ファンタジーランド(ラストハルマゲドン)

登録日:2021/05/04 水曜日 00:21:25
更新日:2025/05/11 Sun 18:31:02
所要時間:約 12 分で読めます




ファンタジーランドとは、ブレイングレイ社のRPGラストハルマゲドンに登場する人間の住む施設である。
尚、現在ファンタジーランドと検索するとゲームセンターやディズニーランドのアトラクションが先頭に表示されてしまうので、
ここについて検索したいのなら「ラストハルマゲドン」も加える事をお勧めする。


あらすじ

人間とその文明が滅び去ったと思われる地球。
かつての伝説の時代以降は地に身を潜めていたモンスター達は我等の時代が来たと喜ぶも、宇宙から来たエイリアンの侵略が始まってしまう。
エイリアンによる植民地化を阻止し、地球を取り戻す為にモンスター達は旅をしていた。

やがて滅び去った人類の足跡や滅亡の経緯を知る内にモンスター達の心の中に「何か」が芽生え始める。
そして人類の残した施設の一つで人類は「ファンタジーランド」と言う所で生き延びている事を知るのであった。

これまでの人類の足跡を見てきたモンスター達にはかつて持っていたとされる人類への憎しみや敵意は消え失せており、
「生きている物なら会ってみたいものだな…人類に」と考え紆余曲折を得てファンタジーランドを訪れる。
そこはかつて人類とモンスター達が共存、争い続けていたという伝説の時代を模した様な場所であった。


ファンタジーランドの住人達

  • 王様
ファンタジーランドにとって異形かつ敵対的存在とされるはずのモンスター達を目の当たりにしても動揺や敵意を一切見せずに
娘が魔王にさらわれてしまったから助けて欲しいとモンスター達に頼みこむ。
モンスターの一人が冗談交じりで「俺達は魔王の使いだよ…」と答えても本心を悟ったのか路銀を持たせようとしてくれる人格者。
だが最後はモンスター達によって首を刎ねられてしまう…
  • 各店の店員達
王様同様モンスター達を目の当たりにしても敵意を見せたり追い払ったりせずに接客してくれる店員の鏡。
…だがモンスター達の質問にはかたくなに答えようとはしなかった…
  • 病院の受付嬢
伝説の時代とはマッチしていない施設の受付嬢。
やはりモンスターに敵意を待たずに接してくれる。
  • 勇者一行
ファンタジーランドにおいて唯一モンスター達に敵意を持つ一行。
ファンタジーランドの状況に戸惑うモンスター達の前に突然現れ「姫様を返せ!」、「魔王の城はどこだ!」と問い詰める。
訳が分からないモンスター達が敵意が無い事を伝えても問答無用とばかりに襲い掛かってくる。
…モンスター達は彼らを倒すしか手はなかった。
  • 管理者
このファンタジーランドを管理、守護している存在。
次なる支配者を探すのが任務の様だが…


追記、修正お願いします。




+ この折り畳みの象徴はネタバレの鍵だ…さあ、存分に楽しめ…

ファンタジーランドの真実

生きていたとされる人類に会うべくファンタジーランドを訪れるモンスター達、だが門は感情センサーに合格しないと入れる事は出来ないと拒否される。
各地を彷徨い「愛」と「優しさ」に目覚めたモンスター達が再び訪れると門が開き一行を迎え入れてくれた。
モンスター達は早速人間を探すのだが…

注意
ここの会話は機種によって会話するモンスターが異なります。そこで
リーダー格
短気
女性
無口
この様に色分けだけで表記します。ご了承ください。

店を見つけたモンスター達は早速人間に話しかけるのだが…
店員「いらっしゃいませ、何に致しましょうか」
「いや、物を買いに来たのではない。 二三質問したいのだが…お前の名は?」
店員「いらっしゃいませ、何に致しましょうか」
「物はいらねぇ、オメエの名を知りてぇんだ!」
店員「いらっしゃいませ、何に致しましょうか」
「では質問を変えよう。 人類は滅亡したはずだが、どうしてこの町の人々は生き残ったのだ?」
店員「いらっしゃいませ、何に致しましょうか」
「話にならんな…もういいだろう!」

他の店も尋ねるが帰ってくる答えは同じだった…
店員「いらっしゃいませ、何に致しましょうか」
「いや、話しても無駄の様だ…邪魔したな。」

釈然としないままファンタジーランドを彷徨っていると武器や防具を身に着けた集団が現れた。
彼らは自分達を勇者と名乗ってモンスター達に襲い掛かって来た。
勇者「姫様を返すのだ!」
勇者「我々は王の命令により魔王を倒す為に立ち上がった勇者である。 魔王の城はどこだ!」
「何事だ? 我々は敵ではないぞ。」
勇者「うるさい、いくぞ!」

自分の身を守る為とはいえ、訳が分からないまま人間を殺めたモンスター達…
「姫を返せとはどうゆう事? それに、まるでこの世界は我々が人類と共存していたという伝説の時代にそっくりじゃない!」
「!!!…こいつらロボットだ…人間じゃねぇ!!!」

皮膚が剥がれた内部にはパラメーターを示すディスプレイがあった(ご丁寧にもHPは00表記)。
それらは壊れてしまった人間…基ロボットからカタカタとむなしく音を立てるだけとなっていた…
「ここは…ここは人間の町なんかじゃない…」

人類は滅んでしまったのか?
そう思いながらもファンタジーランドを探索するモンスター達は病院を見つける。
受付嬢「いらっしゃいませ、どんなご用件でしょうか」

奥から機械音がするのが気になったモンスター達は奥へ踏み込む。
そこでは無数の壊れたロボットが修理されていたのだ。
「なんてことだ…」
「人類はやはり滅びてしまったんだな…」

