両さんの繁盛記!の巻(こち亀)

登録日:2020/11/30 (月) 12:02:14
更新日:2020/12/02 Wed 09:06:08
所要時間:約 10 分で読めます





こち亀のエピソードのひとつ。単行本第47巻に収録されている。
アニメでは「そば屋再建計画!」のタイトルで第19話として放映された。


◆ストーリー


両さん中川は、段々と寒くなってきた冬空の下、共にパトロールをしていた。
そんな中、両さんは「体が温まる物でも食べていこう。おごってやるよ」と珍しく上司らしい気前の良さを見せていた。
それを受けて中川が目についたお店を提案するが、それは最高級の字が目立つふぐ料理のお店だった。


両津「こないだフグを食べすぎじゃってな! フグ見ると気持ち悪くなっちゃうんだ」

中川「それは残念ですね」


続いて中川が新たな店を見つけて提案するが、そこもまたいかにも高級そうなうなぎ専門の店だった。


両津「長い物は食べちゃだめだと死んだ親父から言われているんだ!」

中川「お父さんまだ生きてるでしょ確か……」


高い店で奢る羽目になっちゃたまらんと今度は両さんが自ら店選びを買って出る。その結果、両さんは「当たり屋」と言う名の蕎麦屋を見出した、が…


中川「閑古鳥が鳴いてますよ」

両津「よほど客が来ないんだな」


二匹もリアル閑古鳥が店先に止まる店に、「ここで体の温まる盛り蕎麦を食べよう」と言いながら堂々と入店する両さん。
しかし、いざ中に入ってみるとお客どころか店員もいない…と思った次の瞬間、ガチャガチャドタンという音と共に慌てた様子で一人の男性が姿を現す。
この店の主人と思しきその男性に両さんは盛り蕎麦を二つ注文するが……


主人「すいません。そば切らしてるんですが」

両津「しょうがねえな。じゃうどんでいいよ。かけうどん」

主人「いえ、そばもうどんもご飯も何にもないんです」


主人のとんでもない言い分を聞いて椅子ごとひっくり返る両さん。
「ここは蕎麦屋だろ!蕎麦屋風に建てた自宅とでも言うのか!?」と渾身のツッコミをする両さんだが、
ご主人曰く三年前に開店して以降、何とたったの三人しかお客が来ないため、完全に経営を諦めてた故に何も準備していなかったのだと言う。


主人「早速そばを買ってきますから少々お待ちください」

両津「もういいよ帰るよ!」


怒りのままに帰ろうとする両さんだが、あまりにもご主人の境遇を気の毒に思った中川が両さんを止める。


中川「僕らが五人目のお客になってあげましょうよ」

両津「お客というより五人目の犠牲者という気がせんでもない」


一体どんなものが出てくるかと戦々恐々としていた両さんだったが、出てきた蕎麦は至って普通のもの。
両さんは「結構食えるじゃないか」と評し、中川は「一般の味と変わりませんね」と言う。


主人「普通に作って普通に営業しているんですが……なぜお客が入らないのかさっぱり……」


肩を落とす主人に対し、両さんは「全て普通だからいかんのだ!」と解説する。
日本そばが伝統的なものだからと言って伝統通りの普通にしても客が入らないし、かと言って店を三角にしたりピンクにしたり目立つようにしても初めだけで客はすぐ離れてしまうため、固定客を取ることが大事だと力説した。


主人「この方、お巡りさんにしてはくわしそうですね」

中川「経営コンサルタントを得意としていますから」


「葛飾署自営業相談課日本そば係」と適当な役職をでっち上げて自己紹介した両さんは、日本そばで成功させるためには立地や店の外観や料理人を最高級にすることを提案。
一つも叶えられないとうつむくご主人であったが、もちろん両さんはそれもよく分かっていた。


両津「金をかけずに成功させる方法がひとつある!」


両津「ただし成功したら売り上げの10%のコンサルタント料を私に払ってもらいたい。それでもいいかね?」

中川「さすが商売上手だ」


例の如くタダでは何もしない両さん。しかし主人は店が続けられるならとその契約を了承することになった。
こうして当たり屋のコンサルタントを請け負った両さんがまず始めたのは、なんと茶碗同士をぶつけ合ってひび割れを作ることだった。困惑するご主人。


