登録日:2025/10/06 (月) 12:58:14
更新日:2025/10/06 Mon 15:40:07NEW!
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迷いも疑いも全てを包み込み 等しく無へと帰すのです
ブライス・フェアチャイルドは、『
龍が如く8』の登場人物である。
CV:古谷徹
概要
ハワイに存在する宗教団体「パレカナ」の現代表。
パレカナはハワイで数百年の歴史を持ち、「ネレ」という名の火山の女神を信仰している教団。そしてその信仰を起源として『自然とその中に生きる他者にも慈愛を持って接する』という教義から、ホームレスが住むシェルターや児童養護施設・母子家庭への支援施設などの経営、ゴミ拾いや街の見回り活動といったボランティアを積極的に行っている。
パーティメンバーの一人であるエリック・トミザワも一度パレカナのフードバンクを利用しており、その際に勧誘などは行われていないことから、
どっかのインチキ宗教とは違って、見返りを求めない純粋なボランティア団体としての側面が強い。
そしてその現教祖であるブライスも、『すべての寄る辺なき者によすがを』という信念から慈善事業に一層と力を入れており、信者や周囲の人物からの信頼も厚く、「神の寵愛を受けている」と言われている。
ブライス自身も教祖という立場ではあるものの決して偉ぶったりはせず、信者や子供たちに寄り添って接する穏やかな老紳士である。
活躍
第五章『魅せられて』で初登場。
春日達に敗北して銃を取り出したチンピラ達に対して「ネレ神は人間の争い事に火を使うことは許さない」と銃を渡すように語りかける。それを無視したチンピラ達は玉詰まりを起こした銃で無理矢理撃とうとした結果、銃が暴発して顔を怪我するという、ブライスの言う通り天罰が下ることとなった。
この時、背景のウォールアートと組み合わさってブライスの背から翼が生えているような格好となり、非常に神々しい印象を植え付けられる
その後春日達は児童養護施設にてブライスから茜について聞くこととなる
ブライス曰く、日本に居られなくなり、かといって親戚にも頼ることも出来なかった茜に手を差し伸べたのがパレカナであり、茜は無垢な信仰心を持つ正に教徒の鑑のような人物であったという。
ブライスも選ばれし教徒の証として「ハク」を授けようとそれとなく伝えたが、茜は最後まで児童養護施設の所長として支え続ける事を選び、そんな茜が失踪したことに関しては非常に心配していると語った。
そして茜の無事を確認できたらすぐに自分に知らせてほしいと春日に頼み、春日もそれを了承するのだった
以下ネタバレ注意
彼らは今もなおパレカナを勝手に信じて、勝手に救われて死んでいくのです
その正体は、ハワイの裏社会を牛耳る『オーナー』その人であり、春日一番パーティーでのラスボス。
「こんな
胡散臭い声の奴が善玉なわけない」というプレイヤーのメタ的な予想は本当だった。
外国人のラスボスは『0』の老鬼以来、加えて
作中の描写から実年齢は100を優に越えており、宗像征四郎を上回るぶっちぎりの最高齢のラスボスでもある。
元々は海外マフィアの一員であり、その本性は自分の野望の為なら他の人を平気で切り捨てる冷酷な人物。
表向きの心優しい性格は演技であり、パレカナに対しても「単なるツール」としか考えておらず信仰心も皆無である。
そんな彼がわざわざパレカナの代表になった理由、それはパレカナの聖地『ネレ島』の存在であった。
ネレ島は周りを太平洋で囲まれていることで本土から物理的に隔絶されており、更にハワイ王朝の時代からパレカナという宗教団体が所有していることから法的にも外部から機密性が遮断されている場所、謂わば島全体が巨大なブラックボックスみたいなものである。
ブライスはこの『ネレ島』を悪用し、各国の中枢が抱えている厄介なゴミを引き受け、それを良いことに弱みを握ることで世界全体に影響力を持つ文字通りの神になるという壮大な野望を実現せんとしていたのである。
本作で語られた『原発の核のゴミ処理』というのはその一端に過ぎず、ビジネスパートナーである海老名にも新たなシノギとして教えていた。
