補う罠カードが存在しているとしたらどうなる?


原作アニメ共にバトルシティ編にてリシドの使う罠カードとして初登場。「神の聖域を汚す者に裁きを下すカード」と称される。
OCG版とは若干効果が異なり、相手の攻撃宣言時に発動してモンスターゾーンに特殊召喚されるカードとなっている。
城之内vsリシドにて、城之内の《ロケット戦士》の攻撃を《ウジャト眼の念力》で往なした際に3枚同時に発動、特殊召喚される。リシドの罠による妨害も絡めて城之内を追い詰めるが、最終的に《人造人間-サイコ・ショッカー》の効果で全て破壊された。
その他、「乃亜編」の回想シーンにて海馬瀬人海馬モクバに株の仕組みをカードを用いて説明する際にその中のカードに《アポピスの化神》が入っている。


《アポピスの化神》に関連するカード


澱神アポピス
永続罠
①:自分・相手のメインフェイズにこのカードを発動できる。このカードは通常モンスター(爬虫類族・地・星6・攻2000/守2200)となり、モンスターゾーンに特殊召喚される(罠カードとしても扱う)。その後、自分フィールドに他の永続罠カードが存在する場合、その数まで相手フィールドの表側表示カードの効果をターン終了まで無効にできる。

2022年に「PHARAONIC LEGEND PACK」で登場した《アポピスの化神》のリメイクカード。応募者全員サービスパックでの登場であり、本家《アポピスの化神》同様雑誌特典での初登場となった。
モンスター単体としてみても本家からレベル、ステータス共に順当な強化を得た強化版であり、この時点でも結構強力な性能を誇るのだが注目するべきはその罠カードとしての効果。なんと自分を除く他の永続罠の数だけ相手フィールドの表側表示カードの効果をターン終了時まで選んで無効化することができるという恐ろしい効果を持つ。
自分フィールドに存在する永続罠カードが多ければ多いほど相手フィールドの永続罠、永続魔法、表側表示のモンスターの効果すべてを永続罠の数だけ無効化することができる上、条件を満たせば罠カードの天敵《ハーピィの羽根帚》に対して無効を返すこともできたりと非常に強力。
加えてこのカード自身に名称ターン1の制約がないため、《澱神アポピス》に《澱神アポピス》を足すことでも無効化できるカードを一気に増加させることができ、更にこの効果はモンスター効果でなく罠カードとしての処理なため《スキルドレイン》下でも作用するどころか、その《スキルドレイン》を効果無効の増加に使うことができたりと、永続罠を要するデッキに新たな選択肢を加える優秀なカードである。
欠点としてはメインフェイズでしか発動できないのは本家と変わっていないため一部の速攻魔法や罠カードには対応しきれないこと、また「自分を除く」永続罠カードの数が無効化の回数なため単体ではただの永続罠モンスターでしかないこと。前者は無効化持ちでありながらバトルフェイズ終了時に発動できる《拮抗勝負》に太刀打ちできないのは痛いデメリット。後者はこのカードしか永続罠を引けなかった場合特に何も起こらないため、永続罠関係のサポートは必須。
永続罠を多く使うデッキとしては【エルドリッチ】などが代表例だが、アンデット族縛りが一部カードに存在するため、爬虫類族であるこのカードを採用する場合、運用のタイミングには気をつけたい。

本家《アポピスの化神》との相性は、自身が永続罠であることから効果無効の回数稼ぎに使うことは一応可能なのだが単体では何も起こらない上に重ねるならば《澱神アポピス》を重ねたほうが好都合なことが多く、レベルの違いからX召喚にも転じられないので特別相性がいいかというと登場当初の時点では微妙なところ。

後に高レベルシンクロを要する上に自身を永続罠扱いで置くことができる【センチュリオン】や大量の永続罠モンスターを表側表示でトリッキーに展開する【ARG☆S】などで注目され、雑誌特典で複数入手が大変なこともあり、長らく1枚1000円以上、高い時では2000円を超えるほどに高騰していたが、後に下記の《アポピスの蛇神》が登場した「WORLD PREMIERE PACK 2025」にてレアで再録*2されたため値段は落ち着いた。


アポピスの蛇神
永続罠
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
①:このカードは発動後、通常モンスター(爬虫類族・地・星4・攻1600/守1800)となり、モンスターゾーンに特殊召喚される(罠カードとしても扱う)。その後、デッキから「アポピスの蛇神」以外の「アポピス」罠カード1枚を自分フィールドにセットできる。この効果でセットしたカードはセットしたターンでも発動できる。
②このカードが墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「アポピスの化神」1枚を手札に加える。

2024年に海外先行で登場し、2025年に「WORLD PREMIERE PACK 2025」で日本に上陸した新たなる「アポピス」罠カード。このカードの登場により【アポピス】がカテゴリ化。これに伴い《アポピスの化神》もカテゴリカードへの仲間入りを果たした。【王家の神殿(リシド)】でも【アポピス】をカテゴリ名指しでサポートするカードが存在する。
ステータスは本家と一切変わらない上に「アポピス」罠カードで唯一名称ターン1の制限がついているが、ついにメインフェイズ以外でも即時発動が可能になった上にその効果はとても優秀なものとなっている。
①の効果は通常モンスターとして特殊召喚されたあと、自身以外の「アポピス」罠カードをセットする効果。この効果でセットしたカードはそのターンに発動することが可能なため、即座に2枚の「アポピス」罠カードが場に揃う。
これで持ってくるカード筆頭は上述の《澱神アポピス》だろう。スタンバイフェイズに発動し、空いた魔法罠ゾーンに《澱神アポピス》をセットすることで「永続罠1枚+《澱神アポピス》1枚」が成立し、確定でフィールドの相手カードの1枚無効が成り立つ。
ここに他の永続魔法が加わればその枚数は更に増加し、非常に厄介な盤面となるだろう。単体では効果無効が機能しない《澱神アポピス》の弱点を補うことができ、《王の遺宝祀りし聖域》や《影法師トップハットヘア》で持ってくるカードとしては驚異の性能を誇る罠モンスターである。