修理中のロボットが途切れながらも言葉をつぶやく
ロボット「王様の…命令…早く…早く…」
「城へ行こう。 城に行って、その王を見てやろうではないか!」
「どうせそいつもロボットよ…」
「しかし、行かねばならぬ…この胸の奥にたぎる怒りは何なのだ…この悲しみ…もう我々は以前の我々ではないのだ、お前達もわかっているだろう! 我々は自分達に決着を付けなくてはならないのだ!」
「行こう、城に行けば何かわかるかもしれねぇ!」
「うむ!」

そしてモンスター達は城へたどり着く
「フフッ…確か伝説の時代では、人間は我々の魔界によく侵入して来たらしいな。」
「ああ、まさか我々が逆の立場になろうとは、おかしなものよ…」

城の奥へ進んでいき遂に王と対面する。
やはり王もロボットであった…
王様「お前達に頼みがある。 ワシの娘が、魔王にさらわれたのじゃ。 どうか助けてはくれないかー」
「生憎だが…俺達はその魔王の使いだよぉ…」
王様「ここに100ゴールドある、これで」
「やめろ! このロボットめが!」

我慢の限界に達したのかモンスターの一匹が王の首を跳ね飛ばしてしまった!
王様「旅の…身支度を…するが…よ…い…」
「この城の何処かにこいつ等を操っている奴がいる筈だ。 そいつを探し出そう!」

そして城の奥で巨大なコンピューターを発見する。
コンピューター「ここは立ち入り禁止区域です。 早くそれぞれの持ち場に戻りなさい。 もしくは病院に行き修理してもらいなさい。」
「お前なら、ちょっとは話が出来そうだな。」
「ここを作ったのはアンタかい?」
コンピューター「貴方達の事はプログラムにありません。 不思議です、何処から来たのですか?」
「そんな事は関係ねぇ! この町を作り、管理しているのはお前なのか?」
コンピューター「不思議です、貴方達の感情は私の中にインプットされていない。 その感情は遥か昔に人間が持っていたと思われる感情…貴方達は過去から来たのか? 人間以上に人間らしい。」
「俺達が人間以上に人間らしいだと? 教えてくれ…俺達は何者なんだ?」
コンピューター「私は人間の意思を継ぎ、この町を管理している。 人間達は滅ぶ時「夢」と言う物を残した。 夢と言う物を実現させるのが、私に与えられた使命。 この世界がその「夢の実現」です。」
「夢?これが人類の夢だと言うのか。 単純な行いを繰り返し、決まりきった毎日を過ごす事が…夢だと言うのか?」
コンピューター「…私にはわからない…私は過去のデータからこの世界を作り上げた。 そしてこの世界が人類の夢であると結論を出した。」
「ほざくな! 貴様ら機械に何がわかるってんだ!!!」

機械で作りだしたこんな世界が人類の夢?
納得のいかないモンスターの一匹は怒りのあまりコンピューターを攻撃してしまう。
攻撃のショックで徐々に機能を停止させながらもコンピューターは会話を続けた…
コンピューター「…人類はコンピューターの作り上げる世界に全てを任せる様になった…自分達では何も出来ない事に気付いた時…進化は頂点に達したと言っていた…そして、自ら滅亡を望んだ…人類は地下へと身を潜めた…人類はこの町を私に託す時に最後の言葉を残した…」
コンピューター「「いずれ人間らしい本来の感情を持った者がここに来るだろう、その時までこの町を守っていて欲しい」と…お前達が、それに相当する者なのだろう…私は司令塔からの命令で管理していたがこれで私の任務も終わりた…お前達が人類なのだ…」

とうとうコンピュータ全体が機能を停止し言葉を発しなくなってしまった。
コンピューターの言葉に動揺するモンスター達…
「教えてくれ! 司令塔とはなんだ?」
「我々は人類の生まれ変わりなのか?」
「今までの記憶は全て噓の物だったというのか? 魔族の記憶など何もかもでっち上げだったのか…」

コンピューターは最後の動力を振り絞ったのかプリントされた一枚の紙を吐き出す、ここにはこう書かれていた。
「司令塔へ報告す、任務はすべて完了。 次なる時代の支配者は誕生した。 No85419」
「俺達は何をすればいい…この大地で、何をすればいいってんだ!」
「全て人類に仕組まれた出来事だったのさ…上手く出来過ぎてるじゃないか…司令塔とやらに行けって事さ…」
「その後で異星体と戦えと言うのか? …もうどうでもよくなっちまった…俺達が本当に人間の生まれ変わりなら…また滅亡は繰り返されるって事だろ…」
「…いや、もうすぐ全てが終わる…そんな気がする…」

こうしてモンスター達はファンタジーランドを後にして司令塔へと向かう…
宇宙から飛来したとされるエイリアンとの戦いから始まった冒険劇は最終局面を迎えるのであった。

最後に

このファンタジーランドは当時最も人気が高かったとされる王道RPGに対する盛大な皮肉でありアンチテーゼに過ぎない者であった。
…だが現代ではとても皮肉やアンチテーゼと笑い飛ばせなくなってきている。
現実世界で疲れ果てた人間がファンタジー世界に転生したりVRゲームの世界にダイブして悠々自適なセカンドライフを実現する様なライトノベルが流行になったり、
ゲーム技術の進化によってオープンワールドやクラフト系MMO等と言ったゲーム内において生活を体感できてしまう作品も登場する等「コンピューターが作り出す夢の世界」は現実の物になりつつあるのだ。


追記、修正は単純な行いを繰り返し、決まりきった毎日を過ごす事が夢…ではない方でお願いします。

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最終更新:2025年05月11日 18:31