こうして教団に入り込んだブライスは、マフィアにて上下関係に関しての身の振り方を心得ていたのもあって長い年月をかけて信用を勝ち取り、遂には教団の次期代表を目されるまでになる。
しかし、先代代表がネレ島を売却してその金をボランティアに宛てようとし、売却の話が順調に進んでしまった。
焦ったブライスは穏便に代表の座を譲り受けようとした当初の計画を変更、雇った殺し屋に夫妻2人を殺害させ代表の証であるペンダントを奪わせた後、口封じとしてその殺し屋も射殺して強引な形で代表の座についた。
これがゲームスタート直後のムービーの一部始終である。
また、この計画は70年以上前から進められてきたとブライスは語っているが、ガンジョーのボスであるウォン・トー曰く、少なくとも30年以上前からブライスの支配は行われており、その頃から今まで姿が全く変わっていないらしく、ある意味で人間離れした体質を持っている。
さらにブライスは選ばれた信者である「ハク」すらも悪用。教祖としての立場を利用して一部の信者に自分自身を信仰するよう仕向け、彼らにハクを授けてネレ島に送った後に
・年若の子供達に銃を持たせて、裏切り者の粛清やマフィアの口封じとして実際に射殺させる
・信仰心を試すために信者同士で殺し合いをさせる
といった洗脳教育を施して自分に忠実な狂信者を構築。そして密かに彼らをハワイ本土に送り返し、司法や警察組織、そしてバラクーダやガンジョーといったマフィアにスパイとして潜伏させることでハワイの表と裏を同時に支配した。
この狂信者による網は根深く、肉親を殺されて密かに復讐の機会を伺っていたウォン・トーの徹底的に厳選した部下にも紛れ込んでおり、ウォン・トーの裏切りを知らせるためにビルの最上階から躊躇なく投身自殺をするという狂気性も孕んでいる。
こうしてハワイの表と裏を支配したブライスだったが、彼の預かり知らぬ所で決定的な大誤算が生じていた
実は、先代代表のミリラニ夫妻はブライスの本性に気付いており、万が一の事態に備えて身に付けていた代表の証であるペンダントをニセモノにすり替えていた、そして入信者の一人であるラニに本物のペンダントと「ブライスを代表として認めず、ミリラニ家の中から選挙で代表を決める」と記した遺言状を託していたのである。
しかしラニから遺言状を見せられた茜はその内容を信じることはできず、ブライスに報告してしまう。事の全てを知ったブライスはラニを殺そうとし、咄嗟に茜はラニを連れて逃走。ブライスは茜らを確保するためにマフィア達を総動員させて行方を追っていた、というのが本作の一連の顛末であった。
その後の動向
ウォン・トーから全てを聞いた春日達はパレカナの児童養護施設に向かい、そこでブライスに遭遇。
春日達の問いかけには一切応じずに、狂信者と海外マフィアをけしかけて行方をくらました。
その後春日達に同行しつつ、密かに海老名と繋がっていた三田村英二の策略により、花輪とウォン・トーを射殺してラニと本物のペンダントを回収することに成功。その後、ラニの身柄はバラクーダのボス・ドワイトの手に渡り、ドワイトはその旨をブライスに報告するが、「もっと早く片付けていれば海老名の手を借りずに済んでいた」「いつか足元を見られるようになったらお前の責任だ」とブライスから釘を刺されるようになる。
しかしコミジュルの手によってラニをネレ島へと移送する船を特定されたことで、ネレ島へ連れて行く直前で春日達によって取り返されてしまう。更に春日達に協力していた山井が自らが国際指名手配されている立場を利用して「自身の出頭と引き換えにラニや春日達を秘密裏に日本に入国させる」という計画を伊達に提案、伊達がそれを了承して警視庁・海上保安庁の協力によって春日達のハワイからの脱出を許してしまう。
その後、海老名とブライスの計画を止めるべく大道寺一派の力を借りてネレ島に乗り込んだ春日達を最深部で待ち構える。