②の効果は墓地に送られた際に《アポピスの化神》をデッキからサーチする効果。手札、デッキ、フィールド、どこから墓地に送っても発動するほか、本家《アポピスの化神》を直接名指しでサポートする効果であり、これにより《アポピスの化神》を戦略的に採用する意義が生まれた。当然単体ではただの効果なし永続罠モンスターではあるが利用方法はいくらか考えられ、例えば【エルドリッチ】などに「アポピス」を出張させる場合、《黄金卿エルドリッチ》のコスト確保としてこのサーチ効果が役立ってくれる。

本家《アポピスの化神》との相性は当然良好であり、フルで効果を発揮するためにも1枚は採用しておきたいと思える性能となっている。①の効果で持ってくることは少ないだろうが、②のサーチで手札に持ってくることで色々な活用方法が生まれるだろう。効果がないゆえにサーチする前に手札に来てしまったら困るため採用枚数はよく考えておきたい。


聖神蛇アポピス
融合・効果モンスター
「王家の神殿」のカード名が記されたモンスターx2
このカードは融合召喚及び以下の方法でのみ特殊召喚できる。
⚫︎自分フィールドの「アポピス」モンスター2体をリリースした場合にEXデッキから特殊召喚できる。
①:1ターンに1度、自分の墓地の「アポピス」罠カードを3枚まで対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。そのカードを自分フィールドにセットする。
②:1ターンに1度、罠カードが発動した場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動できる。そのカードを破壊する。


《アポピスの蛇神》と同時に実装された「アポピス」融合モンスターであり、【アポピス】において唯一罠モンスターではないカード。
融合召喚での召喚も可能だが、効果のシナジーも含めて基本的には効果外テキストである「アポピス」モンスターをリリースしての特殊召喚になるだろう。
①の効果は「アポピス」罠カードを墓地から最大3枚までセットする効果。同名カードは1枚までだが、融合に使ったカードを含め大量の「アポピス」罠カードを再度展開可能であり、《アポピスの蛇神》の効果も合わせると最大4枚の「アポピス」罠カードを次のターンに展開できる。当然《澱神アポピス》との相性は良好であり、一度に最大3枚もの効果無効が成立することとなる。
②の効果は罠カードの発動をトリガーに相手フィールドのカードを破壊する効果。①の効果でセットした「アポピス」罠カードがそのまま発動トリガーになる他、罠カードの種類は問わないためアポピス以外の罠カードでも効果を発動することができる。こちらも《澱神アポピス》との相性が良く、《澱神アポピス》の効果で無効化したカードをそのまま効果を無視して叩き割ることが可能。
更にこの効果は名称ターン1制限を持っていないため、もし2体並べることができたら2体分の効果を発動することができ制圧効果は更に上がる。
既存の「アポピス」罠カードと合わせて凄まじい制圧効果を有しているが、召喚のための素材が基本的に「アポピス」罠カードになってしまうため特殊召喚にタイムラグが生まれてしまうのがネック。だが《王家の神殿》の効果を用いれば《アポピスの蛇神》と合わせて先攻1ターン目での特殊召喚が可能。《王家の神殿》をサーチできる関係から【王家の神殿】においては妨害の要となるモンスターになれるだろう。


こちらも本家《アポピスの化神》との相性が良好であり、効果をフルに活用するなら自身のサーチが可能な《アポピスの蛇神》と一緒に採用したい。加えてこれまで相性の微妙だった《澱神アポピス》の妨害の一手として活躍することができるようになった。
しかし罠モンスターとして展開する上に数が多いため、考えなしに使い続けると《聖神蛇アポピス》含めメインモンスターゾーンの数をものすごく圧迫する。特殊召喚できなければ効果のないただの永続罠カードと成り果てるためフルで効果を発揮するなら《I:Pマスカレーナ》経由でL召喚などの「アポピス」を墓地に送りモンスターゾーンを空ける手段はほぼ必須。ただ全ての「アポピス」罠カードが通常モンスターとして特殊召喚される都合、「アポピス」罠カードを経由してL召喚の素材にする場合、効果モンスターを要求するLモンスターにはアクセスできない。特に効果モンスター2体を要求する《S:Pリトルナイト》になれないのは明確なデメリット。L召喚を絡める場合《トロイメア・ユニコーン》などの通常モンスターでもL召喚が可能なモンスターも選択肢に入れる必要があるだろう。


余談

《アポピスの化神》が付録として付いていた週刊少年ジャンプ2001年36・37号だが、この号はあのBLEACHの連載開始号である。もっとも遊戯王とは直接関係ないのだが、表紙の一護のポーズがアポピスのポーズと若干似ていること含めて週刊少年ジャンプおよび遊戯王の歴史について語る際に一緒に語られがち。



今見せてやろう、項目を汚す者に裁きを下す、追記・修正を!

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最終更新:2025年10月06日 08:54

*1 Googleの検索予測でも「化身」の方が先に出るほか全体の検索数も「化神」の検索数はとても少ない。

*2 同時に海外シークレット仕様も実装された。