両津「いいから! わしの言う通りにしろ! 器を全部もってこい!」

中川「いったいどうやって成功させる気かな?」


こうして瞬く間に全ての器がひび割れのボロボロ状態になってしまった。
その上両さんは店が広すぎるから半分にしろといい、イスやテーブルをあえて立てかけておくことでスペースを潰しにかかった。


両津「残りのテーブルとイスもいらん。捨ててこい」

主人「え!? だってまだ新しいですよ」

両津「新しいから捨ててくんだよさっさと捨てろ! かわりのイスとのテーブルはわしが用意してやる!」


店の内装に指示を出した後、今度は表に回った両さん。
特徴のない店の外観を問題視した両さんはウェザリングと称して、なんと石を看板に投げつけて割り始めたではないか!


主人「何するんですか!?」

両津「うるさい!邪魔するな」


更に石を投げて戸のガラスを割り、設置型の看板すら蹴飛ばし始める両さん。
ただの破壊活動としか思えない行動に主人は中川に助けを求めるが…


中川「信じる事です。先輩のやる通りにすれば必ず成功します」

主人「そうは思えませんが……」




そうして五日経ち、今日も両さんと中川は当たり屋に向かう。
その店の外観はありとあらゆる部分がボロボロで中川曰く「お化け屋敷みたい」な有様となっていた。しかし両さんは「この店の助かる方法はこの道しかないのだ」と言う。
中に入ってみれば、そこもまるでボロボロのお化け屋敷のような有様で、そこに主人一人が暗い表情で座っていた。
両さんの指示で五日間全く掃除をせず、手をつけていないのだという。
両さんの持ってきたイスやテーブルは粗大ゴミの中から見つけてきたものな上、両さんは更に机の足にキックをかまし、グラグラの不安定な状態にしてしまう。


中川「ずいぶん疲れきった顔をしてます!」

主人「もうどうなってもいいですよ。ここまでくればあきらめがつきました」


三年間経営してきた大事な店をボロボロにされ、意気消沈のご主人。
そんな主人に向かって、両さんはなんと明日この店に客が二人来るのだと語った。


両津「明日はわしも調理人として協力してやる。絶対愛想をふりまくなよ無愛想でいろよ!」

両津「うーむ、どうも顔が温和すぎる。モヒカン刈りにしよう!?」


主人「どうにでもしてください。もうやけくそです」




翌日。


記者A「グルメ雑誌のネタもつきたな。毎日同じような店ばかりだからな」

記者B「だから下町のそば屋を見に来たんだよ」


話し合いながら道行く二人の雑誌記者。
彼ら二人はどうやら日本そばの店へ取材に赴くようである。
「よくなけりゃボツにすればいいしな」という心構えでそのそば屋の前で辿り着いた二人は、驚きの声を漏らす。


記者A「すごい古い店だな」

記者B「あんなに列をつくってまってるぞ!」


そう、その「当たり屋」というそば屋はボロボロな外観になるくらい古く、客が行列ができるほどの店だったのだ。
隠れたヒットの可能性を感じた記者は店の写真を撮っておく。

中に入ってみると、そこには席が二つしかない徹底した少人数制をとっていた。
すると…


両津「おう!おう! おめえさんがた何でぇ!?」


店の奥から登場したのは両さん。ただし、着物の流し姿に草履といった出で立ちで。
この店の店員だと判断した記者たちは「グルメ日本一」という雑誌の編集部だと自己紹介する。
しかし両さんは「客じゃねえなら帰れ!!」「うちは客しか用はねえ!」と強い怒気で追い払おうとする。


記者B「この店はおいしいときのう読者の方から電話がありましてね」

両津「なんだとそれで来たのかお前ら! 誰がそんな余計な事しやがったんでえ!」


裏で聞いている中川(自分で電話したくせに!