信仰心を利用され、最終的にハクとして死ぬことを後悔するような顔で死んでいった友人の事を思い糾弾するトミザワを「ハクならばパレカナの為に死ぬことは最高の誉れ。そう思えなかったのは信仰心が足りないからだ」と言い放ち、さらに自身が信者たちを裏切ってパレカナを悪用していることに関しても、「信条と掟の元で生成される上下関係がある点はマフィアも宗教も同じようなもの」「ネレ神という存在しないもので信者たちを騙し続けているのは今も昔も変わらない」と開き直る。
そのように信者を見下し続けるブライスに対して春日は「テメエの胡散臭さを先代代表は感じ取っていたから、まんまとニセモノの証を掴まされてハメられたんだろ」「嘘がバレることを恐れてたった一人の女の子をマフィアを総動員させて追いかけまわしたチンケな野郎」と正論をぶつける。レスバに敗北したブライスはこれ以上春日達が聖地にいることはネレ神が許さないと自らの所業を棚に上げて勝負を仕掛ける
戦闘
序盤は自らは前線に立たず、自身の『パレカナ戦闘員』に戦闘を任せる。
後方にて『浄化』という名の手榴弾を投げてくる他、『招集合図』で信者を一人ずつ召喚してくる。
綺麗事だけでは務まりません。尊い犠牲があっての信仰なのでね
全ての戦闘員を倒すと、弱った信者を背後から蜂の巣にしながら『パレカナ精鋭部隊』が登場。
このターンでは『招集合図』で『狂信者』を召喚。狂信者は自身のターンになると自爆特攻で大ダメージを与えてくるため、長期戦は禁物。
そして精鋭部隊を倒すと、助けを乞う信者をサブマシンガンで惨殺し、両手にサブマシンガンを持ち参戦。サブマシンガンって…もうちょい神秘的な攻撃は無いんですか?信仰心0で元々は海外マフィアだと考えると妥当ですけど
前方にいる味方パーティ複数にダメージを与える『ダーティショット』や、全体攻撃である『パージバレット』、周辺のパーティ全員に熱気ダメージを与え、確率で熱気やられを付与する『リセットディメンション』といった広範囲かつ高ダメージの技を使用してくるため回復は必須となる。
そしてブライスのHPを80%以上削るとSMGを春日に蹴り飛ばされてしまい、落ちている剣を拾って戦ってくる。
しかしこの時行ってくる攻撃はどれも攻撃力の低い攻撃ばかりであり、ターンによっては何もしてこない場合もあるため文字通りの『悪あがき』に等しい。ここまでくれば倒されることもないため思う存分技を使って倒そう。
末路
戦いに勝利した春日達は事実を全て世間に公表すると言うが、ブライスは世界中の国からケツ持ちがある状態で今更計画がとん挫することはないと勝ち誇る。
しかしそこで動いたのは大物VTuber・多々良ひそかの中の人、不二宮千歳だった。
千歳は自身のチャンネルでゲリラ配信を行い、核廃棄物が野ざらしとなっているネレ島の様子をインターネット上に公開。ブライスは「そんなネットの動画など簡単に握りつぶせる!」と喚き散らすが…
千歳「ではここで別の方からコメントを頂きましょうか!もしもーし!聞こえますか?」
千歳の呼びかけに応じたのは、千歳の父親であり、不二宮グループの会長である不二宮和成であった。
不二宮グループの傘下である不二宮海運はブライスが計画したプロジェクトの海運部門を担っていた。千歳は日本を発つ前にこれまでの事実を全て打ち明けて「こんなことをしてまで金儲けをしたいのか」と大喧嘩も交えた説得を行っていたのである。
ネレ島の現状を見た和成は自らの引責も覚悟の上でプロジェクトからの撤退を表明。「廃棄物の運搬」というよりにもよって一番必要な場所が抜けたことに加えて、グループの会長が配信上で明言したことで有耶無耶にすることが困難となってしまい、ブライスの計画は呆気なく頓挫してしまったのである。
全てが無に帰してしまったブライスは『世界中から求められていた計画をお前たちは台無しにしたんだ!』『自分という必要悪がいなくなることで、核廃棄物の現実とどう向き合うか見物だ!』と負け惜しみをぶつけ、核廃棄物で汚染された池に身を投じるのだった…
…が、そのブライスの足を掴んだのは春日だった。
この汚れた地の底に沈まれたら……簡単に死体を引き上げることすらできねぇ
このドラム缶を全て引き上げるまで死んだお前に睨まれてたら気分悪いだろうが!!
俺はなぁ、約束しちまったんだよ!死んでチャンチャンなんてのは認めねえ!!
てめぇみたいなクズをカッコよく死なせるワケにはいかねえんだよ!!
死んでいち抜けたってのは許さない、最後まで生き抜いてから死んでくれ。そう
桐生に約束させた春日
そんな春日が何の罪も償わずに死のうとしているブライスを見逃すはずがなかったのである。
そんな春日と仲間たちの手によってブライスは引き上げられ、最終的に足立の手によって確保。
自分の利益の為に他人を利用するだけ利用した『悪魔』は、どんな人間だろうが手を差し伸べられる『勇者』の手によって倒されたのだった…
総評
人一人を何の躊躇いもなく殺せる冷徹な性格に、『オーナー』という地位を手に入れるために何十年にも及ぶ計画を立てる周到性・そして何十年も生きながらその容姿が全く変わらないという化け物じみた不老長寿と本作においてとてつもないインパクトを残すブライスだったが、その計画が破綻した原因を考えると自分自身がボロを出したものによる事だった。
ブライスが茜を追っかけまわしていた理由は、茜が連れている少女・ラニとラニが持つ本物のペンダントであったが、そもそも茜の下に出向いた際に目の前でラニを殺そうとしたことが全ての発端である。
この時、ラニ自身はペンダントと遺書の重要さについては全く分かっておらず、茜も遺書の内容に関しては半信半疑であった。つまり、茜に相談されて出向いた時点で「真偽についてはこっちで確かめてみる」「取り敢えず遺書とペンダントに関してはこちらで預かる」と穏便な形で遺書やペンダントを預かる方法はいくらでもあり、口封じをするにしても警察や司法機関を支配できている状況であれば先代代表の如く事故として処理することもできたのである。
ブライス自身は、「念には念を」「別に放っておいても良かった」と言ってはいるが、皮肉にも目の前でラニを殺そうとしたという行動が遺書の内容が本当であることを茜が確信するきっかけとなってしまっているため、端から見れば墓穴を掘ったようにしか見えないのである。
それは同時に、ブライスが事の全容が明らかとなることを何よりも恐れていた小心者であることを示しているとも言える。故に、自らを「神」と宣うブライスに対して、『チンケな神様もいたもんだ』と称した春日の言い分は的を射ていると言えよう。
また、小心者であることを抜きにしても、ブライスの計画には大分無理があると指摘する声もある。
ブライスは『各国の厄介なゴミを引き受けて世界中の弱みを握る』という計画の一端として、核廃棄物の処理を引き受けたが、春日達が乗り込んだ時点で洞窟の殆どが核廃棄物で埋まっていて長期的に収容し続けるのは困難な状態になっていた。
それどころか、処理に関しても厳重な管理の下に保管している訳ではなく、核廃棄物が詰まった大量の容器を積み上げているだけで、容器の中には錆び付いているものも存在する有り様。言ってしまえば単なる『不法投棄』であり、容器が破損して中の廃棄物が外に出れば周囲の自然環境にまで被害が出るのは明白。後日談にあたる『8外伝』では実際に核廃棄物が海に流出していることが発覚して騒ぎになっている。
そうなればいくら各国のバックアップがあるとしても、世間に発覚することは避けられない。仮に各国に圧力をかければ揉み消せると考えていたとしても、千歳の説得があったとはいえ本質を知った不二宮グループが手を引いてしまっている事を考えれば浅はかな考えと言わざるを得ないだろう。
この件に関してはビジネスパートナーである海老名も指摘しており、海老名も計画の失敗は既定路線であることを承知で協力していることから、春日達がいなくともどのみちブライスは破滅していたとも考えられよう。
余談
『8外伝』では
海賊などの犯罪者達が集まる楽園「マッドランティス」を作り上げたのがブライス本人であったことが語られる。
そして『8外伝』のラスボスはそのマッドランティスを「表社会には絶対にバレない裏取引の聖域にする」というブライスの意志を継いだかのような野望を掲げ、真島達に立ちふさがる。
ちなみにブライス本人は写真以外では登場しない。
また、ブライスの長寿の一因は、エスペランサの宝の一つである『不死の薬』・その正体である龍涎香を飲んでいたからであると示唆された。
龍が如くシリーズには、バブル時代から容姿が変わらないオバちゃんもいるが、彼女も龍涎香を嗜んでいるのだろうか?
追記・修正は120歳以上生きた人にお願いします。
- PVで出てから招待が確定するまで徹頭徹尾怪しさの塊だったから正体明かしてもですよねーってなった。まあ開発にミスリードとかの意図は無かったんだろうけど。 -- 名無しさん (2025-10-06 13:38:53)
- 端役にするには声優が大物すぎる モロバレだ -- 名無しさん (2025-10-06 14:39:15)
- 小物さに比例してしでかしたことがでかすぎるんだよな。7エピローグの沢城みたいに生気の抜けた状態で惨めなムショ暮らしをしていてほしいわ -- 名無しさん (2025-10-06 15:33:13)
最終更新:2025年10月06日 15:40