記者達に向かって両さんは「本なんかに載せやがったらタダじゃおかねえぞ!」と記者達を大声で脅す。


両津「いくらこの店が天長2年から20代続いた伝統ある店だとか…」
両津「宮内庁の方がお忍びで食べに来るなんてのを載せるなよ」

記者A「おいメモしろメモ!」
平安時代から続くそば屋か…


一方で両さんはそばを食べてる客の一人に目をつける。その客はそばに唐辛子を2回入れたのだという。
両さんはそばに唐辛子を入れるのは一回までというのが店のしきたりなのだと言い、しきたりを守れねえ奴は客じゃねえから二度と来るなと客を投げ飛ばす。


記者B「凄い職人気質だな!」

記者A「ぜひグルメの先生にこの店に来てもらおう」


両津「なに!まだいやがったのかお前ら!」


居残る記者達に怒る両さんは、奥からこの店のご主人を呼び出す。
ぬうっと現れたご主人はモヒカン刈りの頭にサングラス…
そしてバニースーツ下駄といった謎すぎる出で立ちであった。


両津「ちょいとこの二人しめた方がいいんじゃねぇですかね……」

主人「何か用かねあんた方!」

記者AB「いえすぐ帰りますから!」


その主人に風貌にビビりまくった記者達は一目散に逃げていく。
走り去っていく記者達の背中に「宣伝するなよ!12時から7時まで営業してるからな!」「日、祭日休みだぞ盛りそば700円だぞこの野郎!」と怒鳴って追い返していく。



両津「いやー、サクラの皆さんご協力ありがとうございました」

主人「あー、恥ずかしかった」




雑誌「下町に残る頑固な日本そば屋」
雑誌「昔のままのかわらぬ店」
雑誌「主人はモヒカン刈り」


中川「すごい!1ページの特集ですよ!先輩!」

両津「あたり前だよ。あそこまで頑固な店ほかにないよ」


コンサルティングが成功し、鼻高々な両さん。
雑誌を読み進めていた中川は、とある重要な情報を目にする。


中川「料理評論家の大前田長五郎先生が、あの店に食べに行くのが決まったようです」

両津「なに、本当か! 願ってもないチャンス一気に名をあげる時だ!」




そして当日……


記者達「大前田先生だ!!」オーオー

大前田「店のつくり……ただ者ではない」


当たり屋を見て感想を漏らす大前田先生と、それを取り囲むマスコミ達。
周りの記者達の数からして、相当大物な先生であることがよく分かる。

店の敷居を跨ぐ大前田先生。そこには例の謎すぎる出で立ちで盛りそばを机に置く主人の姿。


大前田「店の主人、ただ者ではない!」

記者「オーオー!」


まんまと両さんのコンサルティングに騙されてる大前田先生は、早速そばを口にする。
しかし「ん!? これは…」と明らかに不自然な反応を見せる。そしてその瞬間…


記者達「取材中です!」

両津「オレは一日一回そばを食べると決めてるんでェ」


突然大量の取材陣をかき分けて現れたのは、今度は客役の着流し姿の両さんであった。
両さんは主人に掛け一丁を注文し、一息に食べ尽くすと勢いよく料金を机に置く。


両津「う〜ん、惚れぼれする味だぜ」

両津「これをまずいという奴は人間じゃねえ


大前田「………」


謎の客の言い分と雰囲気に押された大前田先生は、冷や汗をかきながら蕎麦を啜る。
そして、記者達にそばの味を聞かれた大前田先生は…


大前田「店の下情緒たっぷりな粋な作り」
大前田「ご主人のイナセなスタイル」
大前田「そばの練り工合 だしのとり方 ネギの切り方」
大前田「どれをとっても…」


大前田「この大前田長五郎が七ツ星をさし上げましょう!」

記者達「おお!すごいっ!」


こうして「当たり屋」はまんまと両さんの追い討ちに騙された大前田先生によって、最高評価の称号を手にしたのであった。



そして…


麗子「すごい人気になっちゃわねえ。あの店MHKで『世界一うまいそば屋』って特別番組やってたわよ」

中川「毎日1000人の列8時間待ちでやっと食べられるんだって! 潰れる寸前の店だったのにマスコミはすごいねえ」


両さんのコンサルティングは、見事そばの味は変わらないままの大人気店へと成功を収めた。
しかしそんな大成功を収めた両さんは、突然「おい助けてくれ!!」と言いながら派出所に逃げ帰ってきた。



両津「あの事を知っていろんな店の主人が来た!追い返してくれ!」

中川「まったく自慢するからこうなるんですよ!!」



追記・修正はモヒカン刈りでサングラスをかけてバニースーツを着て下駄を履いてからお願いします。
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最終更新:2020年12月02日 09:06